【朝礼ネタ】「お金との付き合い方」について
[最終更新日]2022/12/15
朝礼スピーチでは、一部の人しか興味のない話題を取り上げるのではなく、大多数の人、できれば聞き手のうち全員が関わるテーマで話すことが望ましいとされます。
しかし、職場にはいろいろな人がいますので、共通の興味関心をテーマとして取り上げるのは決して簡単ではありません。
そこで今回は、多くの人が関心を寄せるテーマとして「お金との付き合い方」のスピーチ例を紹介します。
伝え方の切り口はたくさんありますが、今回の記事では2つの格言と2つの身近な話題について、お金をテーマにした朝礼スピーチ例を見ていきましょう。
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目次
急いでいる方は気になるネタを押してください。
朝礼のネタ:喜劇王チャップリンの「お金」への捉え方
皆さんは、チャップリンの映画を観たことがありますか?チャーリー・チャップリンが繰り広げるドタバタの喜劇と言えば、知らない人はないほど有名ですね。
コメディ映画の土台を築き、「喜劇王」の異名を持つチャップリンは、こんな言葉を残しています。“Life can be wonderful if you’re not afraid of it. All it takes is courage, imagination… and a little dough.”
日本語に訳すと「人生は恐れなければとても素晴らしいもの。人生に必要なのは勇気と想像力、そして少しのお金だ」となります。華々しい名声とは裏腹に、チャップリンの生涯は苦難に満ちていました。
孤児学校を渡り歩いたどん底の幼少期、4度の結婚、さらに戦後にはアメリカを追放され、その晩年は必ずしも幸福なものではなかったと言われています。
チャップリンの映画が世界中の人々を熱狂させたのは、いかにも喜劇らしく悲劇を描いているからではないか、と思うのです。
生涯を通じて遭遇し続けた世の中の不条理や人間の悲哀といった重いテーマを、あえてドライに軽妙に、面白おかしく描いて見せるからこそ、喜劇でありながらただの喜劇ではなく、人の心をゆり動かすのかもしれません。
チャップリンはこうも言っています。
「私たちは考えすぎる。そして感じなさすぎる。」私たちは、どうしても目の前の暮らしや将来のことを考えては、お金を稼がなくてはいけないとか、生きていくためにはまずお金が必要だと考えがちです。
たしかに生きていくためにお金は必要ですが、最も大切なものではありません。
成功者であり大富豪だったはずのチャップリンが、人生に必要なものとしてお金よりも「勇気」や「想像力」を挙げていることは、私自身ことあるごとに思い出しておきたいと感じています。
朝礼スピーチのコツ)「著名人の格言を紹介する場合は、その人のエピソードはしっかり下調べを!」
スピーチでは、著名人の格言を引用して紹介することがしばしばあります。ところが、その格言の背景にある考え方や、発言した本人の生涯について理解していないと、格言に込められた真意を取り違えてしまうことがあります。
上のスピーチ例ではチャップリンの例を挙げていますが、その生涯や作品についてよく知らないまま「面白おかしい映画」として紹介したり、「大成功し幸福な人生を送った」という前提で話を進めたりしてしまうと、聞き手の中には「どうやら、チャップリンのことをよく知らずにスピーチをしているようだ」と気づく人もいるはずです。
著名人の格言を紹介するのであれば、その人物のエピソードや格言が誕生した背景について、よく下調べをしておく必要があります。「詳しい聞き手」が必ずいる、と思ってスピーチを組み立てるようにしましょう。
朝礼のネタ:「金は良い召使いでもあるが、悪い主人でもある」
かれこれ20年も前の話ですが、一時期ファッションブランドがブームになった時期がありました。
当時私は大学生で、恥ずかしながら友人らと同じようにブランド品を身につけたくなり、アルバイトに精を出して上等な靴やコートを買ったりしていました。
ブランド品の中には、ぱっと見ただけでどこのブランドのものか分かるデザインになっていたり、ブランドロゴが目に留まる位置に配置されていたりするものがあります。安物ではないことがひと目で分かるというわけです。
しかし、本当のお金持ちはブランド品を持たない人も多いそうです。
大量生産されるブランド品ではなく、その瞬間・その場所でしか味わえないような体験や、世界で1つしかないオリジナルのアイテムなどに価値を感じるようです。どちらも、お金では買えないものですね。
Microsoft社のトップを務めるビル・ゲイツ氏は、世界でも屈指の大富豪です。ところが、飛行機で移動するときはエコノミークラスを利用するそうです。
いわく、「ビジネスクラスだから目的地に早く着けるわけではない」とのこと。お金では買えない「時間」に価値基準を置き、費用対効果を重視する合理的な考え方をされていることが分かります。
ベンジャミン・フランクリンは、こんな言葉を残しています。
「金は良い召使いでもあるが、悪い主人でもある」ブランドものが欲しくてアルバイトをしていた頃の私は、いま振り返ってみるとお金に操られていたのかもしれません。ブランドものを買うためにアルバイトに差し出した時間は、もう戻ってこないのです。
お金を「悪い主人」にしないためにも、お金に振り回されることなく、上手に使いこなしたいものです。
朝礼のネタ:宝くじは買ったほうがいい?損するだけ?
