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ポジティブ心理学って?部下育成とチーム醸成は 「ポジティブ・アプローチ」が有効!

[最終更新日]2018/11/20

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何か問題が発生したとき、我々はまず原因を調査し、その結果を元に対策を考えるー、というのが一連の問題解決の思考として根付いています。

ただ、それは問題解決の1つの方法に過ぎません。今、最新の問題解決のマネジメント手法は「ポジティブ心理学」に基づいた「ポジティブアプローチ」という手法です。

皆さんの企業ではこのマネジメント手法が既に使われていますか?もしくはマネージャの研修などで教育がありましたでしょうか?外資の有名企業では続々と導入がされている「ポジティブ・アプローチ」について、その特徴と活用メリットを紹介をしていきます。

Index

目次

ポジティブ心理学とは? 

ポジティブ心理学の概要

まずは「ポジティブ・アプローチ」という手法を学ぶ準備として、この手法の基礎になっている「ポジティブ心理学」について説明していきます。

ポジティブ心理学は「人が幸せを生きること」を科学的に追求する学問として、ペンシルべニア大学のマーティン・セリグマン教授が創設した学問の1つです。

「人の幸せ」というと壮大なテーマに聞こえますが、この学問が支持されるポイントは、「科学的な視点」=測定可能な尺度によって、人の生き方を追求していることにあります

また、「幸せ」という言葉から我々がよく想像しがちな「仕事をしないでリゾート地でのんびりするー」といった事象は、ポジティブ心理学では、刹那的な「快楽」として「幸せ」とは明確に区別し、さらに「ポジティブ」という単語についても、単に前向きに物事を捉えるだけのいわゆるポジティブ思考とは異なるとして、より適切な「ポジティブな思考」を定義しています。

つまりポジティブ心理学は、従来の心理学が提唱してきたものとは違う視点から「人のより良い生き方」を追求する学問であり、その視点が近年注目され、企業の「人材」を活かす方法論、さらには問題そのものを解決するアプローチへと応用されているのです

「問題を見つけて解決する」のではなく、「これから先の、より善い生き方(well-bing)に目を向ける」

先ほどポジティブ心理では、多くの人が想像しやすい「幸せ」は「快楽」であり、ポジティブ心理学が追求する「人の幸せ」とは明確に区別しているという特徴を挙げました。ポジティブ心理学では、後者の「幸せ」を「Well-being」という言葉を使って表現しています。

ポジティブ心理学で「快楽」と定義されるものは、どちらかというと我々が現在感じる不満であったり、苦痛であったり、ストレスになるようなことを避けた状態、というイメージがあります。つまり「今ある問題・不満の解消された状態が、我々の理想や幸せな状態である」とした思考です。

ポジティブ心理学の「Well-being」は、こうした現状の問題・不満の解消にフォーカスする思考に対して、「自分自身の可能性による理想の実現」にフォーカスした思考です。

例えば、今の自分や周りの環境にある「強み」や「可能性」といった、より肯定的な要素に着目しながら、将来の理想を描いていくことが、より良い状態を導くとしています。

特に、人の成長や能力の発揮に対してはこの肯定的な思考法こそ適しているとして、ポジティブ心理学がさまざまな分野で応用されているのです。

ポジティブ心理学は、個人と組織の繁栄を目指す 

「繁栄(Flourish)」へといざなう、ポジティブ心理学の構成

ポジティブ心理学の体系を1つの図にしたものが上記のピラミッドモデルです。

ポジティブ心理学の創設者であるセリグマン博士は、「Well-being」を測定する判断基準を「持続的幸福度」として、これを「繁栄(Floursih)」と定義しています。博士自身の発言においても、「ポジティブ心理学の目標は持続的幸福度を増大することだと考えている」として、「繁栄(Floursih)」を1つのゴール指標と位置づけています。

そしてこの「繁栄(Floursih)」を実現する要素として、「PERMA(パーマ)モデル」という5つの構成要素と、それを支える「強み(Strangths)」を基礎要素として挙げてた体系図「Well-being理論」を提唱しています。

この「Well-being理論」の特徴は、「幸せ」という曖昧な心理的事象を「PERMA」という要素で客観的に測定できること。そして、「強み」という肯定的アプローチをするという方針が明示され、再現性と汎用性を備えた理論になっているのです。

ポジティブ心理学は、個々の「強み」を活かすことが大切

上記のモデルによれば、「繁栄(Floursih)」を支える重要な土台にあたるのは「強み(Strengths)」としています。では、なぜ「強み」なのか?これは大きく2つの背景があります。

1つは心理学という分野が、元々はうつ病などの病気=問題の解消を主な目的に研究が行われてきた学問背景があります。ポジティブ心理学は同分野の後発として、従来にない肯定的な心理アプリーチを提唱しています。

