「苦手意識」は克服できる?「ニガテ・自信がない」負の循環からの脱却方法!

[最終更新日]2019/07/26

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仕事をしていると、社員それぞれが「苦手意識」を抱えていることは何かしらあるかと思います。

人は、苦手なものを克服しようと取り組むより、自身の強みとするものを発揮していったほうが、パフォーマンスや成果は高まりやすいといいます。
ですが一方で、チームや組織での活動においては、それぞれの社員が苦手分野や課題を克服していくことで、成長の速度をより高めていけることも事実です。

その際は、社員に対して無理に苦手なタスクを押し付けるのではなく、また苦手であることをただ甘受するのでもなく、苦手意識を取り除く働きかけが大切となるでしょう。

今回はそんな、社員が「苦手意識」から脱却し、個人としても、チーム・組織としても成長していく為の考え方と効果的な手法について紹介します。

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最近職場でよく聞く、「〇〇が苦手」という声

職場にはさまざまな人がいます。

年次が違うのはもちろんですが、職位も性質もさまざまで、それぞれ得意なことと苦手なことがあるのは当然です。若手社員はまだ経験が浅いためにより苦手なことは多いでしょう。
上司とのコミュニケーション自体が苦手、電話応対や営業が苦手、などさまざまな苦手を抱えながら社会生活を送っているものです。

中堅社員や管理職・マネージャーの方々でも「これは苦手…」というものがいくつかあるという方も少なくないのではないでしょうか。

たとえば、中堅社員であればまだマネジメントとしては「初心者」で苦手意識を持っているかもしれませんし、管理職は、年次に差ができてしまった若手とのコミュニケーションを苦手としている場合もあるでしょう。

このように、人が「苦手意識」を持つのは今に始まったことではありませんが、かつての日本では、これを明示的に表明することをよしとしないカルチャーがありました。

しかし、近年は「個」を尊重する意識の高まりとともに、特に若手中心に「苦手なものは苦手」とはっきり表明する社員が増えてきて、私たちの耳にも多く届くようになってきているのです。

管理職・トレーナー職は、若手社員の「苦手意識」を取り除くのに苦労している?

若手社員が「苦手なこと」を明示すること自体は決して悪いことではありません。
苦手なことを苦手なままにしておくと仕事のクオリティは上がりませんが、職場で苦手なことを明確にしておくことで、それに対する対策の取りようもあります。

その「対策」としては、本当は「苦手を克服してもらう」ことが一番の策となります。
実際、管理職・トレーナー職において「若手の苦手意識を取り除く」ことに苦労している状況はしばしば見られます。

ですが、かたや若手社員の方では「ダメなものはダメ」と、なかなか苦手克服に向けて積極的に動こうとはしません。

対して管理職・トレーナーの人たちの多くは、自分自身が若手だった頃は「有無を言わさずやらされた」ことが多かったということもあり、建設的な苦手克服に向けた指南方法がわかりません。
「つべこべ言わずにやりなさい」という態度は苦手なことを更に苦手にするリスクがありますし、今の時代ではパワハラと取られてしまうリスクだってあります。

そして、結果的に次手に悩む管理職・マネージャーは多くなってきているのです。

苦手意識を持つと、もっと苦手になってしまう?知っておきたい「マタイ効果」について

さて、この苦手意識と向き合っていく際に、まず知っておきたい考え方で「マタイ効果」というものがあります。

マタイ効果とは?

マタイ効果とは、新約聖書の「マタイの福音書」の部分に出てくる一説、「富める者はますます富み、奪われる者はますます奪われる」に由来するものです。

例えば経済的な文脈では「豊かな者は最も富を得て、貧しい者はもっと貧しくなっていく」というポジティブ・ネガティブ両面のスパイラルを説明したものとなります。
教育面では「優等生はさらに勉強してますます優等生に、知識が乏しいと後続の教育についていけずにますます知識に乏しくなる」と考えることができます。

さて、苦手意識においてもこの「マタイ効果」は大いに現れることがあります。つまり「得意なことはどんどん得意になっていくが、苦手なことはどんどん苦手になっていく」ということを意味します。どういうことか、以下、職場での事例で見ていきましょう。