あるとき、友人たちと「もし宝くじが当たったら、何を買う?」という話をしたことがあります。高級車を買うとか、マンションをキャッシュで購入するとか、いろいろな「夢の話」が出たものです。
でも、結局は「数億円が急に手に入っても、何に使ったらいいのか想像できないね」という結論に落ち着いたような記憶があります。
ところで、皆さんは「宝くじの還元率」がどれくらいかご存知でしょうか。
還元率は「期待値」とも呼ばれ、宝くじなどのギャンブルに参加した人たちが出したお金の総額を100%としたときに何%分のお金が賞金としてあてがわれるかを表す数値です。
ご存知の方もいらっしゃることでしょうが、宝くじの還元率は極めて低いのです。
どのぐらい低いのか、総務省が公表している数字を調べてみました(笑)。
宝くじの還元率はおよそ45%、つまり半分以下です。仮に、宝くじを買った人たちから合計で50億円集まったとしたら、賞金として払い戻されるのは23億円弱、胴元に入るお金が27億円強となります。パチンコやパチスロの還元率は90%強、競艇や競馬の還元率は70%強と言われていますので、他のギャンブルと比べても宝くじはかなり低い還元率ということが分かります。つまり、宝くじは「運営が必ず儲かる仕組み」がかなり色濃いということですね。
こう話している私ですが、ときどき宝くじを買うことがあります。
世の中には「実は宝くじを買っています」という人は案外たくさんいますので、共通の話題ができて良い面もあるからです。そして、「もし当たったら・・・」という話をしてみると、いろいろな人のお金に対する考え方を知るきっかけになることがあります。
ギャンブルは単なる「損した」「儲かった」だけではない楽しみもありますので、還元率だけで判断するのはちょっと味気ないかもしれません。「当たればもうけもの」ぐらいの感覚で、かつ生活費がひっ迫しない程度に楽しめるのが一番だと思いますが、皆さんはどう思いますか?
もし当たった場合に「こういう使い方をすると良いと思うよ!」というアイデアがあれば、ぜひ教えてくださいね。
朝礼スピーチのコツ)「自分と異なる考え方・価値観の人がいることを忘れずに!」
お金に関する話題は多くの人が関心を寄せてくれる反面、人それぞれに考え方や価値観が異なることを意識する必要があります。
上の例では「宝くじ」を取り上げていますが、もし「宝くじはまず当たらないので買うべきではない」と言い切ってしまったとしたら、宝くじが好きで買っている人は嫌な気持ちになるでしょう。
このように、ある考え方だけを強調して、別の考え方を否定するようなスピーチにならないように気をつけましょう。
話し方のコツとして、
- メリットとデメリットの両方を挙げる
- 悪い面を述べたら別の良い面にも触れる
- 「〜かもしれません」「〜という見方もできます」と断定を避けて伝える
といったことを意識することで、ニュートラルな立場のスピーチにすることができます。
朝礼のネタ:節約したいのに、つい買ってしまう…ときのパターン&対策
皆さんは、スマホアプリに課金していますか? 私はニュースアプリや本の要約など、有料プランにいくつか加入しています。
一度課金すれば広告が表示されなくなるものもあれば、毎月一定額がかかるものもあります。1つ1つは数百円から千円ちょっとなのですが、いくつも課金すると月々の支払いはそれなりの額になっていきます。
出費についてもう1つ。
ふだんせっかく節約しているのに、ときどき思わぬところで浪費してしまうことってありませんか?たとえば、スーパーで食材を買うとき10円でも安いものを選んで買っているにも関わらず、外食に行ったときなどは「せっかく来たのだから、季節限定のメニューを食べよう」と思ってしまうようなケースです。
私自身、あとで冷静に考えてみると「よくあんなに高いメニューを気軽に注文したものだ」と反省することがあります。
このように、気持ちしだいでお金の価値や重要度が変化することを、行動経済学では「心理会計」と呼ぶそうです。
スマホアプリのように少額ずつだと深く考えずに出費を重ねてしまったり、外食の例のように生活費と特別費ではお金の重みが違うように感じてしまったりするのは、まさに心理会計の影響と言えそうです。
スマホアプリのように月々の出費になるものについては、使っていないのに課金したまま忘れてしまうものも出てきそうです。定期的に「いま合計で月にいくら課金しているのか?」をチェックして、「使っているという実感のない出費」に注意しておいたほうがよさそうです。
