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なぜ部下は、あなたに「率直」に意見を言わないのか?

[最終更新日]2018/11/13

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部下との年齢差が広がるにしたがって、対話のなかで相手の反応がないと不満に思う管理職は少なくないのではないでしょうか。

自分では部下の立場にたって話をしているつもりでも、部下から率直な意見を聞けていないとしたら、何か問題があるのかもしれません。

そこで今回は、なぜ部下が管理職に率直な意見を言わないのかについて、一緒に考えてみたいと思います。

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目次

「率直」に意見を言わない部下──その理由で最も多いのは、上司への「諦め」

2016年9月に株式会社コーチ・エィ、コーチング研究所LLPは、「率直な意見に関するアンケート調査」を行いました。

そのなかにある「あなたが上司へ率直に意見を言わない場合の主な理由は何ですか」という設問に対する回答が、下の円グラフになります。

参考:Hello, Coaching!.html 「上司に率直に意見を言わない理由」第1位は 「伝えても何も変わらないから」

最も多い理由は、「伝えても、何も変わらないから」でした。

具体的なコメントを見てみると、「自分が意見を言う前から決めてかかった言い方をする」「過去に自分の考えを伝えた時に聞こうとする姿勢が見られなかった」「上司自身の世界ができあがっていて、それ以外は否定されるか無視される」などがあげられます。

部下が上司に対して諦めている状態で、前向きな対話をするのは不可能です。

部下の立場にたつと、管理職とは違う意見があることを、まずは率直に認める必要がありそうです。

様々な理由はあるものの、原因を「人的要因」にするよりは「環境要因」として見たほうが建設的

管理職とその部下が率直に対話できないことには、いろいろな理由があるはずです。

管理職から見れば「率直に言わない部下が悪い」と感じますし、部下からすれば「上司が話しやすい雰囲気をつくってくれない」「リーダーシップに欠ける」と思うこともあるでしょう。

こうした個人的な見解にたって話を進めようとすると、言った言わないの水かけ論に発展し、溝が深まるケースが多いのです。

ですが、そのままの状態を続けても、問題は何も解決しません。

そう考えると、まず管理職が視点を変えてみるのがおすすめです。

「部下に話をするタイミングが悪かったのではないか」「部下の言葉を待たずに、自分が話し続けたから、言いたいことが言えなかったのかもしれない」と、部下本人の性格や資質ではなく、話をしようとした環境に要因があると受け止めることで、感情的にならずに対応しやすくなるはずです。

まずは自分の気持ちを伝えることより、相手の話を聞くことを心掛けて、対話してみてはいかがでしょうか。

「部下が率直に意見を言わない」背景にあるのは、「関係の質」と「心理的安全」

部下が管理職に率直に意見を言わない一番の理由は、本音を話さない方が楽だと感じているからでしょう。

本音を伝えることで、相手を怒らせたり悲しませるよりも、意見を言わないことを選択しているのです。

ですが、本音を言わずに我慢するストレスを感じたり、考えを共有できずに物事がスムーズに進まないなど、弊害が生まれるケースが少なくありません。

そう考えると、管理職と部下が率直に対話できない背景について知り、対処することが大切です。

考えられる主な背景は、以下の2つです。

  • 関係の質
  • 心理的安全

それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

「関係の質」は、思考の質、行動の質、結果の質へと繋がり、循環する

みなさんは、「組織の成功循環モデル」を知っていますか?

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している理論で、成果を上げ続けて成功に向かう、組織の過程やしくみを明らかにしています

組織が成功あるいは成果という「結果の質」をあげるためには、まず組織の「関係の質」を高めることだと説いているのです。

この組織の成功循環モデルには、「バッドサイクル」と「グッドサイクル」の2種類があります。

バッドサイクルは、成果があがらないという「結果の質」➡対立が生じて責任を押し付け合ったり、命令や指示が増える「関係の質」➡言われることを聞くだけで、自ら考えようとしない「思考の質」➡自発的・積極的に行動しようとしない「行動の質」➡さらに業績が下がる「結果の質」という、スパイラルに陥ります。

それがグッドサイクルになると、お互いを尊重し合い結果を認めて一緒に考える「関係の質」➡それぞれの気づきが共有され、当事者意識が持てる「思考の質」➡誰もが自発的・積極的に挑戦し行動する「行動の質」➡成果があがる「結果の質」➡信頼関係が高まる「関係の質」という、プラスのスパイラルが続くのです。

この関係の質を高めるためには、

  • 同じ組織のメンバーについて、お互いに知り合う努力をして共感する
  • 未来に向けて大切にしたい価値観を共有する
  • 現時点で組織を誇りに思うこと、残念に思うことを共有する
  • 組織の理想の状態を具体的に表現する
  • 理想の組織に近づくために、どんなアクションをするかを決める

など、これまでとは違うコミュニケーションをはかることが重要です。

「心理的安全」を提供することにより、部下は率直性、かつ自発性が高まる

そして、管理職が心がけてほしいことの一つに、組織に心理的安全性をサポートするしくみを導入することがあります。

心理的安全性とは、ビジネスと関わりの深い心理学用語です。

組織のメンバーが自分の言動が他者に与える影響を意識しすぎることなく、自分の考えを気兼ねなく発言したり、自分をさらけ出せる場の状態や雰囲気ことをいいます。

2012年から2016年にかけて、アメリカのGoogle社が労働改革プロジェクトとして取り組み、チーム内に心理的安全性があることが生産性向上のカギであると発表したことで、注目を集めました。

ハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンソン教授は、「TED」というスピーチフォーラムで、心理的安全性が不足することで4つの不安が生まれると話しました。

