管理職・マネージャーとは、そもそもどんなもの?管理職の定義、概念とは

[最終更新日]2023/11/06

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管理職・マネージャーになった際に、

「そもそも管理職、マネージャーって何をするの?」

と疑問に思った方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか(もしくは長年管理職をやっている方でも、ふとそのような疑問を感じることがあるかもしれません)。

そもそも「管理職」と一言でいっても、その形態や働き方は様々です。
一概に「管理職・マネージャーの役割とはこういうものだ」という風に言い切るのは、現代社会においてはとても難しいことなのかもしれません。

ですが、だからといって「管理職、マネージャーの主な役割」について全く答えられないままでいるのも考えものです。特に、現管理職・マネージャーの方や、これからなる予定の方からすれば尚更でしょう。

そこで今回は、「管理職・マネージャーの役割」とその「考え方」について、詳しくお伝えしていきたいと思います。是非ご覧ください!

Index

目次

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管理職・マネージャーの実際の「業務」

「管理職・マネージャーの一般的な業務内容」として主なものは、以下の7つが挙げられます。
※ 組織・部署によっては以下のように区分しにくい場合や該当しない箇所が出ることもありますので、ご了承ください

新規 article タグの内容がここに入ります

「なんだかたくさんあるな…」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、逆を言えば、これらの部分の概要を押さえておけば、管理職・マネージャー業務の全体像も把握しやすくなることでしょう。

以下、各項目を順を追って見ていきましょう。

 

1.部(チーム)における業務遂行

管理職・マネージャーは自身が所属する部(チーム)が担う業務の遂行状況全般を管理・運営する義務を担います。

業務は「計画」─「遂行」─「振り返り(改善)」という一連のサイクルをたどり、行っていきます。

多くの組織においては、マネージャーは事業部の年間計画を行い、都度振り返り(改善)を行いながら、業務品質を維持・向上していきます。

そのほか、新規事業、新企画サービスの立案・進行の責任者として業務を担うケースもあるでしょう。

管理職・マネージャーはそれら業務に対して職務権限を持ち、また権限に基づく意思決定や決裁を求められます。

 

2.職務権限に基づく意思決定・決裁

マネージャーは職務権限を持ち、それら権限に基づく意思決定や決裁を求められます。

権限の範囲は組織や部(チーム)によって異なりますが、例えば以下のようなものがあります。

  • 部(チーム)の事業計画および予算の決定
  • メンバーの業務内容の決定および承認
  • 部(チーム)内における会議の意思決定または方針決定
  • メンバーの勤怠(有給やシフト給、残業申請等)に関する承認および決裁
  • 部(チーム)内で発生する契約・外部注文等の承認または決裁

※ 上記項目にて、最終決裁を本部長および役員が担われるケースも多くあります。

 

3.情報の伝達と共有

部(チーム)が円滑に業務遂行を行えるために必要な情報を入手、伝達、共有していくことも管理職・マネージャーの役割のひとつです。
管理職・マネージャーが担う情報としては、例として以下のようなものがあります。

  • 経営トップのメッセージ(ビジョン・ミッション等)を理解・咀嚼し、現場に浸透
  • 社内外の情報収集および周辺状況の分析
  • 必要な情報の経営トップへの伝達
  • メンバーの育成・評価自らの部(チーム)が目指すべき方向性の明示
  • 社内の関係部署やグループ企業との折衝、および情報共有

 

4.メンバーの育成・評価

部(チーム)内のメンバーの育成や評価を担うことも、管理職・マネージャーの重要な役割です(育成・評価業務を一部またはすべて人事部に任せる組織のケースもあります)。

育成・評価業務では、部下一人ひとりに当人たちの特性や性格、長所・短所を踏まえた、指導・育成・評価を行っていき、ときに役割や配置の調整を行いながら、部(チーム)全体の業務品質を向上・安定させていくことが求められます。

 

5.チームビルディング

部(チーム)が円滑に機能していくうえでのチームビルディング、モチベーション管理も管理職・マネージャーの重要な役割です。

そもそも、人が集団としてチームとして活動していくためには、以下の3つの要素が必要不可欠です。

  • 共通の目的・目標が掲げられていること
  • メンバーがその目的・目標に向けて、貢献しよう(働きかけよう)という意識があること(モチベーション
  • チーム内で円滑なコミュニケーションが行われていること

