管理職なら知っておくべきテクノロジーの話① IoT・VR/AR・EV編

[最終更新日]2019/12/16

お役立ち情報
10
管理職が知るべきこれからのテクノロジーの話その①

管理職を務めるビジネスパーソンにとって、これからの時代にテクノロジーの知識は不可欠なものとなります。

これまでも、テクノロジーはあらゆる産業に影響を与えてきましたが、今後はその傾向がさらに加速していくと考えられるからです。「IT業界じゃないから」「うちの仕事にはあまり関係ないから」と見て見ぬふりをしていると、どんどん時代の変化から取り残されてしまいます。

そこで、管理職が知っておきたいテクノロジーのトピックスについて見ていきたいと思います。今回は、次の3つのテーマについて見ていきます。

・IoT(モノのインターネット)
・VR/AR(仮想現実/拡張現実)
・EV(電気自動車)

まずは、管理職がなぜこうしたテクノロジー関連の情報について知る必要があるのか、その意義から確認しておきましょう。

<スポンサーリンク>



Index

目次

管理職がテクノロジー関連の情報を知る意義とは?

もしかしたら、人によっては「正直なところテクノロジー関連の話題が苦手・正直あまり関心がない」といった人もいるかもしれません。仕事上、どうしても必要になった場合はそのときになって調べれば問題ない、と考えている人もいることでしょう。

そもそも管理職がテクノロジー関連の情報を知る意義とは、どのようなところにあるのでしょうか。また、なぜIT業界以外に従事している人でもテクノロジー関連の情報をチェックしておく必要があるのでしょうか。

これらの点について、3つのポイントを確認しておきましょう。

消費者のニーズや行動の変化を知る手がかりになる関連産業や自社事業とのかかわりを見抜きやすくなる「少しだけ先の未来」を予測しやすくなる


消費者のニーズや行動の変化を知る手がかりになる

テクノロジーは世の中の人々のライフスタイルや習慣を大きく様変わりさせることがあります。

10年以上前は電車内で雑誌や新聞を読む人の姿をごく普通に見かけましたが、今ではスマートフォンを見ている人が大半です。

スマートフォンの爆発的な普及によって変化したのは、情報を得る方法だけではありません。ショッピングの際の決済方法や行政手続きに至るまで、人々のライフスタイルに大きな影響を及ぼしています。

このように、あるテクノロジーが登場することで消費者の行動が変化し、これまでなかった新たなニーズが顕在化することは十分に考えられるのです。

前述のスマートフォンの例であれば、フィーチャーフォン(ガラケー)しか使ったことがなく、スマートフォンで何ができるのかを一度も体験したことがない人が、スマートフォンを活用したビジネスのアイデアを出したり企画を立案したりするのはほぼ不可能でしょう。

消費者のニーズや行動、嗜好の変化に対するアンテナを高くしておくためにも、テクノロジー関連の情報は重要なのです。



関連産業や自社の事業との関わりを見抜きやすくなる

テクノロジーの進歩によって、自社の産業に影響が及ぶことも十分に考えられます。いま現在携わっているのがIT関連の事業ではないからと言って、決して例外ではありません。

たとえば、ひと昔まで旅行をするときは旅代理店の窓口に出向き、パックツアーの申込みや宿泊先の手配を委託するのが当たり前でした。

しかし、今ではオンラインでホテルや旅館を手軽に予約できるようになり、旅行代理店の個人向け需要は大幅に縮小しています。

テクノロジーが旅行業界に与えたインパクトはこれだけではありません。

宿泊施設もテクノロジーの影響を受けています。Airbnbの登場により、民泊を誰でも運営しやすくなりました。単に宿泊することを超えた「体験」が旅行の新たな価値に加わるようになったことで、特徴に乏しい宿泊施設は今後ますます淘汰が進むと言われています。

このように、テクノロジー関連の情報を得ることによって商習慣そのものが大きく変化する可能性があります。テクノロジー関連の情報を得ることによって、自社の関連事業が受ける影響をいち早く察知することにつながるのです。



近い将来、産業がどう変わるか「少しだけ先の未来」を予測しやすくなる

現代は変化の激しい時代です。変化のスピードも速く、数ヶ月のスパンで大きな変化が起こることもめずらしくありません。
そのため、数年後、十数年後といった中長期の計画や見通しを立てることが困難になりつつあります。

しかし、少しだけ先の未来さえも全く予測できないわけではありません。適切な情報を得ることで、「この後何が起こるのか」「その変化はなぜ起こるのか」を見通すことに役立つのです。

メタップス社の代表を務める佐藤航陽氏は、スマートフォンの黎明期に、iOSとAndroidの世界的な普及について当時PCで起きていたことを元に仮説を立てたそうです。

