マネージャー/管理職とリーダーって何が違う?特徴・ポイントを紹介

[最終更新日]2019/07/26

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多くの日本企業では、「マネージャー」と「リーダー」の役割が、「管理職」という名称で括られてしまうことも多いため、どうしてもわかりにくくなっている傾向にあるようです。
実は、両者に求められている役割とその仕事の仕方は、決定的に違うにも関わらず、その認識が十分になされていないケースが多く見受けられます。

皆さんの肩書はどうでしょうか?「部門マネージャー」や「グループ・リーダー」という役職名でありながら、「マネジメント」「リーダーシップ」というそれぞれの能力を適切に使い分けられていますでしょうか?

組織を束ねる立場の方にとって、どちらも、より組織のパフォーマンスを上げるために欠かせない要素です。
そこで、ここでは「マネージャー」「リーダー」の違い、そして、それぞれの役割に求められる「マネジメント」と「リーダーシップ」の適切なアプローチ方法を説明していきます。

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目次

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管理職とリーダーシップの違いについて

以前、私は会社のある大きなプロジェクトで「リーダー」として任命されたことがありました。社内組織図にも「プロジェクト・リーダー」という名前で、関連部署へ紹介がありました。

しかし、振り返ってみると、私がそのプロジェクトで任された業務は「マネジメント」であり、リーダーのやるべきことを、ほとんどしていなかったように思います。

結局、そのプロジェクトで「リーダー」の役割を担っていたのは、プロジェクト・オーナーとして任命された上司で、私は「マネージャー」を担っていたのです。

実際、こういうケースは多くの会社であるようです。役職名に惑わされないよう、しっかりと両者の違いを理解していきましょう。

マネジメントとリーダーシップの意味は大きく異なる

「マネージャー」「リーダー」、そして「マネジメント」「リーダーシップ」の違い整理してみます。自身の組織や日々の業務を想像しながら確認してみて下さい。

求められる役割・能力

  • 「マネージャー」⇒「マネジメント」能力の高い人材
  • 「リーダー」⇒「リーダーシップ」能力の高い人材

求められる立場

  • 「マネージャー」⇒より組織で働く立場
  • 「リーダー」⇒より組織を束ねる立場

マネジメントとは何か

  • 人、コスト、時間を管理、配分する
  • 確実な実行、課題解決をする
  • 適切な組織と業務仕組みの構築をする

リーダーシップとは何か

  • 方向性を提示する、将来のビジョンを描く
  • 変革や創造を発想する、決定する
  • 動機付けをする、権限を付与する

管理職の方は組織を束ねる一方で、ある組織下で働く立場でもあるため、いずれの能力も求められる立場といえます。

実はその点では、企業にとっての純粋な「リーダー」は、社長のみともいえます。管理職の方は、自分の組織が自社のどの位置にあるかによって、「マネージャー」と「リーダー」の役割の比率を変化させていくイメージです。

このイメージをしっかり念頭に置き、「自分の組織の課題に対して、適切なアプローチはどちらか」という視点で、それぞれのスキル・能力である「マネジメント」と「リーダーシップ」を使い分けができるかが、求められるポイントです。

マネジメントは管理職・マネージャーの役職者に求められ、リーダーシップは全階層社員に求められる

「リーダー」は、より組織を束ねる立場に求められる役割と説明しましたが、現在、ベンチャー企業をはじめとして、多くの企業で、若手社員をはじめ、社員一人一人に「リーダーシップ」を求める動きが活発になっています。なぜでしょうか?

「リーダーシップ」は、リーダーに求められる能力である以上、組織で働く立場=従業員にとって、ほとんど利用する機会がない能力です。ただ、能力である以上、それを発揮できればメリットがあることもわかってきました。

一方で、この能力を発揮する機会も少ないゆえに、上手く活用できないというジレンマがあり、企業にとって、そこを解決できれば、一歩抜けた企業になれることを期待しているのです。

「マネジメント」が実行や結果を導くスキル・能力とすれば、リーダーシップは提案やシナリオを描くスキル・能力です。

部署のメンバーが、自分なりに会社や部門のビジョンを描き、提案をしてくる。それはリーダーが描けなかったビジョンを描き、リーダーをサポートしたとも受け取ることもできます。

もちろん、メンバーはリーダーという役割でない以上、その提案を受け止める仕組みがなければ単なる従業員の声で終わってしまいます。ただ、こういった提案が多い企業が、他の企業に比べてより成長しやすいというのは、想像に難くないでしょう。

活躍するマネージャーは、「部下の強み」を最大限引き出す

私自身、あるマネージャーに「強み」を引き出された部下の1人です。

当時、そのマネージャーの決定で、中国への異動が決まりました。数年後、その上司に会う機会があった際、私を中国へ異動させた理由を質問しました。

というのも、当時、私は英語や中国は一切できず、海外経験もなし、中国人の同僚もいる中で、なぜ私だったのかずっと気になっていたからです。

その上司は、私の直属の上司や部門の関係者を通して、「もっと泥臭い仕事をしたい」「また工場の現場に戻りたい」という私の想いを理解していたようです。

また、数少ない提案会議などの場で、私自身の性格や仕事への姿勢をよく観察していたようで、結果、あえて元の工場ではなく、中国へ異動を決めたのだと教えてくれました。もちろん、海外転勤なので、家族構成などの個人情報も、ある程度確認はさせてもらったとも言っていました。

