サーバントリーダーシップとは?デキるリーダーは「支援型リーダー」を目指す!

[最終更新日]2023/11/03

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皆さんは今までどんな上司やリーダーと一緒に仕事をしてきましたか?
また、自分自身が管理職として、どんな上司やリーダーでありたいと思いますか?

組織におけるリーダー像は様々ありますが、近年、「サーバントリーダー」という奉仕・支援タイプのリーダー像が注目されています。

豊富な経験、的確な指示、早い判断といった「仕事の実力」で組織をぐいぐい引っ張るリーダー像ではなく、なぜその逆のスタイルが注目されているか。その背景を含めて、今注目のサーバントリーダーシップの特徴を説明していきます。

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目次

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そもそも、サーバントリーダーとは

近年、従来までの理想とされたきた組織マネジメントとそのリーダー像は、時代の変化にともない確実に変わりつつあります。

グローバル化や多様性といった社会の変化によって、「協働」を主とした組織マネジメントが企業に求められるようになっている中で、サーバントリーダーというリーダー論が注目されています。

実は、このサーバントリーダーは19世紀にすでにその理論が唱えれていたものですが、21世紀の現代、その有効性が注目されているリーダー論の1つなのです。

そもそも、サーバントリーダーとは

「サーバントリーダー」の概要

サーバントリーダーは、1970年にロバート・K・グリンリーフの書著である「サーバントリーダーシップ」の中で、その概念が提唱されました。

最大の特徴は、「サーバント」という単語の意味にある「奉仕、尽くす、召し使い」というキーワードです。

実は「サーバント」と「リーダー」は、互いの言葉の意味上は相反する概念ともいえますが、これが「サーバントリーダーシップ」が他のリーダーシップ論とは異なる最大の特徴とも言えます。

リーダーの役割である明確な目標や方針をチームへ伝える、という役割は共通しながらも、従来のリーダー像にあった「トップダウン」や「命令型」のアプローチではなく、「サーバント」という概念を主としたボトムアップ的なアプローチでチームを目標へと導くのがこの「サーバントリーダー」です。

昨今では、米国の先進企業のみならず、日本企業でもこのサーバントリーダーシップの導入事例も見られるようになってきています。
1970年生まれの概念ながらも、21世紀の組織マネジメント手法としてその概念が再注目されている手法の1つなのです。

サーバントリーダーと、従来型のリーダーとの違い

それでは、従来まで理想とされてきたリーダーとサーバントリーダーの違いは何でしょうか?

例えば、従来までの理想のリーダー像は「強烈なリーダーシップを発揮してー」といったフレーズからイメージするような「明確な目標を掲げて、部下へバンバン指示を出し、スピーディかつ的確な判断をする」といった、チームを自ら引っ張っていくタイプでした。

これに対してサーバントリーダーは、先頭切って引っ張るというよりも、チームの後方に構えて組織を支える、背中を押してあげるイメージです。

つまり、チームが進むべき目標を掲げた後のアプローチ、もしくは立ち位置といってもいいかもしれませんが、それが決定的に従来のリーダー像とは異なるのです。

そして、リーダーとして「協働」や「支える」という行動を組織内で実行していくためには、メンバー・部下から「信頼」を得なければなりません。

その信頼を得るために、サーバント=奉仕という概念を軸としたリーダー自身の能力開発や獲得がこのサーバントリーダーのマネジメントの狙いです。

サーバントリーダーシップの、10の特性

従来型との違いで説明した通り、サーバントリーダーシップは「協働」「支える」といったものに軸を置きながら、チームを掲げた目標へと導くアプローチです。

そしてこれらのキーワードを実現していくため、より具体的なリーダーが持つべき「特性」として次の10項目をサーバントリーダーシップでは定義をしています。ここでは各項目について、1つずつ説明をしていきます。

  • 1.傾聴
  • 2.共感
  • 3.癒やし
  • 4.気付き
  • 5.納得
  • 6.概念化
  • 7.先見力
  • 8.執事役
  • 9.人々の成長への関与
  • 10.コミュニティづくり

