明日から実践できる!「風通しの良い職場づくり」について

[最終更新日]2020/12/08

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「風通しの良い職場」について

働きやすい環境を表す言葉として「風通しの良い職場」という表現があります。

しばしば「働きやすさ」や「職場環境の良さ」と同じような意味で使われている言葉ですが、そもそも風通しが良いとはどういうことなのか、改めて考えてみると説明するのは簡単ではない言葉でもあります。

また、風通しの良い職場にしたいと頭では考えていても、実際に何をすればいいのか具体策が立てにくい概念とも言えるでしょう。

今回は、風通しの良い職場について深掘りしていきます。どうすれば風通しの良い環境を効果的に作ることができるのか、具体的な施策や企業の事例についても紹介しています。

職場の風通しの良さについて課題を感じている方、今以上に風通しの良い職場にしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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Index

目次

そもそも「風通しの良い職場」ってどんな職場?

はじめに、「風通しの良い職場」とはそもそもどんな職場のことを指すのか考えていきます。

「風通しが良い」という言葉は、それ自体が良いニュアンスを含んだ言葉であるため、どことなく「働きやすい」「ストレスが少ない」といったポジティブな意味合いに捉えられがちです。

では、風通しの良い職場には具体的にどのような特徴があるのでしょうか。また、職場の風通しが良くなることによってどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。




「風通しの良い職場」に見られる特徴

「風通し」という言葉の意味は、辞書では次のように解説されています。

《風通し》1.風が吹き抜けること。また、そのぐあい2.組織内部での意思や情報の通るぐあい(デジタル大辞林より)

《風通し》
1.風が吹き抜けること。また、そのぐあい。
2.組織内部での意思や情報の通るぐあい。
(デジタル大辞林より)

「風通しの良い職場」と言う場合、2の意味で使われていることが分かります。組織内において意思や情報が通りやすい職場には、主に次の特徴があります。

風通しの良い職場に見られる主な特徴

  • 社員同士のコミュニケーションがスムーズ
  • 意見を言いやすい
  • 上下関係がフラット
  • 人間関係のストレスが少ない
  • 厳格なルールがなくても問題が起こりにくい

意思疎通のためにかかる時間や負荷は「コミュニケーションコスト」と呼ばれます。

風通しの良い職場とは、端的に言えばコミュニケーションコストを抑えることに成功しており、意思疎通の効率が良い環境が構築できている職場と考えられます。




「風通しの良い職場」によってもたらされるメリット

仕事のモチベーション・パフォーマンスアップに繋がる社員の定着率向上と離職率の低下会社の業績アップに繋がる

職場の風通しの良し悪しで言えば、風通しが良いほうが望ましいのは言うまでもありません。
では、風通しの良い職場になることでどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。

仕事のモチベーション・パフォーマンスアップにつながる

仕事は問題解決の連続です。事の大小はさまざまですが、目の前の課題をどのように解決するかが重要である点は共通しています。

風通しの良い職場はコミュニケーションが活発であるため、困っていることがあればすぐに相談しやすく、解決するまでの時間的・精神的負担を最小限に抑えることができます。
結果的に問題解決の精度が高くなり、社員は仕事に対する充実感や達成感を得やすくなります。

これにより仕事のモチベーションが高く保ちやすい状況が生まれ、次の問題解決に向かう意欲も湧きやすくなるため、パフォーマンス全体を向上させることにもつながります。

人は成果の出ないことを続けていたり、自分が貢献できていないと感じたりするとモチベーションが下がっていきます。
風通しの良い職場は結果的に社員のモチベーション向上やパフォーマンスアップに寄与しているのです。



社員の定着率向上と離職率の低下

風通しの良い職場では意見を言いやすく、社員が不満を抱えにくい特徴があります。
日々、不満を抱え続けている社員はいずれ職場を見放して転職を考えるようになることが考えられますが、抱えている悩みや不満を周囲に相談しやすい環境になっていれば解消される確率も高くなります。

社員が抱える悩みや不満は、実はちょっとした誤解や情報不足によって生じているケースが少なくありません。

思い込みがさらなる誤解を呼び寄せ、本来ならば取るに足らない不満が雪だるま式に大きくなっていくことは十分にあり得ます。

コミュニケーションが活性化している職場や上下関係がフラットな職場では不満を早い段階で解消しやすいため、結果的に社員の定着率が向上し、離職率を低下させることができるのです。



