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部下に「どうして?」「なんで?」と訊いてはいけない?管理職の正しいWHYの探求法

[最終更新日]2018/11/20

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皆さん、普段の部内の定例会や部下との打ち合わせで、ご自身がどんな発言や質問をしているか意識されていますか?

例えば、「どうして〜」「なぜ〜」といった発言はよくあると思います。一般的には、より情報を引き出すために有効な問いかけとされていますが、実は部下や組織のマネジメントにおいてはその認識だけでは不十分どころか、逆効果になることもあります。

ここでは、そんな「マネジメントにおける問いかけ」について間違えやすいポイントとその適切な使い方を紹介していきます。

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目次

「なんで?」を繰り返す「問い詰め型マネジメント」は、概して良い結果にならない

何かの課題や問題を解決するために、「なぜ」という問いを使うのは定石とも思われています。一方でこの「なぜ」の問いかけは、使い方を間違えてしまうと非常にやっかいなワードでもあります。

この事実はあまり浸透しておらず、特にマネージャのためのマネジメントの教育やスキルなどでも、十分に伝えられていない印象があります。間違いやすいポイントを事例を交えて紹介してきましょう。

「なぜ」を問い詰めた先にあるものは

理由を追及していくためにある「なぜ」という問いかけ。どういうシチュエーションで、その問いかけの使い方を間違えてしまうか?職場で起こりそうなトラブル報告の例をみてみましょう。

上司

「どうして報告しないで勝手に判断したの?」

部下

「申し訳ありません、○○さんへ報告するレベルでないと思ってしまって」

上司

「え、なんで?そんな基準決めてないでしょ?」

部下

「はい…ただ、時間もなかったので…」

上司

「時間がないって…なんでこの問題の重大さわからないかな?」

部下

「すみません、私の判断不足でした」

上司

「いや、判断不足の前に、まずトラブルは報告するのが普通でしょ。
なんでそれをしないかな?簡単なことでしょ。」

部下

「はい…今後気をつけます」

上司

「気をつけるって、具体的にどうするか言わないとさ、解決しないでしょ」

部下

「次回からは必ず○○さんに一報入れるように致します」

上司

「いや、それができなかったんだからさぁ、ホントにできるの?
なんで会社が携帯支給してるかわかってるの?」

部下

「はい…」

上司

「はぁ…もういいよ、早くトラブル処理行ってきて」

部下

「はい、以後気をつけます。申し訳ありませんでした」

どうでしょう?「なぜ」「なんで」「どうして」と、理由や解決策を聞いているようでいて、実はその問いはまったく有効に理由や結果を引き出せていません
それどころか、部下の気持ちをますます追い込んでしまっています。

部下を問い詰めるマネジメントは、部下の自律性や主体性を低減させる

上の例で、部下にしてみれば悪気があったわけではありませんし、失敗も自覚しています。

「ヒューマンエラー」という言葉があるように、人に対して「気をつける」という答え以上のことを追求するのは、実はほとんど解決策として意味がありません
むしろ、人の考えや行動に対する必要以上の「なぜ」は、モチベーションを下げてしまう危険すらあります。

私も打ち合せや会議を通して、何度もこの不適切な「なぜ」を経験してきました。

多くは、上司と部下、部門間の議論などの責任関係がはっきりしている状態で、意見の違いや納得がいかない報告にこの「なぜ」が飛びます

このときの「なぜ」は、「私の意見の方が良いと思うんだけど、なぜそう思うのか?」という、相手を否定する発言にしか聞こえません。

当然否定ばかりされては相手はやる気を失いますし、何より厄介なのは、発言している当人がその認識が無い傾向が多いことです。

「原因追及」は、より良い未来を実現するためにある

「なぜ」の問いかけについて、まず、その不適切な使い方について認識できた上で、さらに新たな視点を加えていきます。
「なぜ」による「原因追及」の効果を、さらにブレずに発揮させるポイントです。

