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最近よく聴く「リベラルアーツ」ってどんなもの? 特徴・メリットを紹介

[最終更新日]2018/11/20

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会社の研修もしくはビジネス雑誌などで、「リベラルアーツ」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

確かに聞いたことはあるけど、その内容はよくわからない。最近できたマネジメントスキルの1つ?など、フレーズの印象のみという人も多いはずです。

実はリベラルアーツは、日本の教育制度の背景もあって日本人には馴染みのない言葉です。しかしその一方で、現代社会においてこのリベラルアーツが日本の企業、特に組織をマネジメントする管理職に求められてきています

そこで今回は、このリベラルアーツを理解するための基本的な特徴と活用メリットを紹介していきます。

Index

目次

リベラルアーツとは、「人間(私たち)を自由にする」スキル

リベラルアーツは実践的な学問の1つです。知識ではなくスキルを学ぶ学問であり、この言葉が生まれた当時、この学問の目指すところは「人を自由にする技」として示されました。

ただしこのテーマを聞いただけでは、どう企業のマネジメントにつながるのか、まだピンとこないという人も多いはずです。

そこでまずは、このリベラルアーツの歴史や概要、そして我々がなぜこの言葉に馴染みがないのか、その背景である日本の教育制度との関係から、リベラルアーツとは何なのか?を掴んでいきましょう。

「リベラルアーツ」の概要

リベラルアーツは、我々の思考や思想において、様々な視点を持つことで「制限されない=多様な価値観を選択していく」スキルを習得する学問で、名前の通り「自由を創造する」(リベラル=自由 アーツ=芸術・人の創造物)ことを目的とした学問です。

この「自由を創造する」という目的をもう少し具体的に考えるために、自由とは逆の「不自由な状態」をイメージしてみましょう。

例えば、会社のルールがガチガチで良いアイデアもがあっても実行しにくい。上司からの評価が気になって反対意見がいえない。海外の言葉も文化もわからないので日本でしかビジネスができない、もしくは海外で取引をしたが相手と折り合いがつかない

「不自由な状態」は、選択肢が限られて身動きが取れない状態です。物理的なイメージを想像しがちですが、思考・思想にも「不自由な状態」は存在します。いわゆる偏見や固定観念です。

リベラルアーツの対象とするのは、この思考・思想について、その制限を取り払う=自由に思考することで、我々の理想を具現化していくことを目指しているのです。

一般教養とリベラルアーツの違い

一般教養

  • 社会にでて働いていくために最低限必要な知識
  • 学科や講座はなく、教育制度を通して身につけていく
  • スキルではなく知識や情報の獲得
 

リベラルアーツ

  • 明確な答えがない問いを対処していくための知識
  • 明確な答えがない問いを対処していくための知識
  • 知識や情報ではなくスキルの習得

日本人にとって「一般教養」という言葉は馴染みがあるはずです。いわゆる社会に出て働くために、最低限知っておくべき知識を指します。

また皆さんもご存知のとおり、日本の教育制度においては「一般教養」という教科や講座は存在していません。学部・学科の専門分野の教育課程の中で、当然身に付くものとして組み込まれているからです。

それに対してリベアルアーツは1つの学問であり、最低限の知識や基礎知識ではなく「教養」という知識をよりスキル化するのが目的です。例えば、アメリカの大学システムでは、入学した学生は大学2年で専門分野である学部選択をします。入学からの1年間はどの専門分野でも共通する思考・思想の基礎として、このリベラルアーツを学ぶのです。

リベラルアーツはどうやって産まれたか。──リベラルアーツの歴史

馴染みのない人にとっては、最近生まれた新しい概念とも感じられるリベラルアーツですが、その歴史・起源は古代ギリシャにまでさかのぼります。

当時、プラトンが説いた「数学的諸学科の自由な学習」がその原型にあたると言われ、リベラルアーツの本質を知る意味でも、その歴史的観点はとても興味深いものです。

プラトンは、当時の技能・技芸であった体育や詩歌や文芸に加えて、哲学的な問答も人が持つべきスキルの1つと考えました。そこでそのスキルを習得するために、「数論」「算術」「幾何学」「天文学」の4つを具体的な学びの題材としました。

このプラトンの考え自体は、単に個人の1つの概念であったものの、古代ギリシャにおける、「自由人」=「非奴隷」という人々の理想的概念とマッチし、この「自由な学習」の概念こそ奴隷から解放される道、つまりは「自由人になるためのスキル」と捉えられたのです。

古代ローマでこれらの題材は整理と統合され、「自由7科目」として正式な定義がなされた後、現代のリベラルアーツへとつながっています。

現代社会において、リベラルアーツの考えが求められる理由(わけ)

ではこのリベラルアーツが、現代社会ではどのように捉えられ、どんな点が必要とされているのでしょうか?