「富める者はますます富み、奪われる者はますます奪われる」は、職場ではこう顕れる

職場において、「マタイ効果」は周囲からの評価や評判が作用する形であらわれることが多いです。

まず、「得意=強みを見出す」ポジティブスパイラルとしてはそのタスクに対する部内の上司や先輩からの評判が高まり、当然中長期的には社内評価にもポジティブに作用します。

すると、周りからはどんどんその得意なタスクを任されるようになりますし、自分でも積極的に得意なタスクをこなそうとするので、さらにそのタスクにおけるノウハウが蓄積し「さらに得意」になります。一定程度この仕組みを積極的に利用し、社員育成を行うことは必要と言えます。

参考:チーム・組織内で、社員の強みがより発揮されていく状態

一方、「苦手意識が強まる」ネガティブスパイラルもあり、概ねこれと逆の作用になります。

苦手なタスクは少なくとも当初は避けようとします。そうすると、ノウハウが蓄積しないので苦手なものは苦手なまま、むしろ、周囲の評判や評価の低下を巻き込むことで一層苦手意識を抱えることになります。そうすれば、これまで以上に苦手なタスクを避けようとします。

このような「マタイ効果」はしばしば職場で発生している現象である一方、社員の苦手克服に向けては、この「マタイ効果」のネガティブスパイラルからの脱却が肝要となってきます。

参考:チーム・組織内で、社員の苦手意識がより顕著になっていく状態

苦手意識に目を向けず、「成長意欲」に意識を向ける「グロース・マインドセット」の考え

前章で説明したように、社員の苦手意識というのは「マタイ効果」がネガティブな形で現れることで拡大してしまいます。
では、この「マタイ効果」のネガティブなスパイラルから脱却するためにはどうすれば良いでしょうか。

そのような課題が生じた際に役立つのが、「グロース・マインドセット」という思考方法です。

グロース・マインドセットとフィックスト・マインドセット

グロース・マインドセットとは、「これからの成長」に意識を置いた思考方法を指します。

グロース・マインドセットは、「人は経験や努力によって向上することができる」という前提に立って物事に取り組むことを指します。

こうした心の土台を持つことによって、苦手なこと、いい評価が得られない事柄を「成長機会」を捉えることができ、積極的に不得手なこと、足りないことを学んだり経験しようという意識・行動に繋げていけるのです。

また、それら意識・行動は結果として「苦手分野を克服できた」という成功体験を得られやすくなるので、より一層苦手なことを積極的に改善しようという意思気になります。

逆にフィックスト・マインドセットとは、「物事を固定的(普遍的)に捉える考え方」を指します。
人間の能力は「もって生まれたもの」で左右され、変化の余地は小さいと考えてしまう考え方です。

このように考えると、人は苦手なことは変えられないと思い込んでしまうため、改善する努力や経験に向かうことができず、苦手なことはいつまでも苦手なままになってしまうのです。

言うまでもなく、苦手を克服しやすい組織にするためには、社員一人ひとりにこのグロース・マインドセットを持ってもらうことが肝要となります。

グロース・マインドセットを育んでいく為には

さて、社員にグロース・マインドセットを育む上では、以下の3点を意識していくことが大切です。

  • 互いに認め合う「コミュニケーション」風土の醸成
  • 社員が「ラーニングゾーン」の状態になるよう意識する
  • 社員に「成功体験」の機会を多く持たせること

それぞれ、順を追って見ていきましょう。

互いに認め合う「コミュニケーション」風土の醸成

まず最も土台となるのは、コミュニケーションを上司、部下の関係なくしっかりと取りあうことです。
コミュニケーションの際は、失敗を批判するのではなく建設的にフォローし合えるような、互いの能力や進歩を認め合える関係を意識すると良いでしょう。

前向きなコミュニケーションは前向きな意識・行動に繋がり、そして周囲に伝播していきます。管理職・マネージャーの方々は、そういったコミュニケーションが形成されやすい環境・風土を醸成していくことも、ときに求められるのです。

