「暗黙知」と「形式知」はどちらも大切? あなたのチームの情報共有を活性させる大切なポイント3つ

[最終更新日]2020/06/08

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暗黙知と形式知

平成元年当時、世界における企業の時価総額上位50社のうち、実に32社を日本企業が占めていました。

平成30年にはその勢いは見る影もなく衰え、上位50社にランクインした日本企業はトヨタ自動車のみとなっています。わずか30年間で日本企業の成長は世界で大きく見劣りするものとなってしまったことは、残念ですが事実として認めざるを得ません。

これほど日本企業の成長が停滞してしまった原因についてはさまざまな議論がありますが、そのうちの1つに日本企業の生産性の低さが指摘されることがあります。皆さんの勤務先は次のような課題を抱えていませんか?

ベテラン層と若手との間で知識・技能の継承が不十分
習慣や経験則で続いてきた仕事の進め方が機能していない
慣れ親しんだ仕事の進め方から脱却できず惰性で続いている

もしこうした問題を抱えているようであれば、組織としての情報共有のあり方を真剣に見直す必要があります。

そこで、今回は情報共有において重要となる「暗黙知」「形式知」について取り上げていきます。

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Index

目次

情報共有を行う上で知っておきたい「暗黙知」と「形式知」

組織が組織であるゆえんは、知識や技能が共有されていることにあります。

組織に属しているはずの1人1人が好き勝手に仕事を進め、各々が独自の方法で仕事をこなしているのであれば、組織である必要はないからです。

知識や技能を共有するために欠かせない視点の1つに情報共有が挙げられます。
従業員1人1人が持っている業務に関する情報は、「暗黙知」「形式知」の2つに大きく分けることができます。暗黙知と形式知とはどのようなものを指すのでしょうか。



「暗黙知」

暗黙知言語化されていない主観的な知識

暗黙知とは、言語化されていない主観的な知識のことを言います。いわゆる「勘」「コツ」「感覚」と呼ばれ、個人の感じ方や情緒的な価値基準と深く結びついています。

暗黙知はいわば経験則の集合体ですので、本人以外の誰かが再現することが困難です。物事の捉え方やものの感じ方は人それぞれであり、同じ事象を見聞きしてきた場合でも人によって解釈はまちまちになるからです。

よって、暗黙知は組織においては「不文律」となりやすく、組織に属してきた年数が長い従業員ほど必然的に多くの暗黙知を蓄積していくことになります。



「形式知」

形式知言語化されている客観的な知識

形式知とは、言語されている客観的な知識のことを言います。
誰が見ても同じ解釈が可能な文書や図、マニュアルといった形で言語化されており、容易に共有可能な状態になっているものを指しています。

形式知は、もともと個人あるいは一部の従業員が蓄積してきた暗黙知を客観的に解釈し直して明文化したものです。

特定の従業員だけがこなせる仕事をより多くの従業員が分担するには、その手順や進め方を再現性のあるものにしなくてはなりません。そこで、業務手順やマニュアルとしてまとめ、共有可能な形にしていく必要があるのです。




「暗黙知」、「形式知」はどちらも大切

どのような組織においても、必ず創業時代が存在します。

創業したばかりの企業はあらゆる業務が初仕事ですので、初めてのケースに遭遇しながら対処方法を個々人が学び、しだいに多様な事態に対応できるようになっていきます。このように、仕事における知識・経験はまず個人的な経験、つまり暗黙知からスタートするのです。

ところが、ある人が経験してきた仕事を本人だけがこなせる状態が続く限り、「1」の力は「1」のままです。より多くの仕事を効率的にこなしていくには、「1」を「2」や「3」にしていく必要があります。

ここで必要とされるのが、仕事の進め方や留意点をあらかじめ共有しておくこと、すなわち暗黙知を形式知へと昇華させていくことなのです。こうした暗黙知を形式知へと変換していく作業の繰り返しこそが、組織を組織たらしめていると言えるでしょう。



暗黙知と形式知は螺旋状に連なっていく

暗黙知と形式知は螺旋状に連なっていく



暗黙知と形式知の循環を活性していく為に、情報共有はマストで必要!

