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「入管法改正案」ってなに? 「外国人材」活用のポイントと注意点

[最終更新日]2019/01/11

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2018年11月、入管法改正案が閣議決定されました。今後、外国人労働者の数はますます増えていく可能性が高く、企業が外国人材の採用や雇用について検討する機会も増えていくと考えられます。

現在、外国人材の採用を検討している企業はもちろんのこと、将来的に外国人材を採用する可能性のある人事担当者の方、マネージャーの方は、入管法の概要について知るとともに、外国人材を採用するメリット・注意点について理解を深めておきましょう。

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最近話題の「入管法改正案」ってなに?

入管法改正案の閣議決定はメディア等でも大々的に報道され、話題になりました。外国人労働者の数を増やす趣旨の改正になりますので、今後ますます日本で働く外国人労働者が増えていく可能性が高いと言えます。

まずは、そもそも入管法とは何か、どのように改正されるのか、といった基本的な部分について確認しておきましょう。さらに、なぜいま入管法改正が求められているのか、その背景と外国人材受け入れの現状について見ていきましょう。

入管法(出入国管理法)改正とは?

入管法の正式名称は「出入国管理法」です。外国人の入国・出国や、在留資格、不法入国などに関して定めた法律になります。終戦時に制定され、翌年に法律として効力を持つようになって以来、これまでも社会情勢の実態に合わせて改正が何度か行われています。記憶に新しいところでは、2009年に在留カード交付が開始されました。

今回の改正案では、日本で働くことのできる外国人の在留資格が拡張されます。具体的には、介護や外食産業など14業種について、下記の2つの在留資格が新たに設けられます。

  • 特定技能1号:生活に支障のない会話ができ、一定の知識や技能を持っていることを条件に、最長5年在留できる。家族の帯同は認められない。
  • 特定技能2号:生活に支障のない会話ができ、熟練した技能を持っていることを条件に、在留期限を更新することができる。家族の帯同を認める。

生活に支障のない会話」や「一定の知識や技能」「熟練した技能」のレベルは2019年1月時点で明示されていません。特定技能2号については在留を最長何年まで更新できるのかも不明ですが、そもそも移住理由を問わないことから、特定技能2号は実質的に移民の在留を認めるものではないかと言われています。

なぜ入管法改正が求められているのか

日本はすでに人口減の時代に突入しています。出生数が減少するということは、将来にわたって労働力人口の減少が見込まれることを意味しています。みずほ総合研究所の調査によれば、2016年から2020年でおよそ244万人、2020年から2025年でおよそ255万人の労働力人口が減少すると予測されています。

労働力人口が減少すれば、企業が採用活動を続けることは困難になります。2017年時点で人手不足を理由に倒産した企業は106社におよび、前年比の147.2%となっています。今後は人手不足が原因の倒産リスクがさらに増大すると考えられるため、労働力不足をどのように解消するかはまさに喫緊の課題なのです。

そこで、減少していくことが明らかな国内の労働力だけに頼らず、国外からも労働力を受け入れようという発想が入管法改正案につながっています。日本で働きたいという意欲があり、能力面においても問題ないのであれば、積極的に外国人労働者を受け入れていくことが求められているのです。

しかし、「外国人材」受け入れの現状は…

外国人材の受け入れは、上述のように今後の日本にとって不可欠な課題であり、外国人労働者が増えていくのは必然の流れと言えます。しかし、現状では外国人材の受け入れが順調に進んでいるとは言いがたい面があるのも事実です。

外国人労働者数は2018年までの5年で倍増し、128万人となっています。ところが、このうち4割は技能実習生と留学生であり、低賃金や過酷な条件で働くことを余儀なくされているのが実情です。

技能実習生を受け入れている約6000箇所の事業所のうち7割以上で法令違反が確認されるなど、日本で働く外国人にとって劣悪な環境にあることが窺えます。2017年には技能実習生7000人以上が失踪しているという事実が、技能実習生が働く上での実態を物語っています。

また、出身国との慣習の違いや文化的なギャップにショックを受ける外国人労働者も少なくありません。一例として、接客業に就いた外国人が「日本人は親切というイメージがあったのに、お客の立場だと態度が高圧的で戸惑った」という印象を抱くなど、希望を抱いて日本にやってきた若い外国人が理想と現実のギャップに失望してしまうケースもあるのが実情です。

外国人材受け入れのメリット3つ

現状では課題も多い外国人材受け入れですが、もちろん企業側にとってのメリットもあります。労働人口の減少という「見えている未来」に対応するには、外国人材の受け入れも選択肢の1つとして考えていかなくてはなりません。

この状況をポジティブに捉えてメリットを活かすことができれば、外国人受け入れは企業によって成長のチャンスに変えることも可能なのです。外国人材を受け入れる主なメリットのうち、3つを見ていきましょう。