そもそも「なぜ」という問いかけは、「原因追及」をするための1つの手段です。
そして「原因追及」は、ある問題を解決して「より良い未来を実現する」ための1つの方法です。

マネジメントの分野において、問題を解決するための方法には「ポジティブアプローチ」と「ギャップアプローチ」の2つがあり、「原因追及」は「ギャップアプローチ」の手順の一部に位置づけられています。

「なぜ」の問いかけについて、この2つのアプローチの関係性や手順における位置づけをきちん認識することで、より適切な使い方が見えてきます。

2つのアプローチを紹介しながら、さらにその本質と使い方のポイントを整理していきましょう。

より良い未来を追求するための、「ギャップアプローチ」と「ポジティブアプローチ」の考え方

ポジティブアプローチ

「ありたい姿」=理想を描き、そこにたどり着くためにどうするかを考えるアプローチで、基準や対象が不明確な状況下に有効です。

「この強みを活かしてー」「あのシステムを使えばー」「これを作ればー」というふうに、目標到達へのシナリオを追究する思考です。

ギャップアプローチ

「あるべき姿」=目標や課題が明確であり、そのギャップを埋めるためにどうするかを考えるアプローチです。自社と市場の現状把握、ギャップの原因特定といった「分析」をベースに、対応方法を追究する思考です。

多くの著書や事例が示す通り、「なぜ」という問いかけは問題解決の有効な方法である一方で、実は”それだけではない”ということが、この2つのアプローチの存在から分かってきます。

それはつまり、「ポジティプアプローチ」による属する問いかけもあるということです。
なかなかこの「ポジティブアプローチ」による問いかけが、盲点になっている傾向にあることを認識しましょう。

ベストなマネジメントはこの両方の問いかけを、目的である問題・課題の内容によって使いこなすことなのです

適切な“WHY”を発信していく為に、意識したいポイント3点

さて、ここまでで「なぜ」の問いかけには、不適切な使い方、より適切な方法、そして、問いかけ方にもポジティブアプローチとギャップアプローチに属する2つの方法があることを認識できました。

では続いて、これらの方法をより実践的に使っていくためのコツを紹介します。
自分の発言だけではなく、日々の会議での誰かの発言などでも訓練ができますので、ぜひ意識してみて下さい。

「なぜ」を人に向けるのではなく、背景・環境に向けていく

何か問題が発生して、ギャップアプローチに原因追及をする場合、絶対に「人」に対して原因追及=「なぜ」という問いを向けてはいけません。これは常に意識してもらいたいギャップアプローチのルールです。

仕事は常に人と人とが作り上げるものです。「あの人がー」と、すぐに人のせいにしてしまったり、「自分がもっとしっかりしていればー」と自分を責めてしまったりすることがありますが、これらは注意すべき思考の落とし穴です。

最初に紹介した上司と部下の事例でも説明した通り、「人」に原因追及をするというのは、結局はヒューマンエラーという限界に行きつきます。問題解決全体においての効果・効率という面からは有効なアプローチではなく、多くは応急処置にしかなりません。

何か問題が発生してそれを解決しようとした時には、「人に向いてしまいがちな原因追及」を「人以外の環境やシステムといった要素」へ向けていく、という意識でアプローチをしていくのが鉄則です。

「WHY?」を過去だけでなく、未来に向けても発信していく

2つの目のポイントは、ポジティブアプローチにおける問いの活用です。

実は、いままでの「なぜ」という問いかけは、基本的には「過去」に思考が向いていく問いかけです。
想像してみて下さい。「なぜ」と言われると、それの答えを求めるために、我々は過去の経緯、情報、記憶にアクセスするでしょう。