そしてもう1つの背景は、従来までの企業の成長もしくは人材開発において、「問題の原因究明とその対策を実行する能力が必要」という思考がほとんどであったことです。

「苦手を解消しないといけないな」と勉強をしたり、「原因を突き止めてどう解決するか」といったプロセスで仕事を進めていく。我々はそういうものだと思って無意識に思考してきました。ポジティブ心理学は、我々があまり意識してこなかった「肯定的な思考」から、成長や解決という新たな視点を投げかけており、そのスローガンかつ重要なエッセンスとして「強み」をその土台においているのです。

Well-beingを高めるアプローチPERMAが、「強み」を昇華していく

ポジティブ心理学では、その特徴である肯定的アプローチ「強み」を使って、「PERMA(パーマ)」という5つの心理状態を実現することを具体的な方法論としています。

P:Positive Emotion:ポジティブ感情
E:Engagement:エンゲージメント
R:Relationship:人間関係
M:Meaning:意味、意義
A:Achievement:達成

この「PERMA」は数値に基づく客観的な評価できることから、様々な企業で研究・実践がされています。それらの事例を参考にしていくためにも5つの要素を1つずつ解説していきます。

『P』ositive Emotion(ポジティブ感情)

「喜怒哀楽」という代表的な感情表現の言葉があるように、ポジティブ感情はその中の「喜」「楽」に想像される感情を指します。また、「感動」「感謝」「希望」「興奮」「興味」「機敏な」「誇らしい」「決心」「活気」といった感情もここに加わります。日々の中で、これらの感情を生み出してくれる状態や自分の習慣は何か思い出してみて下さい。

例えば私自身の最近の例を挙げてみますと、一人で中国ローカルの会社にいって中国語と英語を交えながら打ち合わせするとき、「興味」「興奮」「活気」「誇らしさ」を自然と感じてるように思います。

『E』ngagement(フロー状態を生み出す活動への従事)

とにかく集中して没頭するしている状態を指します。「気がついたらもうこんな時間!?」という夢中になってしまった経験は、誰もがしているはずです。そのときの事を思い出してみましょう。

ある映画を見始めたら最後まであっという間にだった。プレゼンの資料を作り出したらあっという間に就業時間になっていた。

実はいずれも私の経験なのですが、とくに後者の例は、締め切りに追われているわけではなかったのですが、就業後もアイデアが止まらず、自宅に帰ってからも作業を続けてしまうという集中状態でした。

『R』elationship(関係性)

大切な家族、チームワーク、信頼できるパートナーや仲間たちといった人間関係を築いている状態を指します。

これも仕事をはじめ様々ことを通して、皆さんが経験されていることでしょう。普段はなかなか振り返ったり、挙げてみるものではありませんが、ぜひ意識してみて下さい。

私が最近このRelationshipを実感するのは、会社の同期の存在です。組織を跨ぐ仕事の機会が増え、相談のしやすさや依頼への柔軟性など、入社当時に築いた関係性の大切さを感じてならないです。

『M』eaning and Purpose(人生の意味や仕事の意義、及び目的の追求)

自身の趣味や仕事について、それをやっている意味を自問したことがありますか?

仕事を始め、好きなスポーツも、趣味の旅行や資格の勉強も、今自分が行っているあらゆる物事について、その目的が明確であればあるほど良い状態であることを指します

もちろん、その目的は変化しても良いですし、ただ好きだから、という漠然としたものでもかまいません。それらを意識して追求していく状態こそ重要です。また、その目的が自分以外のことやより大きな世界を含んだ場合、より良い状態とされています。

『A』chievement(何かを成し遂げること)

目標をクリアしたときの達成感を感じている状態を指します。試験に合格したとき、ずっと欲しかったモノを手に入れたときなど、ポジティブな感情が溢れます。

普段我々が考える目標というと、会社であったり他社が設定したものが浮かびますが、当然、自分で目標設定をして達成感を感じることもOKです。

むしろ達成感をより多く感じていく状態を作るために、「自分で目標を設定する」というのは1つのポイントです。自己満足でも些細なことも構わないので、どんどん達成感を感じる目標を作るのが大切です。

一方で、ポジティブ心理学は「ネガティブ感情」を否定しない

ポジティブ心理学を実践する上で気をつけるべきは、ネガティブな感情への考え方です。

例えば、ポジティブ感情と比較して良くないとか、できるだけポジティブ思考をしなければ、という考え方は間違いですので注意が必要です。

感情は1つの事象であり、我々にとって大事なことは、その起こった感情をどうコントロールするかという能力です。特に人間は、安全や安心を求めた防衛本能の点から、ネガティブ感情を発生させやすいと言われています。

