ボーナス(賞与)をしっかり払う会社は、良い会社?そもそもボーナスってどんなもの?

[最終更新日]2020/07/06

お役立ち情報
5
ボーナスがある会社は良い会社?

今回のテーマは「ボーナス」です。まず、皆さんに3つの質問をします。直感で答えてください。

Q1. ボーナスと賞与のちがいとは何でしょうか?
Q2. ボーナス支給額はどのように決定されるのでしょうか?
Q3. 会社はなぜ従業員にボーナスを支給するのでしょうか?

・・・いかがでしょうか?回答がすぐに思い浮かびましたか?

管理職の皆さんは、自身がボーナスを受け取るだけでなく、部下のボーナスを査定している人もいるはずです。

もし部下から上のような質問をされたとしたら、上司としてしっかりと応じられるようにしておきたいもの。しかし、よく考えてみるとボーナスとは何なのか、なぜ会社はボーナスを支給するのか、あまり深く考えたことがない人もいるかもしれません。

知っているようで知らないボーナス。今回は、このボーナスの仕組みや意味合いについて解説していきます。

<スポンサーリンク>



Index

目次

そもそも、ボーナスとはどのようなものか

ボーナスとは、月1回支払われる月給とは別に支給される給与のことを指します。「賞与」「特別手当」などと呼ばれることもありますが、いずれもボーナスと同じ意味と考えて差し支えありません。

労働者に支払われる賃金については最低賃金が定められており、月1回以上支払うことが企業に義務づけられています。

たとえば、ある月には社員に給与を支払うけれども、その翌月は一切支払わない、といったことは認められていません。

一方、ボーナスに関しては、支払う時期や支給額、そもそも支給するかどうかに至るまで、各企業が自由に決めてよいことになっています。

「必ず夏・冬の年2回払わなくてはならない」「年1回以上は支給義務がある」といったルールはなく、企業が従業員にボーナスを一切支給しなくても法律に違反しているわけではありません。




なぜ会社はボーナスを支払うのか?

ボーナス支給が法律で義務づけられているわけではないのであれば、なぜ会社は従業員にボーナスを支払うのでしょうか。

まずは、ボーナスを支給する・支給しない場合の、従業員と会社側それぞれのメリット・デメリットについて整理します。

 
メリット デメリット
ボーナスがある従業員:まとまった収入を得られ、大きな買い物や貯蓄がしやすい
会社:業績に応じて人件費を調整する余地ができる
従業員:業績悪化などで支給額が大幅に下がると意欲をなくすことがある
会社:支給後の時期に退職者が固まりやすくなる
ボーナスがない 従業員:月給が高めに設定されていることが多い
会社:人件費が固定され、年間の予測が立てやすい
従業員:大きな買い物や貯蓄にお金を回しにくい
会社:報酬によって従業員の意欲を高める機会を設けにくい

このように、ボーナスの有無は会社・従業員の双方にとってメリットとデメリットをもたらします。
一見するとボーナスを支給する会社は良い会社のように思えますが、実際にはそうとも言い切れないところがあるのです。

勤務先の待遇の良し悪しを判断する際に、ボーナスの支給額を基準に含めて考えがちですが、ボーナスの有無や金額だけでは会社としての良し悪しは判断できない場合があることを考慮しておく必要があります。

ボーナスの実態と平均支給額

毎年、大手企業や国家公務員のボーナスが支給される時期になると、ニュースなどで平均支給額について報道されています。これらの数値は、前年度と比べた場合のボーナス支給額の増減を知るための指標として使われることもあります。

ところで、ボーナスの支給額や支給時期はどのようにして決められているのでしょうか。また、一般的にボーナスはどのぐらい支給されているものなのでしょうか。

ボーナスの実態と平均支給額について確認していきましょう。




ボーナスの支給額や支給時期の決め方は?

