「また続かなかった……」を卒業したい 習慣化のための3つのコツ
[最終更新日]2023/11/06
子ども時代に習い事をしたものの、長く続かなかったという人はたくさんいることでしょう。
習い事であれば問題ありませんが、成長しても勉強や運動、業務に必要なスキルの習得が習慣化できないままでは、何かと支障が出るものです。
そこで今回は、「何事も長く続かない」と心ひそかに悩んでいる管理職の方々に知ってほしい、「習慣化」ができない原因と改善方法についてお話しします。
コツさえつかんでしまえば、習慣化すること自体は決して難しくありません。
ぜひ実践してみてください。
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目次
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「なんでいつも続けられないの…」カギは「脳」のメカニズムにあった
「習慣化」とは、動作や行動を積み重ねることで身体がその状態を記憶し、自然に動くようになることを指します。
ですが習慣化を実践できるようになるまでには、案外時間がかかるものです。
習慣にしたいことができなかったことで、自分の意志の弱さを感じてしまう人もいると思いますが、その原因は脳のメカニズムにあるのです。
ここでは習慣化を妨げる、脳のメカニズムについてお話しします。
基本的に、人間の脳は「習慣化」にブレーキをかけようとするもの
人間には「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」があります。
これは、「環境が変化しても身体の機能を一定に保とうとする」という、人間の生態的な働きのことです。
例えば、暑い季節に汗をかくのもホメオスタシスの働きで、これによって体内にこもった熱を放出し、体温を一定に保っているのです。
このホメオスタシスは、身体だけでなく脳にも影響しています。
これは、身体のために現状を維持したい脳や身体が、新しい変化を拒もうとするからです。
これまでとは違う行動を行うことで疲れてしまうことを、脳は積極的に受け入れようとはしません。
こうした機能により、私たちが新たな習慣化を目指す際に、無意識レベルで歯止めがかかってしまうのです。
例えば、「自宅には仕事や勉強を持ち込まず、ゆっくりする」ことが当たり前になっている人は、それを覆すような習慣を持つのはなかなか苦労ことでしょう。
ホメオスタシスは、人間が健康あるいは生命を維持していくうえで必要な機能ですが、自らの意思で新たな変化を求める時に、邪魔になってしまうこともあるです。
では、脳の構造的に「習慣化」は不可能なのか
一方で、人間にはそれぞれ、無意識の生活パターンが身についています。
朝起きたらトイレに行く、夜眠る前には歯を磨くという習慣は、幼少期のしつけをきっかけに習慣化されているからです。
行動パターンが習慣化する際には、脳の思考回路を動かしパターン化するという作業が行われています。
「起きたら寝ている間にたまった老廃物を輩出する」「虫歯の予防のために歯を磨く」という、行動の目的と成果を脳が記憶することで、考えずに行動できるようになることが「習慣化」なのです。
つまり、脳は新しい習慣を身につけるのを拒む傾向はあるものの、コツさえつかめば習慣化することは可能だということです。
ただし、これまでとは違う習慣を加えたいと考えているなら、行動だけでなく思考回路のパターン化も意識する必要があります。
そこで大切なのが、習慣を定着させやすくするきっかけをつかむことと、慣れるまでくり返し続けることです。
習慣化を邪魔している「悪いクセ」
ホメオスタシスによって、脳は習慣化に歯止めをかけてしまうことは前述しました。
すでに無意識化で行える習慣ができあがっていると、それ以外のことを積極的に行おうとしなくなるのです。
言い換えれば、「『習慣化に歯止めをかけること』がが習慣化されている」ということですね。
続いては、そんな「習慣化に歯止めがかかってしまう」悪いクセについて、説明していきます。
習慣化を邪魔するクセ#1【目標を大きく設定しすぎてしまう】
まず、習慣化を邪魔する悪いクセの1つめは「目標を大きく設定すること」です。
ダイエットに例えるとわかりやすいのですが、「1ヵ月で10kg痩せる」という目標は、かなりハードルが高いです。
食事を極端に減らし、これまでより運動量を増やすなど、習慣化されていないことを一度にいくつも始めなければならないからです。
人間は目標設定をする時が一番、モチベーションが高くなる傾向があります。
しかし脳は大きな変化は危険であると認識するので、無意識下で新しい習慣を拒絶してしまうのです。
勢いで目標設定をしてしまうと自ずと難易度が上がり、一気に行動を変えようとすることでホメオスタシスが働いてしまうため、継続が難しくなってしまいます。