外食での浪費を抑えるには、「ふだんのランチ」の価格を思い出すのを習慣にするとよいかもしれません。こういった、ちょっとした心がけが節約につながっていくのですね。
朝礼スピーチのコツ)「失敗談は共感を与えやすい」
ことの大小はさまざまですが、お金のことで今までに一度も失敗したことのない人はいないでしょう。ついムダづかいしてしまった、といったレベルのことであれば、誰でも経験したことのある失敗のはずです。
お金をテーマにスピーチをする場合、あまり「正論」で固めすぎてしまうと「分かっていても実行できないから困っているんだ!」と反感を覚える人が出てきたり、本当に悩んでいる人が心理的な負担を感じたりする原因になることがあります。
こうしたテーマを取り上げるときは「自分はうまくやりくりしている」「こういうタイプの人は良くない」といった言い方にせず、自分の失敗談を取り上げるなどしてマイルドな伝え方になるように心がけましょう。
5)朝礼スピーチで「お金との付き合い方」をネタにするとき知っておきたいこと
お金との付き合い方というテーマをスピーチで取り上げるのは、多くの人に興味を持ってもらうには適していると言えます。ただし、誰しもが関わる身近な事柄であるだけに、朝礼スピーチのネタにする場合は注意しておきたいポイントがあります。
そもそも公の場でお金の話をすることに対して良い印象を持っていない人がいる可能性もありますので、勤務先の社風や同僚の方々の嗜好も考慮した上で、以下の2つのポイントを押さえつつ、お金に関するテーマを取り上げるかどうかを判断するようにしましょう。
同じ組織内でも、お財布事情やお金に関する考え方はまさに人それぞれ。自慢話や強い主張は極力避けて
同じ会社に勤める同僚とはいえ、部署や役職、それぞれの生活事情などによって、お金に対するスタンスはまちまちです。
たとえば、独身の人と世帯持ちの人とでは、同じ給与所得額でも可処分所得には開きがあるケースは少なくありません。自分の考え方や感じ方を基準にするのではなく、いろいろな考え方の人がいることに配慮するようにしましょう。
とくに、「自分はできている」「こうすればうまくいく」といった持論を展開すると、自慢話のように受け取ってしまう人がいるかもしれません。ある考え方を取り上げるのであれば、別の考え方も紹介するなど、バランスを取ったほうがいいでしょう。
「〜すべき」「〜は良くない」といった強い主張も禁物です。
中には、別の考えを持っている人もいるかもしれません。「〜したほうがいい場合もある」といった幅を持たせた表現にするなど、さまざまな考え方の人に向けて話すことを前提にスピーチを組み立てることが大切です。
なるべく多くの人が「わかりやすさ」と「ポジティブさ」を感じられるテーマにすることを意識する
お金の話には数字がつきものです。
しかし、朝礼スピーチは短い時間で端的に伝えなくてはなりませんので、あまり数字を羅列したり複雑な理屈を持ち出したりしてしまうと、聞き手にとって伝わりにくいスピーチになってしまいます。
言い回しや伝え方ひとつで「話が難しい」「ややこしい話だった」といった印象を持たれてしまいますので、具体的なエピソードやたとえ話を引き合いに出すなどして、簡潔で分かりやすい伝え方をする必要があります。
また、借金やローンといった話題には、どうしてもネガティブなイメージがつきまといます。
もしかしたら、人知れず借金問題で悩んでいる人がいるかもしれませんし、ローンの話題を持ち出されるとストレスを感じる人もいないとも限りません。
「大変」「複雑な問題だ」といったトーンの話にならないよう、ポジティブな印象を持ってもらえる話題の展開を心がけるようにしましょう。自分自身の失敗談についてユーモアを交えて伝えるのも1つの方法です。
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まとめ)お金との付き合い方は「自分も当事者」を念頭に置いて話そう
朝礼スピーチ担当者は、お金に関するプロやセミナー講師ではありません。
自分自身も悩んだり失敗したりしながら、お金との付き合い方を日々考えているという「当事者意識」を念頭に置いて話すことが大切です。
なお、お金に関する話題は今でこそオープンにできるようになりつつありますが、かつては「品のない話」「人前で話すようなことではない」と思われていた時代もありました。
年配の方々がいる勤務先では、世代によってさまざまな考え方の人がいることも考慮した上で、朝礼スピーチでの取り上げ方や伝え方を考えていくようにしましょう。
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