管理職体験談:マネージャーになって、「自分を知ってもらう」から「相手を理解する」働き方に変わった
[最終更新日]2023/03/11
アパレルの店舗マネージャーを二店掛け持ちで行っています。
主な仕事は、予算管理、シフト管理、スタッフの教育、店舗のマネキンや商品のビジュアルチェック等。
仕事はまあ、楽しくやってます。大変なことの方が圧倒的に多いですけどね。でもまあ、どんな仕事だってそんなもんですよね。
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家族は妻がおり、二人家族です。
私も妻もアウトドアが好きで、連休があると「自然と温泉を満喫できるところ」に旅行に行ったりしています。──といってもアパレル販売の仕事ですので、連休の機会自体は滅多にないのですが…。
あとは、グルメ巡りが好きですね。ラーメンや焼き肉、お寿司など…。
そろそろ貯金もしなければなと思いつつ、余暇を過ごす際に結構散在してしまっています苦笑。
タムさん(男性 29歳)
- 職業
- アパレル
- 職種
- 店舗マネージャー
- 年収
- 450万円
- 従業員規模
- 100名(うち部下20人)
- 地域
- 東京都
Index
目次
「お前みたいな若造が、マネージャーになって」と言われて。
高校を卒業後、19才から今のアパレル会社で正社員として働きはじめました。
最初は駅ビルのショップに配属され、そこでは初歩的な接客術、マテリアル(繊維)の勉強、資格の取得、店舗ビジュアルに関して学びました。
そんな期間が二年程続いて、ある日社内広報で「本店マネージャー候補の社内選考がある」と聞いてすぐに立候補しました。
選考は筆記試験と2回の面接で進み、──運が良かったのでしょうか、同時期に受けた人で私より経験のある方も何人かいたのですが、そのなかで合格を頂きました。
今思えば、勢いとフレッシュさを買われたのかもしれません。
でも、そうやって私を評価してくれた人がいる一方で、ある先輩からは
- 先輩
-
「お前にマネージャーが、本当に務まるのか」
と言われたこともありました。
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スタッフに声を掛けたいのに、声が出ない。
本店マネージャーとなってからは、3ヶ月間前任マネージャーとペアとなり、マネージャー業務と、それからマネージャーとしての立ち振る舞いや対応を学びました。
ここでいう「立ち振る舞い」とは、お客様に対してではなくスタッフに対してですね。
- 前任マネージャー
-
「マネージャーは、スタッフに安心を与え、信頼を受けなければならないんです」
そう言われても、具体的にどうすればいいかはわかりません。
前任マネージャーも「経験しながら感覚を掴んでいってください」と。ですので私は、ただただ(たしかに、スタッフとマネージャーでは、全然変わるってくるんだろうな)とぼんやりと感じるくらいでした。
社内のマネージャー職のなかで、私が最年少でした。
それもあって、私のことを「お前で本当に大丈夫なのか」と見る人は少なくなかったように思います。──私の被害妄想かもしれませんが。
スタッフの中には私よりも年上の人が何人もいましたし、よく「偉そうに仕事しているように思われていないか」だったり「こんな仕事を渡したら失礼になってしまわないか」といったことを思うこともしばしばありました。
そこで私が取った行動は、「とにかく頑張ろう」ということ。
ネガティブな気持ちになっている暇があったら、行動ありきだろう──と。
でも、これが良くなかった。
店舗には朝一番に来て、その日の最後の一人になるまで働く。そして、目についた仕事は徹底的に自分でやる。──それを繰り返してたら、ある日、声が出せなくなってしまったんです。
何かスタッフに声がけしようとしても、その言葉が口から出てこない。訝し気な表情をするスタッフになんとかゆっくり言葉で説明してというのを繰り返して、そのうちに頭も疲れて集中力が散漫になり、いつもなら絶対しないようなミスが連発する始末に。
そんな日が数日続き、さすがに「これはまずい」と思って前任マネージャーにお願いして、数日間の休みをもらいました。
忙しいなか業務代理を文句なく受け入れてくれた前任マネージャーからは、私が復帰した日に真剣に怒られました。
そのときなんて言われたかは今ではもうほとんど忘れてしまいましたが、「一人で戦うな」と言われたことだけはっきりと覚えています。
──そのとおりでした。私はまるで孤軍奮闘のように働いていたのです。