Windowsはさまざまなハードウェアで利用されていたのに対して、Mac OSはApple製のデバイスにしかインストールできません。そのため、ハードウェアメーカー各社がこぞってWindows機を開発し、世界規模での爆発的な普及に至りました。

同じように「汎用性の高いAndroidのシェアが高くなるだろう」と考え(事実その通りになっています)、Androidアプリに照準を合わせたビジネスを始めたそうです。

このように、少しだけ先の未来を予測するには「今何が起きているのか」を知っておくことが欠かせません。
もちろん得た知識や情報を応用する力も必要ですが、そのためには大前提として情報を得ていることが必要なのです。

管理職なら知っておきたいテクノロジー① IoT

IoTとはInternet of Thingsの略。日本語で「モノのインターネット」と訳される例)スマートホーム、スマートスピーカーなど

IoTとは——
Internet of Thingsの略。日本語では「モノのインターネット」と訳される。

冷蔵庫、洗濯機といったあらゆる家電がオンライン化することによって、ユーザーはスマートフォンなどの端末を通じてあらゆる端末を操作できるようになる。

また、メーカー側は消費者が製品をどのように利用しているのかをデータ収集できるようになり、製品の改善や潜在的なニーズを把握しやすくなる。すでに製品化・実用化されている技術としては、スマートホームやスマートスピーカーなどが挙げられる。



IoTが普及すると何が変わる?

これまで、消費者に製品を提供しているメーカーは「モノを作る」ことが仕事でした。工場で製造した製品を消費者の手元に届け、使ってもらうことで役割は完了というビジネスモデルだったわけです。

しかし、IoTによってあらゆる製品はオンライン上の端末へと変貌を遂げることになります。

これにより、消費者の手元に製品が届いた後も、消費者の行動やライフスタイルに関するデータを蓄積し、ビッグデータを活用した製品の改良やよりニーズに適した製品の開発ができるようになると言われています。

また、IoTは製造業のビジネスモデルを根底から変えてしまう可能性を秘めています。

消費者が製品を使い始めた後、各ユーザーが製品をどのように利用するかは、これまで「ユーザー任せ」になっていました。

しかし、IoTの普及によってユーザーが使用中の端末の状態も把握できるようになります。これにより、たとえば製品寿命が近づいているケースや、不具合が生じているケースをメーカー側はリアルタイムで把握できるようになります。

ユーザーの状況に合わせてサポートを行ったり、場合によっては新製品を提案したりといったように、製造業は実質的にサービス業化していくと考えられます。



IoTが可能となる背景とは?5Gとの関わり

IoTと密接に関わっている技術に5G(第5世代移動通信システム)が挙げられます。従来の4G(LTE)と比べて、5Gになることで大きく変わるのは「伝送速度」「同時接続台数」の2点です。

まず、伝達速度は3Gから4Gになったときとは比較にならないほど飛躍的に速くなります。

5Gの最高伝送速度は10Gbpsと言われており、4Gのおよそ10倍に匹敵します。2時間の長さの映画をダウンロードするには、4Gでは約5分間を要したのに対して、5Gではたった3秒でダウンロード可能になる計算です。

伝送速度の飛躍的な向上に加え、低遅延も実現されますので、遠隔操作による建機やロボットの操作が可能になります。医療分野においても、遠隔手術が可能になるのではないかと言われています。

そして、同時接続台数は3Gの30〜40倍となり、1㎢あたり100万台の端末を同時に接続できるようになります。これにより、各世帯であらゆる家電を無線通信かできるようになるほか、後述する自動運転車のオンライン化が実現可能になります。



IoTの影響を受けると考えられる産業とは?

ここまで読んでいただければすでにお分かりいただけるように、IoTは製造業のあらゆる分野に影響を与える可能性が非常に高いと言えます。

これまでモノを作ることに注力してきたメーカーは、サービスを提供するという視点からマーケットを捉え、消費者のニーズに対してよりきめ細やかに対応することが求められるようになっていきます。

データを収集するための仕組みにも大きな変化をもたらすことが予想されます。

家電類がユーザーの行動を感知するには大量のセンサーが必要となります。

スマートフォンの普及によって、ジャイロセンサーや加速度センサーといった、従来は航空宇宙工学分野や軍事分野でのみ利用されてきた技術を利用した製品が民間企業で一般消費者向けに大量生産されるようになり、その影響から価格が下落する現象が起こりました

世界のセンサーの出荷金額及び台数の推移

出典:JEITA

IoTの普及により、こうしたセンサー類の価格はさらに下がり、センサーそのものは高級品ではなくなっていく可能性があります。

これにより、ロケット開発や人工衛星の技術はさらに身近なものとなり、スタートアップ企業やベンチャー企業が開発に参入するハードルがいっそう低くなると見込まれています。

管理職なら知っておきたいテクノロジー② VR/AR

VR/ARとはVR:Virtual Reality=仮想現実AR:Augmented Reality=拡張現実

VR/ARとは——

VR:Virtual Reality=仮想現実
目の前にある現実とは異なる現実を出現させること。一般的に、ユーザーはヘッドマウントディスプレイなどクローズドなデバイスを装着し、その中に投影されるCGや音に没入することでリアリティを味わう。

AR:Augmented Reality=拡張現実
現実世界の中に情報を追加すること。スマートフォンなどのデバイスをかざすと、現実の風景や書籍の紙面などに情報を追加した状態で見ることができる。ARを活用したスマートフォンゲームに「ポケモンGO」がある。



VRとARの違いとは?

