管理職なら知っておくべきテクノロジーの話② RPA・AI編

[最終更新日]2019/12/18

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これからのテクノロジーのはなしその②

近年、ビジネス系のメディア等でAIRPAといった言葉をよく見かけるようになりました。

これらの技術の台頭によって人間は仕事を奪われてしまう、といったセンセーショナルな記事が話題になったこともありましたので、今後のテクノロジーの進歩・発展に対して不安な気持ちを抱いている人もいるかもしれません。

しかし、こうした技術が進歩を続け、実用化されつつあるのは事実です。今では業種や職種を問わず、あらゆるビジネスシーンでPCが使われているように、テクノロジーはいったん普及し始めると一気に浸透していくこともめずらしくありません。

そこで、この記事ではRPAとAIを取り上げ、仕組みや付き合い方といった管理職の方々に知っておいていただきたい内容を中心に紹介していきます。

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Index

目次

ロボットに仕事を奪われる日がやってくる!?

これまで、仕事と言えば人間が行うか、人間が機械を操作して行うものでした。

今後、RPAやAIといった技術が発展していくことによって、人から機械へと代替される仕事が増えていくと言われています。

人間よりもミスなく正確に仕事をこなすことができ、休憩する必要のないロボットは、労働力としては人間以上のパフォーマンスを発揮すると考えられるからです。

たとえば、AI(人工知能)に代替される仕事として、次のような職業が挙げられています。

事務員 / データ入力 /ショップ店員 / バス運転手 /自動車組立工 / CADオペレーター など
  • 事務員
  • データ入力係
  • ショップ店員
  • 路線バス運転手
  • 自動車組立工
  • CADオペレーター

ここに挙げたのはごく一部であり、実際には100種もの職業がAIによって代替されるという研究結果もあります(野村総合研究所とオックスフォード大学の協同研究レポートによる)。

まずは、ロボット技術を正しく理解することから始めていきましょう。



テクノロジー分野における「ロボット」にはヒト型以外のものも含まれる

「ロボット」と聞くと、人の形をしたものを真っ先に想像する人が多いのではないでしょうか。

もちろん二足歩行が可能なロボットの研究も進められていますが、テクノロジー分野においてロボットと言うとき、必ずしもヒト型のものだけを指しているわけではないことに注意が必要です。

たとえば、医療分野では「ナノマシン」の研究開発に期待が寄せられています。

0.1〜100nmサイズの超小型ロボットのことで、将来的には人間の血管内に投入して薬剤を供給したり、治療を行ったりすることができるのではないかと言われています。

ナノマシンは明らかにヒト型ではなく、非常に小型のものではありますが、ロボット技術の1分野とされています。このように、ロボットが仕事を代替すると言うとき、一部の用途に対してツールとして用いられることを指していることがほとんどです。

最近では、AIを搭載した愛らしいルックスのロボットも見かけるようになりました。人間と会話ができたり、話し相手の話題の特性を学習したりできるものも登場しています。

そのため、AIとロボットが同一視されたり、概念が混同されやすい状況が生じたりしているのです。



AIやロボット技術を理解するには仕組みや歴史を知ることが大切

AIやロボットについて理解し、それらが実用化される時代に適応していくためには、こうした技術の基本的な仕組みや開発に至った歴史を知ることが大切です。

仕組みが分からない状態のままでは、その技術はブラックボックスとなってしまいます。
すると、たとえばロボットを使って何ができるのか、AIによって解決できる課題は何であるのかが見極められなくなってしまうのです。

一つ例をもって説明しましょう。
前述のAIとロボットには決定的な違いがあります。それは「学習」するかどうか、という点です。

ロボットは、人によってあらかじめプログラムされた通りに動作します。これに対して、AIは収集したデータをもとに学習していき、より適切な判断ができるようになったり、作業の精度が高まったりするのが特徴です。

技術が発展してきた歴史を知ることも重要です。たとえば、これまでも自動車工場ではロボットアームによる部品の組み立てが行われてきました。

最終的に人の目で点検する工程は欠かせないものの、危険を伴う作業や体力的に反復するのが大変な作業はロボットが代替してきた歴史があるのです。

昨今、ロボットがより身近なものとなり話題にのぼることも多くなりましたが、基本的には従来のロボット技術の延長線上に位置し、人の手足の代替となるツールの1つなのです。



