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管理職が知っておきたい「メンター制度」。 メンターって具体的にどんな仕組み?

[最終更新日]2018/11/20

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近年、新入社員を教育するにあたり「メンター制度」を導入する企業が増えています。

その背景には、新入社員の扱いが難しくなり、従来の社員研修では育成に時間がかかることがあげられます。

最近の新入社員はストレスや失敗に弱く、受け身でマニュアル対応する傾向が強いと言われており、管理職が自分で考えるように促しても、うまくいなかいケースもあるようです。

そこで今回は、メンター制度とは何かについて、その目的や仕組み、導入する際の注意点について、お話ししたいと思います。

Index

目次

そもそも、メンターとはどんなもの?

メンター制度の概要

まず、メンター制度について説明しましょう。

メンター制度とは、自分が配属された部署の上司以外に、先輩社員が新入社員の指導・相談役としてサポートすることをいいます。

1980年代に人材育成の手法としてアメリカで制度化されたのを皮切りに、日本ではバブルが崩壊し、終身雇用制度が崩壊したくらいから導入する企業が増え始めました。

その背景には、自分自身の雇用継続を不安視することで余裕がなくなり、後輩の面倒を積極的にみる上司や先輩が少なくなり、新入社員が孤立して退職や心身を病むケースが増えたこともあるようです。

上司が業務に関するスキルやノウハウの指導を重視するのとは違い、メンター制度で先輩社員が新入社員から受ける相談は職場の人間関係や個人的な事情まで多岐にわたります。

こう聞くと、新入社員のサポートのための制度と受け止められがちですが、指導・相談役を担う先輩社員にとっても、自身の成長やキャリアアップにつながる良い機会となります。

メンタリングとは

メンタリング」とは、人材を育成するための方法の一つです。

指導者の役割を担う先輩社員がメンター、指導を受ける新入社員を「メンティー」と呼びます。

そして、メンターが定期的並びに継続的に交流する場を設け対話や助言を行うことで、メンティーに気づきを与えて自発的に成長できるようにサポートすることが、メンタリングです