サーバントリーダーシップの特性#1 傾聴

人の話をしっかりと聞く力です。
相手がどんなことを望んでいるか、悩んでいるか、相手の気持ちや意見を正確に把握することで、リーダーもしくは組織として、その相手を活かすために何をしてあげられるか、という発想をしていく力です。

マネジメント手法の1つのとして有名な「コーチング」でも求められる特性であり、リーダーという側面から、管理職には必須の能力といえます。
また、相手への傾聴だけでなく、自分自身への傾聴という視点も大切です。

サーバントリーダーシップの特性#2 共感

相手の立場に立ち、相手の気持ちや意見を理解する力です。

人は自分に共感をしてくれたり、自分の気持ちを汲んでくれる人に対して好感をもちますし、上司やリーダーであれば信頼感につながります
。サーバントリーダーシップの「協働」「信頼」を生む重要な特性の1つです。

ただ、実際にこの特性発揮は難しいものです。ポイントは、自分自身を含めて人は不完全であるという前提を持つこと。
そして、どんな状況でも、まず優先して相手の立場に立つことを心掛けましょう。自分の意見はその後という意識が重要です。

サーバントリーダーシップの特性#3 癒やし

相手の心の傷をなくし、本来の力を発揮させてあげる力です。

当然、誰もが仕事をする中で落ち込んだり、プライベートの事情を抱えた状態で仕事をすることもあるでしょう。
何かの理由で個々人の力が発揮できないとき、その理由を排除する、組織としてフォローする仕掛けを打つのもリーダーの役割です。

まさにサーバントの考え方にある「支える」イメージを実現する特性です。
直接、相手の気持ちにアプローチするのが難しい場合は、他のメンバーも上手く使いながら間接的にフォローしてみましょう

サーバントリーダーシップの特性#4 気付き

物事をよく観察することで変化や本質を知る力です。
主観にとらわれず、客観的、経時的に物事をみすることで本質的な発見があるはずです。また、これは携わっている仕事のことだけでなく、チームの一人一人への気づきもよく意識しましょう

特に個々人の「強み」は自覚するよりも、周囲の人からの評価によって、本人が気づきを得ることが多いとされています。
自分で気づいたことを相手にも与えること、チームで共有することも大事なポイントです。

サーバントリーダーシップの特性#5 納得

相手が納得や同意を得ながら、物事を実行していく力です。
大事なことは、相手が論理的だけでなく感情的にも納得しているか、という点です。

例えば、上司という立場や権限による一方的な指示・命令ではいけません。

上司として指示を出す権利はあっても、その指示を部下が納得した上で動いてくれるかどうかは、指示を伝える上司の自身の能力です。
きちんと目的や手段についてコミュニケーションをとることを心掛ける必要があります。

サーバントリーダーシップの特性#6 概念化

チームが進むべき方向や目指すべき目標を、メンバー全員に伝える力です。

メンバーはそれぞれ違った価値観をもっている前提で、メンバーの各々の腹に落ち、自主的に動いてもらうようなビジョンの伝達が求められます。

相手が動くためには、正論やロジカルな説明だけでは不十分かもしれません。

相手のモチベーションに響くよう、さまざまな角度からビジョンを伝える必要があります。そのときに、一度、概念や構造といった大きな視点で物事を捉えるような思考プロセスを意識しましょう。

サーバントリーダーシップの特性#7 先見力

いわゆる鳥の目で組織の立ち位置と、求められている成果をだすために、どこに向かうべきなのかをチームに示す力sです。

サーバントというよりは、リーダーとして必要な特性の1つです。リーダーとしてチームが進む道へ責任を持つのは、従来のリーダー像や組織マネジメント手法でも取り上げられる能力です。

いかに情報にアンテナを張って、そこから適切な目標を見出すか。

特に現在はグローバル化によって、さらに情報は拡大しています。グローバル的な視野で、過去と未来、最新の情報をアップデートする姿勢が必要です。

サーバントリーダーシップの特性#8 執事役

自分の利益ではなく、まずは相手の利益を優先する姿勢をもつ力です。
この特性は、サーバントリーダーシップを代表する特性とも言えます。

「執事」という言葉からイメージされるように、チームのメンバーを主人として、あくまで自分はそのサポートに徹する姿勢が必要です。
そして何より大切なポイントは、相手が成功した時に自分のことのように一緒に喜べる状態になることです。

