私の管理職体験談:部下から「コロナ感染しました」と連絡を受けて。
[最終更新日]2023/03/11
某通信キャリア代理店の営業として、家電量販店を中心に営業活動を行っています。
これまで、ずっと販売や営業等の接客業務に携わってきました。
オーナーとの商談から直接店舗に入ってスタッフの育成・指導、そして就労管理や評価──、といった業務を行います。
現在は新店舗立ち上げのため単身赴任中です。
月に一度、子供に会いに帰省しています。
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もりたかさん(男性 35歳)
- 職業
- 電気通信事業(通信キャリア代理店)
- 職種
- 営業
- 年収
- 非公開
- 従業員規模
- 5,000名(うち部下12人)
- 地域
- 山梨県
Index
目次
20代は、根拠のない自信。30代になってからは、失敗の積み上げで培った自信。
高校卒業後、リゾートホテルに就職しました。ホテルフロント業務です。
もともと接客業をやりたかったというのがあったのですが、実際かなり鍛えられました。
ただ、そこで調子に乗ってしまったのが良くなかったです。
- 私
-
「これだけ接客スキルが身に付いたら、どんな仕事だってできる…!」
20代の若かりし頃、一体どこからそんな自信が湧き出てくるのか、今となっては恥ずかしい限りですが、私はステップアップ転職を目指し、そしてことごとく失敗しました。
「自分だったらこれくらい出来るだろう」というのが、実際入社してみると全然できない。すると、段々と自分への期待と評価は下がってくる。そして、減給になりそうになると、転職。
そんなことを数回繰り返して、ようやく人並みな謙虚さと失敗の場数を踏んだ経験値を得て、今の会社に出会いました。
最初は派遣スタッフからです。最初から高いポジションを狙うと大抵うまく行かない──これも、これまでに学んだことでした。
そして、前向きに率先して業務に励んで、期待以上の結果を目指して取り組み、その1年後、
- 上司
-
「来月から、店長職に就いてほしい」
と言われて、晴れて正社員となりました。
その後は店長職を5年、そしてエリアマネージャーとして3年を経験し、現在は新店舗立ち上げのプロジェクト担当を任されるようになりました。
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管理職になるからには、「責任」を取れ。
新店舗立ち上げの担当となったとき、私は管理職に昇格しました。
その際、上司から「一般職と管理職の違いは分かるか」と聞かれ、「わかりません」と答えると
- 上司
-
「一般職と管理職の大きな違いは『責任』だ」
と言われました。
情けない話ですが、その一言が非常にプレッシャーだった。
新店舗の立ち上げがもしうまく行かなかったら、私自身が責任を取らなくてはいけない──。そう、聞こえたのです。
それもあって、管理職なり立てのときの私は、「とにかく無難にやろう」という意識が強くなってうまく仕事を回せずにいました。
それでも業務自体は沢山ありますので、毎日のように残業して。それもほとんどサービス残業でした。
更にはこれまで気軽に相談できていた同僚や先輩社員が上司部下の関係になって、関係もギクシャクすることが多くなって。体力的にも精神的にも余裕がなくなっていた時に、別な上司から
- 上司
-
「責任は取るから、もっとやりたいようにやれ」
と言われて、そこでようやく(こんなに縮こまっていたら、何もできない!)と気づき、これまでの「責任呪縛」から抜け出すことができました。
私が単純だったせいもあるでしょうが、実際、言葉とは怖いものです。
「お前に責任がある」と言われてしまうと、なんだか自分はその中でしか生かされていないような感覚になってしまう。
でもそれからは、責任という言葉にも恐れず前向きにチャレンジしようという意識を持てるようになりました。
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管理職になって、いちばん大変だった時期。
2020年の夏、私が担当する店舗で新型コロナウィルスの感染者が出ました。
