私の管理職体験談:誰にでも短所はある。そして、長所も。
[最終更新日]2023/10/17
横浜で機械関係を製造する工場に勤めています。
新卒で入社し、今年の4月で10年目になります。
趣味は電子工作で、学生時代、ロボット工学にはまり、今の会社に入社するきっかけにもなりました。
プライベートは妻と二人でのんびりと生活しています。
休日はバイクのメンテナンスやツーリング等をし、仕事と休日のメリハリをつけています。
ジョンさん(男性 30歳)
- 職業
- 製造業
- 職種
- 産業ロボット 装置メーカー
- 年収
- 約600万円
- 従業員規模
- 700人(うち部下12人)
- 地域
- 神奈川県
Index
目次
新卒入社してから、課長に就任されるまで
これまで、転職せずに今の会社一本で働いてきました。
それはまあ、「愛社精神があったから」というよりも、「たまたま、そういう機会がなかったから」なのかもしれません。でも、特に大きな不満なくこれまで働けてきたことは、感謝するべきなのでしょう。
大学卒業後、新卒で一般企業の正社員として入社して、半年間の研修期間中に技術、製造、営業の仕事を経験した後、私は工場のスタッフを希望しました。
そこで配属が決定され、それから4年目までサービスエンジニアとして、主に市場へ出荷された製品の修理を担当し、そこで製品知識、メカ、電気、ソフト面の知識と修理技能を習得しました。
4年目からは主任として、製造現場の監督補佐となりました。
7年目に、上司から「係長になれ」と言われて、昇格。そしてその2年後の9年目には課長へ昇格し、製造現場の管理者となりました。
今の仕事のメインは、納期調整や技能教育、勤怠管理などになります。
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課長就任は、私のメンタルモデルの転換期になった。
正直、課長への昇格の話がでたときは素直に喜べなかったです。
中間管理職は、上層部や部下に挟まれながらの管理業務を遂行していく立場ですから。
また、これまで同期や先輩だった人たちの上に立つこともプレッシャーとなりました。
ただ、家族のことや、今後自分のキャリアプランを見つめ直すいい機会にもなったと思います。
当初はいつも、
- 私
-
「俺なんて、本当にダメな社員だよ」
と、よく妻にネガティブなことばかり話していましたが、
- 妻
-
「意外に、すこしは期待もされてたんじゃないの?」
と、昇格の話を伝えたときに妻が言ってくれて。そう言って励ましてくれる妻のことや、(たしかに、もしかしたら期待されてるのかも)と、少しだけ自信を持つことができました。
そういったポジティブ思考へのシフトチェンジがあったから、今でも管理職を続けるモチベーションを維持できているのだと思います。
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「問題児」のレッテルを貼られた社員が、相談に来て。
私が課長職に就いたのは今から1年前です。
就任後1か月経ったとき、ある部下から職場の人間関係や人事に関して相談を受けるようになりました。
その部下(ここでは「A」とします)とは、他部署から異動になった若手社員で、前部署の上司からの引継ぎでは、「スキルや性格に問題あり」とされていました。
Aはもともと技術畑の出身ではなかったのですが、前部署も私の部署もみんな工学大好きの根っからの製造スタッフでしたので、どうしても存在が浮いてしまっていて。周囲からは全く期待されておらず、彼自身もそれを肌で感じ取っていて、それが空回りしているようでした。
最初Aから「話がある」と言われて、休憩スペースで10分ほど相談を受けていて、彼が非常に辛い状況で毎日の仕事をしていることがわかりました。
一言でいうと、「疎外感」。開発・製造ラインチームは彼を度外視して業務を進めてしまう。それに彼は焦って何かしようとするけども、技術が追い付いていないからすべて明後日の方向にいってしまう。そして、周囲の人間は一層Aを疎ましく扱ってしまう。
このままではAは辞めてしまうだろう。…最悪、潰れてしまうかもしれない。──そう思い、彼が働きやすい職場環境づくりを必死で考えました。
まず、なぜ彼がラインから外されてしまうのか。
それは、彼自身の技術不足の課題と、作業工程においてマニュアル化されていない「暗黙知」領域が多分にあるのがわかりました。
そこで私は、部内で技術教育チームを立ち上げ、表向きは「技術・知識のナレッジ化」を掲げつつ同時に技術力の低いメンバーの底上げとチームワークの醸成──つまり、Aのフォローができる環境を整えていきました。
まあ、そういう取り組みは得てして時間がかかるものです。
幸運だったのは、その間Aは諦めずに取り組んでくれたこと。そして、私の環境づくりに賛同してくれるメンバーが(数は若干少なかったですが笑)いてくれたこと。
半年以上たって、Aは段々と製造現場で活躍することができるようになりました。
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私が思う、管理職に求められるただ一つの「センス」とは。
Aとのやり取りを経て思ったことは、「とにかく管理者は、部下の長所を見極める事が大切だ」ということです。
人はとにかく、他人の短所ばかりを探してしまいます。
もちろん短所を見つけることは時に必要なんでしょうが、まあ「意味が無い」ケースがほとんどです。特にチームワークを重視する業務であれば、なおさらです。
短所とは結局相対的なもので、誰かの長所はそのまま誰かの短所になるのですから。
だから、短所は誰もが持っています。──当たり前の話ですよね。
Aとの一件から、私はとにかく人の長所をなるべく早い段階で見つけて、そのスキルを伸ばすことを意識するようになりました。
管理職は特段のスキルが無くてもやれるものだと思いますが、この「長所を見つける」というセンスは、管理職を続けるうえでとても大事だと思っています。
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ものづくり会社の、更なる発展を目指して。
最初はプレッシャーを感じていた管理職業務ですが、今はそれ程嫌な気持ちはなく、前向きにこなせています。
意識していることは、「働きやすい職場づくり」と、それから「会社の発展」。
自分が行う行為が、結果的に会社にとってプラスになるか等を常に考えていきます。
私の会社はものづくり企業ですが、残念ながら日本のものづくりは年々衰退してきており、米国や中国、韓国などの諸外国に後れを取りつつあります。
ものを製造する上では、やはり優秀な人材が必要でしょう。
管理者になる前までは、おこがましくも「自分がそうなれれば」と思い、物をひたすら生産してきました。ですが、人がひとりでやれることは限られています。それよりも、皆の長所を掛け合わせて、「優秀な人」ではなく「優秀な会社」を目指して、今は人材育成にも力を入れています。
Made In Japanの誇りを維持していけるような会社になるよう、そして私自身もその一員として胸を張れるような仕事を目指して行きたいと思っています。
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