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「物分りの悪い部下」「早合点ばかりする部下」に 上司はどう向き合うべきか?

[最終更新日]2018/11/13

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現場の雰囲気も良く、部下がいつでも求める以上の結果を出してくれて、いい刺激を与え合えたら……こんなに素敵なことはありません。しかし、そんな理想的な職場で一切の不満なく働いているひとは、そう多くはないでしょう。

部下への不満や不安を抱えながら、なんとか日々の業務をやり過ごしていませんか? 部下のパフォーマンスを上げることを諦めてしまっていませんか? さあ、いまこそ部下との向き合い方を見つめ直すときです。まずは、今回のコラムを読むところから始めてみてください。

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目次

「物分りの悪い部下」「早合点ばかりする部下」――その原因・背景は?

「今年の新人、物分りが悪くてさ」「○○って、すぐ早合点するよな」なんて愚痴、どこででも耳にします。仮にそうだとして、では原因がどこにあるのか考えてみたことはありますか? 

問題は、部下にばかりあるのは限りません。実は、相対する上司の向き合い方や関わり方に改善の余地が見られることもあるのです。あなたの周りのデキない部下は、果たして「本当に」デキないのでしょうか。

個人評価から状況評価に置き換える

物分りが悪い。早合点ばかりする。こういった部下への判断や印象は、いずれも感覚や経験則に基づいた「個人評価」に過ぎません。そこで、ここは一旦、視点を切り替えてみてはどうでしょう。

客観的に、「部下のパフォーマンスが思うように発揮されていない」という「状況評価」で捉えてみるのです。ひとは、ときとして「認知バイアス」によって正しい評価が成せない場合があります。

認知バイアス」とは、直感や先入観(思い込み)、恐怖心や願望といったものによって、論理的な思考が妨げられること。ある対象を評価する際、自分の利益や希望に沿った方向へと考えを歪めてしまう現象をいいます。

そういった傾向があることを知った上で、可能な限り余計なバイアスをかけずに部下の状況を把握できるようになってください。

まずは2つの可能性を疑ってみる

では、部下のパフォーマンスが思うように発揮されていない場合、次の2点の可能性を疑ってみましょう。

まず1点目は、あなたと部下の「業務への共通理解度」が低くなっていないか?ということ。そして、ひとつひとつの業務において部下が思考・考察する時間と余地が削られていないか?が、2点目です。

上の図からも判るように、業務におけるパフォーマンスの向上には、これらの2つの要素が欠かせません。互いの間で、きちんとした共通理解が成されているか? 業務に適切な時間や余地が与えられているか? 「おかしいな?」と感じたら、まずはそれらを見直すことを心がけてください。

「業務への共通理解度」を高めるための3つのポイント

上記で述べた、「業務への共通理解度」を高めるためにはどうすればいいか。ポイントは3つです。

ひとつ、「伝える」<「伝わる」<「共感する」の3段階を意識したコミュニケーションを試みること。ふたつ、そのコミュニケーションは「質より量」だと心得ておくこと。そして、いついかなるときも、部下を「信じる」こと。では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

「伝える」<「伝わる」<「共感する」

「相手に伝える」際の、3つの段階

大切なのは、「伝えた」という自分自身の満足ではなく、「伝わった」=「理解した」という相手の実感です。伝わらないのは、相手のせいだけではありません。自らの伝え方に問題がないかどうか、常に疑ってかかることが肝心です。

相手が「判断すること」を可能にするためには、分かりやすい説明が出来なくてはいけません。そして、分かりやすい説明は、「肯定的な感情」を与えやすくなり、相手との信頼関係の構築や業務の効率化にも繋がっていきます。

伝えた内容が、しっかりと「伝わったか」「理解できているか」について確認が取れていない一方通行の状態が「伝える」段階。そこから一段上がると、相手も伝えた内容を理解している状態になります。これが「伝わる」です。

