「視野を広げる」「広い視野を持つ」とはよく聞くけど、具体的にどうやって視野を持つの?

[最終更新日]2019/07/26

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管理職として成長していくために必要な心がけとして「視野を広げよう」「広い視野を持つべきだ」といったことを言われたことがある人は多いのではないでしょうか。

視野を広げる、という言い方は広く使われていますが、実は抽象度が高く具体的に何をどうしたらいいのか分かりづらい表現でもあります。この記事では、「視野の広さ」とは何か?に始まり、視野を広げていくためのポイントをまとめています。視野を広く持ちたいと考えている管理職の方々は、ぜひ参考にしてください。

Index

目次



「視野の広さ」について、どう定義するかについて考えてみよう

視野を広げる方法について考える前に、そもそも「視野」とは何なのかを明確にしておきましょう。

一般的に「視野が狭い」とは、局所的なことしか見えていなかったり、さまざまな角度から物事を見ることができておらず限られた情報で決めつけてしまったりすることを指しています。「視野が広い」はその反対で、多くの情報から複合的に物事を判断できることを指しています。

「視野」という言葉を辞書で調べると、次のような意味が載っています。

「視野」についての説明 広辞苑より

し‐や【視野】

①眼を動かさずに知覚できる周辺視の範囲。正確に測るには視野計を用い、視線と視野周辺のなす角度で視野の大きさを表す。「―に入らぬ」
②顕微鏡・望遠鏡などの接眼鏡で見得る範囲。
③思慮や知識の及ぶ範囲。「―の広い人物」

ビジネスシーンにおける「視野の広さ」という語義で用いられているのは、このうち③の意味においてでしょう。
③の意味のうち注目しておきたいのが、視野の定義を「知識の量」ではなく「範囲」としている点です。多くの知識を得ておくことが視野を広げることに役立つのではないか?と思われがちですが、知識の数や量そのものよりも、それらが及ぶ「範囲」こそが重要なのです。

ここを間違えてしまうと、たとえば「視野を広げるために多くの本を読もう」「視野を広げるためにビジネスセミナーを聞きに行こう」といった行動を取ったとしても、それらが情報の「収集」に留まってしまい、得た情報が及ぶ範囲の広さに意識が向かない恐れがあるのです。

視野でいう「思慮や知識の及ぶ範囲」の「範囲」とは、どう表すと良いか

思慮や知識の及ぶ「範囲」に明確な定義があるわけではありませんが、ここでは次のような視点で考えてみましょう。

下の図を見てください。自分が得られる情報の最も身近なものは「自分自身」に関するものです。自分以外へと視野を広げていくと、ごく親しい家族や友人、知人へと視線が移っていきます。さらに、自分が属するコミュニティとしての職場、地域社会に目を向けるには、より広い視野を持つ必要があります。多くの人は、この範囲までは「見ざるを得ない」でしょう。

問題はここからです。よりいっそう広い視野を持つとすれば、長い時間軸で考えた場合の将来世代、さらにはより大きな空間で考えた場合の宇宙、といったものが考えられます。

視野の広がり

【例】「商品Aを売る」ときの視野

  • 給料がもらえる、評価が上がる(自分)
  • 身近な人にも勧めたい(家族・友人)
  • 会社に売上がもたらされる(職場)
  • 価値を提供し、社会貢献したい(社会)
  • 持続可能な製造方法だろうか?(将来世代)
  • 地球環境への影響はどうだろうか?(宇宙)

このように、「視野が狭い」とは自分やごく親しい一部の人に意識が向けられている状態であり、より広い時間的・空間的な範囲に意識が及んでいない状態であると言えます。

視野を広げていく為に、大切な3つのポイント

視野を広げるとは、自分自身→身近な人→社会全体→将来世代へと、時間的・空間的に意識を広げていくことを指していると分かりました。では、視野を広げるためには具体的にどのようなことをしたらいいのでしょうか。

ここで重要になるのが、前項で触れた「視野とは知識の量ではなく、範囲で決まる」という点です。逆説的なようですが、自分以外のものに対して手当たり次第に興味を持っていても「知識」が増えるだけで、必ずしも視野が広くなるとは限らないのです。視野を広げていくには、次のステップを踏むことが大切になります。

  • ポイント① 自分自身を大切にすること
  • ポイント② 意識を鎮め、心を高めていくこと
  • ポイント③ 世の中により深い関心を持っていくこと
視野の広がり。ポイント①自分自身を大切にすること。ポイント②意識を鎮め、心を高めていくこと。ポイント③世の中により深い関心を持っていくこと。

それぞれ、順を追って見ていきましょう。

自分自身を大切にすること

視野を広げたいからと言って、自分の考えや感覚はどうでもいいわけではありません。もう一度、前の図を見てみましょう。社会や将来世代、宇宙といった広い視野を持つ場合も、出発点は自分自身であることが示されています。どんなに広い視野で物事を考えるとしても、自分という存在がその範囲を広げたものであることに変わりはないのです。

