私の管理職体験談:業務の重圧から、ある日突然、耳が聴こえなくなって。

[最終更新日]2021/06/07

体験談
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私の管理職体験談:業務の重圧から、ある日突然、耳が聴こえなくなって。

私は大学病院の薬剤部の統括業務として、業務は薬剤部内の統括を始め、病院内の薬剤についての安全管理などを行っています。
薬剤師と仕事をするよりも医師や看護師など他の職種の方々と仕事をする方がほとんどです。

他にも病院の中堅医療従事者に対して研修を行い、今後の病院管理職になる期待の若手育成を行っています。

気付けばもう50代。働き始めて四半世紀以上が経ちました。





せいざいさん(男性 50歳)
職業
大学病院
職種
薬剤師
年収
約1,200万円
従業員規模
約5,000人(うち部下100人)
地域
埼玉県

Index

目次

プレゼンス(存在感)を、高める。

病院全体にかかわる業務

管理職になるまでの若いころは、薬剤師としての能力を高めながら、院内におけるプレゼンス(存在感)を高めることを常に意識していました。

薬剤部の中だけの業務ではなく病院全体にかかわる業務を行い、「顔の見える薬剤師」を実践してきたつもりです。
具体的には医師の処方を電子化するシステムを導入する際に他部門との調整を行なったり、今でいうDX推進というのでしょうか、様々な業務のデジタル化を部下および他部署関係者と緊密にかかわりながら努めてきました。







管理職の私に、周囲は何を期待している?

プレッシャー

管理職になって感じたことは、「周りの見る目が変わる」ということです。

ポジティブな効果としては、それによって自分の権限が大きくなり、大きな仕事ができるという期待感がありました。
自分の意見の浸透力というのでしょうか、ひとつひとつの発言は部下に対して大きく影響しているのが感じられ、それは私の気合にもなりました。

ネガティブな部分で言うと、プレッシャーでした。
同僚や後輩、更には院外の関係者の人たちも含め、私への責任の要求レベルが高まるのを肌で感じました。

時にそのプレッシャーに押しつぶされそうになるのをこらえながら、「この人たちは、私に今何を期待しているんだろう」であったり、「私のこの行為は、果たして部や病院を前に進めることに役立てられただろうか」であったりを自問しながら業務を行いました。







ある日突然、耳が聴こえなくなって。

ある日突然、耳が聴こえなくなって。

管理職5年目に上司が定年となり、私がその後釜になり薬剤部の業務統括を任された時のことです。

ある日当然、耳が聞こえにくくなってしまったのです。 医師に診てもらったところ、「突発性難聴」と診断されました。

業務統括のポジションに就いてからは、出席する会議の数は一気に増え、薬剤部としての発言を求められるシーンも比例して増え、恐らくそれらのプレッシャーから症状が出てしまったのでしょう。

責任のある重要な会議の日になると、必ずと言っていいほど難聴がやってきました。

医師からは「このまま病状が悪化すると難聴になる可能性もあります」と言われて、どうしたものかと悩んでいた時に、一人の部下が

部下

「もしかして、耳が聴こえにくくなっていませんか?」

と尋ねられたのです。
その部下には症状のことを話していませんでしたので、私は自分が突発性難聴になったこと、そしてそのうえで業務に支障をきたしているようだったら申し訳ないということを伝えました。

部下は「もっと早く言ってほしかったです」と言いながらも、私が現在抱えている業務で部下が行える部分を受け持つことを提案してくれ、辞退しようとする私を聞き入れませんでした。

任せた業務はそれなりのボリュームでしたが、部下は薬剤部のメンバーで分担しながらそれらをうまくこなしてくれました。

そんな日が3日ほど続いて、私の突発性難聴は全く起きなくなったのです。
つまり、私の突発性難聴は、業務の忙しさから来るストレスだったのでしょう。

それと、もうひとつの気づきがありました。
それは、部下たちは私が思っていた以上に成長しており、私が「これは自分がやった方が良いだろう」と思っていた業務も、安心して任せられるようになっていたということです。





管理職として、自分自身を「管理」することの大切さ

自分自身の管理

当時のことを振り返って、まず思うことは「管理職は自分自身の管理、つまり体調管理やメンタル管理をしっかりしなければいけなかったのだ」ということです。

自分の体調管理、ストレス管理がしっかりできないと、仕事に対しての意欲も低減しますし、要所で行う判断もどうしても後ろ向きになってしまう。部下からの提案についてもしっかりした判断ができないこともあるでしょう。

私自身のみならず、部下たちが働きやすい環境にしていくうえでも、自分が肉体的にも精神的にも万全の状態を維持する必要があることを知りました。

あのとき、部下は私の業務負担を一部背負ってくれることを提案してくれました。
本来、それは私のためだけでなく、部下のためにとっても、私の方から発するべきだったのでしょう。

管理職の立場の人が自分の思うように働けていない時とは、部下もまたパフォーマンスを発揮しにくくなってしまうときなのです。







価値貢献していることを、実感できているかどうか。

業績No.1よりも信頼No.1を目指して

管理職として大切なこと」は、二つあると思っています。

一つは、部下をしっかり観て、その能力を最大限に活かすこと。
そうしてもう一つは対外的にアピールをし、プレゼンスを高めること。

まず前者を行うことで、部署全体のパフォーマンスは高まり、目標への取り組みが強化できます。
さらに前者で得た実績を後者で大きくアピールし、組織内外でのプレゼンスをあげることでさらに部下がやる気を出すことができるというサイクルを作り上げることができます。

このサイクルがうまく回り始めれば正のスパイラルが周り始め、部下たちに自然とやる気が満ち溢れるものだと思っています。

私の言うプレゼンス(存在感)とは、「価値貢献していることを、実感できていること」と言い換えることができます。それは誰しもが求めていることであり、仕事の本質と言えるのではないでしょうか。