とはいえ、相手はその内容について「充分だ」という認識には至っていないかもしれません。想いや考えさえも相手と共感できている段階にまで引き上げてこそ、「共創」の働きかけが可能となります。「共感する」段階へ到達できると、高品質なアクションが打ちやすくなるからです。

コミュニケーションは「質より量」

機械の情報伝達ではないのですから、人間同士の100%分かり合えることは、そもそも不可能なこと。コミュニケーションとは、それを前提に行われるべきなのです。コミュニケーションとは、「聞く」「尋ねる」「伝える」の3つの要素の組み合わせ。

「聞く」とは、相手の発する言葉を記憶する行為ではなく、あくまでも発言者の意図や目的を知ろうとする姿勢です。自分なりに解釈するためにも、情報は多いに越したことはありません。

そのためにも、自分の解釈を相手に確認する「尋ねる」ことが求められます。自らの仮説を示し、相手の回答によってその正誤を検証する行為です。

感情・意志・思考・知識といった情報を伝達し、相手の共感を引き出し、さらには相手が香道を起こすように働きかけるためには、相手の興味・趣味、関心事を知り、立場や状況を慮り、理解・行動に結びつくための条件は何かを探る必要があります。

相手にとって理解しやすい言葉選びや表現方法を想像しなくてはいけないのです。改めて、振り返ってみてください。自分の言葉に酔い、話したことに満足し、相手の共感や行動変化に関心を払っていない、なんてことはないですか?

なによりも部下を「信じる」こと

求める共感が得られれば、望む「行動」が起こります。そして、そこに不可欠なのは相手を「信じる」気持ちなのです。

「どうせ言っても無駄だろう」「本当にやれるのかしら……」そんな不信感は、じわじわと態度や言葉に見え隠れし、相手にも伝わってしまい、パフォーマンスの低下を引き起こしてしまいかねません。信じて任せられたら、その期待に応えたいと思いませんか? 

ひとは、自分を信じてもらう=自分を肯定してもらうと、力を発揮できるもの。誰にだって、失敗や間違いはあります。大事なのは、失敗をどう次に生かすか、間違いをどうリカバリーするか。

自分ひとりでは出来ないことだってあります。困ったときや行き詰まったときに欲する協力や手助けが信頼関係ありきで得られるのだとすれば、そこに豊かなコミュニケーション以上に大切なものがあるでしょうか。

部下のパフォーマンスを上げるための2つのポイント

パフォーマンスを上げるためには、きちんと業務内容を把握し、それについて深く考えて行動できるようになる必要があります。そのために重要なのは、2つ。

まずは、部下の「責任」と「心的安全」を担保し、「学習ゾーン」の環境を提供すること。次に、部下に「ファスト思考」ではなく「スロー思考」の習慣化させること。

自身が正しく伝えているつもりでも伝わっていなければ理解度は深まらず、フォローやサポートに気を配っていてもそれが見当違いなものであれば効果は得られません。

「学習ゾーン」の環境を提供する必要性

部下の成長及び学習意欲を向上・維持するためには、上の図にある「学習ゾーン」にいることが重要だと考えられています。

縦軸の「心的安全」とは、環境内において、批判や否定をされたり、罰せられたりといった不安や恐怖がなく、リラックスして自身の意見やアイデアを発信して、それを行動に移せる状態のこと。これが高ければ高いほど、ひとの成長が促されます。

そして注目したいのが、学習意欲を刺激するためにはある程度の責任を負う必要があるという点です。責任ある仕事は、やりがいを生みます。その責任を全うするために前向きな努力をすれば、結果が伴い、手応えを感じることができるのです。

達成感は人間の成長に欠かせない要素。過剰な責任は負担となることもありますが、期待と表裏一体となる責任を与えるのも、上司として成すべきことのひとつです。

「ファスト思考」よりも「スロー思考」の習慣を

2002年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者ダニエル・カーネマンは、著書の中で人間が持つ2つの思考パターンについて言及しています。それが、「Fast思考」=直感や感情的な連想に基づく判断と、「Slow思考」=注意深く合理的思考に基づく判断です。