家族→友人・家族→職場→社会・・・と視野を広げていく場合、非常に重要になるのが「本音であるかどうか」という点です。「自分以外の誰かのために」という心がけは立派ですが、口先だけの美辞麗句を並べるのはむしろ逆効果です。これでは、「言うことだけは立派な人」と思われてしまうでしょう。

自分以外の誰かのために、と考えるとき、そこに自分自身が含まれていなければ空虚な考えになってしまいます。誰かを幸せにするために自分が不幸になる、あるいは、誰かを幸せにすることで自分に直接の利益が返ってくる、といった考え方をするのではなく、「自分の幸せの範囲」を広げるために他者の利益を考えることが結果的に自分の幸せにも結びつく、といった考え方をすることが重要なのです。

「自分自身を大切にする」うえで効果的な取り組み5つ

  • きちんと睡眠を取る
  • 食事に気を配り、体調を整える
  • 自分が正しいと確信する常識に従う
  • ありのままの自分を責めずに認める
  • 「やらないこと」を決める

きちんと睡眠を取る/食事に気を配り、体調を整える

自分自身のコンディションが良くなければ、バランスよく物事をとらえ、冷静に考えることも難しくなります。

睡眠を削ったり食事を抜いたりといった自己犠牲的な働き方では、他者へと視野を広げることはおろか、自分のことさえ客観的に見られなくなってしまう恐れがあります。睡眠と食事は、思考を取り澄ませていく上で必須のものなのです。

自分が正しいと確信する常識に従う/ありのままの自分を責めずに認める

他者や社会のことを自分事のように気に掛け、少しでも良くしようと熱意を注ぐ上で「自信」は不可欠なものです。

会社で決められているからと言って従うだけになっていたり、自分の弱い面や醜い面を過剰に気にしていたりすると、みるみる自信が失われていきます。世の中には「100%正しい」ことなどないという前提に立ち返って、自分の感覚を信じてみることも大切です。

「やらないこと」を決める

細かなタスクが積もり積もってくると、いま最も大切なこと、やっておくべきことが見えづらくなっていきます。視野を広げるためにはやることを増やさなくてはいけないのでは?と思うかもしれませんが、むしろ優先度の高い事柄に絞って注力する「選択と集中」を意識したほうが良い結果に結びつくこともあります。

今の自分にとって大切なこと、やっておくべきことに集中するために、あえて「やらない」ことを決めてしまうのもひとつの手です。

意識を鎮め、心を高めていくこと

過去の自分を振り返ってみて、次のような経験をしたことはないでしょうか。

  • 楽しい場所にいても、別のことが気に掛かって楽しみ切れていない
  • いま取り組んでいる仕事の将来性について考えてしまい不安になる
  • 何かを新しく始めようとしても、過去の失敗が思い出されて躊躇してしまう

「いま楽しい場所にいる」「いま取り組むべき仕事がある」「これから新しく始めたいことがある」というのが、それぞれ「いま集中すべきこと」のはずですが、関係があるようで実はあまりなさそうなことが集中を阻んでいるとは言えないでしょうか。

人の集中力は無限ではありませんので、こうした「ノイズ」に阻害されていると結果的に集中力が下がり、パフォーマンスも下がってしまいます。ときどき「自分のことで精一杯」と言う人がいますが、ほとんどの場合、自分がいま集中すべきこと以外のノイズに意識が分散し、他者のことにまで思いを馳せる余裕がなくなってしまっているのです。

視野を広げ、他者にも思いを馳せるためには「今この瞬間」に意識を集中させる必要があります。そのための最適な方法は人によって異なりますが、代表的なものとして次の5つが挙げられます。

「意識を鎮め、心を高めていく」うえで効果的な取り組み5つ

  • 姿勢を正す
  • ストレッチやランニングなどで適度に体を動かす
  • 自身の呼吸に集中する瞑想(マインドフルネス瞑想)を行う
  • アロマテラピーでリラックスする
  • ヒーリングミュージックを聴く

人間の意識は肉体と密接に関わっていることが分かっています。体が疲れているときは気分が落ち込みやすくなったり、気分が滅入っていると体力面でもふだんの能力を発揮しにくくなったりするのはそのためです。

ストレッチやランニングといった軽い運動、あるいは瞑想といった「行為」が視野を広げるために役立つというのは意外に感じるかもしれませんが、人間の意識はそのぐらいフィジカルな要素と連動しており、大きな影響を受けていることの証左とも言えます。

これらはすべて「手段」に過ぎないため、心を鎮めやすい別の方法があるようなら他のやり方でも全く問題ありません。一例としてアロマテラピーやヒーリングミュージックを挙げていますが、どの方法を用いたとしても結果的に意識が鎮まり、心を高めていく準備に役立つのであれば問題ないのです

