私の管理職体験談:マネージャーになって最初の難題は、「スメハラ」問題だった。

[最終更新日]2021/06/14

体験談
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私の管理職体験談:マネージャーになって最初の難題は、「スメハラ」問題だった。

スメル・ハラスメント」。
最近、テレビやインターネットでもよく聞く言葉ですね。

私がマネージャー(店長)を任されて、すぐに悩まされることになった問題が、これでした。

体臭や口臭などの臭いによって、周囲に迷惑をかけること。そして、本人に自覚が無い場合が多いのが特徴です。

これを読まれている方が、管理職になっていない、もしくはなって間もないというようでしたら、お客様や部下のなかで本人が意図せずスメハラ行為をしていたときに、どう対処するべきかきっと悩むでしょう。

今から16年前のことですが、私もこのことで大いに悩みました。





こーじーさん(男性 40歳)
職業
ビデオ販売
職種
店長兼販売員
年収
約850万円
従業員規模
約50人(うち部下10人)
地域
和歌山県

Index

目次

「予期せぬ出来事」に弱い、私。

大手ビデオ販売チェーン店

当時、私は30代半ば。大手ビデオ販売チェーン店の一店舗を任されて、店舗運営全般を携わることになりました。

仕事内容はビデオの発注や在庫管理、レジ等の接客から、店舗に勤めている従業員のシフト管理・給与計算・店舗経営に必要な備品の購入とその管理等…、非常に多岐に渡ります。

16年経った今も変わらず、同じ業務をこなしています。
私自身店長としてフロアに出ることもありますが、通常は事務室で作業を行って従業員に仕事を任せています。

私の性格はというと、大人しくておっとりとしたタイプ──と、よく周囲から言われます。
欠点は、「予期せぬ出来事」に弱いことです。

小売業なのでお客様と接する機会は多く、対人となるとどうしても想定外のトラブルに出くわしたりします。これまで経験したことのあるトラブルなら対処できるのですが、そうでない場合は上手く処理出来ず困ることが多いです。

プライベートでは、独身一人暮らしということもあって、大抵は自宅でダラダラと過ごしています。
仕事上がりの日は、お酒を飲みながら動画視聴をして過ごすことが殆どです。

休日はパートナーと遊びに出かけることもありますが、コロナ禍の現在(2021年)は控えるようにしています。





「とうとう私も、一店舗を任されることになった」

一店舗を任されることに

店長に指名された時、

「とうとう自分も、一店舗を任されることになったんだな…」

と、緊張したのを覚えています。

20代の頃現在の会社の一店舗にバイトとして入り、そこから数年して正社員にしてもらいました。
それから10数年経ってとうとうお店を任されて部下を10人管理する立場になって、なかなか感じる入るものがありました。

ただ、それに伴い大きな責任を背負うことになったとも感じて、その気持ちの方が大きかったです。まあ、正直に言うと、

(できれば、なりたくなかった…)

という心境でした。

私はどちらかというと「命令される立場」のほうが居心地をよく感じるタイプで、一従業員として動く方が好きでした。

以前新人教育を任されたことがあり、そこで「人に命令・指導するのはこんなに大変なのか」と非常に強い苦手意識を持ってしまったのです。

店長になれば、当然、私の下に多くの従業員がつきます。

彼らを御し、上手く指導出来るのかという不安はとても大きく感じました。

はじめに伝えたように私は「予期せぬことに弱い」という欠点もありましたので、(そういうところを部下が見てどう思うか?失望して私の言葉に従わなくなってしまうのではないだろうか?)といった妄想にも悩まされました。







一人のお客様との、めぐりあい。

とても臭う

店長になって一年目、一人の上得意のお客様ができました。

ビデオ販売店で一人の顧客が購入してくれる平均額(客単価)は、月2,000円程です。
ですが、そのお客様は毎月10万円程購入してくれる、──つまり50人分の顧客の売上を賄ってくれるような方でした。

