私の管理職体験談:「お調子者」「八方美人」と言われていた私が、年長者ばかりの部署で管理職になって。
[最終更新日]2023/10/17
新卒から総合電機メーカーに勤めて、20年以上経ちました。
営業からキャリアをスタートし商品企画、マーケティング、そして今は宣伝広報を担当しています。
宣伝広報は企業としての経営理念や企業としての考え方を伝える仕事で、その対象はお客様だけでなく全社員にも及ぶため、日々多様な仕事を受け持っています。
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私の性格は、よく人から「お調子者」「八方美人」といわれることが多く、多少自覚もしています。
まあその方が人との関わり合いでうまく行くことも多いですから。
でも、仕事ではそれだけでうまく行くことはあまりないのでしょう。
特に管理職になってからは、よく「自分を変えていかないと」と、思うようになりました。
たむのさん(男性 40歳)
- 職業
- 総合電機メーカー
- 職種
- 宣伝広報
- 年収
- 約1,000万円
- 従業員規模
- 25万人(うち部下8人)
- 地域
- 兵庫県
Index
目次
若いころは、持ち前のコミュニケーション力を武器に。
もともと私は、「営業職をやりたい」という希望がありました。
人とコミュニケーションを取るのが好きで、仲良くなったり人脈を広げたり、というのが得意だったからです。
新卒で入社してからはビジネス向けのソリューション営業を担当しました。
その後、開発営業から商品企画、マーケティング担当と、営業職の社員が歩みがちな典型的なキャリアパスを辿っていきました。
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30半ば頃、同世代の優秀なメンバーは新規事業や海外事業へと進んでいくなかで、私にはそういった声がかかりませんでした。
この頃は、よく
- 私
-
(これからの自分のキャリアパスを、どうして行くといいんだろう)
という悩みを感じることが多かったです。
若いころは、「自分は何にでもなれる」というような変な自信もあったのですが、さすがに中年の年頃になると、身の丈を知るというか、このまま働き続けていくことの現実的なイメージが付いてくるものです。
そんな風に悶々と考えていたときに、社内の公募制度で「宣伝広報部門」が募集されているのを見て、私はそこに応募しました。
なぜ宣伝広報を選んだのか、そこに明確な理由があったわけではありません。
ただ、「自分は変わらないといけないんだ」というような、焦りのようなものもあったんだと思います。
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部署の中で一番経験の浅い私が、管理職になって。
私の会社は比較的年齢層が高く、特に私が新しく所属することになった宣伝広報部(私はその中でも企業ショールームの企画運営を行うチームに配属されました)では、皆私よりも年上のベテラン社員でした。
宣伝広報部で数年働いて、ある程度仕事内容にも慣れてきたときに私は管理職に任命されました。
当然、部下は皆年上です。
さらには60歳を超えてからの定年再雇用になるような、超スペシャリストの方もいたりと、部署の中でも一番経験の浅いのが私でした。
管理職になったとき、上司からはこう言われました。
- 上司
-
「宣伝広報部は、ハイスキルの人は多いが、今一つまとまっていない。コミュニケーションを取りつつ、チームをまとめていってほしい」
つまり、私に期待されていたのは商品やサービスへの知識や営業力ではなく、ヒューマンスキルだったのです。
上司からのメッセージを聴いて、なんとなく
- 私
-
(ああ、これで現場業務ではなく、管理業務メインの働き方になるのだな)
と寂しくも思いましたが、一方で上司が私のコミュニケーション力を買ってくれていたのは嬉しく思いました。
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これまでのコミュニケーションスキルが、まったく通用しない!