ひとが無意識に選択しがちなのが、前者の「ファスト思考」。それが駄目だということではありません。第六感や直感が正しい道への後押しとなることもあるでしょう。

しかし、本来抱かなくてもいい感情を抱いたり、取らなくてもいい行動を取ったりして、非生産的な行動を誘発しがちなのもまた事実。加えて、想定外の出来事に直面した際に、ひとは得てして「ファスト思考」で判断しがちだということも念頭に置いておいてください。

そうして、自分の思考スタイル(パターン・癖)を知る必要があります。短絡的・感情的な「ファスト思考」で判断している己に気づけば、冷静になり、事実を正しく認識して合理的に判断することもできます。

レッテルを貼ったり、答えありきで考えたり、ネガディブ思考を増幅させたり、自己や他者を攻撃したり……そういった非生産的な思考には要注意! 部下の思考回路を是正することも上司としての役割ではないでしょうか。

【私の事例】受け身な部下とのふれあいと、その後

何事においても、「どうすればいいですか」と訊くことが癖になっているAさん。彼女は真面目で一所懸命ですが、常に間違いを恐れて正解への近道を欲する傾向にありました。なぜなら、与えられたことだけを言われた通りにこなしていれば失敗しないと思っていたからです。

しかし、それでは生産性は上がらず、相乗効果も期待できません。何より、そんな仕事の仕方って愉しくないと思いませんか。「どうすればいいですか」ではなく、「こうしてもいいですか」「こうしたいと思っているのですが、どうでしょう」と発信・提案できれば、可能性はどんどん拡がります。

そのために一番重要なのは、何か。それは、自ら「考える」ことです。そして、それを言葉にして「伝える」ことなのです。けれど、それが苦もなく自発的にできるなら、「どうすればいいですか」なんて端から訊きません。

だからこそ、上司であるBさんは、「どう思う?」「どうしてそう思った?」「そこから、どうしたい?」と声をかけるようにしました。そして、いろんな意見や考えを受け止めることを自らに課したのです。

一緒になって問題点をあぶり出し、話し合い、解決方法を探っていく――最初は自分の思いを上手く言葉にして説明できなかったAさんも、徐々に発言できるようになっていきました。それは、Bさんの辛抱の賜物でもあったのです。

じっくりと向き合って、ときに待ち、ときに導き、ときに寄り添った結果、Aさんの提案力は向上し、成果を上げられるようになりました。その根底にあったのは、BさんのAさんを「信じる」心。

「信じてみよう」と決めて、決めたからにはやり遂げるBさんの心意気だったのです。他人を「信じる」のは、口で言うほど簡単ではありません。ですが、どうか一度試してみてください。

部下は鏡合わせのもう一人の自分

部下は、己の合わせ鏡。部下に何かしらの問題が認められる場合、得てして、上司である自分自身にも課題が発生しているケースが多いということを念頭に置いておくといいでしょう。

成長は、一朝一夕には成せないもの。一日一日、一歩一歩、確実に進歩するためにも、課題はひとつひとつ丁寧に解決していくべきなのです。そのためには、ときに、見たくもない自分自身の姿に目を向け、知りたくもなかった事実と向き合わなければならないこともあります。

しかし、そこを見ない振りし続けていては、物事は一向に改善しません。ただ駄目なレッテルを貼って放置するのではなく、なぜ駄目なのか、そもそも本当にそれは駄目なのか、といった根源に迫る時間を持ってみてはいかがですか?

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この記事を書いた人

椿屋やまだ

フリーライター。高校で現代文や小論文の講師を務め、企業や店舗の広報業務なども請け負う。
京都を拠点に活動し、テレビやラジオなどメディア出演も。共著に『京都、朝あるき』ことり会(扶桑社)がある。

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