VRとARはよく比較される技術ですが、それぞれの違いは次のようにまとめることができます。

VR
(仮想現実)
AR
(拡張現実)
コンセプト 没入させる 拡張する
没入度 高め 低め
ユーザーが見るもの 現実に似せて作られた仮想世界の映像 現実世界の映像とCGなどによる付加情報

VRは現実にはない映像や音に100%没入するのに対して、ARは現実の映像が主体であり、そこに情報を付加している点が大きく異なっています。

VRとARのこうした性質の違いは、ユーザーが使用する端末にも表れています。VRコンテンツを体験するには、ヘッドマウントディスプレイや専用のチェアなど、VR用の機器を用意する必要があります。

これに対して、ARはスマートフォンやタブレットのカメラに映る映像の中にARコンテンツを表示させることができるため、ユーザーが負担するイニシャルコストとしてはARのほうが手軽になりやすい特徴があります。

ARコンテンツの一例として、インテリアなどを販売しているIKEAがAR対応アプリをリリースしています。

家具などを部屋に置いたとき、どのようなサイズ感・色合いになるかを購入前に試すことができる仕組みになっており、消費者としては購入を検討する際の有力な手段の1つになると思われます。



VRとARは、どちらが早く普及する?

専用の端末を用意する必要があるVRに対して、現状多くの人がすでに持っているデバイスで体験できるARのほうが、初期費用などユーザーとしての負担感が少なくて済むことは前で述べました。

この点と併せて、VRでは映像を見せることでユーザーを没入させる必要があることから、ヘッドマウントディスプレイは顔の上半分を覆う形状になります。つまり、デジタルデバイスとしては比較的大型で重量のあるものになりやすいのです。

さらに、VRはヘッドマウントディスプレイのようにユーザーの肌に直接触れる形で装着するデバイスにならざるを得ないのも特徴の1つです。

そのため、衛生面において不特定多数の人が入れ替わり立ち替わり利用するような用途には向かないと指摘されることがあります。

VRヘッドマウントディスプレイの一例(Oculus Quest)Amazonより

こうしたVRの課題点の多さに対して、ARは徐々にその活用されるシーンを増やしており、現状の流れが続くとすればARのほうがVRよりも早く普及するのではないかと考える人も多いようです。



VR/ARの普及が影響すると考えられる産業とは?

VRやARの普及によって、さまざまな産業に影響が及ぶと言われています。

たとえば観光業界においては、観光地でARを利用したガイドを提供することができれば、人間によるツアーガイドは不要になる可能性があります

歴史的な建造物にスマートフォンをかざすと、建てられた年代や建てた人物といった主要な情報が表示されるイメージです。このほかにも、城址にあたる位置にすでに失われた天守閣をあたかもそこにあるかのように投影する、といったことも可能になるでしょう。

VRの没入感を応用すれば、災害や病気を現実に経験する前に疑似体験しておくことで、対策や予防に対する意識を高めてもらうことも可能でしょう。防災や医療に関わる産業のあり方にも影響を及ぼす可能性があります。

不動産業界においては、モデルルームの内見をVRで済ませるといったが実現するかもしれません。

すると、遠方に住んでいる見込み客にも内見を疑似体験してもらうことができるようになるため、仲介業者の店舗の立地はあまり関係なくなっていくことが予想されます。

また、工場などにおいて手順が厳格に決められている作業や、一定の経験を積まないと習得できなかった複雑な機器の操作なども、ARによってノウハウを表示することにより、経験則に左右されることなく実務をこなせるようになる可能性があります。

このように、VRやARは幅広い産業に影響を及ぼすポテンシャルを持った技術であり、生産やマーケティングのあり方を大きく変える可能性を秘めています。

管理職なら知っておきたいテクノロジー③ EV・自動運転

EVとはElectric Vehicleの略。日本語では「電気自動車」。

EVとは——

Electric Vehicleの略。日本語では電気自動車と訳される。
従来のガソリン車やディーゼル車が燃料を燃焼させて動力を得ていたのに対して、バッテリーとモーターによって車軸を駆動させる。