それら三点を活性していく働きかけもまた、管理職・マネージャーに求められることが常でしょう。

 

6.労務管理・健康管理

労務管理の「労務」とは、労働のために必要となる知力・体力を指しますが、それら労働に関わる事務作業に対して「労務」と表現されることもあります。

そして、部(チーム)内のメンバーが業務に集中できる環境を目指すうえでの、労務管理・健康管理も管理職マネージャーが担います(人事部や労務部に役割を一部委任(または全任)する組織のケースもあります)。

主な業務内容としては、以下が挙げられます。

  • メンバーの労働時間や勤務時間の管理
  • メンバーの配置、移動の決定と管理
  • 給与・福利厚生についての業務(人事部のフォロー的なアクションとして行われることが多い)
  • 安全衛生管理
  • 社員のライフイベントに沿って生じる必要な諸手続きの管理

 

7.コンプライアンス管理

部(チーム)のコンプライアンス(法令やルールを順守すること)管理もまた、管理職・マネージャーの重要な役割のひとつです(総務部、労務部、人事部がこれら役割を担う組織のケースもあります)

具体的には、以下のような業務が挙げられます。※一部「労務管理業務」と重複します。

  • 個人情報の適切な管理
  • 内部統制や機密情報の漏えい対策
  • 業務に関わる法律や実務上の留意点の理解促進、および法制度改正などを見据えた事前準備
  • 適切な労働時間管理
  • 労働関連法規の遵守

◇ ◇ ◇

──ここまでが、管理職・マネージャーの「主な業務」と言われる項目です。
一般職と比べ、非常に業務範囲が多岐に渡っていることがよくわかりますね。

更には、近年においてはいわゆる「プレイングマネージャー」と呼ばれるような、管理職業務と現場業務を並行して担う管理職・マネージャーも多くなってきています。

このような、煩雑ともいえるほど多種多様な業務を担う管理職・マネージャーは、そのうちどれだけの割合の人々が「充分にその職務をこなしている」と感じられているのでしょうか。

また、管理職業務、マネジメント業務を行っていく際にどのような課題があるのでしょうか。

続いては、それら管理職・マネージャーが抱える課題・問題について見ていきましょう。

管理職・マネージャーが抱える「課題」

前章では、管理職・マネージャーの一般的な業務内容を紹介しました

ここからは、それら業務を担う管理職・マネージャーの多くが抱えている「課題」「問題」について見ていきたいと思います。

管理職がマネジメント行動を執れていないと思う割合(管理職と一般職員の回答比較)

参考:内閣官房内閣人事局「管理職のマネジメント能力に関するアンケート調査 結果概要」(平成29年1月)

グラフをみてはじめに気づくのが、管理職が自身で「マネジメント行動を執れていない」と思う割合(赤線)よりも、周囲の一般職員が管理職に対して思う割合(青線)のほうが高い、ということです。

つまり、マネジメント行動に対する評価は、管理職・マネージャーによる自己評価よりも、周囲の他者評価のほうが厳しい、ということですね。
自分では「できている」と思っていても、周囲からは「できていない」と思われることも少なくないのでしょう。

そして、実際にマネジメント行動を執れていないと評価される項目として多いのは、「部下のキャリア形成や人材育成に対する支援」がトップで多く、次いで「コスト意識を重視した業務運営や改善・改革」そして、「適切かつ柔軟な業務分担」です。

これら結果からして、現代の管理職・マネージャーが持つ課題としては、以下の3点としてまとめていくこともできるのではないでしょうか。

  • 期待されるレベルまでの部下育成が遂行できていない
  • 変革に向けての行動・チャレンジの機会が乏しい
  • 管理職業務と現場業務を並行する「プレイングマネージャー」状態で業務過多に陥りやすい

キーワードで拾っていくと、「育成」、「変革への行動」、そして「業務過多」

どれかひとつならまだしも、3つの課題がすべて顕在されている状態では、なかなか解決に向けて進んでいくのは骨が折れそうです。
かつ、これら課題をひとつひとつ対応していくというのも、効率的とは言いにくいのかもしれません。

では、管理職・マネージャーは、これら課題と対峙しながらも、何を大切にして(優先して)業務を進めていくと良いのでしょうか

管理職・マネージャーは、「部下の成功と成長を、誰よりも願う」存在になること

「多くの業務、課題を抱えながらも、管理職・マネージャーはまず何を優先していくと良いか」という問いに対して、管理職・マネージャーはまず「部下の育成」を意識すべきでしょう。
──単に、「部下育成を遂行する」のではなく、意識の上でも部下の成功と成長を願いながら、接し指導することが大切です。

