テレワーク・リモートワーク導入!そのとき、リーダー・管理職は何を注意すべき?
[最終更新日]2023/10/17
近年、テレワークを導入する企業が増えています。新型コロナウイルスへの感染症対策の一環として、テレワークを開始した職場もあることでしょう。
いまやクラウドやチャットツールが広く使われるようになり、テレワークを実現すること自体は技術的に可能になっています。しかし、実際に導入するとなるとさまざまな問題や課題が発生することもめずらしくありません。
今回は、テレワークを実践するにあたって得られるメリットや生じやすいデメリットをはじめ、管理者としてどのような点に注意したらいいのかをまとめていきます。
テレワーク・リモートワークの導入を検討している企業の方はもちろんのこと、これから導入を予定しているという方も、ぜひ参考にしてください。
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Index
目次
あわせて読みたい
- リモートワーク・テレワーク(在宅勤務)で働く際のポイント・注意点は?
- クラウドシステムやコミュニケーションツールの充実により、リモートワークに注目が集まっています。
新型コロナウイルス(COVID-19)への感染対策の一環として、新たに在宅勤務が取り入れられたという人もいるのではないでしょうか。
実際にテレワークを実施している人が抱くメリット・デメリットは?
テレワークの導入にはさまざまなメリットとデメリットがあります。これまでオフィスに通勤し、毎日のように顔を合わせて仕事をしていた環境が大きく変化し、自宅で仕事を進めるようになるわけですから、実践して初めて分かる利点を実感すると同時に、想定していなかった問題も数多く出てくるものです。
そこで、実際にテレワークを実施している職場の方々がどのようなメリットやデメリットを感じているのか、調査結果をもとに詳しく見ていきましょう。
実施した人が感じる、テレワーク・リモートワークのメリット
引用元:厚生労働省「平成26年度 テレワーク活用の好事例集」
自宅で仕事をするようになると、「移動」や「場所」の制約がなくなります。
静かな環境で落ち着いて仕事を進めることができ、不意にかかってくる自分宛てではない電話のコール音に集中力を奪われてしまうこともありません。小さなお子さんがいる家庭であれば、育児と仕事をより両立しやすくなるというメリットも得られます。
また、「出勤」「休憩時間」など、これまで組織の中で定められていた時間的制約も緩くなるため、自律性を持って仕事を進める必要があります。
その結果、出社していた頃よりもタイムマネジメントを意識するようになったり、自己管理についてシビアに考えるようになったりするというメリットもあります。
こうしたメリットを活かすことによって、仕事の生産性を高め、より有意義な時間の使い方ができるようになったと感じる人もいるようです。
実施した人が感じる、テレワーク・リモートワークのデメリット
引用元:厚生労働省「平成26年度 テレワーク活用の好事例集」
一方で、テレワークのデメリットを感じている人も少なくありません。
オフィスに出勤するということは、オンとオフの切り替えを半強制的に行うことになるため、公私の切り分けを意識せずとも実践できていたはずです。
ところが、本来プライベートな空間であるはずの自宅で仕事をするとなると、どこからが仕事でどこまでがプライベートなのか、区別が曖昧になりやすいと感じる人が多いことが分かります。
1人で自由に仕事ができるテレワークのメリットが裏目に出る場合もあるようです。他の従業員の様子が分からない1人だけの空間で働いていると、「他の人はどんなペースで仕事をしているのだろう?」「自分はサボっていると思われているのでは?」と疑心暗鬼になってしまう、というのです。
周囲の様子が見えないことで、必要以上に不安な気持ちになってしまう面があるのは否めないようです。
テレワーク・リモートワークで起きやすい問題点は──。
テレワーク・リモートワークのメリットとデメリットを把握したところで、次に考えておきたいのが「管理者としてテレワーク・リモートワークをどうマネジメントしていくか」です。
テレワークを導入することで、従来のように部下がオフィスに出勤していた頃には怒らなかったさまざまな問題が生じることが考えられます。