目的達成のために行動を習慣化したいなら、大きな目標を立てるという悪いクセを改善する必要があるといえるでしょう。
習慣化を邪魔するクセ#2【すぐに結果が出ることを求めてしまう】
目標を立て達成のために行動すれば、結果がほしくなるのは当然のことです。
ですが、ダイエットや筋肉トレーニングを例にあげても、始めてすぐに思うような成果が出ることはありません。
これは勉強や運動にもいえることです。
目標を達成するためには、それなりに時間がかかります。
目標を達成することがすべてになると、思うように結果が出ないことでモチベーションが下がってしまうのです。
しかし「スリムになって。お気に入りのブランドの洋服が似合うようになりたい」という目標を立て、そのために「10kgダイエットをする」と決めると痩せることが通過点になります。
1ヵ月で10kg痩せるのは難しくても、1ヵ月で3kg落としたことで目標に近づいたというと絶え方ができれば、モチベーションを保てるのです。
このように、行動したことでの結果をすぐに求めるという悪いクセも、早めに改善するのがおすすめです。
習慣化を邪魔するクセ#3【自分の力に頼りすぎている】
学習や運動、スキルの習得、業務効率アップなどを習慣化したい場合、本人が努力するしかありません。
その一方で「自分の力だけでなんとかしよう」という意識が強すぎることによって、逆に習慣化が阻害されることもあるのです。
どのような分野においても、「ひとりきりで成し遂げられる領域」は限られています。また、何かに取り組もうとしたときに、、周囲の励ましやサポートがある方がうまくいく場合が殆どでしょう。
更には、周囲に自分の目標を伝えておくことで、達成に遅被く方法やアドバイスをもらえることもあります。
何よりくじけそうになった時に、応援してくれる人がいればモチベーションアップにつながります。
特に仕事で何かを習慣化したいと考えている管理職の方は、自分だけの意思でどうにもならないことを念頭においておく必要があるでしょう。
組織目標を達成するためにシステムやスキームを改善して習慣化する際、部下が協力してくれる環境を整えることが重要だからです。
大切なことは、「ひとりでやり切る」ことではなく、「掲げた目標が実現し、その効果が周囲や未来にも繋がっていくこと」です。そのために周囲の人々の協力やフォローが大切になるのなら、惜しむことなく積極的に活用していくべきでしょう。
「習慣化」のための3つのコツで、「また続かなかった」からは卒業しよう
前章では習慣化を邪魔する3つの悪いクセについてお話ししましたが、これは改善することが可能です。
その際には脳のホメオスタシスを理解したうえで、取り組むのがセオリーとなります。
ここでは「また続かなかった」を卒業して、習慣化につなげるための3つのコツについてお話しします。
3つのコツは簡単に取り入れられて、続けるのも難しくないので、積極的に試してみてください。
小さな目標から、コツコツと始めていく
脳は、新しいことをやりたがらない傾向があります。
そのため習慣を大きく変えようとすると、無意識のうちにそれを避けようとしてしまいます。
そこで新たに何かを習慣化したいなら、小さいことから始め、コツコツと続けていきましょう。
例えば、健康のためにジョギングを習慣化したい時には、まず1㎞だけ走ることから始めるのです。
その際、もっと走れそうだと思っても、1㎞で止めるのがポイントです。
そして、それを3日ほど続けてみましょう。
すると「まだできる」「もっとやってみたい」という気持ちが湧いてくることが多いのです。
できるのに途中で止め、行動への飢餓感を感じることは、習慣化の第一歩です。
そういう気持ちが湧いてきたら、走る距離を1㎞から2㎞に延ばして、同じように3日続けます。
同じように「まだできる」「もっとやってみたい」と思うはずです。
このように距離を少しずつ延ばしながら、コツコツと続けていくと、自然に習慣化されていきます。
行動する「時間」を決めておく
新に何か習慣をつくりたい時には、すでにできている生活リズムに組み込んでいきましょう。
つまり、新しく習慣化したいことを行う時間や期限を、いま毎日行っている生活習慣の前後に行うと決めるのです。
例えば業務に関わる資格やスキルを習得するために、勉強する習慣をつけたいとします。
その場合は、通勤時間のうち10分だけはテキストや動画コンテンツを見る、昼休みに15分だけ過去問題集を解くなど、仕事に関わる既存の習慣の中に加えていくのです。
こうして勉強する時間を決めて続けていくうちに、予定通り行わないと落ち着かないという気持ちに変わるはずです。
その状況は自分の意志ではなく、無意識化で習慣を続けようとしているサインです。
その気持ちに素直に従うことで、自分の意思を使わずに習慣に取り組む仕組みをつくるのです。