現在、英語も中国語も習得し、日本人一人の環境下でも、非常にモチベーション高く仕事に取り組むことができています。

私の想いを汲むだけでなく、そこに付加価値も与えるー、私自身以上に私の事を観察し、見事に私の「強み」を引き出したマネージャーといっても過言ではありません。

すぐれたマネジャーは「部下一人ひとりの個性」に注目し、部下を型にはめて作り変えようとするのではなく、それぞれの個性が活かせるように、彼らの役割や責任のほうを作りかえる”

(『最高のリーダー、マネージャーがいつも考えているたったひとつのこと』 著者:マーカス バッキンガム)

「リーダー」「マネージャー」論を説く著書の言葉にもあるように、部署が取り組む仕事に対して、その仕事=課題の分析や対策というアプローチではなく、それに取り組む部下の分析や対応というアプローチをする。これこそが活躍するマネージャーの視点といえるでしょう。

「相手の強み」を引き出す際に有効な「コーチングスキル」

では、そんな「部下の強み」を引き出すために、マネージャーが備えるべきマネジメント・スキルの1つである「コーチング」を、ここでは紹介します。

元々はスポーツの分野で生まれた選手の潜在力を高める目的であった指導スキルは、ビジネスの分野でも、上司から部下に対するコミュニケーション・スキルとして定着しました。

この「コーチング」の特徴は、「what 質問型」による指導方法であることです。気をつけたいのは、「why 質問型」ではない点です。

あくまでこの指導の目的は、部下が目標を達成するために必要なスキルや知識を特定し、達成するまでコミュニケーションを通して、具体化していくことです。

実は、「強み」というのは、「これが得意」と自分で認識するものではなく、他人から評価や仕事のちょっとした依頼や実積から見えくるものです。

「なんでそう思うの?」とwhy型で聞いても、本人の主観=ノイズが入ってしまいますし、場合によっては、why型の特徴である原因追求が先立ち、「なぜ答えが分からないのか?」と、問い詰めているかのように受け取られる恐れがあります。

あくまでコミュニケーションを通して情報を集めるスタンスです。

例え、明らかに間違った回答であっても、それも含めて部下の傾向=情報として受け取り、それを積み重ねていく。そして、そこから見えてきた「強み」を、組織の強化したい部分や不足している部分に置いてみる。その様子をよく観察し、また対話をする。この繰り返しが「コーチング」の基本的な考え方です。

活躍するリーダーは、「刺激的で挑戦しがいのある目標・ビジョン」を描く

ここでは、以前私が参加したある海外工場のプロジェクトで、そのリーダーの掲げた目標・ビジョンによって、現地メンバーの空気が確実に変わった事例を紹介したいと思います。

そのプロジェクトは、海外A工場へ同社の子会社の扱っていた製品群を移管するものでした。

実は、A工場ではまったく実積がない製品群で、かつ子会社というのも影響し、開発フロー、設備、書類、あらゆるものが違い、日本からのサポートもほぼ無い状況でした。

さらに、その製品群は会社の主力製品でもなかったため、生産数も少なく、A工場にとってもまったくメリットみえない状況だったことから、開始当時は、A工場では不満の声が大きい中、半ば強制的に行っていた雰囲気がありました。

この状況に、現地のプロジェクト・リーダーが、メンバーに対して、その製品群が将来的にその国で売り上げが伸びること、そして、この製品群の移管が成功すれば、A工場は全製品群を扱う社内で唯一の多機能工場になること、結果、数年後に社内で一番の工場になることもできるー、というプレゼンテーションをしました。

どれも説得力のあるシナリオだったのもさることながら、何よりのポイントは、その海外A工場が秘めていた「日本の工場を上回る」「社内で一番になる」という日本や社内に対する競争心に、見事に刺激を与えたビジョンだったことです。

目標やビジョンは、その説得力や精度以上に、メンバーの深層心理にある想いや感情に訴えかけるものが必要です。

例えば、紹介したビジョンが、将来の売り上げが伸びた結果、その国で一番の売上になる、もしくは会社の成長にこれだけ貢献できる、といったビジョンだった場合、変化は起こらなかったかもしれません。

ビジョンのアプローチは、「ポジティブアプローチ」と「ギャップアプローチ」の2つがある

ポジティブアプローチとギャップアプローチ ポジティブアプローチ ▶価値や強みに焦点をあて、ありたい姿を描いたうえで、目指す先や具体的なアクションプランを導きだします。また、そこにむかって、行動を高めていく働きかけです。 ギャップアプローチ ▶足りないものに焦点を当て、あるべき姿と現状とのギャップから、問題を特定し、修正や改善をはかる方法です。

