管理職体験談:「部下が上司に意見する」が当たり前の光景になるように。
[最終更新日]2022/12/15
介護付き有料老人ホームを運営する会社で、人事部マネージャーを務めています。
部下5名をマネジメントしながら、人材採用や配置転換を担当しています。
いちろうさん(男性 40歳)
- 職業
- 介護老人ホーム運営
- 職種
- 人事
- 年収
- 650万円
- 従業員規模
- 2,000名
- 地域
- 東京都
Index
目次
管理職としての私の仕事。
採用における私の役割は、書類選考段階を通過させるか否かを判断することです。
まず、部下たちに学歴段階で書類選考をさせます。
学歴選考を通過した人材について、私が書類選考を行い、採用面接試験に進める人材と、書類選考で落とす人材に選別、理由を明記して人事部長に決裁を仰ぎます。
また、人材の配置転換については、新しい介護付有料老人ホームが開設したり、新卒採用を実施したときに、有料老人の運営部門と打ち合わせをしながら、誰をどの老人ホームに配置転換するかの素案を作り上げていく役割をしています。
私が管理職になる前は、管理職というポジションは簡単な仕事だとイメージしていました。
部下は、自分の指示に素直に従い、何もトラブルは発生しないだろうと、根拠もなくそう思っていました。
人事異動の詳細を全く知らされておらず。
私の会社では毎年4月1日付で、人事異動が発令されます。
そのとき、上司である人事部長と険悪な関係になってしまったことがあります。
理由は、私の部下が、老人ホームの事務長として異動することが発令されたためでした。
しかも、私はこの人事異動について、人事部長から内示を受けていませんでした。
そのため、社内メールで人事異動の発令を知って驚き、人事部長に苦情を言ったのです。
具体的には
- 私
-
「私に何の相談もなく、彼を異動させるなんてひどいじゃないですか。どうして、彼を突然異動させることになったんですか? 理由を教えてください」
と尋ねたのです。
すると人事部長は
- 人事部長
-
「何をそんなに怒っているんだ。老人ホームの事務長は、係長待遇だぞ。昇進人事じゃないか」
と平然と答えます。私は納得できませんでした。
彼は、中途採用で人事の専門職として入社してきた人間です。人事のプロとして入社してきたのです。
実際、彼自身も内示を受けていなかったらしく、人事異動の社内メールを見て、顔面蒼白となっていました。
その後も、私は人事部長に、部下の異動を撤回してもらえるよう談判したのですが、無理でした。
私はこのとき、かなり感情的な言い方をしてしまったため、それ以来、上司とは険悪な関係に陥ってしまいました。
部下は1週間後、人事部を離れて老人ホームに異動しました。
人事部長による報復人事。
私の部下が、突然、老人ホームに異動を命じられた背景を、自分なりに考えてみました。
理由は、はっきりと上司に直言する性格に起因しているのではないかと思いました。
人事部長にとっては、私の部下は煙たい存在だったのだと思います。
実際、私の部下は部長に対して
- 部下
-
「この応募者は、採用面接に進ませるべきです。理由は、〇〇であり、〇〇だと思うからです」
と、他の社員たちがいる前で部長を論破してしまうケースが何度かあったのです。
私は、今回の異動は、部長による報復人事だと思いました。
他の部下たちも、同じ受け止め方をしていました。
人事部内では、雑談がなくなりました。
私は、今は部長に何を言っても無駄だと判断し、部長との関係修復を優先させました。
部長も、マネージャーである私との関係悪化は望んでいないようで、1ヶ月ほどたつと普通に会話をできるようになりました。
一方、私は、毎月1回、本社で開催される事務長会議のとき、かつての部下と顔を合わせるように心掛けました。
2人で居酒屋に行き
- 私
-
「ほとぼりが冷めるまで我慢しろ。俺が部長に言って、人事部に戻してやるから」
と言い、かつての部下を慰めました。
私は、彼が気の毒で仕方がありませんでした。
6ヶ月後、人事部長と2人きりになったときに、かつての部下の話を持ち出しました。そして
- 私
-
「彼は事務長として頑張ってるようです。いい勉強をさせてもらってると話していましたよ」
と言うと、部長は
- 人事部長
-
「ああそうか。良かったな」
と答えました。
そこで私が
- 私
-
「次の人事異動で人事部に戻してあげてはいかがですか」
と尋ねると
- 人事部長
-
「まだ半年しか経ってないだろ。それより、経理部の〇〇を人事部に移すか」
と私に言ったのです。
私は、部長は完全にかつての部下を人事部に戻すつもりはないのだと悟りました。
それ以降は、かつての部下の肩をもつことは止めました。自分に火の粉が降りかかることを恐れたのです。
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私の理想の管理職像。
私にとっての理想の管理職像は、部下からの直言を正面から受け止めることのできる度量の大きな人物であることです。
私は今回の一件で、人事部長ような度量の小さい管理職にはなりたくないと思いました。
また、部下から指摘され、それが正しい直言であれば、素直に間違いを修正することのできる管理職でありたいと思います。
私は部下に
- 私
-
「君はストレートに発言しすぎるところがある。上司に直言するときは言葉を選べ」
とアドバイスすべきでした。
上司による強行人事を前にして、ひれ伏してしまった自分はやはり、あまりにも度胸がなさすぎるし、上司をコントロールするテクニックを持っていないと感じている次第です。
今後、私が目指したいこと。
私が今後取り組んでみたいことは、人事部内の透明性強化です。
それまでは、人事部長が人事部内で強い力を持ちすぎていました。
そのため、あのような強行人事がおこなわれてしまったのです。
そこで、1ヶ月に1回くらいの頻度で、人事部内で懇親会を開いて、ざっくばらんに人事部の人間同士が話をする機会を設けたいと思っています。
何度も懇親会を開くと、人事部長もきっと、一般職の社員たちとも距離を縮めてくれることでしょう。
そして、距離が縮まると、一般社員が部長に対して意見を言うことが、当然の光景となっていくと思うのです。
そのうえで、人事異動については、部長とマネージャーは必ず事前協議をおこなう旨をなんらかの形で書面化したいと考えています。
そうすれば、理不尽な人事異動は発令されなくなると思うのです。
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