組織・チームで女性活躍推進の仕組みを取り入れるには?

[最終更新日]2019/10/21

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女性が活躍できる組織に!

近年「女性活躍」という言葉をよく耳にはしませんか?

電車に乗っていると女性の車掌さんを見かけることが多くなり、「リケジョ」という言葉が流行しました。各分野へ進出し活躍する女性をよく見かけるようになったと感じられますが、他人ごとではありません。

2015年に「女性活躍推進法」が定められ、企業も女性活躍のために取り組みを実施することが求められています。

しかし実際に会社で女性活躍を推進しようとしても、まず何から取り組むべきなのか判断するのは難しいですよね。

今回は「女性活躍推進」が必要な理由、そして対応の方法を女性が活躍する企業例を参考にご紹介します。



Index

目次

なぜ「女性の活躍推進」が必要なのか?

社会的に必要な理由

働きたい。のに働けない…

政府が女性活躍を推進する背景には様々な要因がありますが、人口減少に伴い労働力が不足しているにも関わらず、働きたくても働けない女性が約300万人(2014年)もいることが大きな要因として挙げられます。働きたくても働けない最も多い理由は「出産・育児のため」ですが、次点では「適当な仕事がありそうにない」という理由であることから、まだまだ女性が働ける場所が不足していることが読み取れます。

男女格差を是正する、そして不足する労働力を補い経済成長を促す観点から、社会として女性活躍推進が必要と言えます。




企業として必要な理由

企業にとって、女性の活躍は、労働力の確保
企業への義務

政府の立場として女性の活躍推進が重要なことは理解できますが、企業にとっての必要性が感じられない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

まずは女性の活躍推進が会社にとって必要な理由を以下のポイントごとにご紹介します。

  • 労働力の確保
  • 企業への義務


労働力の確保

人口減少に伴う労働力の不足は会社にとっても大きな影響を与えます。

現在就職活動においては「売り手市場」と呼ばれ、すでに十分な労働力の確保が困難とされている状況です。

企業の対策としてIT化を進め必要な労働力を削減することも重要ですが、現状より多様な人材を受け入れることも必要となります。

男性の生産年齢人口は2008年以降減少が続いており、少子化が進む中今後人口の増加を見込むことは困難でしょう。

外国人や高齢者の登用という選択肢もありますが、男性のみ採用している企業は女性の登用も考えることが必要となることが予測されます。



企業への義務

大企業の義務自社の女性活躍の状況把握・課題分析
課題解決に向けた数値目標と行動計画の策定・届出・周知・公表
自社の女性活躍に関する情報の公表

女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、常時雇用する労働者が301人以上の大企業は女性活躍推進に向けて以下の取り組みを実施することを義務付けられています(300人以下の中小企業は努力義務)。

  • (1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • (2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
  • (3)自社の女性の活躍に関する情報の公表

引用:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html)

また施行日は未定ですが、義務付ける企業を労働者301人から101人以上へとし、さらに301人以上の企業については「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」等複数の区分から1項目以上公表することを義務付ける改正案が成立しています。

したがって企業としては今後ますます女性活躍推進のために行動せざるを得ない状況です。




性別に関わらない多様な働き方のために必要

女性活躍推進法は「男女が共に仕事と生活を両立でき、全ての人にとって暮らしやすい、さらには持続可能な社会の実現につながる」ことを目的として成立した法律です。

つまり男女ともにワークライフバランスがとれるような社会とすることを目指す取り組みなのです。女性活躍推進によりメリットを享受できるのは男女両方だと言えます。

例えば働きたい女性がいる一方でもっと家事や育児に関わりたいという男性もいます。

子供がいる男性有職者へのアンケートで仕事と子育てを両立したい人の割合は69.3%に昇りますが、現状は56.2%が仕事優先であると回答しています。またパタニティハラスメントが問題となるなど、男性の家庭への参画も進んでいない状況です。

男性の仕事と子育てへの希望・現状

女性活躍推進は女性の社会参画を促すことで「男性は外で働き女性は家を守る」という社会意識を変化させていく効果があると言えます。

つまり男性としても「男女関わらず家庭に携わるべきだ」と主張しやすい環境になると考えられます。

また企業も女性活躍推進法により、家庭と仕事を両立できる制度を整備するでしょう。女性活躍推進は働き方の多様化を進める施策の1つであるという見方をすることが重要です。

