チームは何でまとまらない?チームビルディング・運用に悩む管理職・リーダーが意識したいポイント3つ!
[最終更新日]2023/11/03
多くのオフィスワークでは一定のチームが編成されていて、会社はチームがまとまりを持って仕事を進め、効率的にそれぞれのチームのゴールを達成することを求めています。
しかし、そんな希望に反して、オフィスのチームは当然思うようにまとまらないことはしばしば課題認識されることがあります。
今回の記事では、チームがまとまらない原因と、それを踏まえたチームをまとめる上で管理職やリーダーが意識したいポイントを説明します。
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目次
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なぜチームはまとまらないのか?
まずはチームがうまくまとまらない原因について考察してみます。
まず、私たちがチームについて考察する際に、前提として意識しておきたいことは、『個々の力では充分に達成できない難しいタスクに挑むからこそ「チーム」が生成される』ということでしょう。
ですので、難しいことに挑んでいるのですからチームは「そう簡単にまとまらない」という前提で物事を考える必要があります。
チームがまとまらなくなる要因はいくつもあって、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- エネルギーや熱意の喪失
- チームの存在意義や目的意識の喪失もしくは齟齬
- チームメンバーの無関心
- 一部のメンバー発の一方的な議論
- 個人攻撃・犯人捜し
- 人間関係の歪み
以上の要因のいずれかがチーム内で広がると、チームはまとまりを欠きます。
難しいのは、チームのほんの一部でも上記の要因が発生し始めると、途端にチーム全体がまとまりにくくなることです。
先にも書いた通り、人間である以上、そしてチームで達成すべき一定の難易度のタスクに挑んでいる以上、チームが存在すると常に上記のチーム阻害要因が発生するリスクは潜んでいます。
そもそも、「まとまらないものをまとめる」のがチームの役目
前述の通り、チームは「自然にまとまるもの」ではなく、「まとまりにくいものをまとめる」必要があるものであることを認識しておくことが肝要です。
つまり、上記の様々なチームの阻害要因を発生させないように、管理職やリーダーは積極的に行動していく必要があるのです。
具体的には、以下の点を積極的に取り組むことで、チームの阻害要因を防ぐことができます。
- 目標の共有
- 小さな成功体験を作る
- メンバーの役割期待の明確化
- 人間関係の構築
- チームの問題の吸い上げと解決策の策定
目標を共有することで、チームの存在意義や目的意識をメンバーに定着しながら、短期的なゴールを設定することで、それを達成することによる「小さな成功体験」を発生させます。また、チーム各々のメンバーに責任をもって役割を与えるように調整するのも管理職・リーダーの仕事です。「人間関係の構築」はこの中では実は一番不確実で難しいものです。
「合わない人間」同士はどうしても存在するので、チームリーダーは間に入って積極的にコミュニケーションを取ってチームの人間関係を維持する必要があります。
最後に、いつなん時発生するかわからないチームの問題に敏感になり、見つけた場合は放置せず速やかに解決方法を考えていくという積極的な姿勢が必要です。
「チーム」の主な役割は?