ボーナスの支給額は企業が独自の基準で決めています。企業によって計算方法は異なりますが、一般的には次のような方法で支給額を算出しているケースがよく見られます。



《ボーナス支給額の決め方の一例》

基本給×〇ヵ月分ベースとなる支給額+個人の成績給一律の額を全社員に支給
  • 基本給×〇か月分
  • ベースとなる支給額+個人の成績給
  • 一律の額を全社員に支給

支給時期についてはどの月でなくてはならないという決まりはありません。

最も多いパターンとしては夏と冬の年2回、夏季・冬季賞与として支給するケースです。これ以外にも、決算時に決算賞与として年1回支給する企業や、夏季・冬季と合わせて特別賞与を春頃に支給する企業もあります。

支給時期や回数が自由に決められると言っても、年4回以上になると社会保険料の計算上は給与として扱われることになります。
そのため、多くの企業では年1〜3回までを年間のボーナス支給回数としているのです。




平均何か月分?一般的なボーナス支給額

ところで、実際のところ多くの企業ではどのぐらいのボーナスが支給されているのでしょうか。

厚生労働省が2018年に実施した調査によれば、民間企業のボーナスの平均額は夏季38.4万円、冬季39.0万円となっています(※1)。あくまで平均値ではありますが、一般的なボーナス支給額として目安になる金額と言えるでしょう。

また、ボーナスの支給額は企業規模によって差があり、大手企業では月給の2.4か月分(※2)、中小企業では月給の1か月分(※3)となっています。一般的には大手ほどボーナスが高いと言われていますが、これは業種・職種や業績によって異なることがありますので、中小企業であっても大手並みのボーナスが支給されている企業はもちろんあります。

※1:厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 各年の『夏季賞与』『年末賞与』

※2:毎月勤労統計調査 平成31年2月分結果速報等 表2 平成30年年末賞与の支給状況 (厚生労働省)

※3:2018年夏季・冬季 賞与・一時金調査結果(日本経済団体連合会)

決算賞与と業績賞与とは?

一般的にボーナスと聞くと「夏のボーナス」「冬のボーナス」のイメージがあるかもしれませんが、これ以外のボーナス支給方法を採用している企業もあります。

代表的なものとしては、決算賞与業績賞与が挙げられます。

いずれも勤務先の売上など業績によってボーナス支給額が決まる点は共通していますが、決算賞与と業績賞与では意味合いや目的がやや異なる部分もあります。

なぜ決算賞与や業績賞与といったボーナスの支給方法を採用しているのか、企業・従業員双方にとってのメリット・デメリットと合わせて見ていきましょう。




決算賞与の特徴

決算賞与とは、企業の決算期に合わせてその前後で支給されるボーナスのことです。

1年間の成果として売上が伸びたり、利益が多くなったりした場合に、成果を従業員に分配する意味合いになります。成果を重視する外資系企業や収益が上下しやすいベンチャー企業などでよく見られるボーナスの仕組みです。

決算賞与は年間の業績に応じて決まることから、従業員としては自分たちの努力が報われたという実感を持ちやすいメリットがあります。

一方で、業績が芳しくなく利益が出ていない場合はボーナスが支給されない、または少ない場合がありますので、意欲の低下につながる恐れもあります。

企業にとって、決算賞与は節税効果の面でメリットがあります。
大きな利益が出れば税金も多くかかるわけですが、利益を従業員に分配することで納税額を抑えることができるのです。

ただし、企業としては大きなキャッシュアウトになりますので、手元資金が少なくなりやすいというデメリットがあります。




業績賞与(業績連動型賞与)の特徴

業績賞与とは、会社の売上や営業利益、目標達成度などに応じて賞与額を決定する仕組みのことです。

決算賞与とは異なり、会社全体としては業績が好調だったとしても、部門や個人の成績が芳しくなければ賞与が増えないこともあり得ます。その意味で、決算賞与よりもさらに成果主義寄りのボーナスの仕組みと言えるでしょう。

業績賞与は、従業員にとって賞与の決定プロセスが明確で納得しやすいというメリットがあります。

目標を大きく超えて達成することができればボーナスが増えるわけですから、より高い目標を掲げて努力する動機にもしやすいのです。

ただし、売上が伸びても利益は下がってしまったり、長い目で見えれば十分な功績であっても短期的に利益をもたらさない貢献が評価されにくかったりと、モチベーションの低下につながる恐れがあります。