そのためメンタリングは、メンターとメンティー2人で行われることと、対話や助言で行動を促すことを目的としています。

先輩社員が新入社員の指導を行うと聞くと、「OJT」をイメージする人も多いことでしょう。

OJTは業務に関するスキルやノウハウを継承させることを目的に行われ、メンタリングにもそうした側面はありますが、それ以外の機能も持っています。

その1つめがメンティーに活躍する場を与え、例え失敗してもともに解決方法を考え、それを乗り越える経験をさせてスキルアップを促す「キャリア機能」です。

そして2つめはメンター自身が模範となって働く姿勢や心構えを示したり、仕事だけでなく個人的な相談にものる「社会的・心理的機能」です。

日本では若手社員を定着させるために利用されることが多いですが、実際には管理職にも経営者にもメンターが必要なのです。

メンタリングは、育成支援のひとつの手段

企業が人材育成を行ううえで考えられる課題は、2つあります。それは「個人課題」と「業務課題」です。

個人課題とは、ものの考え方や価値観、仕事に対するスタンスやモチベーションなど、社員一人ひとりが持っている性質や状態による課題のことです。

一方の業務課題とは、仕事に関係するスキルやノウハウの習得度や遂行網力など、業務を推進するうえでの課題を指します。

企業は常にこの両面を見据えて人材育成を行う必要があり、そのアプローチ方法もさまざまです。

まず、メンタリング以外の人材育成のアプローチ方法について説明しておきましょう。

カウンセリングとは、依頼者が抱えている悩みや問題について、専門的知識や技術を用いて行われる相談援助業務のことをいいます。

ティーチングとは、学校教育などで一般的に行われている手法で、自分が持つ知識や技術、経験を相手に伝えることを指します。

コーチングとは、対話を通して相手の目標達成や自己実現を図る技術をいいます。

こう比較してみると、人材育成のアプローチ方法それぞれで機能が違うことがわかります。

では、この4つのアプローチ方法と個人課題並びに業務課題の関りについて考えてみましょう。

それをまとめたのが、下のチャートです。

座標で見ると、メンタリング・カウンセリング・ティーチング・コーチングの機能と、解決するにあたり望ましい形が見えてきます。

メンターが支援やモデル、保護者を果たすメンタリングの場合は、組織が求める方向にメンティーが向かえる状態をつくることが目的です。

カウンセラーが傾聴しながら観察・吟味し、診断のうえでフィードバックするカウンセリングは、依頼者の自己洞察を促し意識を高めることが目的となります。

教える人が伝授して覚えさせるティーチングは、スキルやノウハウの習得が目的です。

コーチが対象者を傾聴・観察しながら考える機会を提供して気づきや回答を引き出すコーチングの場合は、強みを伸ばしたり、パフォーマンスを高めることが目的です。

組織のなかで人材育成の目的と先輩社員にどのような役割を担ってもらうべきかを検討し、適切なアプローチ方法を選ぶことが大切といえるでしょう。

メンター制度を実施する目的

メンター制度とはどんなものかは、ご理解いただけたと思います。

いろいろある人材育成のアプローチ方法のなかでもメンタリングは、専門的な知識や技能を必要としないので、最もハードルが低いと考えられます。

前章でもメンター制度が導入された背景について触れましたが、この章ではその目的について説明しておきましょう。

合わせて、メンター制度を導入するメリットについても具体的に紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

メンター制度の一番の目的は、「社員の定着化」

企業がメンター制度を取り入れる主な目的は、一人ひとりが抱える不安を取り除くことで早期離職を防ぎ、社員の定着化を図ることです。

企業が発展を続けるためには、若手社員が定着し、上司や先輩社員からナレッジやさまざまなノウハウを吸収し、成長する必要があります。

メンター制度は、メンティーにとっては常に自分の目標となるモデルが傍にいて、何でも相談できる安心感を得られるほか、いざという時のサポートがあるので失敗を恐れず積極的なチャレンジができる環境が整います。

さらに、メンターから成功体験や仕事のやりがいを聞き、働く楽しさを共有することで、自分が何を努力すべきかを考え、モチベーションをアップさせることにもつながります。

また、メンター役を担う先輩社員にとっても、メンティーと関わることで自分を振り返るとともに、管理職になる前に後輩を指導する経験を積むことが、キャリアアップにつながります。

そうした企業風土が醸成されると、社員の定着化が進み、ナレッジが継承されやすくなります。

メンター制度のメリット

では、企業がメンター制度を導入するメリットをまとめておきましょう。

  • メンティーの心の安定につながる
  • メンターの成長につながる
  • 部門間のコミュニケーションが活性化する

特にメンティーが新入社員の場合、業務を覚えたり、職場に慣れたり、新たな人間関係を構築したりと、やるべきことや求められることがたくさんあります。

そんな時に業務以外の相談に乗ってくれたり、自分の話を聞いてくれるメンターがいると心強いものです。 1人で不安を抱えるのではなく、それを相談していち早く解消することで、より仕事にまい進できるようになります。

メンターにとっては、メンティーとの対話や助言を行うために、より自社や業務内容について理解を深める機会となります。

また、自分が模範であると意識することで仕事に対する責任感が高まるほか、会社に貢献しているという充実感も味わうことができます。 さらに、将来管理職になった時に、とても役立つ経験となるはずです。

