「本を読むのが遅い…」 読書の苦手を克服する3つのステップ
[最終更新日]2022/12/15

管理職ともなると業務上必要な資料だけでなく、マネジメントやコーチングなどのビジネス書を読みたいと考えている人が増えてきます。
とはいえ読むのが遅く、気が付くと本がたまるという悩みを抱えていることもありそうです。
また、読書時間を確保するのが難しい管理職のなかには、読書スピードをあげたいと考えている人もいることでしょう。
そこで今回は、本を読む速度に差が生まれる理由や遅読について、速読のメリットやそれを体得する方法について、お話しします。
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目次
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なぜ本を読む速度に差が生まれるのか?よくある2つのパターン

読書をする人は、「遅読」と「速読」に分かれます。
読解力や語彙力に差がなくても、本を読む速度に差が生まれるのです。
なかでも遅読の理由を紐解いてみると、そこには共通するパターンがあります。
速読について話をする前に、遅読の原因について考えてみましょう。
遅読の原因1)「熟読」への意識が強すぎるため
まず、遅読になる原因の一つに「熟読することへの意識の高さ」があげられます。
遅読の人は、書かれていることを少しでも多く汲み取り、知識をして残そうと考える傾向があるようです。
1冊の本を1週間かけて読んだとしても、内容が1カ月後には1%としか残らないと仮定します。
その場合、1ヵ月に読めるのは4冊程度ですから、残る知識は読んだ本のうち4%です。
同じ前提で考えると、1週間で7冊読める速読の人は1ヵ月で28%の知識が残ります。
つまり、1冊から知識の小さなかけらを得るのではなく、1冊でも多くの本を読んでかけらがつながるかたまりをつくる方が、教養を身につけるうえでは大切という考え方があるということです。
持っている知識と読書で得られる新たな視点の組み合わせが、読書の楽しさにもつながっていきます。
遅読の人は、読書に対する発想を変えてみることから始めてみましょう。
遅読の原因2)頭の中で「音読」している
遅読の原因の二つめは、目で文字を追うときに、頭のなかで一文字ずつ音読していることがあげられます。
その背景には、文章をすべて完璧に読もうとする意識があるようです。
学校の音読であれば、一文字も飛ばすことなく読まなければなりませんが、読書はその必要はありません。
文意を汲み取る際には、文章のなかで必要な情報だけ拾い読みできれば十分です。
どうしても頭のなかで音読する習慣が抜けない人は、早口で読むことをイメージして読書しましょう。
自宅などで、実際に早口で音読してみるのもおすすめです。
そのスピードを脳で認識できるようになれば、読書の速度も上がるはずです。
遅読は決してムダではない? 3つのメリット解説
前章までを読むと、遅読は悪いものだという印象を受けるかもしれません。
確かに同じ時間でたくさんの本を読める速読には、メリットがたくさんあります。
しかし、ゆっくりと本を読む遅読にもよい面があるのです。
そこで、遅読の3つのメリットについて、詳しく説明していきたいと思います。
その① 本の内容をじっくりと味わうことができる

遅読のメリットの一つめは、じっくり時間をかけて本を読むことで、書かれている内容を正しく理解できるというものです。
速読するためには、文章をブロックで読む必要があるため、部分的に読み飛ばしすることが多いです。
小説などの場合、文章の些細な言葉に伏線がはってあることが多く、読み飛ばしたことでストーリーを読み誤る可能性があるのです。
その点遅読の人は、語句を一つずつ丁寧に読んでいきます。
前後関係や伏線につながる言葉をきちんと読み進めているので、文意を正しく理解できます。
じっくり読むことで、行間からストーリーの世界観を感じることもできそうです。
その結果、ストーリーを十分に楽しめる点は、遅読のメリットといえるでしょう。
その② 文章の読解力が上がる

遅読の人は、文章を一文ずつじっくりと読み進めていきます。
文章によっては風土や季節などの情景が丁寧に描かれていたり、登場人物の心理描写が事細かく記載されていることがあります。
そうした文章を読むことで、文章の表現のバリエーションが増えることも、メリットの1つといえるでしょう。
また、古典を含めて、難解な文章を読むときにも、遅読の方が有利です。
わからない語彙や表現を調べながら、根気よく難解な文章と向き合うことで、読解力がアップします。
読解力がアップすることで、より深く本を理解できるようになるはずです。
その③ 発想やアイデアが浮かびやすくなる

遅読の人は、じっくりと文章を目で追いながら、頭のなかでその世界のイメージをふくらませているものです。
語彙力や読解力があると、より想像力が働くので、自然に考えをイメージ化する習慣がつきます。
それが、読書以外でも生かされる機会があるのです。
遅読の人のなかには、本を読んでいるときに仕事のヒントやアイデアが思い浮かんだ経験がある人がいるはずです。
それは、読書というリラックスタイムに想像力を刺激されることで、発想が浮かびやすいからかもしれません。
また、アイデアはオリジナルのものではなく、過去の経験の組み合わせであると考えると、遅読で丁寧に読む一文のなかから、ヒントとなる言葉や文章が見つかる可能性があります。
これも、遅読のメリットといえるでしょう。
なぜ速読は多くの人に実践されているの?速読がもたらす“効果”とは