暗黙知を形式知へと変え、さらに新しく得られた暗黙知を加えて形式知を増やすのみならず精度を高めていく——。
この循環を活性化させていくことこそが、組織を成長させていく上での原動力となります。これを繰り返していくことで、「1」の力を「5」や「10」「100」へと発展させていくことが可能となるのです。

ただし、暗黙知は放置しておけばいずれ自然と形式知へと変化していくわけではありません。

ごく個人的な体験でしかない暗黙知を形式知へと変えるには、「どのような経験だったのか」「どう解決したか」「失敗したのはなぜなのか」といった情報をていねいに検証し、汎用化させていく作業を繰り返す必要があります。

このとき欠かせないのが情報共有であり、ある人が持っている情報を組織の資源としていくことができるかどうかの分岐点となるのです。

暗黙知を形式知へと変えるプロセスを循環させる上で、情報共有は非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。



「情報共有」が、暗黙知と形式知の循環を活性させていく

「情報共有」が、暗黙知と形式知の循環を活性させていく

情報共有を活性していくうえで、大切なポイント3つ

情報共有はチームにとって重要な課題ですが、情報共有がうまくいっていないことでさまざまな問題が生じているチームは決して少なくありません。

だからと言って、急にツールを導入したり、他社の成功事例を表面的に真似したりするだけでは、情報共有は一朝一夕にうまくいかないことがほとんどです。

情報共有を活性させていくには、地道に下地づくりをしつつ情報共有をしやすい環境を整えていく必要があります。

情報共有を活性させていくうえでとくに大切なポイントは次の3点です。

 情報共有のメリットについて、チームでの「共通認識」を高めるチームの「心理的安全」を高めて情報共有を集めやすく「情報共有ツール」を見直して情報共有を簡単に
  • 情報共有のメリットについて、チームでの「共通認識」を高める
  • チームの「心理的安全」を高めて情報共有を集めやすく
  • 「情報共有ツール」を見直して情報共有を簡単に

それぞれ、順を追って見ていきましょう。




情報共有のメリットについて、チームでの「共通認識」を高める

情報共有を成功させるには、そもそもチームのメンバーが同じ情報を共有することの重要性を理解している必要があります。

自分が担当している仕事さえうまくいけばいい、といった一匹狼のような考え方のメンバーが増えると、チーム内で情報が浸透しにくくなり、重要な情報でさえも伝わらなくなる恐れがあります。

情報共有のための基本的な事項の1つに共通認識があります。
共通認識を持つには、チーム内の誰もが同じ意味で解釈できる共通言語が必要です。

たとえば「企画会議」を開催するとき、ある人は「企画の方向性を決めるための会議」と捉えている一方で、別の人は「企画のアイデア出しをする段階の会議」と考えていたとすれば、その会議は迷走し進展しないでしょう。

つまり、企画会議をより有意義なものにしていく為には、そのチームが「企画会議」の本来の目的も含めて共通言語化しておくこと、更には「今回の企画会議で、私たちは何を成し遂げたいのか」について共通認識として持っておくことが大切なのです。

そして、こういった情報共有の大切さを共有していることも、チームの重要な「共通認識」と言えるでしょう。
もしあなたの組織・チームで情報共有があまり活性していないということがあったら、情報共有そのものについて適切な共通認識があるか、いまいちど振り返ってみると良いかもしれません。




チームの「心理的安全」を高めて、アイデア・意見が出やすい環境にする

チームの情報共有を図るには、メンバーが気兼ねなく自由に発言できる雰囲気になっていることが重要です。

不用意に何か言うと「おかしな発言をしたと思われるのではないか」「このチームでの決まり事が分かっていないと思われないだろうか」といった不安を抱えている状態では、メンバーはお互いの出方を探り合って萎縮するばかりです。

「このチームでは少しぐらい変なことを言っても許してもらえる」「分からないと言っても無知だと決めつけられることはない」といった安心感があれば、チーム内で発言が活性化しやすくなり、活発な情報交換・情報共有が行われやすい下地を作ることにもつながります。

このような心境で参加できるチームは「心理的安全」が確保されていると言えます。

心理的安全が確保されたチームにするには、メンバー同士やリーダーとメンバーの間に信頼関係が構築されていることが必須となります。

日ごろからポジティブな発言や思考が大切にされ、お互いを尊重し合う関係を築くことができるよう、とくに管理職はチームの雰囲気づくりに気を配るべきなのです。




「情報共有ツール」を見直してコミュニケーションを円滑に

情報共有を活性化するには、日ごろからコミュニケーションを図りやすい関係性を築いておくことが大切です。

コミュニケーションを円滑にするために、仕事で必要な情報の伝達はもちろんのこと、ちょっとした雑談にも気軽に参加できる距離感をメンバー同士が持っていることが理想です。

コミュニケーションを活発にするための方法の1つに情報共有ツールの導入があります。メールのようなやや改まった連絡手段だけでなく、チャットツールを活用することで「ちょっとした連絡」「一応知らせておいたほうがいいこと」を共有しやすくなり、チームに情報が行きわたりやすくなるのです。