これに対して「未来」に思考を向けていくための問いが、ポジティブアプローチに属する「どうする」という問いかけです。

ポジティブアプローチは「ありたい姿」を目指したシナリオ思考のため、正確な分析よりも「これから何をするか」という、具体的なアイデアをセットにした思考が求められます

正確には「どうする」→「なぜ」という順序で問いをする。ということによって、同じ「なぜ」でも、その「なぜ」は未来に向けた思考を促します。

過去と未来のどちらに思考を向けるか、向けさせるかー、という観点から問いの使い分けを意識してみてください。

「WHY?」を一緒に考えていき、「集合知」を育む

有効な問いかけは、スピーディな問題解決や、有効な課題達成を導きます。その一番の要因は、そこに関わる人の能力や知恵を引き出すことによって、多くの人の「集合知」を生み、「組織の力」を発揮させるからです。

誰かの力が必要になったとき、協力をしてもらいたいとき、相互でコミュニケーションが生まれます。会社であればそれが打ち合わせであったり、会議という場であったり、グループやプロジェクト・チームになります。

的確な問いかけが、部下の力、ひいては組織の潜在力を引き上げます。また、会議の場での問いの1つ1つや、より決定権を持つポジションであれば、そのたった1回の問いかけですら、方向性や結果を決めてしまうほどの威力があります。

組織である以上、「知恵を生むための問い」を発信するのはマネージャの仕事であり、求められるマネジメント・スキルの1つといっても過言でありません。

優秀なビジネスマンは“WHY”の問いかけが上手い(事例)

優秀なマネージャは、このポジティブアプローチとギャップアプローチの使い分けに長けている人ともいえます。最終的に「問題を解決する」というゴールは同じですが、どの道筋をたどるかー、という判断において、的確な問いかけが求められます。

私も国内外の仕事を通して、多くの上司の下で仕事をしてきました。
今回、その中でも「問いかけ」という点でとても見習うことが多かった上司を紹介します。

秀逸なWHY探求を行っているAさんの事例

海外工場のある大型の新製品生産のプロジェクトにて、もうすぐその試験生産をするという直前で、工場で製造していた原料が、新製品が要求する原料の規格を満たしていないということが発覚しました。

当時は、技術・工場サイドの事前不足という見解のなか、この一報をその上司に報告した際、彼は冷静に2つの指示を出しました。

1つは工場の設備メンバーへ「起こったことは気にしなくていいので、どうすれば計画に間に合うか、お金は問わないから案を出してほしい」という指示。次に、私には「なぜ、今回の件が発生したのか、なぜ今わかったのか、あらゆる角度から情報をまとめてほしい」という指示を出しました。

ポジティブアプローチとギャップアプローチを適切であろう各担当部署へ振り分けたのです。

結果的に、部下である我々は「確認不足の責任」ではなく、1つのタスクとして指示を受けることができ、余計なことを気にせずに、各任務に取り組めたのです。

また、彼の狙いはギャップアプローチによって、他にも類似のトラブルが発生する可能性がないかを確認することにありました。
つまり、本件の確認不足を人や部署ではなく、社内のシステムに対して「なぜ」をぶつけたのです。

結果的に、類似の可能性がみつかったことで、この失敗を社内全体へ発信し将来のトラブルの未然防止へ繋げることに成功しました。

このように「問いかけ」の使い分け、向ける相手が非常に的確で、とある役員に「この人は絶対敵に回したらダメ」と言わせるほど、社内にたくさんの協力者・理解者を持つ上司としても有名だったのは納得の評価です。

まずは明日の会議から!毎日が実践のチャンス

課題や問題にぶつかったとき、提案をまとめるとき、例えそれが自問自答する場面でも「問いかけ」というのは非常に有効なツールだと日々実感します。

特にマネージャーの方には、必須のスキルともいえますが、一朝一夕でできるものでもありません。どうしても日々の意識と訓練の場が必要です。

打ち合わせや会議、突然のトラブル、面談など、もう明日からすぐ実践の場面があると思いますので、ぜひ、ここで紹介した内容を整理して、どんどん実践してみてください。

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この記事を書いた人

清水みちよ

大学時代から好きだった「旅行」を仕事にするため、卒業後は大手旅行会社の添乗員として世界中を飛び回る。海外での感染症で生死を彷徨い、何よりも自分の身の大切さを知る。その後別の旅行会社の内勤業務に携わり、現在に至る。

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