サーバントリーダーシップの特性#9 人々の成長への関与

メンバーの仕事を通した成長や成功に、リーダー自らがコミットする姿勢です。

リーダーとして、会社に対して組織が携わる仕事の成果をコミットするだけでなく、それを実行するメンバーの仕事に対しても成功をコミットしてあげる視点です。

メンバー個々の強みや潜在力に気づいてあげること、積極的なコミュニケーション通して、その強みや能力を支援して成果と結びつけていくのがポイントです。
この成功コミットが積み重なれば、当然、このリーダーに着いていこうという信頼に繋がります。

サーバントリーダーシップの特性#10 コミュニティづくり

チームのメンバーのことを考え、個々が力を発揮できる、もしくはお互いがフォローができるコミュニティをつくる力です。

束ねている組織全体だけをコミュニティと捉えるだけでなく、リーダーの権限の範囲で、組織内で小さなチームをフレキシブルに作るというのも大切です。

会社が決めた組織にとらわれず、メンバーにとってどんなコミュニティやチームが必要か、という発想をしていくのがポイントです。

サーバントリーダーシップを上手く発揮した好事例紹介

現代にこそ求められているサーバントリーダーについて、その導入事例の実情は、まだ各企業の組織戦略へ部分的にサーバントの要素を取り入れている段階であり、全てを備えるリーダー作りの事例は、まだ数少ないものです。

ただその一方で、この特性を学んでみてわかるのは、図らずもサーバントリーダーシップを発揮していたリーダーや上司の事例が、過去の著名な社長や、もしかしたら皆さんの上司にもあるということです。

そこでここでは、私の経験したプロジェクトで出会ったサーバントリーダーの事例を紹介します。

ダブル・リーダー体制が生んだサーバントリーダー

私がメンバーとして参加した、ある海外でのプロジェクトの事例です。
このプロジェクトは、現地と日本から一人ずつリーダーが立つ、ダブル・リーダー体制。リーダーの一人は現地の技術部長。

当然、現地メンバーにとっては経験豊富な上司の一人で、いわゆる従来型のリーダー特性を存分に発揮していました。

一方、もう一人のリーダーは日本人で、しかもリーダー経験のない若手の大抜擢でした。

現地部長に比べれば、当然チームを引っ張るリーダーの雰囲気では劣っていたものの、本人もそれを十分に自覚し、リーダーとしての特性やアプローチを現地部長に任せ、彼は謙虚にチームのフォローに徹したのです。

日本人リーダーの彼は、まさにサーバントの特性を発揮していました。
海外のアウェイな環境とリーダー未経験という状況も功を奏して、とにかく教えてもらう姿勢で現地のスタッフと逐一コミュニケーションをとっていました。

特に印象的だったのは、我々メンバーが困っていることを彼はリーダーという権限を上手く使って、他部署やPJオーナーとどんどん交渉・決定しながら、細かなフォローの仕組みや対応を実行していった点です。
私自身も何度も彼のスピーディな決定には助けられました。

もちろんプロジェクトは成功をおさめ、何より、プロジェクト中盤からの現地スタッフの日本人リーダーへの信頼の高さは、目を見張るものがありました。

当時、「サーバントリーダー」という言葉を知らなかったのですが、改めて振り返ると、結果的に二人の特性が合わさり、このチームにとっての二人のリーダーが「サーバントリーダー」として上手く機能していたのです。

もちろん、組織にリーダーが一人であればそのリーダーが両方の特性を備えるべきですが、こういう発想もあっても良いと思います。

時代が求める新・リーダー論を学ぶチャンス

サーバントリーダーシップは、今までのリーダー像とはまったく逆のアプローチを提唱している要素が多い一方で、今、それを多くのトップ企業が導入しようと注目しています。

それほどまでに、組織や働き方のスタイルが急速に変化していることを、このリーダー論の流れが象徴しています。

日本では導入事例はまだ少なく、その流れは大きなものになっていない段階のようにも感じます。
ぜひここでの学びをチャンスと捉えて、ご自身のマネジメントをアップデートするきっかけとして、このサーバントリーダーシップを学んでみてください。

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