私の管理職体験談:以前まで仲間だった部下から「相談したい」と言われて。
[最終更新日]2023/03/11
社労士事務所で働いています。
「社労士」って、「名前は知っていても、実際にどんな仕事をするかあまり知らない」という人も多いかもしれませんね。
社労士は、会社の就業規則や雇用契約書の作成、社会保険の手続きなどの仕事を担います。企業の労働法や社会保険を整備する際に、なくてはならない存在です。
私においても、メインの業務は顧問先企業の人事・労務の相談に乗ることです。
それぞれの会社が抱えている問題は本当に様々です。法律で定められたルールに則りながら、会社の環境や状況にあわせてどのようにしたら解決できるかを考え、提案する。 スパッと解決できればいいですが、頭を悩ますような問題が根深い案件も多いです。
まあ、仕事というのはそんなものでしょう。7割うまくいけばいい方で、3割くらいの課題が残る。逆に「10割うまくいった」というときは要注意ですね。そういうときは、大抵なにか重要なことを見落としているものです。
だから、休みの日は仕事を持ち込まず、しっかり楽しむようにするようにしています。
中途半端に仕事のことを考えていても、物事はあまり変わりませんから。休みの日は一切仕事の事を考えないようにしています。
休日は、いつも大体映画を観たりして過ごしています。
また、本当にたまにですが、登山にも行ったりもしています。──これは、井上靖の小説「氷壁」を読んでの影響です。山のロマンというか、なんというか…いけない、話が脱線してしまいましたね。仕事の話に戻そうと思います。
かずきさん(男性 30歳)
- 職業
- 社労士事務所
- 職種
- 社労士
- 年収
- 約600万円
- 従業員規模
- 20人(うち部下4人)
- 地域
- 鳥取県
Index
目次
人の側に立った仕事をしたい
20代のころは、金融業界で営業の仕事をしていました。
ですが、私はあまり金融の仕事は合わなかったのかもしれません。
その頃は本当に大変でしたから。いつも売上・売上・売上で、扱う業務も損益・損益・損益で、疲労とストレスで自分がどんどんすり減っていくように感じて。
次第に「もっと人の側に立った仕事をしたい」と思うようになって、その気持ちがどんどん膨れ上がっていって、私は社労士を目指すことになりました。
その選択が正しかったかどうか──は、今のところは良かったと思っています。
社労士事務所に入ってからしばらくは既存顧客の訪問営業を任せられました。
新しい仕事で慣れないこともあり、更には事務作業等の業務量は非常に多く忙しかったですし、なかなか気持ちの余裕を持てない時期が続きました。
ただ、顧客との打ち合わせなどのやり取りの際は張り合いというか、やりがいのようなものを感じることができました。
前職の金融業のときは、担当のお客様は皆、私でなくて金融商品を見ています。まあ、当然なんですけど。ところが社労士としての仕事は、私の「人」を見て接してくれる。プレッシャーに感じることもありましたが、頑張ろうという気持ちにもなれました。
管理職になったのは、今から4年前。
社労士事務所に入って3年ほど経って、私は管理職に抜擢されました。
上司から、
- 上司
-
主担当として、顧問先の相談にしっかり乗って欲しい
と言われた時は、「自分がそれまでやってきたことが、ようやく認めてもらえたんだな」と思ったものです。
以前も、企業の社長さんからたまに相談されることはありました。
まだまだ私も駆け出しでしたので、持ち帰って調べて勉強して、そして苦心してまとめ上げた解決策を提案して、というのを繰り返していましたが、その努力を評価してもらえたのでしょう。
プレッシャーはありましたが、「これまで以上に貢献していこう」という前向きな気持ちにもなれました。
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ひとりの部下から相談を受けて。
管理職になって1年ほど経ったときのことです。
私はひとりの部下から
- 部下
-
どうも最近、仕事がうまく行かないので相談に乗ってほしい
と言われました。
部下の相談とは、担当顧客の人事上の課題(問題の見られる労働者の処遇)について、どう対応すべきかというものでした。ややイレギュラーなケースで類似事例もなかったため、私のところに相談に来たのでしょう。
会議室で部下の説明を聴きながら、私はいくつかの確認事項と、それにあわせての対応策を考え、部下に話しました。その対応策は完璧なものではありませんでしたが、なんとか次の一歩に繋げられそうだということで、部下からは「ありがとうございます、やってみます」と言われました。
──なんのことはない、上司と部下のやり取りに聞こえたかもしれません。
ですが、このことは私にとってとても印象深い出来事でした。
なぜなら、これが私にとってはじめて「部下から頼られた」経験であったということ。そして、私が管理職になる一年前まで、その部下と私は、同じチームで働く同僚メンバーだったからです。
当時は上下関係もありませんでしたし、私はその部下と自分の経験・力量は同じくらいだと思っていました。その部下が、今私を信頼して頼ってくれていることに、自然とある気持ちが高まるのを感じました。
その気持ちとは何なのか──。自己肯定感、やりがいの充足感のような、または高揚感?──うまく説明できませんが、「これが管理職としての本来の役割なのか」と思ったものです。
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管理職とは、どのような存在であることが望ましいのか。
当時の一件を振り返って、私はこうも考えました。
- 私
-
(これまでの働き方は、「自分のことばかり」だった)
人と関わる仕事がしたいと社労士になって、顧問企業への対応に帆走して、管理職になってからも、その延長線上で働いていたんですよね。
職場の皆も、私と同じように毎日を考え悩みながら、活動していて、私にはそれが見えていなかった。
以前、私の顧問先から「管理職層が頼りない」と相談されたことがありました。
担当の方が言うには、会社の管理職の人たちが「保身に走っている」というのです。そして、そんな管理職を見てその部下たちは「上の立場の人間は、自分たちのことで精いっぱいのようだ。状況次第では、きっと簡単に部下を切り捨てるだろう」と思っているらしい、ということでした。
そのときは(管理職層の経験と質がまだ低いのだろうな)と聴きながら思っていましたが、今思えば当時の私も似たようなものでした。
保身に走っているつもりはありませんでしたが、自分と自分の担当顧客のことだけしか見えていないような働き方では、いずれそう評価されていたとしても仕方なかったでしょう。
社労士は会社の人事・労務の問題を対処するプロフェッショナルのはずです。その知識・経験を、私は「自分の環境に対しても、発揮しよう」とは全く考えられていなかったのです。
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管理職として活動し続けるということは、成長し続けるということ
管理職は、すべての社員と一蓮托生の精神でいるのが大切だと思います。
──というと、ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんね。
でも、やることはそんな大層なことでなくていい。部下のことにも常に意識を張り巡らせて、相談しやすい環境を作っておく。そして自分自身は、これまで以上に結果を出していく。
これから私が目指していきたいことは、社労士として、そして管理職として更に社員と顧客の満足度を上げられる存在になることです。
その為には、経験だけでなく知識も増やしていかなくてはいけません。社労士の上位資格も近いうちに取得しようと思っています。
そうすることによって、部下はもっと頼りに感じてくれるでしょうし、そして私自身も今以上にあらゆる問題に対処できるようになって、顧問先も増やしていけるでしょう。
そうやって私が成長を目指す姿勢を見せることで、組織全体の士気も上がり、部下もさらに仕事に打ち込んでくれるようになることを願っています。
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