会社の業績アップにつながる

社員間のコミュニケーションに問題を抱えている職場では、社員同士が本音で話せない状況になっていることもめずらしくありません。

抱えている問題意識や不満を口にしにくい雰囲気になってしまうと、各々が本音を言わなくなり、職場全体の空気が悪くなってしまうことがあります。

こうなると社員は仕事そのものに集中できなくなり、手近な社員の品評やうわさ話に目を向けるようになってしまいます。このような状態は仕事の質を低下させ、業務効率を悪化させる原因にもなります。

風通しの良い職場はコミュニケーションコストが低く抑えられているため、日常のちょっとした意思疎通への負担感が軽くなります。そのため、本来の仕事に集中しやすくなり、会社全体の業績アップにつながっていくのです。

「風通しの良い職場」にするために管理職ができる5つの取り組み

職場の風通しは、しばしば「社風」や「企業文化」と結びつけられる傾向があります。
組織の風通しが良くないと感じていても、「以前からそういう雰囲気の職場なので」と片付けられてしまう面があるのは否めません。

また、職場の風通しは属人的な現象として語られることも少なくありません。とくに企業のトップや役員、管理職といった特定の人物の性格的な傾向によって形成されたものと捉えられやすいのです。

しかし、風通しの良い職場にするために管理職ができることは数多くあります。
1つ1つは地道な施策に見えるかもしれませんが、こうした地道な取り組みの積み重ねが職場の風通しを改善することに寄与します。

具体的には、管理職による次のような取り組みが職場の風通しを大きく左右します。

「1 on 1ミーティング」を定期的に実施する社内イベントの企画企業理念・目標の共有チャットやフリーアドレス制度の導入業務スペース以外に「休憩場所」を設ける
  • 「1 on 1ミーティング」を定期的に実施する
  • 社内イベントの企画
  • 企業理念・目標の共有
  • チャットやフリーアドレス制度の導入
  • 業務スペース以外に「休憩場所」を設ける



「1 on 1ミーティング」を定期的に実施する

1対1で顔を合わせて話す機会を設けることを1 on 1ミーティングと言います。
風通しの良い職場にすると聞くと、部署全体・社内全体の雰囲気を改善させることに目が向きがちですが、実は1人1人の社員とのコミュニケーションを円滑にするという初歩的な改善策が大きな効果を生むことが少なくありません。

人はコミュニケーションの生きものですので、話をする機会が単純に多いか少ないかによって相手に対する印象や捉え方が大きく変わります。
挨拶程度しかしたことのない上司のことは「怖そう」「何を考えているのか分からない」と部下は捉えがちなのです。

一方、定期的に話す機会がある上司の場合、上司と部下の間でお互いの人柄や考え方の傾向、性格への理解が促されます。1 on 1ミーティングは上司と部下の信頼関係を築く上でも重要な役割を果たす施策と言えます。




社内イベントの企画

仕事中に見せている表情とオフのときの表情が異なるのは、誰しも同じです。
仕事中は緊張感を持って厳しい顔を見せている上司でも、職場を離れてリラックスした状態で会話をしたら話しやすかった、といった体験をすることは、部下にとって安心感を覚えるものです。

仕事中にこのような機会を頻繁に設けるのは難しい場合もあるため、社内イベントを企画することで仕事以外のコミュニケーションの機会を設けるのも良い方法です。

社内イベントとして多くの人が思い浮かべるのは食事会や飲み会ですが、酒席を設けることばかりにこだわる必要はありません。
スポーツやレクレーション、同好会といった活動を通じて、仕事を離れた場でのコミュニケーションを図ることもできるのです。




企業理念・目標の共有

人と人とが円滑にコミュニケーションを図る上で、共通認識共通言語が大きな役割を果たすことがあります。
同じ思いを共有できていると実感している相手に対しては親近感や信頼感が湧きやすいだけでなく、良好な関係を築くことによって自分自身のためにもなると実感できるからです。

企業においては、企業理念や目標を言語化したキャッチコピーといった形で共通言語を共有することができます。
また、チームや部署が一丸となって取り組むべき目標を再確認することによって、同じ目標に向かって進んでいく仲間であるという認識が強化されます。