書店に行っても、速読に関する書籍が数多く販売されています。
それは、速読の効果を感じている人、あるいは実践したいと考えている人が増えているからでしょう。
では、速読を実践している人が多いのはなぜなのでしょうか。
その理由でもある、速読の効果について、詳しく紹介していきましょう。
その① より多くの知識を吸収できる
速読の効果の一つめは、より多くの知識が得られることです。
1週間で1冊しか読めない人は、1ヵ月で4冊、1年で48冊の本を読むことになります。
ですが速読法をマスターし、1週間で4冊の本を読めるようになれば、1ヵ月で16冊、1年で192冊の本を読むことが可能です。
その内容の1%しか残らなかったとしても、読書量が増えれば増えるほど、吸収される知識の量も多くなると考えられます。
また、速読であれば移動時間などの短時間でも効率よく読書が進められるので、より多くの情報に触れることにもつながります。
読書で物語の世界観にひたってリフレッシュすることも、ビジネス書などから仕事に実践できるスキルを学ぶことも、教養を深めることもできるのは魅力です。
その② 時間を有効的に使うことができる
遅読の人は、読書に費やす時間がどうしても長くなります。
ですが速読であれば、日々の隙間時間を活用して、読書を進めることが可能です。
1冊の本を1時間で読んでいた人が、それを15分で読めるようになれば、45分は別なことに使うことができます。
管理職の場合、業務も多岐にわたりますし、部下のフォローに時間をとられることもあります。
そうした忙しい毎日のなかで、時間を有効活用するうえでも、速読のメリットは大きいのです。
速読には「デメリット」も存在することに注意
いろいろな効果がある速読ですが、実はデメリットもあります。
速読をする際には、文面をいくつかのブロックに分けるなどして、文章を読み飛ばすスキルが必要です。
そのため、語彙や文章をじっくりと読む遅読に比べると、読み飛ばしている分、内容の理解が浅くなる点は否めません。
過去に、速読大会のチャンピオンが最新刊のハリーポッターを読んだ後、ストーリーの理解度を調べる実験をしたところ、内容がわかっていなかったという結果が出たそうです。
文章を読み飛ばしたからこそ起こることで、これは速読のデメリットといえます。
伏線がはられたミステリーのなかには、速読が適さないものもあるので注意しましょう。
読むペースよりも重要なのは、読書を通じて「何を得たいのか」
遅読には、
- 本の内容をじっくり味わえる
- 文章の読解力があがる
- 発想やアイデアが浮かびやすくなる
というメリットがあります。
一方の速読には、
- より多くの知識が吸収できる
- 時間を有効活用できる
というメリットがあります。
そう考えると、読書に求める目的と読む内容によって、どちらがよいのかが変わる可能性もありそうです。
物語や文章の世界観を十分に味わいたいなら遅読が、効率よくより多い知識を手に入れたいなら速読が適しています。
そう考えると、読書において大事なのは速度ではなく、何を求めるかを明確にすることといえます。
自分にとってどちらの読書方法が目的にかない、効率がよいかを考えて、選択してみるとよいでしょう。
速読を身につけるために最適な「3つのステップ」
遅読の良さは十分に理解していても、忙しい管理職は時間を有効活用する意味でも、速読できるにこしたことはありません。
読書速度を上げるための方法があれば、実践してみたいと思いますよね。
実は、速読をトレーニングする際には、3つのステップに則るのが基本です。
そこで、3つのステップについて、段階ごとに詳しく説明していくことにしましょう。
ステップ1 目を速く動かせるようにする

速読トレーニングの第一ステップは、目を速く動かせるようになることを目指します。
簡単なトレーニング方法は、以下の通りです。
- パソコンのモニターの前に座る
- その状態のまま、モニターの上の端と下の端を、素早く交互に見る
この2つです。
このほかに、SP速読学院が行っている「視点トレーニング」という方法があります。
- モニター上に文字が縦に映し出される
- 縦移動する文字を目で追う
というものです。
表示されるモニタースピード調整ができますし、自分のペースに合わせてトレーニングをすると眼筋が鍛えられます。
こうしたトレーニングを続けるうちに、少しずつ目を速く動かせるようになります。
自分が続けやすい方法を、チョイスしてみましょう。
ステップ2 文章を「文字数」ではなく「ひとかたまり」として捉える

速読トレーニングの2つめは、文章を大きなかたまりで捉えることです。
1ページをいくつかのかたまりに分けて読み進めれば、読書速度が上がっていきます。
文章のかたまりのなかに含まれる、複数の文字を理解するのがポイントです。
その題材には、新聞紙や雑誌が適しています。特に新聞紙は、11文字が1行になるように段組みされており、文章をかたまりでとらえやすいとされています。
とはいえ、小説やビジネス書の1行の文字数はもっと多いので、雑誌を使ってトレーニングするのがおすすめです。
このトレーニングをくり返すことで、眼筋が鍛えられます。
その結果、視野が広がって、より大きなかたまりの文章が理解できるようになるはずです。
ステップ3 スピードと「読解力」を両立させる

速読ができるようになっても、内容を理解できず、知識が蓄積されなければ、読書する意味がありません。
速読トレーニングをする際に気を付けたいのが、「視読」と「読解」の両方を鍛えるよう意識することです。
視読では、読書するうえで視野を広げ、速度もアップすることを重視します。
読解は速度ではなく、内容の理解に重きを置きます。
速読するからには、この両立を目指すのがセオリーです。
そのため、速読ができるようになってきたら、本を読み終わったときにその内容を書き出して、きちんと理解できているかどうかを確かめてみることをおすすめします。
そこで内容が理解できていないようであれば、一度に読む文章のかたまりを小さめにするなど工夫するとよいでしょう。
視読と読解が両立できる速読は、自分にとってプラスが大きくなります。
目的に合わせた読書法を体得しよう

今回は、本を読む速度に差が生まれる理由や遅読について、速読のメリットやそれを体得する方法について、お話ししました。
この記事をまとめると、
- 遅読と速読それぞれにメリットとデメリットがある
- 読書の目的によって、適した方法が変わる
- 速読はトレーニングすることでできるようになる
の3つです。
忙しい管理職は、速読をマスターすると時間を有効活用できるようになります。
この記事を、自分の読書方法を見直すきっかけにしていただけると幸いです。
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