「女性活躍推進」の進め方

「女性活躍推進」の進め方状況把握・課題分析
行動計画の策定・公表
チェック・アフターフォロー

それでは実際に女性活躍推進はどのように進めれば良いのでしょうか?各企業によって効果的な方法は様々ですが、今回は一例として女性活躍推進法で義務化されている内容に沿った進め方を以下のポイントごとにご紹介します。

  • 状況把握、課題分析
  • 行動計画の策定、公表
  • チェックとアフターフォロー



状況把握、課題分析

取り組みとしてフレックスタイムなど制度を導入することが思い浮かびますが、制度を導入しても会社の状況によっては女性活躍推進に上手くつながらない場合もあります。

効果的な取り組みとするためには状況把握と課題分析が重要です。状況把握と課題分析は女性活躍推進法に基づき義務化されており、厚生労働省が作成した「一般事業主行動計画策定支援ツール」を利用すると便利です。

提出が義務付けられてる項目は以下の通りです。

  • ①採用者に占める女性比率
  • ②勤続年数の男女差
  • ③労働時間の状況
  • ④管理職に占める女性比率

引用:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000095826.pdf)

他にも任意項目があるので加えて把握するとより効果的です。

また社員にアンケートを実施する等、社内の雰囲気や意識など算出できない課題を把握することも重要です。

多方面から情報を集め、どのような課題を抱えているのか分析してみましょう。参考として以下のような課題が挙げられます。

課題の参考例STEP1
女性の
採用が
少ない女性に関連する
設備や業務が
整っていないSTEP2
就業継続
が困難昇進制度が
女性には不利
キャリア不透明STEP3
女性
管理職が
少ない休暇が取り辛い
勤務時間固定
残業が多い

例えば「女性の採用数が少ない」ことが課題として挙がった場合、女性が使用する設備は整っているが採用活動の際は男性向けアピールとなっている等、大きな課題の中でもクリアできている・できていない課題があると思われます。

大まかな課題を分解しクリアできていない要素を分析しましょう。




行動計画の策定、公表

課題を元に実施時期・数値目標を決定し、具体的な計画について策定します。例として以下のような取り組みが挙げられます。

採用 ・女性社員の数を増やす方法
・制度やロールモデルのアピールなどPR方法を工夫する等
職場風土 ・女性が活躍できる風土を作る
・設備等ハード面の整備に加え、研修等による社員意識の醸成などソフト面の取り組み等
定着・働き方 ・女性が定着し働き続けるための施策
・フレックスタイムや在宅勤務の導入、長時間労働の是正など、家庭と両立できる選択肢を設ける等
配置・育成 ・女性が活躍し続け、多様なキャリアを選べるようにする施策
・キャリアプランを個人ごとに作成する、多様なキャリアコースを設定する等
評価・登用 ・女性がキャリアアップできるようにする施策
・時短勤務者や休暇利用者への公正な評価制度、女性の職域を広げることを検討する等

参考:厚生労働省 一般事業主行動計画策定支援ツール

これらはあくまで一例であり、女性活躍推進は非常に多くのアプローチが考えられます。

配置・育成に力を入れることが採用活動で女性へのアピールとなるように、それぞれが多面的なプラスの効果を持っています。様々な対策を組み合わせ多角的に取り組むことが重要です。

対策が策定できればいよいよ公表です。以下のような公表先があります。

社内 ・取り組み開始の周知(メール、社内報、代表メッセージ、研修等を活用)
社外 ・労働局雇用環境・均等部への届出(義務)
・女性の活躍推進企業データベースや企業HPへの掲載

女性活躍推進法により公表を義務付けられている企業は、一般事業主行動計画を主たる事業所の所在地の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に届け出る必要があります。

また社外への公表が義務付けられているため、厚生労働省が推奨する「女性の活躍推進企業データベース」や企業ホームページへ取り組み内容を掲載することもおすすめです。公表は企業アピールにも繋がります。

社内に対する公表では、政府の取り組みや背景等も公表する、会社の労働力確保や働き方の多様化をアピールする等、社内一丸となって取り組めるような雰囲気を醸成できるように公表の方法を工夫することが必要です。



ポイント 女性優遇ではなく「ポジティブアクション」を実施する

「3年間で女性管理職20%増加」といった女性社員に関する目標を掲げることは問題ありませんが、「フレックスタイムは女性社員のみ使用可能」など性別によって待遇を変えることは男女雇用機会均等法に抵触してしまいます。