管理職について早速悩んだのが、まさに自分が得意としていたはずの「コミュニケーション」に関わることでした。
まず、「適切な指示命令」をすること自体が難しかったです。
皆私よりも知識・スキルが豊富でしたので、日々の業務はもちろん、ちょっとしたイレギュラーな事態やトラブルがあっても、どうすべきかは私よりも早く気付いて行動できてしまうのです。
でも、だからといって私から何も働きかけなければ、「あいつは一体何のためにいるんだ」と思われてしまう。──というか、実際にそう思われていたようで、ある時ひとりのベテラン社員から、
- ベテラン社員
-
「あのさ、あなたしかできない仕事あるでしょ。それをしっかりやったほうがいいと思うんだよね」
と言われました。
「ハハハ、そりゃそうですよね」と笑って返しましたが、内心煮えくり返っていましたね。でも、同時に(この部署での私の存在意義って何なんだろう)という悩みも膨らんできていて。管理職になって1年目は、ずっとこんな調子でした。
2年目になってようやく、なんとなくベテラン社員達がうまく連携できていないところやそれで生じるほころびのようなものが見えてくるようになりました。
そこで、私はそこをフォローする役割に専念することにしました。
フォローの働きかけは結構ハマったと思います。
業務が以前より円滑に進むことが多くなり、それで年配の方々も私のことを認めるようになってくれたのか、面談やミーティングの際に、段々と自分たちの意見や考えを良く話してくれるようになりました。
そして、ベテラン社員の方々の話を色々聞いていくうちに、私はまた新たな気づきを得ました。
それは、「会社をこうしていきたい」という未来像──つまり、「ビジョン」が、社員によってバラバラだったということです。あとは、実はけっこう社員間の関係も微妙な感じで、仲がよさそうと思っていた社員同士でも少なからずの確執があったりという発見もありました。
私の直属の部下は8人でしたが、そもそも正社員のほかに派遣社員も数名いましたし、先ほどお伝えしたように再雇用契約の方もいましたので、会社への想いや働き方もそれぞれでした。
もちろん、思いは人それぞれでいいと思うのですが、会社が本来掲げているビジョンもありますので、そこへの意識と、そして自分たちの「こうしていきたい」をうまく融合させてかつ共有していくことも求められます。
社員の意向も尊重しつつ、都度会社の方針やビジョンを伝えていくように、少しずつ接し方を変えていきました。
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試行錯誤しながらも、管理職業務を続けていって。
管理職になって3年が経ちました。
今ではベテラン社員たちに必要以上に低姿勢になることなく、ときに厳しいフィードバックをしながら、接しています。
たぶん、プライベートでの友人・知人が職場の私を見ると、普段のイメージの違いにびっくりすることでしょう。
会社のビジョン・方針を伝えていくうえで、相手に合わせてばかりでは進みませんし、あとはベテラン社員の人たちって、単なるお調子者を嫌う傾向があるような気がします。…これは、私の個人的な見解ですが。
以前のお調子者の私から、ときにドライさやシビアな面を見せる私へと、働き方は確実に変わりました。
なぜ変わったのかというと、結局は「周囲からそういう働き方を求められたから」だと思います。
よく、「立場が人を変える」って言いますよね。管理職という立場になって、そしてこの職場だったからこそ、私はこういう変わり方をしたんだろう、と。
管理職とはきっと、程度の差こそあれだれもがこういう風に変わっていくものなのではないでしょうか。
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私が考える、望ましい管理職の在り方。そして、これから目指していきたいこと。
私が考える管理職やマネージャーで求められるものとは、「ビジョンを見せること」、そしてその為の「円滑なコミュニケーション」です。
あとは、自分の現場業務をやっていくというプレイングマネージャーとしての側面を見せないとついてきてくれないメンバーもいますので、管理業務と実務のバランスも重要だと思います。
なぜ働くうえでビジョンが大切なのか。
その答えはいたってシンプルです。
ビジョンを共有していると、一気に働きやすくなるからです。
どんなに熟練のベテランがそろっていたとしても、ビジョンを共有していないと皆思いのままに動いてしまってチームワークは発揮されません。
「ここを一緒に目指していこう」というゴールがあるのとないのとでは、チームのパフォーマンスは驚くくらい変わるのです。
そのことについて実感を持って知れたのは、管理職になっての大きな収穫であったと思います。
最近は、会社のビジョンだけでなく私自身のビジョンについても良く考えるようになりました。
この先50歳、60歳となって、私自身はどんな私でいたいのか。どんな考え方・価値観を持っていて、どんなスキルを培っていると良いのか。
──まだ明確な答えはありません。ですが、それを見つけていくためにも、これからもチャレンジできる新しい環境を見つけたら、前向きに飛び込んでいきたいと思います。
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