誰にも自分の思いは伝えず、ただただ「自分がやればいい」と思っていた。つまり、マネージャーとは真逆の働き方をしていたのです。
ですが、このタイミングでそのことを知れてよかったと、今になっては思います。
それからは自分のキャパシティを越えるような働き方は抑えて、スタッフや本社の人たちにサポートを頼むような働き方を意識しました。
そうして私は、マネージャーとしての店舗の回し方に、徐々に慣れていきました。
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来店するお客様の大半が、外国人。
ちょうど一年前、二点目の店舗の掛け持ちをしはじめた時の話です。
今までは基本的には日本人のスタッフ、日本人のお客様に向けて仕事をしてきたのですが、空港近くの店舗でマネージャーをすることとなりました。
来店するお客様の半分は海外の方です。
慣れない英語対応や、スタッフも海外の方が多く、毎日がトラブルの連続でした。
あるときは派遣会社と海外スタッフの伝達トラブルがあって、朝店舗に来たら誰もいないんです。
派遣会社に連絡したら「手違いでスタッフの派遣先を変えてしまった」と。
その日は一人でお店を回しながら、合間時間に派遣会社に「1日も早く変わりのスタッフを手配してほしい」と交渉して、その4日後にようやくスタッフが来るようになりました。
そんな風に、毎日がバタバタと過ぎていきました。
その間私がやったことは、まず自分の体調管理を整えること。
とにかく、睡眠と食事はちゃんととるようにしました。私が倒れてしまっては、店舗自体が開店できなくなってしまいますから。
それから、マニュアルの整備。英語が話せないスタッフでも海外のお客様を対応できるように、かなり丁寧な対応フローマニュアルを作成しました。
あとは、段々お客様の流れの傾向が分かってきて、それに合わせての対応ができるようにスタッフを指導しました。例えば、どの国からの飛行機が何時に到着するかの情報を毎日チェックする仕組みを創って、それに合わせてタックスフリー対応や英語オペレーションの準備をする──といった具合です。
色々ありましたし、ミスやトラブルも沢山ありました。
それでも、とにかく「やれる範囲のことに集中して、無理はしないこと」を心がけました。
当時の経験を振り返って。
空港店舗でのマネージャー経験は、いろんなことを新たに知るきっかけになりました。
当たり前なことかもしれませんが、「その国その国に違う文化がある」ということ。
服を選ぶお客様にどのタイミングで話しかけるのが自然かについても、その国や地域、文化によっても変わります。
言い方一つ、ジェスチャーをとってしても、伝わり方が違ってしまえば大変な失礼になってしまうこともあります。
逆を言えば工夫次第で、たとえその国の言葉を話せなくてもちょっとした簡単な言葉とジェスチャーで十分なオペレーションに繋がることもあります。
先にお話した「ある日スタッフが誰も来なかった」という件は、後になって知ったのは海外のスタッフは私のことをあまり良く思っていなかったそうです。
スタッフに対してもお客様同様に、その人の文化と価値観を受けとめ、そしてどのようなコミュニケーションが適切かを考え工夫して接することが大切だということを知りました。
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私が思う、マネージャー業務でいちばん大切なこと。
「他者を知る」とは結局のところ、自身の幅を広げていくことだと思います。
そして私が考えるマネージャー業務で大切なものとは、「従業員を知ること」です。
どの様な人でも適材適所があり、その人を生かす意味でもとても大切なことだと思います。
当たり前と言ってしまえばそうなのですが、「ではそれを実際どう行動に移すか」はきっとマネージャーの人は誰しも悩むのではないでしょうか。
私の場合、スタッフごとに得意分野や性質や趣味、更にはモチベーション状況などを手帳にいつも記していました。
そうしていくと、スタッフの業務振り分けやフォローのタイミングもうまく進めやすくなります。
マネージャーになって、私は「自分を知ってもらう」働き方から「相手を理解する」という働き方に変わっていったのだと思います。これも言葉にすると簡単ですけど、実際はとても難しいですよね。
いつか、そうした「マネージャー業務の大切なこと」について自分なりにまとめて、後進のスタッフ達に伝えていきたいと思っています。
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