管理職体験談:見失いかけていた生徒たちへの思い。現場と役員を繋ぐのが管理職の役目。

[最終更新日]2019/10/11

体験談
5
「教室が足りない」それを口実に、私は生徒への情熱を見失いかけていた…。

私は現在、教育関係の会社の教務部部長を務めています。
弊社は創業から10年、合併前を含めると30年の比較的若い会社で、複数の校舎を合わせて約1,000人の講師が在籍しております。

Ricksonさん(男性 30歳)
職業
教育
職種
教務部
年収
約400万円
従業員規模
1,200名
地域
広島県

Index

目次

元講師。今では管理職です。

私の役割は講師の授業やスケジュール、その他プロジェクトの管理です。
講師の他に、テキスト開発課やトレーニング課、それからプロジェクト課などがあり、そこで働く従業員のマネージングも行っています。

仕事のやりがいは、営業部を通じて生徒さんの声が聞ける時や、大きな案件を皆で協力して達成した時です。
部下の成長をひしひしと感じられる瞬間でもあります。

年に2回、給与の査定があり、そこでの評価や役員から労いの言葉をいただけるのもやりがいの1つです。

しかし同時に不安もあります。
私は管理職になってからまだ2年しか経っていないため、こんな私に皆がついてきてくれるのかと、時々思うことがあります。

私も元々は講師でしたので、教育の現場で働く「職人タイプ」だと自分では思っていたので、管理職とのギャップに戸惑っているのだと思います。

生徒たちの期待を裏切らないために。

夏の出来事だったと記憶しています。ある時、生徒管理システムの不具合によって、複数の授業がブッキングしてしまうというトラブルが起こりました。

授業数が増えるということは売り上げにも繋がりますが、肝心の教える講師や教室の数が足りなかったのです。
すぐに緊急会議が開かれました。

役員からは

役員

「生徒たちには急にキャンセルとは言えないよ。何とかできないかな」

と言われましたが、私は教務部の部長として

「付け焼刃で授業を行っても、質の低いものになるでしょう」

と言いました。

正直、当時の私は役員に「お金儲けしか考えていない人たち」と言う印象を抱いていました。 しかし社長の、

社長

「生徒たちは我々の授業を待っているんだよ」

という一言で目が覚めました。

(そうだよな、生徒たちを失望させるわけにはいかない!)

そう気持ちを新たにしたのです。

しかしそうなると、講師たちの疲労は避けられません。残業やタイトなスケジュールになることは事前に伝えていましたが、やはり講師陣から猛反発を受けましたね。

それでも最終的には「生徒たちのために」という共通目標のもと、皆で厳しい夏を乗り越えることができたのです。

社長をはじめとした役員からも、

社長

「よくやってくれました」

と口々に労いの言葉をいただけました。
さらに営業部からは「今年の生徒アンケートは過去最高の評価だった」という話を聞き、「皆で頑張った甲斐があった」と思いました。

管理職に就いて以来の大仕事でしたので、社内の同僚などからは

同僚

「次の査定が楽しみだな」

などと肩を小突かれたりもしますが、私からすればそれもこれも講師や社員の皆が頑張ってくれたからこそだと思っています。
そればかりか「私はもっと何かできたんじゃないか」と反省してばかりです。管理職とは、こういう内省の繰り返しなのかもしれませんね。

管理職とは、上司と部下の「橋渡し」。

講師は個性的な人間が多いので、こちらの対応に対する反発も、おそらく他企業より思い切りぶつけられるものだと思っています。
当時は私もかなりのストレスを感じていました。

しかし、私も社長の一言で目が覚めたように、皆に役員の気持ちを伝えられたことにより、気持ちが一つになっていったのだと思います。

そして私自身も反省すべき点が多々あります。
やはり管理職とは上司と部下の間の橋渡し役です。講師陣に社長の声が届いていない環境は、私が改善していかなければいけないでしょう。

そして第一に、私たちを信じて授業に通ってくださる生徒さんたちへの思いを忘れてはいけないと心に誓いました。

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当時を振り返って、今思うことは。

私が若手だったころは、上司からの命令は絶対という考えが社会全体に根付いていたように思います。
しかし今の若い世代は、もっと柔軟に物事を考えているのだろうな、と感じます。

また、弊社には外国人講師もいます。
英語でのコミュニケーションや文化の違いなど、はじめはお互いに戸惑っていたと思います。

これからは部下とのコミュニケーションも積極的に取り、色々な意見を聞いていこうと思います。

夏の出来事があった時は、まだ私も管理職として未熟だったと感じています。
講師だった経験の方が長いので、講師たちの大変さを思って心が揺れましたし、正直「また教育の現場に戻りたい」という気持ちも芽生えていました。

管理職は現場から離れるので、自分の無力さや疎外感を感じていたのかもしれません。

しかし「良いモノをつくりたい」という情熱は、どの場所にいても皆が共通して抱いている気持ちだと思います。
私のその思いを、部下たちにも伝えていけたらと思います。

管理職とは。そして今後目指していきたいことは。

私が講師だったころは、役員に対して反発もしていました。「ただ会議室で話してるだけの人たちに何が分かるんだ」と思っていました。

実際に管理職になってみると、当時の自分の反発心は理不尽なものであったと気づきました。
しかし、部下のそんな思いも理解してあげられる管理職でいたいと思います。

世の中には「管理職とは」という内容の書籍もたくさんあります。
私自身も勉強してきましたが、一番は「多くを語らず、背中で教えていける」ような職人気質の管理職を目指したいです。

マネジメントスキルは後からついてくるくらいで構いません。
まずは一人一人の部下と向き合うことから始めていきたいです。

目標と目的をしっかり持ち、それを明確に皆に伝えることが、会社の成功の秘訣だと確信しております。

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