ここでいったん、「チームの役割」というものを再考してみましょう。
チームとは、複数のメンバーが集まり、各々の特性を活かしながらそれぞれに与えられた役割を果たすことで、チームの目標やゴールを達成していくことを目的とした集団のことを指します。
「チーム」はよく「グループ」という言葉に置き換えられることもありますが、「グループ」とは通常 同期メンバーや友人の集まりなど、単に複数のメンバーが集まった状態に対して表現される言葉です。
その際、「チーム」と「グループ」の最たる差は「目的意識の有無」になるでしょう。
つまり、チームとは「目標やゴールを達成することを目的としている」、併せて「それぞれに役割がある」集団であり、チームについいて考察する際はこの2点を認識しておく必要があります。
チームビルディング・チーム運用を行う際に知っておきたい「タックマンモデル」について
さて、ここまでの内容で、チームを機能していく為には「共通の目的」と「それぞれに役割がある」ことが重要だとお伝えしました。
続いては、チームを実際に運営していく上で意識しておきたいポイントについて見ていきましょう。
ここでは、チームビルディングにおける有名な理論として「タックマンモデル」を紹介していきます。
これは図の通りチームの形成を「形成期・混乱期・統一期・機能期」に分けたものです。
それぞれのフェーズのポイントを説明します。
形成期
形成期は、まだメンバーが集まっただけの状態で「グループ」の状態です。チームメンバー間の親睦・理解を深め、目標を共有しチームとし立ち上げていくことが、この形成期におけるポイントです。
混乱期
混乱期は、チームメンバー同士の理解が深まる中で、どうしても認識や特性のずれ・不適合などがでてきます。そうした混乱の発生は「起こるべくして起こる」ものではありますが、対話や各々の思考を整理して、チームとしてまとめ上げていくことが肝要です。
統一期~機能期
混乱期から、統一期への移行は最もリーダーシップが必要とされる時期で、管理職・リーダーの腕の見せ所ですメンバー間のずれをまとめ上げ、一つの目標に対してコミットするチームを形成していきます。
統一期が過ぎれば各々の特性を相互に活かしあいながらゴール達成を目指す「機能期」にチームは至ります。
「混乱期」を抜けられないチームが殆ど
この中でチームにとって「つらい」「まとまらない」という感覚を抱かせやすいのは混乱期です。
この混乱期はチームがチームとして機能していく上で避けられない、起こるべくして起こるものであるといわれており、発生すること自体はネガティブにとらえる必要はありません。
重要なのは、「混乱に対してどのように対応していくか」ということです。
混乱の源泉はたいてい人間関係やメンバー間の特性の不一致に由来するものです。
リーダーや管理職はこれを無理に取り除くのではなく、混乱の要因を受け止め、そのうえでチームのゴールを共有しながら、混乱の発生要因となっている特性のずれ・人間関係を活かしながらチームをまとめていくことを目指す必要があります。
メンバー間のコミュニケーションを密に取りながら、機能期にいたるためのチームの在り方、それぞれに与える役割などをリーダーが主導して固めていくことが肝要です。
チームの混乱・停滞を打破し、成長する為のポイント3つ
さて、ではチームの「混乱期」を乗り越えていく為に、私たちには具体的にどんな有効な手段があるのでしょうか。
ここでは、様々な形態のチームにおいても共通して検討していける方法・考え方として、以下の3点をご紹介します。
- 「シェアド・ビジョン」明確な目標を共有する
- コミュニケーションの「場」と信頼関係を大切にする
- 「人を変える」のではなく「仕組みを変える」ことを意識する
それぞれ、順を負って見ていきましょう。
「シェアド・ビジョン」明確な目標を共有する
チームの混乱・停滞は、メンバーが目標を見失っている、もしくはそもそもまだ充分に浸透していないことにより、チーム一丸となって働く意味合いがわからなくなっていることもその一因です。
リーダー・管理職はそのリーダーシップを発揮し、チームメンバーにチームが達成すべき目標をチームメンバーに共有し、ずれなく認識させることが肝要です。そして、チームメンバーのそれぞれが果たす役割は全て、その最終的なゴールに向かっていることを理解してもらう必要があります。
また、チームの目標達成が長期になればなるほど重要なのは、最終目標を達成する過程となる短期的な目標を設定していくことで、チームに継続的に「達成感・進捗感」をもたらすことです。これらの働きによりチームメンバーはチームの存在意義と各メンバーの役割を認識し、チームにまとまりが生まれることになります。
コミュニケーションの「場」と信頼関係を大切にする