ハイブリッド車がエンジンとモーターの両方を使用するのに対して、100%モーターで駆動する車のことをEVと呼ぶ。

ランニングコストや環境負荷を低減できるメリットがあることから、将来的にガソリン車に代替される移動手段になることが期待されている。



EV(電気自動車)と自動運転はセットで発展する可能性大

EVが世の中の注目を集めている理由は、ガソリンを利用する従来の車に取って代わる技術であるという点だけに留まりません。

電気回路によって制御するEVは自動運転者との親和性が非常に高く、EV開発の延長線上には自動運転車の実用化があると考える人も少なくないのです。

参考:Tesla社によるオートパイロットの実験映像

Autopilot Full Self-Driving Hardware (Neighborhood Short) from Tesla, Inc on Vimeo.

自動運転車は周囲の交通状況や路面の状態をセンサーや映像によって感知し、その情報をリアルタイムでサーバへと集中させます。

これまで人間のドライバーは自車の周辺で目の届く範囲しか確認できませんでしたが、路上を走る全ての自動運転車がオンラインに接続されることにより、離れた場所で今まさに起きている事故や路上の落下物といった情報をいち早く得ることができるようになるでしょう

安全面や事故を起こした際の責任の所在などは議論の余地がありますが、技術が確立されれば人間による不確実な判断よりも安全性の高い車が完成する可能性は十分にあるでしょう。



EVが自動車産業に与えると考えられる影響とは?

EVの台頭が自動車産業に与える影響は甚大です。

従来の内燃機関を持つエンジンは、部品の数が多く複雑な構造にならざるを得ませんでした。そのため、自動車メーカーだけでなく部品の製造や修理を請け負う産業も、自動車産業の一部として栄えてきた経緯があります。

ところが、EVはモーターとバッテリーという非常に簡素な構造しか持たない自動車です。

今後、インホイールモーター(駆動輪のすぐ近くにモーターを配置する駆動方式)の開発が進めば、動力のために割いていたスペースがほぼ必要なくなり、自動車の車体は現在よりもかなりコンパクトに、軽くなることが予想されます。

同時に、使われている部品の数は大幅に減り、故障や不具合の少ないシンプルな構造になると考えられます。

自動車そのものの価格も大きく下落するでしょう。
人によっては、現在のPC並みの価格まで車体価格が下がると予想する人もいます。

こうなると、日本においても一大産業として栄えてきた自動車産業全体の収益が下がり、関連産業も縮小していくことも十分に考えられるのです。



EVの普及が自動車産業以外に与える可能性のある影響とは?

EVの普及が与える影響は自動車産業のみに留まりません。

自動運転車が市街地を走るようになると、車は所有するものというよりは「必要なときに呼び出して乗る」といった形でシェアされるようになる可能性があります。

現在でもシェアリングカーを移動以外の目的(一人の時間を持つため・静かな環境で会話するため・仮眠を取るため、など)に利用するユーザーが一定数いることが知られていますが、EVや自動運転車の普及により、この傾向はさらに高まっていくことでしょう。

自動運転車は原則として人間が運転する必要がありませんので、車での移動時間が今以上に娯楽化する可能性も指摘されています。

移動時間を有意義な体験へと変えるコンテンツの提供や、リラックスできる環境の提案といったように、移動手段としての「車」を超えたサービスが台頭してくる可能性があります

こうなると、自動運転車の車中で開催するイベントや食事会、映画鑑賞、カラオケなど、さまざまなレジャー・娯楽産業が「車」のライバルになってくることも考えられるのです。

まとめ)テクノロジー関連のトピックスを知り、未来の見通しを立てよう

スマートフォンが爆発的に普及したことによって、私たちのライフスタイルはさまざまなところで影響を受けています。

SNSや動画、ゲームといったコンテンツを楽しむことができるスマートフォンは、従来は外食や娯楽、レジャーといった産業へと流れていた消費者の「時間」を占有するようになりつつあります。

結果的に、食や娯楽に関わる産業はスマートフォンでは得られない体験や特別感を演出することで集客せざるを得なくなっている現状があります。

このように、一見すると関係がなさそうな業界の出来事であっても、実はかなり直接的に影響を被っているというケースは少なくありません。

今回ご紹介したようなテクノロジー関連のトピックスについても、知れば知るほど未来への見通しが立てやすくなり、「少しだけ先の未来」が見通せるようになるはずです。




おすすめ記事

特集・管理職がキャリアに行き詰まったら

こんなお悩みはありませんか?

  • 今のままキャリアを積んで行くべきか迷っている
  • もっと活躍できる場所がある気がする
  • 転職するか、今の会社に留まるかどうするべき?

満足できるキャリアパスを見つけるためのヒントをご紹介します。

>> 詳しく見る

<スポンサーリンク>