人間的な本能である以上、欲と同様に放っておけばでてくるものなのです。それを無理に押さえつける必要は無く、むしろ発生したときにきちんと認識し、不要と思えば処理できるかが重要です。その一連のコントロール・スキルは「レジリエンス」と呼ばれ、上のポジティブ心理学のピラミッドモデルの構成要素の1つにもなっています。

つまり、ネガティブ感情も否定すること無く、むしろそれを適した場面で使いこなすコントロール・スキルがポジティブ心理学では求められているのです。

ポジティブ・アプローチとギャップ・アプローチ

企業のマネジメント分野では、ポジティブ心理学の考え方をより企業のマネジメントに特化した実践的な方法論として、「ポジティブアプローチ」と「ギャップアプローチ」という手法を提唱しています。

従来まで多くの企業で実践されてきたのは、後者のギャップアプローチであり、近年ではより効果的な手法として、ポジティブアプローチの活用が注目されているのです。

ポジティブアプローチ
「ありたい姿」=理想を描き、そこにたどり着くためにどうするかを考えるアプローチで、基準や対象が不明確な状況下に有効です。「この強みを活かしてー」「あのシステムを使えばー」というふうに、強みや可能性に注目しながら、目標到達へのシナリオを追究する思考です。

ギャップアプローチ
「あるべき姿」=目標や課題が明確であり、そのギャップを問題点として捉えて、それを埋めるためにどうするかを考えるアプローチです。現状把握とギャップの原因特定といった「分析」をベースに、対応方法を追究する思考です。いわゆる「改善思考」で、人が介在しにくい機械や自然現象などのメカニズムが明確な事象に有効です。

組織でポジティブ心理学を導入していく方法は

上で紹介した「ポジティブアプローチ」「ギャップアプローチ」のように、ポジティブ心理学を企業のマネジメントに応用していく研究や手法開発は盛んに行われています。

その中でも最も代表的なものに、「AI」(Appreciative Inquiry)と呼ばれる人材開発と組織開発のマネジメントの方法論があります。「AI」はポジティブ心理学の概念に基づき、「組織の真価を肯定的な質問によって発見し、可能性を拡張させるプロセス」として提唱された組織行動学で、実は上で紹介した2つのアプローチもこの「AI」で定義されたフレーズです。

ポジティブ組織創りの最もスタンダードな手法は「AI(価値探求)」

「AI」は主に「ポジティブアプローチ」をシステマチックに実現する手法として、チームでワークショップなどを開催し、インタビューやディスカッションによって「4Dサイクル」と呼ばれる基本プロセスを進めていくことが基本的な手法です。

  • Discover(発見):お互いの良い点を認め合い、強みを見つける
  • Dream(理想):将来の理想の姿を全員で協力して描く
  • Design(設計):理想実現のためにやることを発想・決定する
  • Destiny(実行):理想を描いた全員の力で実行していく

このプロセスで期待できるのは、ポジティブ心理学のPERMAを実現している「良い状態の組織」の形成であり、その結果生み出される、自律的でポジティブな組織創りです。

例えば、先ほどPERMAの紹介で1つ1つの例を挙げてみました。その時、自然と生まれたポジティブ感情がDiscoverで参加者に生まれ、その前向きな気持ちで描かれた理想と、そこで見つけた「強み」が、DesignやDestinyを通して具現化されていきます。この一連の過程は、まさに組織のPERMAを全員でシェアしながら高めていく作業なのです。

もちろん企業への導入実積もますます増えており、例えば米国のマクドナルドでは、毎年テーマを設定してAIサミットを開催しているそうです。研究・成功事例も豊富にあるため、興味を示された方は、ぜひネットや書籍を通してより詳細な解説や事例などを調べてみることをおススメします。

「ヒト」の価値をより高めるために

経営の3大資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われます。その中でも、「ヒト」は「感情の生き物」とも言われ、他の2つとはその性質が大きく異なる資源といえます。

今、モノやカネは十分に溢れ、さらにはAIやロボットの台頭により「ヒト」はますますその価値が注目される中、「ヒト」の感情にフォーカスしながら価値を見出していくポジティブ心理学は、まさに時代が求める方法論とも感じます。

企業での活用はもちろん、個人的な成長という点でも、学んで損はない学問。ぜひこれを機に勉強してみて下さい。

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この記事を書いた人

清水みちよ

大学時代から好きだった「旅行」を仕事にするため、卒業後は大手旅行会社の添乗員として世界中を飛び回る。海外での感染症で生死を彷徨い、何よりも自分の身の大切さを知る。その後別の旅行会社の内勤業務に携わり、現在に至る。

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