できるだけ先手を打って対策を練っておくためにも、とくに起こりやすい問題点について知っておくようにしましょう。
- 一番は、チームワーク・一体感の欠如
- 管理・ディレクションコストの増大
- 長期運用時に、スタッフのスキル・パフォーマンス停滞が発生しやすい
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
一番は、チームワーク・一体感の欠如
テレワークを実践するようになると、社員はそれぞれ別の空間で仕事をすることになるため、当然のことながら「一緒に働いている人の姿が見えない」「声が聞こえない」「目が届かない」という状態が続きます。
正社員でありながら、まるでフリーランスとして1人で仕事をしているような状態になるため、「部署全体で協力して」「チーム一丸となって」といったチームワークや一体感を実感しづらくなります。
こうしたデメリットを補うべく、オンラインでのWeb会議やカメラ機能を活用したストレス診断ツールを導入する会社もあるようです。たしかに、離れた場所で働く社員の様子を知る上で、これらのツールは有用かもしれません。
しかし、一歩間違えてしまうと、こうしたツールによって社員各自が監視されているような気分になり、かえって働きづらくなる原因にもなりかねません。
顔を合わせる機会がなくなり、必然的に会話を交わすことが減ると、それだけで人間同士のコミュニケーションは円滑でなくなることがあるのです。
管理・ディレクションコストの増大
管理者の立場としては頭が痛い問題として、テレワークに変えたことで対面でのコミュニケーションと比べると管理・ディレクションコストが増大しやすいという点が挙げられます。
オフィスに出社していれば、ちょっとした会話や打ち合わせで済んでいたような内容でも、チャットツールやメールを介して伝えるとなるとうまく伝わらなかったり、ニュアンスが変わってしまったりすることも考えられるのです。
社員それぞれが同じ時間帯に働いていないことも考えられます。
家庭の事情などにより、日中は常に仕事をしているわけにはいかないケースもあるはずですので、たとえば「メールを送ったのに、ちっとも返信がない」「チャットアプリが既読にならない」といった問題が生じる可能性があります。
オフィスで顔を合わせて仕事をしていれば声をかけるだけで良かったことでも、わざわざ文章にして送信し、相手からの返信を待つためのタイムラグが発生するという問題も発生しやすくなります。
長期運用時に、スタッフのスキル・パフォーマンス停滞が発生しやすい
テレワークが長期化するとなれば、テレワークを前提として社員を評価しなくてはなりません。
自分以外の社員がどのような働き方をしているのかが把握しにくくなりますので、しっかりと根拠を示して評価しなければ社員から不満が出るでしょう。
対面でのコミュニケーションが減る分、どうしても成果が評価に直結しやすくなり、個々人の努力などプロセスの部分が見えづらくなるという問題もあります。「サボっていても気づかれない」ので、サボりぐせが付いてしまう人が出てくることも考えられます。
さらに、年単位でテレワークを運用していくとなると、社員それぞれの中長期的なキャリアプランにも影響が及びます。
毎日、自宅で1人きりで仕事をするとなると、自発的に学ぶ社員とそうでない社員の差がますます開いていきます。
各々が目標を持ち、モチベーションを維持して働き続けられるよう、キャリアプランやビジョンを共有するための方策を考える必要があるのです。
テレワークを効果的・効率的に実施するポイント3点
テレワークを効果的・効率的に運用していくためには、テレワークで生じやすい問題に対して先手を打っておくことが非常に重要です。
マネージャーなど業務を管理する側の立場の人にとって、部下と直接会って仕事をする機会が極端に少なくなるわけですから、全員がオフィスに出社して仕事をしていた時とのギャップを埋める方法をよく考えておく必要があります。
テレワークの実施に際し、管理者がとくに気をつけておきたいポイントとして次の3点が挙げられます。
- まずは、「どうやったら対象スタッフとの信頼関係を高め、維持していけるか」を考える
- チームワークを活性する
- 対象者ひとりひとりのキャリアビジョンを描き、共有する
それぞれの対策について、順を追って見ていきましょう。