目標やビジョンの設定は、リーダーに求められる役割のなかでも、最も重要な要素といっても過言ではありません。では、そんな「ビジョン」をどうやって描くかー、ここでは2つの代表的な方法をご紹介します。

ポジティブアプローチ

ありたい姿」=理想を描き、そこにたどり着くためにどうするかを考えるアプローチです。

こんな組織を作って、この強みをいかして、あのシステムを使えばー、という「推定」をベースに、目標へ到達するためのシナリオを追究する思考で、特に不確定要素が多い市場、環境下で有効なアプローチです。

ギャップアプローチ

あるべき姿」=目標や課題が明確であり、そのギャップを埋めるためにどうするかを考えるアプローチです。

自社と市場の現状把握、ギャップの原因特定といった「分析」をベースに、対応方法を追究する思考で、ポジティブアプローチとは逆に、安定した市場、環境下で有効なアプローチです。

ポイントは、ビジョンを掲げるべき「環境」によって適切なアプローチがある点を認識することです。

例えば、日本のような飽和市場なら、分析が比較的効ききやすいので「ギャップアプローチ」。一方、中国のような規模も速度も速い市場では「ポジティブアプローチ」、といったイメージで、自部門の置かれている環境をよく見極めましょう。

活躍する管理職・マネージャーとリーダー、どちらも「外界」に意識が向けられている

ここまで、「マネージャー」と「リーダー」の役割の違いや持つべきスキルを説明してきましたが、いずれも共通する要素は、部下や環境といった「外界」へ常にアプローチをしている点です。この視点で、「マネージャー」と「リーダー」の役割を表してみると、次のように言えるでしょう。

マネージャー」:人々の才能を結果に結びつける戦略を練る人
リーダー」:人々を良い方向へ導くために発想し、一致団結させる人

好き嫌いといった感情的思考から、むしろその感情を含めて、自分と他人の関係をより客観的に受け止め、相手を理解する能力が求められます。

また、自分の興味を意識的に広げて、会社や部門を取り巻く環境や状況を知ることで組織の役割と課題を把握する必要があります。

自分が苦手なこと、出来ないことはたくさんあります。その事実に、落ち込んでいるだけか、それともそれを組織の弱みと認識し、どうやって補うかを考えるかー。

仮に、部下にそれに長けている人がいて、そのことを面白くないと思うか、強力な助っ人とみるかー。

自分は仕事にやりがいがあると思っている一方で、仕事がつまらないと悩む部下に、どうモチベーションを与えるかー。

こんなとき、今まで培った多くの経験が生きてきます。

活躍する管理職の多くは、豊富な経験を武器に、より「外界」に意識を向ける姿勢が備わっているのです。

環境や周囲から求められるものに合わせて、自身のスタイルを柔軟に変えていけることが大切

米国におけるリーダーシップ研究の中で、組織を束ねる立場(日本でいう「管理職」)の人たちは、そのスタイルを環境や状況に応じてフレキシブルに変えるべき、という結論があります。

つまりこれは、ある部門やプロジェクトで成果を出した「マネージャー」「リーダー」も、やり方を間違えてしまえば、別の部門で必ずしも成功するとは限らない、という警告とも受け取れます。

例えば、我々の多くが「リーダー」と聞いてパッと想像するのは「組織を引っ張っていく頼れる存在」ですが、ここまで説明してきたように、会社に属す以上、管理職は「リーダー」だけでなく「マネージャー」の役割も求められている存在です。

また、「リーダー」そのものの役割も、例えば、「リーダーシップ」にあるビジョンの設定をとってみても、環境や市場に応じた適切なアプローチがあることを説明しました。

我々がイメージしがちないわゆる「リーダー象」は、その1つのスタイルに過ぎません。あるときにはリーダーシップを押し出す、あるときにはマネジメントに徹する。会社組織において、我々の抱くべきリーダー象はいくつもあるべきなのです。

そのためにも、上でも説明した「外界」への意識が、ひとつの重要なポイントです。

束ねる組織の役割や課題をよく見極め、その上で、意識的にアプローチを自在に変える姿勢こそ、理想的な「マネージャー」「リーダー」のスタイルといえるのです。

まとめ マネージャー・リーダーの醍醐味とは

いかがだったでしょうか?

「マネージャー」「リーダー」の違いから、それぞれに求められるスキル・能力、理想のスタイルまでー、ご理解いただけたでしょうか。

特に、事例も交えて紹介をしました「活躍するマネージャー・リーダーが備える能力」は、実践していくためには、テクニックだけでなく、それを支える豊富な経験が求められます。そういう点で、管理職の方は、なるべく人がなる、非常にプロフェッショナルな仕事ともいえます。

そして何よりも、このプロフェッショナルな仕事をする醍醐味は、自分一人では出来ないことが、組織の力によって、達成していく過程や結果を見られることです。

たとえ、優秀な人が10人いても、一人一人が独立していたら、10にしかならない結果が、チームになれば100になる可能性があり、100ないと辿り着けない風景がビジネスの世界にはたくさん在るはずです。そこに導くのがマネージャーやリーダーであり、そのためにも、ここで紹介した内容がお役に立てれば幸いです。

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