メンター制度は、メンティーとメンター両方を育てるうえで有効な仕組みです。 そこに人事や所属部署の上司が関わることで、若手社員の離職防止につなげることができます。

メンター同士が情報交換のために部署を超えて交流する機会を設けると、社内に良好な人間関係が広がり、雰囲気がよくなるというメリットもありそうです。

組織でメンター制度を採り入れる際に、注意したいこと3点

管理職にとっては、新入社員だけでなく先輩社員であるスタッフの成長にもつながるメンター制度は、魅力的な仕組みといえるでしょう。

しかし、メンター制度にもデメリットがあります。

具体的には、メンターとメンティーの相性を見極める必要がある、メンターの負担が大きくなる、メンターの能力に個人差があることがあげられます。

つまり、メンター制度を導入して成功させるためには、注意しておきたいポイントもいくつかあるのです。

そうした注意点について、具体的に紹介しておきましょう。

スケジュールを建てる

まず、メンター制度を実施するうえでのスケジュールをたてることです。

メンター制度を導入している企業の多くが、指導期間を1年程度にしており、なかには3~6カ月と短いところもあるようです。

また、入社3年目までは離職率が高い傾向があるので、それまで実施している企業もあります。

こうしたメンター制度を実施するスケジュールについて、業務や社風を考慮してしっかり検討しておきましょう。

とはいえ、メンター側にとっては、制度の実施期間が長くなればなるほど、負担が大きくなります

そのため、企業によっては短期間でメンターを変えているところもあるようです。

メンターとメンティーの相性が良くない場合、期間にこだわらずにメンターを変える方が効果があがるケースもあります。

また、メンターを育成するための時間にも配慮が必要です。

メンター制度がなくなっても、先輩と後輩が良好な人間関係を築ければ、その後も相談にのってくれるはずです。

ガイダンス・運用ルールは丁寧に伝えておく

メンター制度を導入するにあたり、人事部を中心に教育担当や所属部署の部課長などが協議のうえ、慎重にメンターを選ぶこともが大切です。

そして、メンターにはきちんとガイダンスを行い、運用ルールを徹底するようにしましょう。

メンターとしての基礎知識や心構え、コミュニケーションスキルを学ぶ研修の機会を設けるのも一つの方法でしょう。

メンターとしてやってよいことと悪いことを理解するとともに、業務に支障をきたすことがないよう、制度の運用規定やマニュアルを用意しておくのもおすすめです。

また、相談されたメンターが1人で難しい相談を1人で抱え込むことがないよう、必要に応じて人事部や直属の上司に話ができる体制づくりも必要でしょう。

合わせてメンティーに対してもメンタリング活用研修を行い、メンター制度の目的や活用方法について理解を深めてもらうことが大事です。

さらにメンターを引き受ける先輩社員に対し、業務以外の評価ポイントを用意するなど、社内で広く運用ルールを浸透させるように努めましょう。

終了後に振り返りのアンケートを実施しておくと、次のメンター制度に役立てられます。

信頼関係を築いていくこと

メンター制度で一番大切なのは、メンターとメンティーの間で信頼関係を構築することです。

メンターとメンティーの双方に事前調査を行い、適切なマッチングを行うのが第一歩です。

また、メンティーとの信頼関係を築くために、メンターに意識してほしいことがあります。

  • 相談に対する答えを出すのではなく、対話によってメンティーに気づかせる
  • 業務外の個人的な相談や悩みにも真摯に耳を傾ける
  • できる限り力になる努力をする
  • いつどんな時も態度を変えない
  • 上からではなく、常に同じ目線で対話する
  • メンティーから聞いた話は原則的に口外しない