混乱期においては、放置しておくと人と人とのコミュニケーションが乏しくなりがちです。混乱期は当然人間関係が思わしくないため、積極的に交流をしようとはしなくなるからです。
管理職やリーダーは、逆にそうしたつらい時期だからこそ、積極的にコミュニケーションの場を設けることが肝要です。伝統的なやり方ではチームの懇親会・飲み会が当たりますが、現代は必ずしもアルコールの場を好まない方も一方でいるので、その点は頻度、開催時間の長さなどに配慮をすることも肝要です。また、それ以外ではランチ会などを開催するのも一案です。
また、リクリエーションやグループワークを取り入れることでお互いの交流を深めるというのもコミュニケーションや信頼関係の構築に寄与します。ここで言うグループワークは、直接チームのタスクに関係ないゲームのようなものがいいでしょう。
以上のようなツールを活用して、リーダーはとにかくチームメンバーのコミュニケーションを冷やしてしまわないようにすることが肝要です。
「人を変える」のではなく「仕組みを変える」ことを意識する
人の特性や人間関係がうまくかみ合わずにチームが混乱しているとき、ついついその原因となっている「人」を変えようとしてしまいがちです。これは一見短絡的で簡単に見えるのですが、その実却って困難なことであることに気づきます。
人の性格や考え方はすぐに変わるものではありませんし、まして特性に至っては持ち合わせていないものはどうしたって持ち合わせていないからです。得意でないことを「得意になれ」と言われてもメンバーに相当な努力と時間が必要であることはイメージが沸くかと思います。
そうではなく、「それぞれの性格・考え方や特性」は是のものとして受け入れ、チームの仕組みのどのように作り替えていくかを考えていく必要があります。人の性格・考え方が合う人同士がよりリンクするように、或いは各メンバーの特性が生かされるようにそれぞれのタスク・役割やチームの構成を調整敷くことが必要なのです。変えるのは人ではなく「チームの仕組み」であることを認識しておく必要があります。
事例:私のチームビルディング・運用
最後にチームビルディングの事例としてとある会社の財務部門の事例を紹介します。
この会社は比較的ジョブ・ローテーションが頻繁で、その時2人の新卒社員と1人の他部署からの転入者がいたそうです。そのチームは財務目標やそれに至る上での企業の財務戦略を策定するチームだったのですが、当初は特性や考え方の不一致から思うように作業は進みませんでした。
次回の中期経営計画を策定するうえで時間もそこまで残されておりませんでした。
チームをまとめあげることが急務と考えたリーダーはまずチームのコミュニケーションを増やす努力をしました。本当は飲み会をたくさん、と行きたかったのですが、新卒の一人は女性でアルコールは苦手ということもあり、これは最大でも月1回程度、1次会で終了することを徹底し、その分ランチ会などで交流を深めていきました。
またリーダーは各々のタスク構成を調整しました。
特に新卒社員・転入者に確りと役割期待を与えることを重視しました。新卒社員はまだまだこれから成長すること、転入者は全部署での経験を意識しながら、各々に適したタスクを与えました。また新卒社員のタスクは面倒見の良い先輩社員とリンクするタスクを与えることにも留意し、人間関係が悪くなってしまうことも予防しました。
ここまでの対策を講じたことでチームはまとまるようになり、最終的には中期経営計画に間に合う形でゴールを達成することができました。
◇ ◇ ◇
この経験を振り返って、私がチームビルディングに対して感じたことは以下の3点です。
現在チームビルディングに携わっている方には、宜しければご参考ください。
- チームに混乱はつきもの。特に、新メンバーの多いチームでは一定の混乱は避けられない
- チームメンバー間のコミュニケーションの場をつくること。その際は、メンバーの意向に配慮することも忘れずに!
- リーダーは、チームメンバーに対して、それぞれチームに貢献できる役割を与えること
チームを上手にまとめて成果を出せるチームを作る
チームをまとめることは実のところ容易ではありません。
管理職やリーダーはこの点を念頭に、常にチームが良くまとまるようにチームメンバーやチームの在り方に配慮して行動する必要があります。
チームメンバーが円滑にそれぞれのタスクを行い、チームの役割を果たすようになれば、チームは徐々に成果を出すようになり、目標達成までスムーズに進むようになります。管理職やリーダーはチームを上手にまとめ「成果を出せるチーム」になるようマネジメントを行うことが肝要です。
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