女性を優遇するのではなく、男女労働者の間の事実上の格差を解消するための積極的な取り組みである「ポジティブアクション」を行うことが女性活躍推進のポイントです。

男女の働きやすさ男性の多い職場では
女性の働きやすさは
軽視されがち
→女性の労働環境を
 男性の労働環境水準まで
 上げるイメージ



チェックとアフターフォロー

行動計画を立て実行に移るとひと段落したいところですが、実際の効果が出ているか、そしてもっと改善できるところはないかを定期的にチェックしフォローすることが重要です。PDCAサイクルを意識しましょう。

PLAN・状況把握
・課題分析DO・行動計画
・公表CHECK・数値比較
・アンケートACTION・追加や
 変更

目標数値との比較や社内アンケートなどを利用しチェックしてみると、制度を導入したものの利用しづらい雰囲気がある、業務の見直しが必要である等、新たな課題に直面するでしょう。

定期的に数値の分析や社員の聞き取り調査・アンケートを実施し、適宜改善することが必要です。



ポイント 第三者の目を有効活用する

社内文化に染まりポイントを見落としてしまっている場合もあるので、積極的に外部の取り組みを参考にすることが効果的です。

「一般事業主行動計画策定支援ツール」では政府の推奨する目標・取り組みが、「女性の活躍推進企業データベース 」では他社の取り組みを参考にすることができます。

自社の取り組みの客観的な意見が欲しい場合は、厚生労働省から委託された専門家である「女性活躍推進アドバイザー」や、女性活躍推進に関係するコンサルティング業者を利用することもおすすめです。

「女性活躍推進」が活性している企業事例

「女性活躍推進」と一口に言ってもそのアプローチは多岐に渡ります。企業の状況や課題、目指したい姿によって最適なアプローチ方法は異なるでしょう。

様々な選択肢を吟味し、自社に合った最適な方法を選ぶことが重要です。

今回は女性活躍推進に積極的に取り組み、厚生労働省より好事例として取り上げられている企業を課題ごとにご紹介します。対策をそのまま取り入れるということは難しいかもしれませんが、ポイントや考え方を導入するなど選択肢の1つとして参考にしてみて下さい。




事例#1 <女性の立場に寄り添った職場風土の整備> 大成建設株式会社

CASE1  大成建設株式会社Task:女性社員がそもそも少ない

Measures:職場風土の改善と
           女性社員の職域拡大
  • 課題:女性社員がそもそも少ない
  • 対策:職場風土を改善し女性社員の職域を広げる


課題:女性社員がそもそも少ない

建設業界と聞くと女性社員は少ないイメージではないでしょうか?

実際、建設業界の女性社員の割合は13% (2015年)とかなり少ない業界です。
そんな中大成建設㈱は女性の採用に力を入れており、2007年以降、新卒採用者の5人に1人が女性です 。

女性比率が少ない企業として様々な取り組みをされている企業ですが、今回は女性社員の職域を広げる活動を中心にご紹介します。



対策:職場風土を改善し女性社員の職域を広げる

女性はどうしても筋力面で男性に劣る部分もありますが、純粋に筋力のみを使う仕事はほとんど稀です。

それにも関わらず女性は事務職として採用される傾向にありますが、大成建設㈱は施工管理や営業職など、事務職以外にも女性社員の職域を広げるため、職場風土を改善する取り組みを実施してきました。

例としていくつか以下にご紹介します。

ハード面 ・建設現場内での女性専用トイレ、パウダールーム、休憩室の設置
・軽量化した作業用品の開発・実用化
ソフト面 ・出産・育児などライフイベントにより生活が忙しくなるまでに、仕事の面白さを感じてもらえるようなキャリアコースを設定
・女性社員が取引先とも馴染みやすいよう、配属前に関係者へ会社方針を先輩社員が説明

参考:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000102956.pdf)

「女性も使用できるトイレ」では防犯面が不安である、生理用品を捨てるのに困るといった課題がありますが、「女性専用トイレ」ならより安心して使うことができますね。

ハード面ではトイレなどこうした設備に注目してしまいがちですが、作業用品を軽量化するなど、実際の作業工程に目を向けた工夫も参考にできるポイントです。

ソフト面では社外に対しても取り組みを実施していることがユニークです。

古くから男性の多い業界では女性社員に対してマイナスの固定観念がある場合もありますが、事前に説明を行うことでトラブルや関係悪化とならないよう、また女性社員としても働きやすいように配慮されています。




事例#2 <組織単位で時短に取り組む> SCSK株式会社

CASE2  SSCK株式会社Task:
女性社員の定着率が悪い

Measures:
長時間労働体質の改善
  • 課題:女性社員の定着率が悪い
  • 対策:根本的な問題である長時間労働体質を変える


課題:女性社員の定着率が悪い

女性を採用するものの定着率に悩む企業も多いのではないでしょうか?

