セキュアベース(安全基地)って何? その効果と、ビジネスの場での活用法について

[最終更新日]2019/02/21

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企業や組織が変化し、成長していくためには、まずその構成員一人一人が挑戦し、成長していこうというスタンスが重要です。しかし、部下がなかなかリスクをとって挑戦することをせず、組織全体に停滞感が漂っていると悩みを抱える管理職は多いようです。

もしかすると管理職が「セキュアベース」となって部下の挑戦を後押しすればその停滞を打破できるかもしれません。今回は「セキュアベース」という考え方について紹介します。

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セキュアベース(安全基地)って何?

セキュアベースとは直訳すれば「安全基地」ですが、ここでは人に安心感をもたらす「心の安全基地」ということになります。人は誰しも変化することを潜在的に恐れる性質を多かれ少なかれ持っています。部下にしてみればこれまでと違う「挑戦」は「変化」に他ならないので、自然体でいれば「変化を恐れてしまう」のは普通のことです

そのような状況下で部下が挑戦できるようにするためには、この不安感を緩和する「安心感」を与える存在が必要となります。その「安心感を与える存在」がここでいう「セキュアベース」となります。企業組織において一般的にその部署の成長をサポートするのは上司の役目ですから、上司が部下にとっての「セキュアベース」となることが望ましいと言えます。

セキュアベースになるためには、上司の部下の信頼感の構築が鍵となります。お互いが、特に部下が上司を信頼することで、部下は失敗や変化を恐れずに積極的に挑戦できるようになっていき、やがて組織にも変化や成長が齎されることとなります。

セキュアベース(安全基地)を確保することで得られるメリット3つ

さて、セキュアベースの概要は先に説明した通りですが、組織において部下が「セキュアベース」を得ることにはさまざまなメリットが存在します。部下個人個人に対するメリットはもちろんですが、組織全体に対しても確実にメリットをもたらすと言えます。

以下で「部下がセキュアベースを得ることの3つのメリット」を順を追って説明していきます。

新しいことに挑戦する勇気が生まれる

まずは、セキュアベースを得ることで、新しいことに挑戦する勇気が生まれることになります。本来人間は変化や挑戦を恐れる生き物ですが、セキュアベースという安心感を得ることで、失敗することや現在の状況がなくなってしまうことに対する潜在的な恐怖が取り除かれます。

組織で言えば上司が信頼されながらも挑戦をサポートする姿勢を示すことで「きっと失敗しないし、万が一失敗しても大丈夫」と思えるようになります。このように考えることで、新しいことを思いつく柔軟性と、それを実行に移す積極性が部下に芽生えるようになります。

結果に対する賞罰も一定程度は必要ですが、部下に挑戦を促すためには、上司が挑戦をサポートし、また失敗の責任を部下だけに負わせない、しっかり部下を守る姿勢をしめすことが重要です。部下は信頼感と安心感を得て、新しいことに挑戦するマインドを持つようになります。

ピンチの局面でも、冷静に対処できる力がつく

人間は不安なままで変化や挑戦を迎えると、失敗しやすくなるのももちろんですが、失敗した時(または失敗しそうな時)に不安感に支配されてしまい冷静に判断ができなくなるところがあります。セキュアベースを得ることで心理的安心感を得ることで、先に紹介した通り「最悪失敗してしまっても大丈夫だ」という心理状態になることができるようになります。

すると不思議なことに、セキュアベースを持っていない人と比較して、冷静に判断し、より最善に近い対応ができるようになります。そうすることによってピンチを切り抜けられる可能性は高くなるともいえます。

このようにセキュアベースの存在により、単に部下に挑戦を促すだけではなく、失敗したとき、失敗しそうな時に的確な対処ができるようになり、結果的に部下の失敗を減らしたり、失敗しても傷を浅く済ませることができるようになるというメリットがあります。

職場での人間関係が向上する

部下がセキュアベースを得るということは、それ自体上司との信頼関係が構築されていることになります。そしてセキュアベースがしっかり存在することによって部下は挑戦し、また失敗を恐れずに対応できるようになり、変化や成長を実現できるようになります。そうすれば上司は当然部下を評価し、信頼するようになりますので、部下は部下でより一層上司を信頼するようになります。

またセキュアベースとして上司がみなされることで、部下は上司を信頼しより本音で会話ができるようになります。もちろんこのことはさらに人間関係を深化することにつながります。

このようにセキュアベースを部下が持つことで人間関係が強化され、その人間関係がまたセキュアベースをより強固なものにするという「正のスパイラル」が発生します。このように、部下がセキュアベースを持つことは、上司と部下の人間関係の強化にもつながっていくといえます。

セキュアベース(安全基地)の効果を実感した実例

さて、ここまでセキュアベースのそもそもの意味合いや効果、メリットについて説明しましたが、ここではセキュアベースの意味合いをより実感を持って認識してもらうために、一つセキュアベースを基にした実例を紹介します。

セキュアベースを得たことによってとある営業職の若手社員が挑戦を恐れなくなり、そして、成功とともに自信が成長できたという実例ですので、参考にしてもらえればと思います。