なぜ「部下育成」を優先すべきかというと、以下の理由があるからです。

  • 管理職・マネージャーは自組織の成果、成長を適えることが大きな存在目的であるが、直接的にそれらを担うのは(通常)部下である為
  • 管理職・マネージャーと部下との信頼関係が培われると、その部(チーム)のパフォーマンスは向上されやすくなるため
  • 成功している多くの管理職・マネージャーは、自身のやりがい・働き甲斐の一番に「部下の成長」をかかげているため

一点目については、もしかしたら現在プレイングマネージャーとして従事されている管理職・マネージャーの方から「自分たち管理職も、組織の成果・成長を直接担っている」といった反論もあるかもしれません。

たしかにそういった事実・状況があることは認めます。──が、果たしてその状況はいつまで続くことになるでしょうか。いずれは部下が実務を担うことになるでしょうし、それら権限や責任を委譲していくことも管理職・マネージャーの重要な責務のひとつです。

また、二点目の「部下と管理職・マネージャーとの信頼関係がパフォーマンスにも作用する」ということは、多くの方々の経験・体験や周囲の事例からも知りうるところでしょう。

そして、三点目の「管理職・マネージャーのやりがい・働き甲斐」について。
そもそもやりがいや働き甲斐はその人その人の価値観や個性によって変わりますので、すべての管理職・マネージャーに当てはまることはないでしょうが、それでも非常に多くの管理職・マネージャーの方々が「部下の成長」に仕事の充実度を感じている点は、意識しておくべきであるように思われます。

現在、管理職・マネージャーの立場にあって、「思うようなパフォーマンスが出ない」、「周囲からの期待に応えられていない」とお悩みの方は、まずこれらの部下育成(部下の成果、成長を一番に願い、接し行動していくこと)を意識されることをお薦めします。

管理職・マネージャーの大目的は、「組織」と「人」を繋げること

ここまで、管理職・マネージャーの「業務内容」、そして「課題」と「意識するポイント」についてお話してきました。

お読みになられて、「結局、管理職・マネージャーの一番の目的ってなんだろう?」と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

管理職・マネージャーの大目的──それは、「組織と人を繋げる」ことにあるでしょう。

管理職・マネージャーの大目的:
「組織と人を繋げていくこと」

「繋ぐ」という表現は、もちろん物理的につなげるという意味ではなく、抽象的な表現です。

管理職・マネージャーといったポジション、役割は、1章の「管理職・マネージャーの業務」でお伝えしたように、「組織」の観点に沿った意識、行動が求められるようになります。
そして、管理職が最も意識すべきポイントは、3章でお話ししたように「部下(人)の成功と成長を願い、その為の意識・行動を取ること」です。

これらの動きは、まさに「組織と人を繋げていくこと」と表現することができるのではないでしょうか。

管理職・マネージャーとしての働きかけを、活性していく為に

ここまでお読みになられて、「では、管理職・マネージャーはどうやって組織と人を繋げていけば良いんだ」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

その解には、残念ながら「これだ」という単独解はありません。なぜなら、それぞれの組織やチーム、または環境や状態によっても、「組織と人の繋げ方」は変わってくるからです。

ですが、それを考えること自体が、まさに「管理職・マネージャーの働きかけ」の第一歩と言えるのではないでしょうか。

管理職・マネージャーの「働きかけ」として意識すべきことは、「組織とそこに属する人がいまどんな状態で、どんな想いでいるのか」を感じ取り、そしてその組織に関わる人たち全ての未来を「より良いもの」にしていけるために、「自分たちはどんな行動をとっていくと良いのか」を描き続けることです。

もちろんそれは簡単なことではありませんが、決して「能力のある人しかできないもの」ではありません。
誰もが、それを本当に願う想いがあれば、取り組めるものです。

更に言うなれば、それら取り組みは、とても「クリエイティブ(創造的)」なものとなっていくことでしょう。

管理職・マネージャーの働き方として、そんなイメージが強まっていければ、より充実した働きかけにもつなげていけるのではないでしょうか。

 

本記事が、管理職・マネージャーの方々の日々の業務の遂行に向けて、少しでも参考になることを、心より願っております。

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