このように、お互いに対する信頼感や仲間としての意識を持つことによって、必然的に社内のコミュニケーションが円滑になり、風通しが良くなっていくことは十分にあり得ます。




チャットやフリーアドレス制度の導入

社内のコミュニケーションが停滞する原因の1つとして、物理的な「距離」も看過できない重要な点です。
社員が固定化されたデスクに座って仕事をしていると、どうしても席が近い人との間でコミュニケーションの機会が増え、「よく話す人」と「ほとんど話さない人」といった偏りが生じやすくなります。

近年、オフィス内での座席を固定化しないフリーアドレス制度を導入する企業が増えています。
社員は各自のノートPCを持って自由に移動できるため、毎日同じ席で仕事をする必要がないのが特徴です。フリーアドレス制度によって携わる仕事の特性や話す必要のある相手に合わせて席を決めやすくなります。

また、離れた相手とも気軽にコミュニケーションが図れるチャットツールを導入するのも有益な方法です。
ちょっとした打ち合わせや相談事であればチャットで完結できることも多く、コミュニケーションコストを下げることができるからです。




業務スペース以外に「休憩場所」を設ける

社内にランチのためのスペースや喫煙室を設置している職場もあるはずですが、こうしたスペースは利用する人が限られてしまい、コミュニケーションに偏りを生む原因になっている場合があります。

ちょっとした息抜きの時間に社員同士が歓談できる休憩スペースを設けることで、すべての社員がコミュニケーションの機会を持ちやすくなります。

休憩場所はあらゆる人が利用できるのが前提になっていることが重要です。一例として、次のような工夫を加えると、「ここは休憩・歓談してよいスペース」といった意識が浸透しやすくなります。

休憩スペースの工夫

  • フリードリンクを用意する
  • 椅子だけでなくソファやクッションも置く
  • 自由に読める雑誌やコミックを設置する

仕事を離れてリラックスできるスペースを設けることで、社員が本音で話しやすい場を提供することにもつながります。
会議室など仕事のための場を転用するのではなく、あくまで休憩専用のスペースとして用意するのがポイントです。

風通しの良い職場づくりで気を付けるべきこと

「風通しの良い職場づくり」は無条件で良いことのように思われる傾向がありますが、実は気を付けておくべきこともあります。
風通しの良い職場にしたいと尽力した結果、弊害も出てくる場合があることはよく理解しておく必要があるのです。

もちろん、職場の風通しが良くなること自体は歓迎すべきことですが、デメリットとなり得る面もあることを知り、バランスを取っていくことが重要です。

とくに次の2点については、風通しの良い職場づくりを進める際に十分注意しておくべきことと言えるでしょう。

「頻繁なコミュニケーション」を好まない社員もいるフラットな職場になったために緊張感が失われることも
  • 「頻繁なコミュニケーション」を好まない社員もいる
  • フラットな職場になったために緊張感が失われることも



「頻繁なコミュニケーション」を好まない社員もいる

コミュニケーションが活性化するということは、社内で人と接する機会が増えることを意味しています。
意思疎通の機会が増えることでお互いの理解が促される一方で、頻繁にコミュニケーションを図る必要に迫られることを好まない社員もいることに配慮する必要があります。

実際、社内イベントなどの場では、もともとイベントごとが好きな人とそうでない人の温度差が露呈することがあります。
仕事内外でコミュニケーションの機会が増えることを喜ぶ人がいる反面、職場では仕事に特化して関係性を築いていきたいという考えの人もいるのです。

フリーアドレス制度では、コミュニケーションを図る相手や頻度を各自で決めやすい面があります。

チャットツーツも同様で、必要に応じて連絡・相談をしたい人にとっては目的に合ったコミュニケーションの方法と言えるでしょう。
このように、社員が各自の性格や人との距離感に応じて振る舞い方を選べる余地を残しておくことが大切です。




フラットな職場になったために緊張感が失われることも

上司と部下の間で円滑なコミュニケーションが促進されるのは良いことですが、あくまで仕事で協力し合うための間柄であることは忘れてはなりません。
これは社員同士についても同様で、職場の同僚は志を同じくする仲間であって、決して「友達」ではないのです。