ただし、どの方法を取るにしても、「その行為だけに集中する」ことが肝心です。ストレッチをしながら仕事でミスをしたことを考え続けていたり、アロマテラピーの最中に将来の不安に苛まれたりしているようだと、意識を鎮めるどころか気分が落ち込んでしまうことさえあるからです。

そのためには、ある程度まとまった時間を取り、「今はランニングの時間」「今は瞑想する時間」と決めておいたほうがいいでしょう。忙しくてどうしても時間が取れない場合は、意識的に姿勢を正すなど、短時間でもできる方法から試してみることをおすすめします。

世の中により深い関心を持っていくこと

自分自身を大切にする思考へとシフトし、意識を鎮めることができるようになったら、いよいよ自分の「外」へと関心を広げていく段階に入っていきます。

ここでもう一度、冒頭の原則に立ち返っておきましょう。そもそものゴールは「視野を広げる」ことでしたが、広い視野を持つとは知識の数や量を増やすことではなく、視野の「範囲」を広げることにこそ意味があります。興味関心を広げるために何か行動を起こすとして、「この行動に何の意味があるのだろう?」「将来何に役立つのか?」などと考える必要はありません。

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で「Stay hungry, stay foolish.(ハングリーであれ、愚か者であれ)」と語ったことで一躍有名になったスピーチの中で、ジョブズは「点と点がどのように線でつながるのか予測することは不可能だ」と述べています。何の役に立つのか今は分からなくても、とにかく未知のフィールドへと踏み出していくことでゆくゆく何かの役に立つ、と言うのです。

次項では、世の中により深い関心を持つための取り組みを紹介しますが、「〇〇の資格を取る」といったような求める成果が明白な取り組みが含まれていないのはそのためです。

「世の中により深い関心を持っていく」うえで効果的な取り組み5つ

  • 意識的に幅広いタイプの人々と交流する
  • ふだんあまり読まないジャンルの本を読む
  • 知らない場所へ出かけてみる
  • まず行動してフィードバックを得る
  • 行動パターンを変える

意識的に幅広いタイプの人々と交流する

職場という限られた空間で日々働いていると、どうしても接する人のタイプが限られてしまいます。自分とは違った業界で働く同級生や友人、自分とは異なるライフスタイルを持つ人と接することで、「こういう生き方もあるのか」と知るきっかけになります。

普段あまり読まないジャンルの本を読む

最近、本を読みましたか?ビジネス書や直接仕事に関わる専門書ばかり読んでいませんか?ふだん小説を読まない人があえて純文学作品に挑戦したり、より若い世代の人が読むようなメディアに触れたりすることで、これまで接したことのなかった世界観を知ることができるかもしれません。

知らない場所へ出かけてみる

視野を広げるための体験としては海外旅行が最も分かりやすいのですが、そういった時間・費用を捻出するのが難しいようであれば「少し足を伸ばして散歩してみる」といったことでもいいでしょう。ふだんは見かけない風景を目にしたり、これまで気づかなかった町並みの変化を意識したりするきっかけになるでしょう。

まず行動してフィードバックを得る

視野を広げるのが難しく感じる人は、もしかしたら「行動する前に熟考」しているのかもしれません。よく考えて行動するのは長所でもありますが、慎重になりすぎると新しい情報に触れる機会を逃してしまうことにもなりかねません。何か思い立ったことがあればすぐに行動に移し、周囲の人からの感想やアドバイスを得ることで軌道修正をしていったほうが、結果的に新たな視野を得やすいこともあるはずです。

行動パターンを変える

人は知らず知らずのうちに定型的な行動パターンの枠内で行動しています。当たり前だと思っていることや、逸脱すると効率が下がると分かっていることであっても、あえて行動パターンを変えてみることで新しい発見があるかもしれません。たとえば、ふだんは電車で移動する区間を歩いてみたり、あまり行かない会合に顔を出してみたりすると、思いのほか新しい発見があるかもしれないのです。

まとめ 視野を広げるには「unlearn」することを意識してみよう

この記事では、自分を大切にすることから始まり、自分の「外」へと意識を向けていく方法について考えてきました。そもそものスタート地点である自分を大切にする」とは、これまでの自分の経験や実績にしがみつくことではありません。むしろ「unlearnする(=いったん学んだこと、身につけたことをリセットしてみる)」ことで、自分にとって本当に価値のあるものや優先すべきことが見えてくることも多いものです。

unlearnとはlearn(学ぶ)に「un」が付いた言葉で、「学ぶ」の反対を意味します。経験や実績にこだわっていると、新しい情報や異質な情報に触れたとき、知らず知らずのうちに拒否反応を示してしまうことがあります。

学んできたことをいったん意識的に取り払い、フラットな状態で受け入れるからこそ、視野を広げるための新たな学びや気づきを得られるのです。視野を広げたい、広い視野を持ちたいと考えている方は、まずは「unlearn」を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。

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