企業にとっては、決算賞与とはちがい目標に応じて支給額が決定されることから、ボーナス支給前に会社に現金がないということもあり得ます。

そのため、賞与を支給するために借入をしなくてはならないといったことも起こり得るのがデメリットと言えます。

ボーナスは、従業員のモチベーションを上げるための「手段」のひとつ。ボーナスだけが「目的」にならないように。

管理職の皆さんの多くは、従業員としてボーナスを受け取る側であると同時に部下を評価しボーナス支給額の決定に関わる立場にあるはずです。

そのため、ボーナスの基本的な仕組みだけでなく、ボーナスが従業員のモチベーションにどう影響するのか理解しておくことも重要になります。

会社員にとって、ボーナスは1年間の中で楽しみな時期の1つです。

ボーナス前になると「ボーナスで何を買おうか」「どこに旅行しようか」といった計画を立てる人も多いことでしょう。

支給額が前回よりも上がっていると「頑張ってよかった」「もっと頑張ろう」と意欲を新たにすることもあるはずです。このように、ボーナスが従業員にとってモチベーションを高めるため上で重要な意味を持っていることは間違いありません。

ただし、もう1つの視点としてボーナス「だけ」が目的化しないよう注意しておく必要があります。

これは自分自身が働く上でも、部下のモチベーションを維持する上でも重要な考え方となります。ボーナスはモチベーション向上のための手段の1つとして捉えるべきなのです。




ボーナスで一喜一憂しない、させないことが大切

ボーナスをモチベーションアップの源泉として中心に据えてしまうとなぜ良くないのでしょうか。

心理学者マズローは、人間の欲求を5段階に分類し、そのうち最も高次の欲求は「自己実現欲求」であると唱えています。

より多くのボーナスを受け取ることは、社会的に認知されたいという社会的欲求や、周囲から尊敬されたいという尊厳欲求を満たす上では有効に機能する場合があります。

しかし、その効果は一時的でしかなく、永続的なものではありません。より普遍的な意味で内的欲求を満たすには自己実現を図ることが求められるのであり、金銭の授受によって完全に満たされるものではないのです。

マズローの欲求5段階

マズローの欲求5段階:人は低次の欲求が満たされると、より高次の欲求を求めるようになる。



仮に「ボーナスを上げることが働く上でのモチベーション」となってしまうとすれば、それは「お金のためだけに働く」という価値観に縛られることを意味しています。

部下にとって、ボーナスをもらえることが嬉しいのは疑う余地のない事実かもしれませんが、ボーナス支給によるモチベーション向上を過剰に意識してしまうと、より本質的なモチベーションの源泉を見落としてしまうリスクもあるのです。

管理職としては、ボーナスをもらう側の視点を持ちつつ、ボーナスが組織や人材にどのような影響を及ぼすのか中長期的な視点をもって俯瞰することが求められます。

「なぜ働くのか」「働く上での喜びとは何か」といった視点を見失うことなく、評価や報酬の一環としてボーナスを捉えることを意識しましょう。

まとめ)ボーナスを複眼的に捉える管理職の視点を持とう

ボーナスの支給は従業員のモチベーション向上に寄与するという側面を持っています。管理職自身にとってもボーナスをもらえるのは嬉しいことであり、頑張って良かったと思える理由の1つにはなり得るでしょう。

ただし、部下のモチベーションを維持する上でボーナス支給の効果を過大に評価することには危険も伴います。

ともすれば、まるで部下が金銭面での報酬だけを動機として働いているかのような安易な捉え方をしてしまうことにもつながりかねません。

管理職としては、ボーナス支給の背景にある考え方や、支給がもたらす効果が限定的であることを念頭に置き、より広い視点で働く上での動機について考える必要があります。

ボーナスをもらう側としてだけでなく、ボーナスを支給する側の視点にも立ち、その効果や意味合いを複眼的に捉える視点を持つことが管理職には求められるのです。

<スポンサーリンク>