意欲の高い若手人材が確保できる

日本で暮らしながら働きたいという若い外国人は日本のことが好きで、高い興味を持っています。言葉の壁や異文化の理解など、同じ日本人同士で働くのとは比べものにならないほどの努力を要するはずです。

その壁を乗り越え、日本で働きたいと考えている人物なのですから、意欲が高いのはもちろんのこと、能力面においても優れた人材である可能性が高いでしょう。意欲的で若い人材を確保するのは、そもそも簡単なことではありません。企業にとって、そのようなチャンスを増やすことができるのは大きなメリットと言えます。

新卒採用が売り手市場と言われるようになり、企業にとって若手の人材を採用することが年々難しくなりつつあります。新卒採用で不振が続けば社内の年齢構成がいびつになる可能性もあるため、若い労働力の価値はこれから相対的にいっそう高まっていくと予想されます。意欲的で若い外国人材の力は、今後の日本企業にとって貴重な財産となり得るのです。

職場内の環境が活性化する

新たな人材が登用されることによって社内のムードが好転することは、日本人の新卒や中途採用者においてもあり得ることです。既存の社員が新入社員に触発されて仕事に対する前向きさを取り戻したり、自分も頑張らなくてはならないと危機感を抱いたりするからです。こういった効果は、新たに加わる人材の人柄やスキル、向上心といった部分が大きく影響しているのは間違いないでしょう。

外国人材が意欲的で真面目であるケースが多いのは前述の通りですが、こうした人材を採用することは組織にとって良い効果をもたらす可能性があります。外国人労働者にとって、日本で仕事があるということは日本にいられることを意味します。

単身で日本に来ているケースがほとんどと思われますので、不慣れな地でもはじめは知り合いを頼ることもできません。仕事以外の面においても、困難な状況を1つ1つ乗り越えて懸命に努力している姿は、日本人の社員にとって大きな刺激となる可能性が高いと言えるでしょう。

グローバル化への足掛かりになる

海外への事業展開や進出の可能性がある企業なら、事業を展開する予定の地域出身者を採用することで希少な情報を直接得ることができます。従来であれば現地へ赴いてリサーチする必要があったことも、その国の出身者が社内にいればスピーディに確認することができます。

海外への事業展開においては、現地の慣習や文化、商習慣について詳細にわたって考慮する必要があるため、現地を直接知る人材を社内で抱えられるメリットの大きさは計り知れないものがあります。

また、日本でずっと暮らしてきた日本人とは異なる視点や発想でビジネスに取り組んでもらえる可能性も十分にあります。これにより、既存の社員が新たな知見を得たり、これまでになかった発想のヒントを入手したりできるかもしれません。

母国語が異なる人と共に働く経験を社員がしておくことによって、ゆくゆく海外へ事業展開した際に現地採用する場合にも、異なるバックグラウンドを持つ相手への配慮や気遣いといった面で必ず生きるはずです。

外国人材活用のために注意しておきたい2つのポイント

外国人材を受け入れるにあたっては、日本人の社員を採用するとき以上に必要な注意点があります。外国人を採用した後で「知らなかった」では済まされないこともありますので、事前に理解を深めておくことが重要です。

管理職の方であれば、外国人材を受け入れることを想定して部下への意識づけをしていく必要もあるでしょう。採用が決まってから慌てて対処するのではなく、予定されているのであれば前もって準備を進めることが大切です。

ここでは、外国人材を活用するにあたってとくに注意すべき2つのポイントをご紹介します。

言葉や文化の違いに寛容になること

日本語の習熟度だけでなく、言語感覚的なものは国や文化によって大きく異なります。日本人はビジネスシーンにおいて敬語を用いるのが当然と考えていますが、日本語を母語としない外国人にとって敬語は難解であり、悪気なく誤用してしまうケースも十分に考えられます

同様に、文化的なバックグラウンドが異なる相手であることも十分に考慮する必要があります。食文化や信仰といったことはセンシティブな問題なので、こちらが意識せずにやっていることが相手に対して非常に失礼にあたる可能性も考えられます。

文化的なギャップに驚いたり悩んだりしているのは、受け入れる側だけではないことを忘れないようにしましょう。言葉や文化の違いに寛容になり、理解して受け入れることで尊重する姿勢を持つことが大切です。

同時に、社内のルールや日本のビジネスシーンにおける常識やルールを理解してもらうことも重要です。「慣れたら分かってくれるだろう」といった曖昧な態度で接するのではなく、伝えるべきことは明確に伝えることによって、お互いの信頼関係を築いていくようにしましょう。

労働管理への知識は必須

根本的なこととして、外国人労働者は外国籍であり、日本で働くには滞在資格や就労資格を得ている必要があります。「日本に住んでいて就職活動をしているのだから、就労資格は当然持っているだろう」と漠然と捉えていると、実は資格がなかったといったケースも考えられるのです。