PCが普及したことによる働き方の変化をヒントにして考える

ある日突然、万能なロボットが登場して人間の仕事を奪っていく——。そんな未来をイメージすると、技術革新は恐ろしいもののように感じられるかもしれません。

しかし、これまでも技術革新によって働き方が大きく変わるということを私たちは経験してきました。

今日、ほとんどあらゆる業種においてPCが利用されています。PCが一般的なオフィスワーカーに利用される以前の時代、コンピューターは一部の研究者や技術者だけが使う専門性の高い機器でした。

そのため、当時は「ペンと定規で線を引いて書類を作成する事務員」「キーボード入力が専門のパンチャー」といった職種が存在していたのです。現在では、こうした単純作業はPCを使ってオフィスワーカーが誰でも代替できるようになったため、職種そのものが消滅しています。

AIやロボットが台頭することによって、仕事を奪われる人が現れるのは事実かもしれません。

ただし、こういった働き方の変化はこれまでもテクノロジーの発達とともに生じてきた現象なのです。AIやロボットといったテクノロジーを特殊で目新しいものととらえるのではなく、これまで続いてきた技術革新の延長線上にあるものととらえることが大切です。

管理職なら知っておきたいテクノロジー④ RPA

RPAとはRobotic Process Automationの略。定型業務をロボットによって自動化させる。

RPAとは——
Robotic Process Automationの略。定型的なデスクワークをPCにインストールされたソフトウェア型ロボットによって代替させ、自動化を実現すること。後述するAI(人工知能)がデータをもとに学習するのに対して、RPAは与えられた指示に従って定型的な動作を繰り返すのみという違いがある。



RPAの仕組みと活用事例

事務や営業事務の仕事においては、定型的な作業を繰り返し行っているケースがあります。
一例として、次のような作業をしている事務員が配置されているとします。

  • 営業担当者から送られてきた注文書のExcelファイルを開く
  • 自社の受注システムに注文書の内容を入力する
  • 実作業が発生する現場をGoogle地図で検索する
  • 現場の周辺地図をキャプチャし、画像を受注システムに登録する
  • 注文内容を確認して保存する

一連の作業は「手順が決まっている定型的な仕事」です。また、PC上に保存されたファイルと受注システム内で作業が完結することから、RPAによって代替するには好都合なのです。

RPAを活用するには、上記の一連の作業手順をあらかじめ人の手で登録し、テスト運用を経て実務に投入しなくてはなりません。

しかしながら、一度登録してしまえば、深夜に入った注文でもすぐに対処でき、翌朝には作業員が現場へ直行する準備を整えておく、といったことも可能になります。

このように、RPAを導入することによって人の手による入力などの単純作業を削減し、24時間体制で処理を進めることが可能になるのです。



RPAが得意とする業務・RPAではこなせない業務

RPAによって代替できる仕事の条件は「定型化」されていることです。人が判断しなくてはならない工程がなく、機械的に処理できるかどうかがポイントとなります。

上の例では、最初の段階で「所定のExcel注文書で注文を取ってくること」が条件になります。

RPAのソフトウェアは、「Excelシート上のD3セルの文字列を注文システムのBの項目に入力する」といったように、作業内容を機械的に判断しています。そのため、営業担当者ごとに使用する注文書の書式が異なっているようではRPAで処理することは難しくなります。

このほかにも、「備考欄に書かれた顧客の要望に応じて現場への到着時間を判断する」といった複雑な条件分岐を伴う作業は、RPAでは対処できないことがあります。



RPAの導入時に問題になりやすいこと

定型的な作業ならRPAで代替できる、と聞くと、「うちの会社の事務をすぐにでもRPAで代替できるのではないか」と考える管理職の方もいることでしょう。ところが、RPAの導入に際して数々の障壁に遭遇するケースはめずらしくありません。

まず、当たり前のことですが会社ごとに作業フローやルールが異なります。
RPAのシステムは会社ごとの書式の違いや作業フローの違いに対応できるよう、カスタマイズが可能になっています。ただし、「同じ会社内で人によって作業の進め方が異なる」といった個別の事情には対処しきれません。

そのため、いざRPAを導入しようとしてみたところ、作業手順に属人的な要素が多いことが発覚し、作業手順を統一することから着手しなくてはならなかった、といったことが起こりやすいのです。

RPA導入に際して問題になりやすいのは、実はシステムの精度や性能ではなく、もともと組織が抱えてきた「人」にまつわる課題であることが少なくありません。「RPAを導入しさえすれば、すぐにでも自動化が可能になる」とは考えないほうが無難かもしれないのです。