社員が「ラーニングゾーン」の状態になるよう意識する

続いてのポイントは、上司(トレーナー)は、社員が「ラーニングゾーン」の状態にあることを意識することです。

ラーニングゾーンとは、人の学習意欲が高まった状態のことを指します。

人に挑戦をさせながらも、失敗に対し批判を受ける不安が小さい時に、人はこのラーニングゾーンに入ることが期待されます。
上司(トレーナー)は、このラーニングゾーンの概念を理解し、苦手なことを適切にチャレンジさせるが、失敗に対して寛容に対応する、失敗してもフォローしあえる組織を形成することを意識していくと良いでしょう。

社員に「成功体験」の機会を多く持たせること

グロースマインドセットを育んでいく為に大切なポイントの3つ目は、「成功体験」の機会を多く持たせることです。、

特に、相手(部下)が苦手分野に対してチャレンジして、一定の効果や結果を出せた際には、その結果・事実を正当に評価することが大切となるでしょう。

社内で軋轢が生じない程度に、その人にとっての難易度を加味して苦手なことの克服・成長にはやや高めの評価をつけても良いでしょう。肝要なのは、相手が「苦手なことなのに成果を出した」ことを認識させることです。

これら3点を上司として意識していくことで、部下のグロース・マインドセット醸成が促進することが期待されます。

私の「苦手意識」克服事例「グロース・マインドセットにより苦手な営業を克服」

さて、ここでは若手社員だった頃の私の苦手克服体験について紹介しましょう。

私は新卒入社後すぐに法人営業の部門に入りました。しかし、私はもともと人見知りが激しく、特にクライアントとして他社と積極的に関わる営業職には強い苦手意識を感じていました。3年目ごろになると、そろそろ自分の担当を持ち始める年次でしたが、私の苦手意識はそのままでした。そんなおり、課長が異動になり、新たな課長が配置されました。

課長は私の苦手意識にすぐ気がついた一方、ここで新担当を持たせないことは組織としてもなにより私自身としてもプラスにならないと思っていたようでした。そこで、課長は私に新クライアント担当を持たせる上で、積極的に私とコミュニケーションを取るとともに、私より1年だけ後輩のAさんをサポートにつけました。Aさんは私と異なり体育会系の部活経験の中で上下関係を大切にしながら、外向的な性格でしたので、私のフォローに最適と考えたのでしょう。

その上で課長自身も私を積極的にサポートし、フィードバックを与える時はあくまで批判的にならず、成長したポイントはしっかりと評価するように徹底したようで、彼からあからさまなネガティブなコメントを受けたことはありませんでした。次第に私は自分から営業提案力を高めようと積極的に仕事に関わるようになり、いつのまにか「苦手なこと=営業」という感覚はなくなっていきました

当時を振り返って、今私が思うことは

今ふりかえると、新課長のとった行動はまさに、「グロース・マインドセット」を私に植え付けるために行なった行動だったのだと感じています。

上司とのコミュニケーションを増やす、ただ増やすのではなくあくまで建設的にコミュニケーションを取るように徹底すること、部下を私の不足を補いやすいメンバーとし、自身も積極的にフォローする、改善事項はしっかりと評価する、といずれもグロース・マインドセットの醸成に寄与するものです。

そして実際に私は、次第に自分から苦手なタスクに対して準備や努力をするようになり、徐々に営業に対する苦手意識はなくなっていったのです。

苦手意識を持つ社員は確かに多いですが、このように適切な苦手意識の克服メソッドがいつのまにか作用している組織もたくさんあります。それを体系化したものが先に紹介した「グロース・マインドセット」となります。

グロース・マインドセットを社員に醸成しよりハイレベルな組織へ

苦手意識というのは本来人間の防衛本能なので誰しもある程度は持ってしまうものです。

これをむやみやたらに否定してしまうのは禁物ですが、「苦手を克服することが大きな成長につながる」こともまた事実です。

管理職の皆様においては社員の「グロース・マインドセット」を適切な形で引き出すことで、社員それぞれが能動的に苦手を克服するカルチャーを作り上げることが肝要です。社員みんなが積極的に苦手を克服し成長するようになれば、組織全体がこれまでより早いスピードで成長できるようになるでしょう。

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