これは重要なことですので、滞在資格と就労資格が確実にあるのかどうか、採用前に事実を確認しておく必要があります。「本人が問題ないと言っている」といった不透明な確認の仕方で済ませないようにしましょう。

また、外国人労働者を常時10人以上雇用する場合、「外国人労働者雇用労務責任者」を選任することが義務づけられています。雇用労務責任者は労働条件等の管理だけでなく、関係行政機関との連絡なども行います。原則として、人事課長や労務課長といった管理職から選定することが推奨されています。

雇用労務責任者を置くことは企業としての義務ですので、「知らなかった」では済まされません。こうした労働管理への基本的な知識については、しっかりと確認しておくようにしましょう。

企業側に求められる「受け入れ態勢」

ここまで、外国人材を活用する上でのメリットや注意点について見てきました。外国人材を受け入れるにあたっては、マネージャーや人事担当者が入管法をはじめ外国人労働者を雇う上で必要となる知識を持っておかなくてはなりません。

さらには、部署内・社内において外国人労働者と共に働いていくことができる態勢を整えなくてはなりません。受け入れ態勢を整えられるかどうかは、企業としての姿勢や取り組みにかかっています。

外国人材を受け入れるにあたって整えておきたい態勢について、3つのポイントを確認しておきましょう。

キャリアプランの形成

外国人労働者は、貴重な若い時期のキャリアを日本での仕事に割り当てるという、とても大きな決断を下して来日しています。外国人労働者が使い捨ての労働力のように扱われるようでは、日本で働く魅力やメリットを感じられなくなってしまい、ゆくゆくは日本が就業先の国として「選ばれなくなる」可能性すらあります。

外国人労働者がモチベーションを維持して働くことができ、しかも今後のキャリアに日本で働いた経験が活かせるように、さまざまな配慮をする必要があります。評価の方法や昇給についても、努力や貢献度に見合ったものになっているかチェックし、必要に応じて見直しを図ったほうがいい場合もあるでしょう。

外国人労働者が日本で働くことを選んだ動機や目的が、自社での仕事を通じて実現できるかどうかを確認しておくことも重要です。企業としては外国人材の能力やスキル、モチベーションを活用することができ、外国人労働者にとっては自己実現のステップとすることができれば、Win-Winの関係を築くことができるのです。

語学や日本の習慣にまつわる研修を用意

外国人労働者の各々のレベルに合った日本語研修の機会を設けることも重要です。スムーズに意思疎通を図ることができれば、仕事が円滑に進むだけでなく、お互いのストレスを軽減させることにもつながります。

福利厚生の1つとして無料で受講できるシステムになっていれば、外国人労働者にとってその会社で働く付加価値が1つ増えることになり、モチベーション向上に寄与する効果も期待できます。日本企業の事例だけでなく、他国の企業が外国人受け入れに際して実施している研修なども参考にしながら、日本語研修プログラムを策定しておくようにしましょう。

また、日本の風土や商習慣、社風を理解してもらうための研修を実施することも非常に重要です。研修で得た知識を直接的に業務で活かしてもらうことも大きな目的ですが、企業としてさまざまな配慮をし、大切に扱っていることが外国人労働者本人に伝わることで、長く働き続けてもらえることにもつながります。

生活支援を充実させる

外国人労働者にとって、仕事だけでなくオフの時間の生活も異国での不慣れなものになりますので、生活面での支援を充実させることも重要になります。具体的には、日本での生活について案内するガイダンスを実施したり、行政手続きの支援を行ったり、社宅を確保したりする、といったことを計画的に行いましょう。

法務省入国管理局「新たな外国人材の受入れに関する在留資格『特定技能』の創設について」という資料には、「受け入れ機関は外国人に対する日常生活、職業生活、社会生活上の支援をおこなう」と明記されており、外国人労働者を受け入れる企業にとってこうした生活上の支援が必須のものであることが分かります。

実際、外国人材の能力やスキルが優れていたとしても、プライベートでトラブルを抱えていたり、心配事が尽きなかったりするようでは、仕事に集中することは難しいでしょう。こうした面においてもきめ細やかなケアやサポートを行い、外国人材が仕事で能力を発揮しやすい環境を整えることが大切です。

まとめ 外国人材の活用に対する社内のリテラシー向上を目指そう

外国人材を採用するにあたって、人事担当者や管理職が知っておくべきポイントについて紹介してきました。ただ、日常業務において外国人材と接するのは現場の社員のはずです。外国人材の活用に対する正しい理解や知識について、上長が把握してさえいればよいというわけではありません。社内に周知徹底を図り、会社全体のリテラシー向上を目指すべきなのです。

外国人材を活用したいのであれば、外国人労働者の側にとって魅力的な仕事内容・職場環境であることが重要になります。

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この記事を書いた人

Ash.

会社員として勤務しつつ、覆面ライターとして活動。 度重なる転職で「人生詰んだ」と思っていたところ、転職の経験を記事にすることを思いつく。「何度でもやり直せる」がモットー。

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