ビデオ販売店に限らず、小売店はどれだけ良質な上得意顧客を囲い込むかがとても重要です。そのお客様もそうだったのですが、ただひとつ、問題がありました。

それは、そのお客様が、「とても臭う」ということでした。

そのお客様がお店にいる時はもちろん、居なくなっても小一時間程は臭いが残っていました。すれ違うだけでも、強烈な残り香が鼻をつきました。

運送業を営んでいるということで収入は多いらしく、対応も気さくで人の良い感じの方でした。ですが、臭いが本当にきつい。

最初のうち、何人かの従業員から相談がありました。しばらくして、他のお客様の方からも数名、相談や苦情をもらうようになりました。

そして、店長である私はその問題に対してどう対処したか。

──なにも、できませんでした。
いくら臭いからといってもそれ以外は普通の人ですし、「入店禁止」にするわけにもいかないだろうと、ずっと悩み続けました。
結局そのまま二年間、そのお客様が他の地域に越すことになるまで、その状態が続きました。





当時の出来事を振り返って、今私が思うこと。

どうすべきだったのか

当時、私は一店舗のマネージャーを任されて間もなく、とにかく「如何に売り上げを上げるか」ということを重視していました。

店長をしているといっても、しょせんは一従業員に過ぎません。そして、上司からは「とにかく売り上げを上げろ」と常に言われ続けていました。

私の優柔不断な性格も重なって、臭いのきついお客様への対応は、まったく上手く出来ませんでした。判断のできない私に、従業員や他のお客様にも大変迷惑をかけたと感じましたし、自分でもいま振り返って、「あのときの対応はまずかった」と思います。

いくらそのお客様自身に悪気はなかったとはいえ、他のお客様に迷惑がかかっているのですから然るべき対応をすべきだったんだと思います。

今では「スメル・ハラスメント」なんて言葉がいわれるようになって、企業が取るべき対応法もある程度明確に用意されるようになっています。

具体的には、

  • 換気設備、空気清浄機等の設備面での対策
  • (対象が従業員だった場合)本人への気づきを促す
  • 担当者(この場合私)が、対象者に適切に伝える

などがあります。

当時の私は、これらの何一つできていませんでした。
それはとても悔しいことでしたし、それ以来、「トラブルをどれだけうまく対処できるか」が、マネージャーとして最も大切な資質だと感じるようになりました。





スメハラについて。そして、私が今考えていること。

私が今考えていること

それから16年という月日が経過し、今では普通に店長としてそれなりのマネージメント業務をこなせるようになっています。

まだまだ学ぶこともたくさんありますが、自分なりに満足のいく仕事が出来るようになりました。

スメル・ハラスメントについても、あれから大分調べました。

調べてみてわかったのですが、人の体臭の原因となるものは、実に多くあります。
口臭や腋臭、タバコの臭い、それから香水がキツイなどはよく聞きますが、ストレスや疲労、病気等で体臭がきつくなるケースもあります。

つい数年前、資生堂が「緊張による心理的ストレスが加わることで特徴的なニオイが皮膚ガスとして放出される現象を発見」と公表していましたよね。なんでも、腐った玉ねぎのような臭いだとか。(※)

まさに、当時のお客様もその臭いでした。

今の私だったら、そのお客様にどう伝えるべきかをある程度用意できるでしょう。──ただし、ここでは触れません。
スメハラは非常にセンシティブな問題ですので、当事者に伝えるときはテンプレートに沿ったものではなく、その人の状況や関係性を踏まえて慎重に言葉を選ぶべきですから。

もしこれを読んでいるあなたが私と同じような状況になって、そしてあなたから当人からそのことを伝える必要性が出たら、それはあなた自身が考えたあなたの言葉で、伝える必要があると思います。

──さて、スメハラの話はこのあたりにしておいて笑。

現在私は、「自分のお店を持ちたい」といったことを考えています。
今現在も一店舗を任されているとはいえ、「雇われ店長」には変わりません。
上からの命令に納得出来ない部分もあれば、上からの評価を気にして出来ないこともいまだ多々あります。

しかし自分でお店を持てばそういう不満は解消されるでしょうし、近い将来チャンレジしてみたいと考えています。

もちろん、失敗すれば相応の負債を背負うことになります。
そうしたリスクを負うことになるものの、これまでの経験を活かしてみたいんです。

きっと、未だ優柔不断で予期せぬトラブルに弱い私は、独立したら一層悩んだり苦しんだりすることでしょう。ですが、一方でこれまでマネージャーとして16年間働いてきた経験があります。きっと、その経験が助けてくれることも少なくないだろうと思っています。

幸い私は独身で貯蓄もそれなりにあります。一度きりの人生ですし、チャンレジしてみるのもアリだろう──、そう考えています。

※参考情報:「資生堂、緊張によるストレスで皮膚から特徴的なニオイが発生することを発見」