管理職体験談:管理職=部下の昇進を見送る仕事。
[最終更新日]2022/12/15
ある広告代理店で管理職を担っています。
ユモッチさん(男性 34歳)
- 職業
- 広告代理店
- 職種
- 営業
- 年収
- 秘匿
- 従業員規模
- 200名
- 地域
- 東京都
Index
目次
管理職になり、現場から離れてみて。
私のチームは5人体制で、クライアントから相談を受け、広告代理店業のような形式で業務にあたっています。
メンバー1人1人にそれぞれ顧客がいるため、全員で一丸となって業務にあたるというよりは、個人作業の趣が強いと思います。
そのためメンバーの入れ替えも多く、その都度把握すべきクライアントも変わっていきます。
その中で私の役割は、各自の進捗状況の管理と、クライアント営業のフォローとなります。
社内での打ち合わせの機会も多いので、私が営業に同行できる時間はあまりなく、あくまで数字上でしか各メンバーの仕事を見られなかったのは辛かったです。
また、私はクライアントと密にコミュニケーションを取りながらの業務を得意としていましたので、管理職として一歩退いた立場からの提案などはあまり得意ではありませんでした。
印象に残った一人の部下。
そんな中でも特に苦労したのが、新卒社員の指導です。
早く業務に馴染めるよう指導するのはもちろんのこと、社会人としての基本マナー、仕事への責任感を持たせることも教えていかなければならなかったので。
春の時期は毎回少し憂鬱になります。
中でも印象に残っている社員がいます。
その部下は非常に真面目な性格で、口の利き方もままならないような社員に比べれば、かなり指導はしやすいんじゃないかと、はじめのうち思っていたわけです。
しかし、その真面目さゆえ、クライアントに対しても気を遣いすぎるのが難点でした。
時として営業という仕事は、相手の懐に入り込む勢いも必要となります。
それができないとなると、踏み込んだヒアリングもできませんし、ニーズが引き出せないので結果にも繋がらないのです。
しかし本人の性格を変えるのはなかなか難しいことで、私が口で指導するだけでは改善は見られませんでした。
当然成績も上がりませんので、彼の評価も徐々に下がっていき、落ち込む姿を見るのは辛かったです。
新人にとっては辛い環境。
個人プレーの多い会社でしたので、新人でもあまり経験を積ませない状態で現場に出されることも多くありました。
先輩社員に帯同して仕事を覚えさせるという仕組み自体が、会社内で整っていなかったのです。
そうした右も左も分からない状態で、いきなり仕事に責任を持てと言われても難しいと思います。
さらに人手が足りないこともあり、改めて社内で研修をするという時間も十分に持てません。
新人にとっては、かなり辛い環境だったと思います。
どうやって仕事をすればいいのか。どうやってクライアントとコミュニケーションを取ればいいのか。
クライアントと深く付き合いが進むとお酒の場などでの付き合いも生じるため、早めに解決しなければならない問題でした。
その部下も、仕事覚えは早かったものの、人間関係の構築力の面で、同期と差が開いていってしまいました。
もう少し部下育成のため時間を取れていたら、結果も変わったと思います。
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管理職としての私。
管理職になると現場に出る機会も減るので、クライアントの対応は部下に一任することが増えます。
私はあくまで部下を見守る姿勢を取り、提案内容についてうるさく口出しすることも控えていました。
しかしそれが良かったのか、どの部下も型にはまることなく徐々に自分の営業スタイルを確立していってくれたと思います。
その結果、部下が主力現場に引き抜かれたり昇進していくのを見るのは、やはり上司としては鼻が高かったです。
問題の部下にも、提案の丁寧さがあったので、固めのクライアントを中心に任せるようにしていきました。
読みは当たり、彼の提案はクライアントにばっちりとはまり、売り上げも急上昇しました。
その結果、彼は売り上げの高い営業所に異動となりました。
彼が自信をつけ旅立っていく姿を見送るのは、とても嬉しかったです。
今後、私が目指したいこと。
管理職に必要なのは「見守る姿勢」だと思います。
もちろん時には時間を取って指導をする場面も必要になります。
特にまだ若手の社員などは、そうした丁寧な指導に時間をかけることが成長のカギとなると思います。
立場が上がるほど、どうしても現場との距離が生まれ、数字でしか部下を判断しづらくなってしまうジレンマもあります。
そうした環境を脱却すべく、組織としての売り上げも大切ですが、常に現場の部下の味方でいる、というスタンスは崩さないようにしたいです。
そして、そこから見えてくる部下の長所はしっかりと評価し、反対に短所はしっかりと正しい修正をしてあげるのが管理職ではないでしょうか。
場合によっては上層部と現場との板挟みになり苦労することもありますが、この仕事はやりがいを感じています。
これからも、部下が気持ちよく仕事ができるような環境を作っていきたいです。
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