企業の経営者、管理職を対象にした「成果をあげる上で、リベラルアーツが必要かどうか」という主旨のアンケートでは、「少なからずその必要性を感じている」という人が約80%もいるという結果がでています。

既に日本企業においても、リベラルアーツの関心・ニーズは非常に高いと言えます。ここではさらに踏み込んで、なぜ関心が高いのか?その理由を説明していきます。

変化が激しい現代社会においては、既存の固定観念にとらわれない新しい考えが重要

我々が「判断」を求められるとき、「情報」を頼りにしてその判断をします。情報は常識やルール、もしくは法律といった形で使いやすく整理され我々の判断を促しますが、あくまでそれは使いやすくパッケージ化したものに過ぎません。

特定の範囲のみ有効な道具であるー、という認識が不十分な場合、それは「固定観念」=「思考・思想の不自由化」という弊害を生んでしまいます。そして、情報化・グローバル化された現代は、この各々が持つ固定観念のギャップが生まれやすい時代になったともいえます。

そしてそんな現代において、自身や企業が成長しようとしたとき、その固定観念が間違いなく足かせになります。ますます広がる世界を相手にしようとしたとき、思考・思想が制限されていてはその広がりに着いていけないからです。

今まで生きてきた環境がある以上、固定観念が我々にはある事実は変えられません。むしろ、それを自覚した上で、その固定観念を解放するための新しい考え方、そのための情報・知識を獲得することが求められているのです。

人々の価値観の多様性が進む中、柔軟なコミュニケーションと「新しいものの見方」が求められる

情報化・グローバル化による「人」への影響はとても顕著です。海外進出における外国人との交流機会の増加、同じ日本人でも「ゆとり世代」「デジタル・ネイティブ」など、世代間の価値観の違いを多くの方が実感していることでしょう。

海外にはあまり興味がない、自分の会社はまだまだ海外とは無縁、と思った方も要注意です。一緒に働く同僚や部下など、コミュニケーションの相手の価値観が変化していれば間接的であれ同じことです。

例えば、最近は「ハラスメント」という言葉で、様々なことが警告・禁止されているのを皆さんも実感していると思います。コミュニケーションとして良かれと思っていたことが、実は良くない側面がある。

人によっては「こんなことまで!?」と思うかもしれませんが、まさにそれが固定観念のギャップを認識した瞬間とも言えます。

これから、ますますこのギャップに直面することになるはずです。そして、それをきちんと受け止め、対応する柔軟な思考をもつためにも、我々は今まで以上に「新しいものの見方」を受け入れる準備をしなければならないのです。

変革を推し進めていくリーダーは、自ずとリベラルアーツが求められる

人とのコミュニケーションという点では、どちらかというと相手の価値観を受け止める受け身の姿勢が求められますが、自身や企業の成長という点では、受け身ではなく自らギャップを作り出していく姿勢が求められます。

現代のビジネスにおいて、この2つの認識の違いはとても重要です。なぜなら前者の「変化に機敏・柔軟に対応する」という一見成長に必要なスタイルは、20世紀の古いマーケティング・スタイルです。もはや現代企業なら当たり前に持つべきものであり、成長の条件にはなりません。

今の企業が成長のために掲げる「変革」や「イノベーション」といったフレーズは、後者の姿勢で実現するものです。つまり、今の企業には「新しいものの見方」を自ら発想して具現化させていく能力が求められているのです。

「自身の固定観念に自ら気づき、その観念をアップデートさせるための発想や能力」

この考え方はまさに、思考・思想を自由化するというリベラルアーツが追求する概念そのものです。変革を必要とする企業やそのリーダーは、図らずもリベラルアーツという学問に行きつくのです。

リベラルアーツの学習方法

日本の教育制度を経た多くのビジネスマンは、学生時代にリベラルアーツを学ぶ機会がなかったため、どうしても仕事をしながら学んでいくほかありません。しかし悲観する必要はありません。

リベラルアーツは知識ではなくスキルであるため、仕事という実践の場があることで、効果的に習得できるメリットもあります。

そこでここでは、ビジネスパーソンにとってリベラルアーツをより効果的に学ぶ方法について、これだけは抑えてほしい2つのポイントを紹介します。

リベラルアーツはどうやって学ぶ?