管理職なら知っておきたいテクノロジー⑤ AI

AIとはArtifical Intelligenceの略。日本語では「人工知能」と訳される。

AIとは——
Artificial Intelligenceの略。日本語では「人工知能」と訳される。汎用型人工知能と特化型人工知能に分けられることが多く、前者は自ら思考・判断するのに対して、後者は画像認識や音声認識といった特定の用途にのみ能力を発揮する。

人間と同じように意識や思考を持つ人工知能を「強いAI」、そうではないAIを「弱いAI」と呼ぶこともある。2019年現在、開発が進められ一部実用化に至っているのは「特化型人工知能」「弱いAI」である。



AIの開発は1950年代から始まっていた

AIに関する研究は、あたかも最近になって進んできたように感じられるかもしれませんが、実はその歴史は古く、1950年代からAIの研究開発は始まっていました。1950年代には、ボードゲーム「チェッカー」をアマチュアの人間と互角に渡り合えるレベルのAIが開発されていたのです。

その後、第1次AIブームと呼ばれる現象が1950年代後半から1970年代前半にかけて起こります。

この当時のAIは、人と簡単な会話ができるレベルになっていましたが、単純なパターンマッチングによって会話に応じているだけだったため、しばしば「人工無脳」と呼ばれるなど、成果としては大きくありませんでした。

その後、紆余曲折を経て、近年注目されているディープラーニング(深層学習)などの技術が本格的に研究されるようになったのが2000年代に入ってからのことです。2010年にはインターネットによって転送される情報量が増大していることを受けて「ビッグデータ」という言葉が使われるようになります。

こうして、AIが自ら学習していくために必要な大量のデータを収集できる仕組みが整い、いよいよAIの開発と実用化が本格化するのではないか、と言われているのです。



AIを理解する上で重要になる「パターン認識」の仕組み

DogFoxWolf

AIが得意とする処理の1つにパターン認識があります。

たとえば、私たちは「犬」という動物をどのように認識しているでしょうか。このことを明らかにするために、犬の画像だけを見て「これが犬である」と認識する思考について考えてみます。

犬にはさまざまな種類があります。大型のものから小型のものまでいますし、毛の長さ、耳の大きさ、毛の色などは犬種によって異なります。それらが全て「犬という種類の動物である」と判断するには、多くの条件が必要になります。

「4本足」という条件だけでは、他の哺乳類と区別がつきません。ウサギや馬と区別はつくかもしれませんが、キツネやオオカミなど見た目が似ている動物と区別するのは、人間でも間違えることがあるほど難しい判断です。

そこで、AIに大量の「犬」の画像を認識させ、パターンに共通点や類似点があることを学習させていくのです。

データが少ないうちは、キツネやオオカミと間違えることも考えられますが、「これはキツネであってイヌではない」と教えていくことによって、除外すべきパターンをAIが学んでいくのです。こうしてAIの判断の精度が高まり、ゆくゆくは人間が目で見て認識するよりも正確な判断が下せるようになっていくわけです。



AIが得意とする業務・苦手とする業務とは?

パターン認識に代表されるように、AIは「特定のパターンに従って判断し、学習していく」ことに長けています。

そのため、画像認識によって「写真の人物が怒っているのか、悲しんでいるのか」といったことを推測することは可能でしょう。

しかし、「顔は笑っているけれども、実は怒っている」といった心理を見抜くためには、体温や血圧といったパラメータが必要になるなど、より高度な技術を要します。

また、AIは特定の領域以外の物事を判断することが苦手です。先ほどの犬の例で言えば、「画像の犬はかわいいかどうか」といった主観を伴う判断はできません。

もちろん、多くの人が「かわいい」と感じる犬のデータが大量にあれば、学習によってパターンを学ぶことはできますが、AI自身が意思をもって「この犬はかわいいはずである」と判断することは、現在の技術では不可能です。

さらに、前例のないアイデアを出すことや、脈絡のない偶発的な発想をすることもAIにはできません。AIはデータのないゼロベースの状態から何かを創り出すことはできないのです。

RPA・AIが実用化される時代に管理職が伸ばすべき能力とは?