当時は一度目の緊急事態宣言が解除され、自粛緩和ムードで世間も少し気の緩みが出ていた頃でした。私自身も、なんとなく新型コロナへの恐怖は薄れていたと思います。
そんな中、スタッフから「新型コロナに感染してしまった」という連絡を受けました。
最初の報告を聞いて、私がまず思ったことは「シフトをどうしようか」でしたが、現実はその何十倍も考えなくてはいけないことがありました。
まず、社内報告と他のスタッフへの周知、職場の感染予防徹底。
感染したスタッフから感染時期の行動履歴を確認してもらって濃厚接触者のリストアップ作成をして、保健所と共有しました。それから取引先にも今後の再発防止プランも含めての共有。
感染したスタッフと他のスタッフのメンタルケアも必要でした。
数人のスタッフが「不安で出勤できない」と言ってきて、空いたシフトは私が入ることになりました。
これらすべてを、通常の管理業務をしながら行いました。
新規立ち上げ店舗は体制もまだ完全ではなかった為、そうした業務整備も同時進行で進める必要がありました。
3週間後、感染したスタッフが職場復帰を果たしてシフトも通常稼働に戻り、ようやく事態が収拾しだした頃、今度は私が高熱で倒れてしまいました。
(自分も新型コロナに感染したのか…?)と思って大変焦りましたが、幸い一過性の高熱だったようで、2~3日で回復しました。──恐らく、ストレスと過労によるものだったのだろうと思います。 あわせて読みたい
当時を振り返って、今思うこと。管理職をするうえで最も大切なことは。
当時のことを振り返ってつくづく思ったのが、「万が一のときのための、リスクヘッジ」の大切さです。
新型コロナ感染拡大のニュースを毎日のように聴きながらも、私はどこかで対岸の火事のように受け止めていました。それは、接客業の管理職として、あるまじき態度でした。
また、久しぶりにシフト勤務に入って、最前線で頑張っていてくれているスタッフへのありがたみにも触れることができました。
このご時世、販売職をやっている限りいつ自分が感染するかもわかりません。
スタッフは皆、そうした不安や恐怖を持ちながら、日々の業務をこなしてくれているのです。
私が一般職の頃だったら、きっとたくさんの不平不満を漏らしていたことでしょう。
そうした職場環境で管理職が何をすべきかと言えば、まずスタッフへの感謝をきちんと示すこと。
そして、常にリスクヘッジと部下の安全対策を実施して、不測の事態が起こっても冷静な判断と指示を出せる状態にすること。
そうした当たり前のことがいかに大切かについて、今回痛いくらいに気付かされました。
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管理職の「責任」とは。
2021年9月現在、国内の新型コロナ感染被害はまだまだ続いています。
ですが、あれ以来私の担当する店舗では新たな感染者が出ていません。
感染対策について、店舗全体で高い意識で取り組めていると思っています。
この一年で、私は「部下への感謝を大切にすること」をとても意識するようになりました。
顧客、取引先はもちろんですが一番は部下への感謝で、思っているだけではなく言葉で伝えることが重要だと思います。
新規立ち上げの店舗がようやく軌道に乗り始めましたが、ここまで本当に部下にたくさん助けられました。そして、いつしか一人ひとりの部下に頼っている自分がいました。
◇ ◇ ◇
管理職になりたての頃に上司に言われた、「管理職なら、責任を取れ」。
あの言葉の意味が、今はなんとなくですが、分かります。
それは、「仕事で起きるすべての出来事を、自分事として受け入れて対処すること」と言えるのではないでしょうか。
トラブルや損失もそうですし、そしてポジティブな面でいえば、一緒に働く仲間もそうです。
すべては、「自分事」。
部下も、顧客も、取引先も、今この時も活動してくれています。
それら活動は私にとって「協働」であり、仲間でありパートナーです。
そうした共に活動できることの大変さとありがたさをバランスよく感じ取っていくことが、管理職をうまく続けるコツなのだろうと、私は思います。
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