SCSK㈱も約7割の女性社員が30代前半までに離転職してしまう問題に悩み、根本的課題は長時間労働体質にあると考えました。

そこで様々な対策に取り組まれた結果「プラチナくるみん」に認定されています。今回はそんな取り組みの中でも時短に向けた活動をご紹介します。



対策:根本的な問題である長時間労働体質を変える

長時間労働の改善は個人での作業工程の見直しに解決を求められる傾向にあります。

しかし個人の負担となりすぎないように、SCSK㈱では組織一丸となって長時間労働を改善するように取り組んでいます。以下取り組みを抜粋してご紹介します。

トップの強いコミットメント ・毎週役員会議にて各組織ごとの平均残業時間及び平均年休取得日数を報告、コメントを社内ネットワークにて共有
・役員や部長層が顧客企業を訪問し、生産性向上のため残業削減や有休取得を推進していることを説明
ワークシェアの徹底 ・1人で1つの仕事ではなく、2人で2つの仕事をする体制にする
・有休の計画付与を年単位で実施し、あらかじめ顧客企業に伝えておく
・削減された残業代は社員への特別ボーナスとする

参考:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000102958.pdf)

組織単位で行動を起こすにはトップ層の強いコミットメントが重要です。

トップメッセージを1回表明したままになっている、対策委員会を発足したものの活動できていないという企業もあると思われますが、社員に重要度を理解してもらうにはトップによる継続した活動が重要です。

SCSK㈱では毎週意見を共有し、また外部にも自ら出向く等、トップ層が活動を牽引していることが強い推進力に繋がっています。

また組織単位で活動できるよう、複数人で仕事を担当するように制度を整えています。時短の取り組みは残業代が減るのは困るという社員の反対を受けることもありますが、削減した残業代を社員に還元することは社員のモチベーションを上げ、社内での時短意識を醸成することにもなります




事例#3 <多様な選択肢で女性管理職を支援> 株式会社三井住友銀行

CASE3  株式会社三井住友銀行管理職の女性比率が低い
人事制度の多様化、研修の強化
  • 課題:管理職の女性比率が低い
  • 対策:人事制度の多様化、研修の強化


課題:管理職の女性比率が低い

女性社員数が多い企業の悩みと言えば、管理職の女性比率が少ないことではないでしょうか?

社会に根強く残る性別役割分担意識もあり、女性社員が多い企業であっても管理職は男性の方が圧倒的に多いという企業は多くあります。

㈱三井住友銀行も社員の約半数が女性でありながらも女性管理職は12%(2014年)であり、女性が子育て期を経てもキャリアアップし続けるために様々な取り組みを実施しました。

その後年々女性管理職比率を伸ばし、2018年度では24.0%に達しています。今回は取り組みの中でも人事制度や研修制度に焦点を当ててご紹介します。



対策:人事制度の多様化、研修の強化

人事制度を変えるとなると規則の改定や周知など工程に苦労しますが、社内全体を大きく変えられることが魅力的です。㈱三井住友銀行で行われた取り組みを以下に抜粋しました。

参考:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000102961.pdf)

現在の職務を充実させるための研修も必要ですが、キャリアアップを見据えた研修も重要です。

㈱三井住友銀行では中堅女性社員に対し、現在の職務に関することに限らず次世代幹部候補として思考力や企画力を伸ばすための研修を実施しています。

またメンター制度と言えば若手社員向けのものが多いですが、中堅社員に対しても先輩社員にキャリア相談ができるようにメンター制度を導入しています。

他にも旧一般職でも管理職になれるように制度を変えるなど、キャリアコースを多様化しより管理職を目指しやすいように工夫しています。

まとめ)女性活躍推進は多様な働き方への第一歩

「うちの会社では無理に女性に働いてもらわなくてもいい」という意見もよく耳にします。

女性活躍推進と聞くと女性を優遇するようなイメージがあり、そのような考えに至る方もいらっしゃるのだと思われます。

しかし女性活躍推進の取り組み自体よりも企業へのメリットについて目を向けてみてはどうでしょうか?

労働力を確保するためには性別に関わらず誰もが活躍できる環境を整備した方が効率的だと思われます。

また「こんな長時間労働は男性でも嫌だと思っていた」「この働き方は非効率だと感じていた」など、会社のあり方を見直すきっかけにも繋がります。

女性活躍推進は「女性のため」と固く考えず、企業のためそして働く全ての人のために多様な働き方へと踏み出す第一歩という考え方が重要です。