ここまで、RPAとAIの概要を駆け足で見てきました。では、これらの技術が今後実用化されていくにあたって、管理職が伸ばしていくべき能力とはどのようなものなのでしょうか。

端的に言えば、RPAやAIでは当分の間は実現が難しいこと、AIが苦手とする領域の能力を伸ばしていくことが、今後のビジネスパーソンに求められる能力と言えるでしょう。機械にはできない、人間だけの能力——。具体的には、次の3つの視点がポイントになっていくと思われます。

概念化する能力0からアイデアを発想する力対人能力


概念化する能力

ビジネスで遭遇する課題やトラブルは、複雑な状況が絡み合って生じていることが少なくありません。
利害関係や力関係、これまでの経緯といった事情を踏まえて状況を判断し、できるだけメリットが大きな解決策を見つけるためには、物事を概念化していく能力が欠かせません。

たとえば、メールの誤字脱字が多い部下がいるとします。機械的に判断するなら、「誤字脱字がないか確認してからメールを送るように」と指導すれば事足りるでしょう。

しかし、なぜ単純な誤字脱字を繰り返すのかを考えたとき、「メールを受け取る相手のことを考えていない」「顧客や取引先の立場に自分を置き換えることができていない」といった原因が考えられます。

よって、「もっと相手のことを考えてメールを送るように」と指導することも可能でしょう。このアドバイスをさらに概念化するとすれば、「プロ意識を持って仕事に取り組むことが大切」となります。

こうした概念化は、人間の頭脳によってのみ可能です。概念化に長けた人材は、1つの事象から多くのことを学ぶ、いわゆる「応用力のある人」ですから、AIが台頭する時代になっても重宝されることでしょう。



ゼロからアイデアを発想する能力

機械による判断では、現在の技術水準では「ゼロからアイデアを出す」ことができません。膨大なデータをもとに状況を判断することは人間よりも長けているかもしれませんが、前例のないこと、データがどこにもないものについては、判断しようがないのです。

人間の発想は、ときに荒唐無稽だったり、突拍子もないものだったりすることがあります。
Apple創業者のスティーブ・ジョブズは、iPhoneを発表する遙か前の1984年、「未来の電話」としてボタンのない電話のスケッチを描いていました。

当時の人々は、「ボタンのない電話が完成する」などというストーリーは夢物語だと思ったに違いありません。

これまで起きたことや前例から発想するのではなく、「こういうものがあったら素晴らしい」という思いによって着想することは、機械にはできないのです。

このように、ゼロからアイデアを発想する能力を伸ばしていくことは、AI時代において人間だけに可能な能力として重要性が増していくと考えられるのです。



対人能力

現代では誰もがインターネットを介して情報を手に入れることができます。欲しいものを注文したり、必要な情報を得たりすることも、ネットサービスを利用すればほぼ事足りてしまうのではないでしょうか。

このような状況であるにも関わらず、「営業」という仕事は消滅していません。信頼している人から買いたい、頼りになると感じられる相手から情報を得たい、といった欲求は、昔から変わらず人の本質な心理として存在し続けているからです。

このように、対人能力によってビジネスを進展させていく場面は、今後も決してなくらならないでしょう。

どんなに便利なツールができたとしても、人間的な魅力にあふれた人のところへ多くの人が引き寄せられていくことに変わりはありません。

むしろ、単純に情報を得る・書類をやりとりする、といったことであれば、機械に任せておくこともできるわけですから、より中身のある会話をし、充実した時間を共有したいという欲求は高まっていくことも考えられます。

AI時代へと本格的に突入していく今だからこそ、対人能力を意識的に伸ばしていくことが求められているのかもしれません。

まとめ)RPAやAIを過剰に恐れることなく、うまく活用していこう

ロボットに仕事を奪われる、と聞いて、これまで漠然と不安を感じていた人もいることでしょう。

しかし、RPAやAIがどのようなものであるのか、強みや弱みはどういったところにあるのかを具体的に知ることで、過剰に恐れる必要はないものであることが分かるはずです。

また、RPAとAIが別のものであることが分かれば、「AI搭載のRPA」と謳われている製品を紹介されたとき、その真偽を見抜きやすくなるでしょう。「AIと言っているけれども、実際のところはただのプログラムだ」と分かれば、費用対効果が適正かどうかを判断しやすくなるのです。

AIがどれほど進化したとしても、人間だからこそできる仕事は必ず残ります。

RPAやAIを恐れるのではなく、上手に使いこなすことによって、人間ならではの能力をさらに引き出し、パフォーマンスを高めていくことも可能になるはずです。




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