まずは、「どうやったら対象スタッフとの信頼関係を高め、維持していけるか」を考える
前出で紹介したテレワークのデメリットから、「職場の雰囲気がわからない」「サボっていると思われそう」「周囲に迷惑をかけているのではないか」といった不安を抱えやすい実態が見えてきます。
顔を合わせて言葉を交わす機会が減ることで、疑心暗鬼になってしまうスタッフも出てくることをあらかじめ想定し、対策を打っておく必要があります。不安をできる限り払拭した状態で働いてもらったほうが、パフォーマンスも発揮されやすいからです。
直接顔を合わせることのない環境下でも管理者・スタッフの双方が安心して働くための土台は「信頼関係」にあります。
テレワークを導入するにあたって「どうやってサボらせないようにするか」といった締め付け型の対策を考えるのではなく、性善説に立ち、スタッフを信頼して仕事を任せていくことを、言葉を尽くしてていねいに伝えましょう。
テレワーク導入後も、細かすぎる報告を求めるのは避け、スタッフの自律性に委ねていることが伝わるように配慮していくことが大切です。
こうした働きかけの積み重ねが、スタッフとの信頼関係となって実を結んでいくのです。
チームワークを活性する
テレワークは1人1人が別々の場所で仕事をすることになるからこそ、チームワークの重要性がいっそう増します。
ちょっとした打ち合わせのためにスタッフを集める、というわけにいかないため、メールやチャット上で意見を聞くなど、スタッフに発言してもらう機会を意識的に設けましょう。「言いやすい」「発言しやすい」環境を素地として作っておくことが重要です。
一方で、情報の偏りや意思疎通の不足による行き違いを避けるための仕組みを整えておく必要があります。
スケジュールを共有し全員がいつでも見られる状態にしておくことや、Web会議を実施するためのICTツールを整備することなど、必要な準備は済ませておきましょう。
報告の方法やタイミングについても、スタッフの自主性を重んじつつ、ガイドラインだけは決めておくことで、報告するスタッフの側も遠慮や躊躇を感じることなく必要な報告を上げやすくなるのです。
スタッフ各自の意識の持ち方や意欲を信頼する面と、仕組みとして整えておく面とのバランスを保つことを意識しましょう。
対象者ひとりひとりのキャリアビジョンを描き、共有する
テレワークにおける業務の管理となると、どうしても日々の仕事をどうマネジメントするか、という点に耳目が集まりがちです。
しかし、長期的にテレワークを運用していく可能性がある場合、テレワークの環境下でどのようにスタッフのモチベーションを保ち、継続的なスキル向上を図っていくか、という点も考慮する必要があります。
テレワークを選択した理由が家族の介護や育児といったスタッフの場合はとくに、今後のキャリアに対して不安に感じることもあるはずです。
日々の業務管理に終始するだけでなく、中長期的な目標やキャリアビジョンについても各スタッフとよく確認し、共有しておくことが大切になります。
テレワークを選択したことでキャリアにおいて不利に働いたり、これ以上のスキルアップが望めない状況に置かれたりするのではないか、といった不安を感じさせないよう、細心の注意を払いましょう。
中長期的なキャリアビジョンが明確化することによって、いっそう意欲的に仕事に取り組み、テレワークのメリットを上手に活用し始めるスタッフが出てくるはずです。
まとめ)テレワークを「デメリット」から「チャンス」に変えよう
「スタッフがオフィスに来ない」「直接指示が出せない」というテレワークは、管理者にとってデメリットとなり得ます。
ディレクションコストの増大はほぼ避けられない課題となりますので、管理者としての負担が増える面があるのは否めません。
しかし、テレワークをきっかけに成果へと結びつく仕事の進め方やチームワーク、部下との信頼関係について、改めて考え直す機会にもなるはずです。
同じ空間で仕事をしていた時には気づかなかった、ちょっとした意思疎通の不足に気づかされることもあるかもしれません。
テレワークを「デメリット」と捉えるのではなく、1つの「チャンス」と考え、テレワークならではのメリットを最大限に活かしていきたいものです。
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