その4つとは、「無知だと思われる不安」「無能だと思われる不安」「邪魔をしていると思われる不安」「ネガティブだと思われる不安」です。

この4つの不安は、

  • メンバーが助け合うことで道が拓けると、正しく理解してもらう
  • メンバー全員の認識と発言力をそろえることで、フェアな関係を築く
  • メンバー全員に発言する機会を均等に与えることで、社会的感受性を高める

ことを意識すれば、解消されるはずです。

心理的安全性が確保された組織では、部下が率直に意見を言うようになり、仕事に対する自発性も高まっていきます。

風通しのよい職場になれば、管理職は部下のサポートに徹するだけでよくなり、成果を上げ続ける組織づくりが実現できることでしょう。

率直さを出し合える組織は、成長もしやすい。その人の「全体性」が発揮できる組織に

率直さに向き合ったチーム・組織の事例 ピンチをチャンスに変えた思い出

30年前、私は情報誌を発行する会社に入社し、高校生向けの進学情報誌の制作チームに配属されました。

100名を超える支社の平均年齢がわずか27歳で、バブル期ということもあり勢いのある会社でしたが、上層部の不祥事により、世間のバッシングを受けました。

高等教育機関の情報を高校に無料配布していた所属部署は次々と掲載キャンセルの連絡を受け、支社のなかでも最も損害が大きかったかもしれません。

新入社員だった私はその状況を的確に理解したとはいえませんでしたが、当時の上司や先輩たちが「お金にならなくても、高校生にとって役立つ情報誌をつくろう」といい、過去のアンケートや高校の先生のヒアリングに基づき、読んでもらえる編集記事づくりに特化したメディアの制作を始めました。

モデルが必要な撮影があれば、社員に協力してもらい、衣装も自前で用意するなどしながら、キャリアや年齢に関係なく、アイデアを持ち寄り、原価率80%の本を作り上げたのです。

その過程で、1社でも多く広告を掲載したい営業と、効果のある広告をつくりたい制作と、高校が求める情報を過不足なく載せてほしい渉外とが、喧々諤々の議論を行うことが何度もあり、ケンカになるのではとハラハラしたこともありました。

ですが、渉外部隊が配本後に、高校の先生や生徒に「よい本だ」と言ってもらったと報告を受けた時に、それまでの大変さがすべて報われたと感じました。

この経験があるから、いまでも困難があってもひるむことなく、楽しんで仕事ができているのだと思います。

当時のメンバーはそれぞれの道に進んでいますが、今でも時折集まる関係が続いています。

思い切って自分自身のすべてを職場に持ち込むことで、人は活躍し、組織も成長する

いまマネジメント分野で注目を集めているのが、「ティール組織」という本です。

日本企業の多くは、「達成型組織」というマネジメント方法を採用しています。

これは、仕事で成果を出さないと会社が存続できないという、怖れによるマネジメント方法です。

社員は売り上げや利益を確保することに追い立てられながら、組織図に基づいた上下関係のなかで仕事をすることになります。

個人が切磋琢磨しながら仕事の成果をあげるために必要な能力を伸ばす努力をし、それを評価して査定するという達成型の組織で働き続けると、社内で必要とされる人格だけを周囲に見せ、それ以外の自分を隠すようになります。

会社で磨かれる自分の顔は、ありのままの自分とは異なるものです。

ありのままの自分が持っている可能性や情熱、創造性などが発揮できず、仮面をつけた自分でいることに疲弊する社員が増えるから、職場に生気が感じられなくなるのです。

一方のティール組織は、個人が会社にいる存在目的を重視します。
その前提として、会社が社会でどんな役割を担うために存在しているかを、明確にしておく必要があります。
企業が掲げる存在目的に対し、社員がどう貢献するかを重視して、マネジメントするのです。

参考:未来を変えるプロジェクト by パーソルキャリア 10分で分かる、いま話題の未来組織「ティール組織」

すると、会社あるいは組織の存在目的と、個人が自分で持っている使命が重なった時に、大きな成長を遂げます。

ティール組織をつくるためには、職場の心理的安全性を高めなければなりません。

ですが、職場でありのままの自分をさらけ出しながら、組織の存在目的をかなえる仕事をすることで個人が成長すれば、その会社も飛躍するきっかけをつかめるのです。

これこそが、組織の成功循環モデルのグッドサイクルを回すことにつながります。

管理職が部下への接し方を変えてみよう

今回は、なぜ部下が管理職に率直な意見を言わないのかについて、お話ししました。

この記事をまとめると

  • 上司に率直に意見を述べても聞いてもらえないと感じている部下が多い
  • 成果のあがる組織をつくるためには、メンバー間の関係の質を高めることが大事
  • 社員がありのままの自分をさらけ出せる職場は、組織として成長する

ことがあげられます。

組織をグッドサイクルで回すためには、まず管理職である自分が部下に歩み寄り、ものを言いやすい環境を整えることが大切です。

この記事が率直に意見を言える組織づくりの参考になれば、とてもうれしいです。

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この記事を書いた人

栗花落

プロデューサー・ライター。情報誌の編集を皮切りにライター・ディレクターを経て、現在はプロデューサーとして、主に教育関連の広報・PRを手掛ける、4人の子どもを持つシングルマザー。勤務先で初めて産休・育休を取得したり、育児中は定時で帰るために毎朝4時起きして自宅で仕事をするなどしながら仕事を続ける。26歳で初めて管理職につき、編集兼営業としてプレイングマネージャーなども経験。うつ病の部下の職場復帰させた実績もある。

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