職場の風通しが改善され、お互いが気軽にコミュニケーションを図るようになった結果、必要以上に距離感が密接になってしまい緊張感が失われることも考えられます。
とくに特定の人同士のグループで固まっていき、かえって情報格差が生じたり社内派閥が生まれたりするような事態は避けるべきでしょう。

仕事の本分を忘れることのないよう、理念の共有や企業文化の浸透といった土台の部分をしっかりと構築していくことと、コミュニケーションの活性化は両輪で進めていく必要があります。

「風通しの良い職場づくり」-企業の実例

ここまでで、風通しの良い職場づくりのためにできる取り組みや注意点について理解が深まったでしょうか。

最後に、実際の企業で風通しの良い職場づくりのために実践されている取り組みについて紹介します。
ここに挙げる3社はいずれも知らない人はいないほど有名な企業ばかりですが、いずれの職場でも地道な取り組みの結果、風通しの良い職場の実現に向けて着実に歩んできたことが分かります。

ご自身の職場で取り入れられそうな事例もあるはずですので、ぜひ参考にしてください。




ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では、社内の施策として1 on 1ミーティングに力を入れています。方法は非常にシンプルで、週に1度、30分間の時間を取り、場所を確保して部下の話を聞くというものです。

1 on 1では経験したことから学びを得る「経験学習」というスキームを取り入れているほか、社員の才能と情熱を解き放つことを重視しています。上司から部下に話すのではなく、部下が話すための場として設定されていることがポイントです。

1 on 1の導入は決して平坦なものではなく、当初はそのために時間を捻出するのが困難という声や、部下の愚痴を聞くだけになるのでは?といった声もあったようです。
しかし、外部の専門家の意見も取り入れつつ、1 on 1のフォーマットを改善し続けたことにより、社内の文化として定着させることに成功しています。




スターバックスコーヒー ジャパン

スターバックスの接客には定型的なマニュアルがなく、自分らしさを出せる反面、常に接客への創意工夫が求められる職場として知られています。

社員間の信頼関係構築を重視しており、各スタッフが自ら成長できる環境を整えている点は従業員からも高く評価されています。

アルバイトの採用ですら20倍もの倍率になると言われており、離職率も非常に低いことで有名です。

スキル向上や成長を自主性に任せるには、職場での良好な人間関係や互いを尊重する土壌が形成されている必要があります。

アルバイトスタッフも店舗運営に対して積極的に発言できる風通しの良さを重視していることが、こうした意欲の高い従業員の育成を実現可能なものにしているのです。




日本マイクロソフト株式会社

日本マイクロソフト株式会社では、2011年2月に本社を移転したことを契機にフリーアドレス制度を導入しました。

本社で働くおよそ2,500名の社員のうち約6割には固定化されたデスクがなく、必要な場所で業務を遂行することができます。
これにより、部署や上司・部下の垣根を越えてコミュニケーションを図ることができるようになりました。

また、コロナ禍よりずっと以前の東日本大震災をきっかけにテレワークも推進しており、自由度の高い働き方を奨励することによって生産性の向上に成功しています。

マイクロソフトはグローバル企業であり疑う余地のない巨大企業ですが、だからこそ1人1人の従業員が自主性を持って仕事に取り組める環境を整えていることが、業務の生産性を高めることにつながっていると考えられます。

まとめ)風通しの良い職場の実現は日々の地道な積み重ねから

職場の風通しの良さを実現するとなると、組織全体の文化に関わるスケールの大きな施策というイメージがあります。

しかし、どれほど立派な目標を掲げたとしても、1人1人の社員が本心から話せる環境が整っていなければ絵に描いた餅になってしまいます。

社風や企業理念の浸透は経営層が先導するものと思われがちですが、実は現場を統括している管理職だからこそできる地道な活動によって実現へと近づいていくのです。

風通しの良い職場の実現に向けて1 on 1の導入や休憩スペースの新設といった施策を打つのは大切なことですが、一度アナウンスして終わってしまうのではなく、継続して実践し、効果を検証しながらブラッシュアップしていくことはそれ以上に重要です

今回ご紹介した事例を参考に、ぜひご自身の職場で取り入れられそうな施策を小さな一歩から実践してみてはいかがでしょうか。

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