こうした姿勢をメンターが貫いていると、メンティーとの信頼関係が築きやすくなります。

新入社員のメンターの場合は、年齢が離れすぎると話しにくくなるので、入社3~5年目が適切と考えられます。

メンタリングは1対1で行うのが基本ですが、特定の目標を達成するためには、さまざまな意見を聞いた方がよいこともあります。

そうした場合は、社内のいろいろなメンターと話をする機会を設けるのも一つの方法です。

メンティーの成長を促すために何が適切かを考えながら、メンターや企業が柔軟に対応していきましょう。

メンター制度を上手く進められた事例紹介

メンター制度と聞くと、大手企業が導入するものだと考える人もいそうです。

ですが、中小企業こそ入社した人材が定着するよう、メンター制度を設けた方がよいケースがあるのです。

そこで、地方の中小の制作プロダクションで行っていたメンター制度の事例をご紹介したいと思います。

その時、私は管理職として、メンターとメンティーの両方をサポートする役割を担っていました

その際に感じたことについても、お話ししたいと思います。

同じ課題に取り組みにブレストすることでスキルアップにつなげる

当時私は、流通カタログの編集長をしており、制作スタッフとして6名の部下を抱えていました。

カタログが週刊だったこともあり、常に3本が同時進行している状態で、編集ルールをまとめたマニュアルはあるものの、仕事のノウハウを落ち着いて教える環境があるとはいえない状態でした。

また、毎日終電ギリギリまで働くスタッフの疲労を考慮し、中途採用を決めたのです。

中途採用された社員は20代で、デザインの専門学校を卒業していたものの、編集としての経験はゼロでした。

新人の年齢が若かったこともあり、それまで最年少だった入社3年目の先輩社員に指導役を依頼したのです。

指導係を依頼された先輩社員は、当初協力を拒否しました。

ですが、自分が新人だった時に何がわからなかったのか、それを覚えるまでにどんな経験をしたのかがわかるのはあなたしかいないと伝え、しぶしぶ了承してもらったのです。

まず、先輩社員が新人と行ったのは、常に一緒に行動することでした。

原稿制作のための打ち合わせから素材探し、昼食にいたるまで、2人1組で行動していたようです。

仕事の進め方やルールについて話をするのはもちろん、趣味や洋服の話で盛り上がるなど、距離が近づくまでにそう時間はかかりませんでした。

そうして入社して2週間経ったころ、先輩社員は自分が担当するページのうち、2ページを新人に制作するよう伝えたのです。

新人が見様見真似で原稿を制作し、先輩社員に提出した際、同じページの原稿がすでに用意されていました。

そして、2つの原稿を付け合わせ、どんな点がよくて、何が足りないのかについて、先輩社員が一つひとつ新人に説明したのです。

それから毎週、自分の担当ページを制作させてはフィードバックを行い、1ヵ月を経過するころには新人がチェック後に修正することなく、原稿を制作できるようになりました。

それ以後、先輩社員は新人の担当ページについてあれこれ口を出すことはなく、相談されればアドバイスすることに徹していました。

後で先輩社員にその理由を聞いたところ、「自分が新人だった時に同じように教えてもらったから」という返答が返ってきました。

激務ではありましたが、そうした新人に対する思いやりにあふれた職場だったから、定着率が高かったのだと振り返って思います。

私はその後その職場を離れましたが、当時のスタッフはまだ4人ほど残っているといいます。

これが、私にとってのメンター制度の原点だったと思います。

メンター制度を成功させるために準備を大切に

今回は、メンター制度とは何かについて、その目的や仕組み、導入する際の注意点についてお話ししました。

  • メンター制度とは、メンターとメンティーが対話を通して自己成長を促す制度である
  • メンター制度が成功すると社員の定着率があがる
  • メンター制度導入にあたっては、十分な配慮が必要である

ことは、すでにご理解いただけたと思います。

ただし、メンター個人の力量に頼るのではなく、管理職や人事部がそれをしっかりサポートする必要があります。

この記事を読んで、メンター制度の導入について前向きに検討する参考にしていただけたら幸いです。

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この記事を書いた人

栗花落

プロデューサー・ライター。情報誌の編集を皮切りにライター・ディレクターを経て、現在はプロデューサーとして、主に教育関連の広報・PRを手掛ける、4人の子どもを持つシングルマザー。勤務先で初めて産休・育休を取得したり、育児中は定時で帰るために毎朝4時起きして自宅で仕事をするなどしながら仕事を続ける。26歳で初めて管理職につき、編集兼営業としてプレイングマネージャーなども経験。うつ病の部下の職場復帰させた実績もある。

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