情報共有ツールを活用することによって、共有された情報がその場限りの会話で消えてしまうのではなく、組織のノウハウとして蓄積されやすくなるというメリットもあります。

日ごろのコミュニケーションが仕事に役立っていると実感しやすくなるので、メンバー同士がさらに活発に情報共有をするという好循環を生むこともできるでしょう。



多くのチームで活用している、おすすめの情報共有ツール

Chatwork
Chatwork
Chatworkは国内で20万社以上が導入している人気社内SNSです。シンプルで見やすい画面で、手軽に情報共有やタスク管理をすることができます。日本発のサービスのためセキュリティ面も安心して利用できるのが特徴です。

チャット機能だけでなく、ビデオ通話や音声通話アプリとしても利用できるため、必要に応じてすぐにオンライン会議に切り替えることができるなど、機動性が高いのもメリットの1つ。最初に何か1つコミュニケーションツールを導入するならChatworkがおすすめです。



Slack
Slack
SlackはもともとITエンジニアなど技術系の職種で知名度が高かったサービスですが、最近では業種を問わず幅広い分野で活用されています。GoogleカレンダーやDropBoxといった外部ツ−ルとの連携に強く、さまざまなサービスを一元管理しやすいのが特徴です。

自社の利用方法に合った細かなカスタマイズをしやすいのもSlackの優れた点の1つ。リモートワークを推進している職場や外部スタッフとのデータのやりとりが多い職場では、とくに多くのメリットを感じることができるでしょう。



Trello
Trello
Trelloはプロジェクト管理ツールとしてスタートしたサービスで、タスクが1枚のカードとして表示されるのが大きな特徴です。

それぞれの仕事がどこまで進んでいて、どのような状況になっているかがひと目で分かり、複数のメンバーと共有しやすい仕組みになっています。

カードにはテキスト以外にも画像や添付ファイルを挿入することができ、タグ機能やチェックリスト機能も備わっていますので、仕事の進捗状況や優先順位を見える化することができます。



LINE WORKS
LINE WORKS
LINE WORKSはSNSでおなじみのLINEをビジネス用途に特化したサービスです。LINEと同様の使用感でグループチャットや音声通話を利用できるだけでなく、スケジュール管理やデータ保存用のDrive機能といったビジネスに欠かせない機能を利用することができます。

LINEのアカウントを持っていればそのままLINE WORKSを利用できるのも大きな魅力の1つ。ビジネスチャットを初めて利用する人でも抵抗なく使い始めることができ、スムーズな導入の実現を可能にしています。



Dropbox
Dropbox
Dropboxはファイル共有サービスとして世界で5億人のユーザーを擁しています。Office365との連携に優れており、2段階認証や暗号化といったセキュリティ対策も万全ですので、プロジェクト内の共同作業など秘匿性の高い業務においても安心して利用することができます。

ファイル共有機能で知られるDropboxですが、デザインやタスクリストを共有できるPaperと呼ばれる機能もありますので、ミーティングやブレーンストーミングをDropbox内で完結させることも可能です



Scrapbox
Scrapbox
Scrapboxはシンプルな共有ノート機能に特化したコミュニケーションツールです。Scrapbox内に記述された単語は相互にリンクで繋がるため、検索性が高く作業効率を高めることができます。

共有ノートは複数のメンバーで共同編集することができ、議論を交わしたりアイデア出しをしたりと、さまざまな使い方が可能となっています。

これまで社内サーバ内で散逸しがちだったミーティングの記録や過去の企画資料をScrapboxに記録することにより、生きたノウハウとして一元管理しやすくなり、組織の成長に継続的に活かしやすくなるのです。

まとめ)情報共有を活性化して暗黙知と形式知をバランスよく活かそう

組織において、メンバー1人1人が培ってきた暗黙知は貴重な財産であり、仕事の質を高めていく上で重要な意味を持っています。

しかしながら、暗黙知が言語化されないまま個人の経験値にしかなっていない状況は、組織にとって大きな損失と言わざるを得ません。

暗黙知をいかに形式知に変え、メンバー間で共有できるよう汎用化させられるかが組織の成長を左右します。

暗黙知を形式知へと変えると言っても、唐突にマニュアルを作成すれば事足りるものではありません。

日々のコミュニケーションやチームとしての下地作りといった地道な積み重ねを経て、少しずつ形式知が蓄積されていくのです。ここに至るまでには、コミュニケーションの図り方やツールの導入など、あらゆる手段を講じていく必要があるでしょう。

暗黙知と形式知をバランスよく活用できるよう、日々試行錯誤を重ねてチーム内の情報共有を活性化させていきましょう。

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