セキュアベースを頼りに新しい提案をして案件を獲得した若手営業マンの話

今回紹介する「彼」は金融機関の法人営業部門の若手社員でしたが、ちょうどこの一年で初めて主担当を持たせてもらうようになり、事業会社に対して資金調達方法の営業や情報提供を行ってきました。初めての担当先だったため、当初はなかなかうまく顧客とコミュニケーションをとることができませんでした。

特に「クライアントとどこまで踏み込んで話していいか」よくわからず、なかなかクライアントのニーズを察知し、クライアントの心に響く資金調達手段が提案できずに困っていました。そのような状況を見た上司は、彼の挑戦をサポートするスタンスを取るようになりました。

あくまで重要なところは彼自身に考えさせるようにしながら、営業を行う上で必要な社内調整は進んで協力し、また結果に対する責任もしっかりととる姿勢を見せました。

結果的に彼は徐々に顧客と本音で会話ができるようになり、その中で新たな資金ニーズを拾い上げることができました。彼は上司のアドバイスを受けながら社内の様々な協力を仰ぎ、クライアントにとっては初となる斬新なスキームでの資金調達手段を提案することができました。

結果、その提案がクライアントの心をつかみ、見事案件を獲得することができました。彼は上司をセキュアベースとすることで積極性を得ることができ、新たな提案をクライアントに行って案件獲得に至ることができたのです。

セキュアベース(安全基地)を形成するための3つの方法

セキュアベースを形成すれば積極的に挑戦できるようになる、というのは簡単ですが、実際にはなかなかセキュアベースとなるような上司を見つけることができず、積極性を得ることができずにいる人は非常に多いです。参考までに、この章では、セキュアベースを形成するためのポイントについて3点紹介します。

以下のポイントを参考にしてセキュアベースを形成するよう取り組んでみましょう。

上司の立場から「責任はこちらで取るから、とにかく挑戦してみよう!」と促す姿勢

社員にチャレンジを促したい場合、よくある事例として企業は、賞罰をはっきりさせて「成果には報いるし、失敗したら相応に報酬に影響を与える」という施策を行うことが多いです。しかし、心理学上はこの施策は逆効果であることがわかっています。

もちろん一定程度は賞罰の仕組みがあることを否定する訳ではありません。しかし、リスクを取りチャレンジする部下を増やしたいのであれば、上司として求められる姿勢は「部下の結果の責任は自分が取る」と部下に伝え、実際に責任感あるスタンスを部下に示すことです。

組織の責任はその管理者=上司の責任なのでこれは本来当たり前のことなのですが、賞罰がはっきりしている企業は、「自己責任」の名の下に、部下から見て上司が無責任に映ってしまうことがしばしばあります。部下に挑戦を促すからには、ただ挑戦しろというのではなく、きちんと組織として、上司として「責任は上司が取る」姿勢を見せることが大切です。

コミュニケーションの場を増やすこと

上司をセキュアベースとみなせるようになるには、部下と上司の信頼関係の構築が非常に重要になります。上司に対する信頼がなければ、上司がどのようなことを言っても部下には響きませんし、部下を安心させることが難しいのはいうまでもないことです。

従って、「セキュアベース」の形成のためには、まず上司と部下が積極的にコミュニケーションをとって、おたがいの信頼関係を深めることが必要になります。

会社というのは放っておくとなかなか充分なコミュニケーションがうまれないものですから、ここは上司が能動的に、積極的にコミュニケーションを取りに行くことが肝要です。職場でも部下に気を配り、声をかけるようにすることは大事です。

また、ランチや(部下が嫌がらない程度に)飲みに行くなど仕事内外でのコミュニケーションを増やしていくことが、セキュアベース構築には重要になります。

自分自身で「ここまでなら失敗しても大丈夫」なラインを決めておく

最後は上司・部下双方にとって重要となるポイントとなります。組織にとって、自身にとって致命傷とならないレベルで「ここまでなら失敗しても大丈夫」という撤退ポイントをあらかじめ作っておくのです。投資における「損切り」の発想に近いですが、予め挑戦する範囲を決めておき、そこまでは積極的にやり、ダメなら潔く撤退する、とルール付をしておくのです。

上司も同様で、責任を取ると言っても会社を傾けるほどの責任を取れる立場にある上司はほとんどいないでしょう。そこで、「ここまでなら責任を取って部下にやらせる。まずくなったら自分が出て行くかやめさせる」というラインを決めておくことが肝要です。

「失敗しても大丈夫」なラインを決めておくことで「そこで撤退すれば致命的にならない」という安心感が醸成され、積極的に挑戦するマインドがうまれるのです。

セキュアベースとなることが部署に変化をもたらす近道

上司としてなかなか部下が挑戦しない、成長しないことに悩んでいる方は、もしかすると部下にとってのセキュアベースになれていないことが原因かもしれません。この記事に紹介したようなポイントを参考に、部下との信頼関係を構築し、部下にとっての「安心感」の源泉であるセキュアベースとなるよう心がけることが肝要です

セキュアベースを手に入れた部下は失敗を恐れず積極的に挑戦するようになり、結果的に組織全体を成長させることにつながります。

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