まずは10分・15分という、続けるのが苦にならない時間設定を行い、その時間を徐々に延ばしていきましょう。
できなかったとしても自分を責めない、反省しすぎない
習慣化を妨げる一番の原因は、「できなかった」「やりとげられなかった」ことに対して、自己否定や挫折を味わうからです。
習慣化を目指して行動し始めたころは緊張感もあって、意思の力で続けようとします。
しかしある程度続けていくうちに中だるみをして、さぼってしまうこともあるものです。
人間には誰しも気持ちの浮き沈みがあり、常に同じモチベーションで物事に対処することは難しいのが現実です。
そう考えれば、1日やるべきことができなかったからといって、自己否定をすることはないと思いませんか。
もし1日さぼってしまっても、「明日からはがんばろう」と気持ちを切り替えて、自分を責めないことが習慣化には大事なポイントとなるのです。
新しいことを習慣化するために「決めたことは絶対に守る」と思い込むことで、予定通り行えなかった時の挫折感が大きくなります。
自分に厳しくするのではなく、時にさぼることがあっても諦めずに続けることに着目し、反省しすぎないよう意識してみましょう。
実例紹介:習慣化が実を結ぶ――【イチロー選手】
先ごろ現役引退を発表したイチロー選手は、「努力する天才」として有名です。
プロ野球選手としてキャリアをスタートした際には、体格に恵まれていたわけでも、天才としてもてはやされていたわけでもありません。
しかし、日本からアメリカに活躍の場を移し数々の偉業を成し遂げることができたのは、習慣化が実を結んだからといえます。
そこで、習慣化の実例としてイチロー選手を取り上げてみたいと思います。
「習慣化のための努力」を怠らなかったことが、未来を作る
日米通算並びにMLBシーズンの最多安打など、記録と記憶に残るプロ野球選手となったイチロー選手は、日常生活の中で様々な習慣を持つことでも有名でした。
その萌芽は、高校時代にすでにあります。イチロー選手は高校在校中の3年間、毎日10分の素振りを欠かしたことがありません。
素振りの習慣により、正しいフォームでバッティングすることが無意識でできるようになったといいます。
こうした習慣はプロ野球選手になってからも続き、毎日の練習時間が同じなのはもちろん、ストレッチやトレーニングの内容も変えませんでした。
それは試合に臨む時も同じで、ネクストバッターズサークルで行う屈伸運動やバッターボックスでのスタンスの取り方・構え方にも、一部の狂いもありません。
イチロー選手がこうした習慣を続けた理由は、「決まった行動をくり返すことで、自分の気持ちが揺れている時でも、やるべきことに自然に集中できるようになるから」だそうです。
また、習慣を誰よりも継続したことで、自信を持つことにつながった面もあるようです。
これらはゲン担ぎではなく、「プレ・パフォーマンス・ルーティン」というプラスの影響があると、スポーツ心理学でも認められています。
「できなくてもしょうがない」は、終わってから思うこと
イチロー選手の現役生活は、「自分で決めたことは必ず実行する」ことに貫かれていました。
習慣をつくり、それをずっと守り続けた選手生活だったのです。
イチロー選手は現役時代に、「『できなくてもしょうがない』は終わってから思うことであって、途中にそれを思ったら絶対に達成できません」と語っています。
その言葉の根底には、野球選手として「もっとうまくなりたい」という自己実現欲求がありました。ここで大事なのは、他者にほめられるのではなく、いまの自分より向上したい、自分が目指す理想に近づきたいという、シンプルで高次な欲求があったのです。
そのためには、自分を客観視することが重要です。イチロー選手は自分自身を見失うことがないように、自分を取り巻く環境を冷静に見極めるよう心掛けていたといいます。
また、人間で誰にも起こる気持ちの揺れに対処するために、プレ・パフォーマンス・ルーティンを徹底していました。習慣化した儀式をくり返すことで、平常心を保つ習慣ができることが、偉業達成につながっています。
こうしたイチロー選手のマインドは、見習うべきでしょう。
コツをつかんで習慣化を実現しよう!
今回は、何事も長く続かないと心ひそかに悩んでいる管理職の方々に知ってほしい、習慣化できない原因と改善方法についてお話ししました。
この記事をまとめると
- 新しい習慣が身につきにくいのは脳のメカニズムが影響している
- 習慣化が定着しない3つの悪いクセがある
- 3つのコツをつかむと、習慣化が手軽にできる
の3つでした。
まずは小さなことから始めコツコツ続けることで、習慣化を実現する一助に、この記事を生かしてくれたらうれしいです。
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