正確な情報を持つ → 自分なりの規準を持つ

リベラルアーツを学ぶ上での鉄則は、このステップを守ることです。

最初にやるべき「正確な情報」とは、物事の本質、事実、現象、状態、経過、成り立ち、もしくはその物事に言及されている情報を指します

より正確で多くの情報を持つことで、高い精度でその物事の様子や本質を把握できるようにします。仮にこの作業を怠ってしまうと、次のステップにある「自分の規準作り」でミスリードを起こしやすくなりますので要注意です。

情報が整ったら段階で「自分なりの規準」を発想に進みます。発想の方法は2つ。1つは、もしその情報について既に何か固定観念があれば、情報と向き合うながらギャップを認識できます。そのギャップをきっかけに新しい観念を規準として加えていくのです。

2つめは「その情報が他の情報と共通点がないか?」「情報の背景や原因は何か?」と、自分なりに仮説・検証します。もちろん、1つの物事に仮説は複数あってもかまいません。それらを新たな規準としてストックしていくイメージです。

#1 「正確な情報を持つ」──自分が強い関心を持てる分野から、知識を吸収していく

リベラルアーツの題材は、歴史で紹介をした「自由7科目」に由来するように、多くの分野がその対象です。時間が限られているビジネスマンにとって、効率的に学ぶ方法は、やはり自分の関心を持てる分野に特化するがポイントといえます。

社会人になってからリベラルアーツを学んだ経営者、管理職へのアンケートによると、「歴史」「経済学」が仕事で役に立ったという方が約7割、一方で「文学」「政治学」が役に立たなかったというデータが報告されています

また、学んだリベラルアーツが役に立つためのカギとして「学ぶコンテンツの質」「必要性や意義」「学ぶこと自体を楽しめること」が上位に挙げられています。

仕事と関連する「経済学」や、物語性もあり楽しめるという「歴史」が支持されるのも妥当な結果と言えます。もちろんご自身の趣味が「文学」や「天文学」があれば、そこに絞ってみるのも良いでしょう。

スキルとしてのリベラルーアーツは、必要な時に参考にする知識ではなく、使いこなせて意味があるものです。適切な情報と継続が学びのポイントと心得て、特定分野にフォーカスした学習をしていきましょう。

#2 「自分なりの規準を持つ」

自分の興味ある分野について正確な情報を集めた後に、自分なりの規準作りを行っていきます。集めた情報の精度が高ければ高いほど、規準を作るアイデアも増え、より実用的な規準を得ることができます。

例えば、最初は情報を集めるのと同時にこんな考え方もあるのかと、どんどん自身の概念とのギャップに気づき、新しい考え方を知ることが出来ます。まずそれらをストックしていくことで、「柔軟な思考」が獲得できます。

次の段階として、情報と向き合いながら、自身の仕事や生活の判断に使っていくための規準作りのアイデアを出していきます。発想のアイデアは横軸と縦軸の意識です。

横軸は仕事を含めて他の分野との共通点や、類似点を探索すること。
縦軸はその事象の背景や原因について、仮説・検証をするイメージです。

この探索と仮説・検証の反復によって、例え1つの分野だけでも、非常に多様なものの見方を身につけること可能になります。いずれも「正解」はありません。

あくまで「自分がこれは正解かもしれないな」と思える仮説を見つける、その感覚と過程がポイントです。

優秀なビジネスマンは「リベラルアーツ」の使いこなしが上手い(事例)

リベラルアーツが、現代の企業が求める「変革」「イノベーション」のための要素と一致している、と説明をしました。特に組織を束ねる管理職の方は、それを押し進め、判断する立場である以上、リベラルアーツを使いこなせれば、より有効なマネジメントやリーダーシップを発揮できます。

最後に、そんなリベラルアーツを使いこなしていた私のかつての上司の事例を紹介します。

秀逸なリベラルアーツ探求を行っているAさんの事例

私の海外勤務時代の上司で、とにかく既存の仕組みやルールに問いを立てるマネージャがいました。そのマネージャは、長く日本の部署を離れて各国の海外工場に長く務めていた方です。

国が変わるたびに、文化や法律、従業員の習慣や仕事への考え方などのギャップに苦労した経験したのきっかけに、リベラルアーツを学んだそうです。

彼はその国の定める法律でさえ、彼なりに効率や道徳的に納得がいかないと思えば、その背景や理由を調べるほどでした。誰よりも思考を潜らせる地点が非常に深いという印象で、例えば、我々がある提案をしたときに「これはこういうルールなので」という発言には、厳しい質問が飛ぶことが多かったです。

「まさかそんなことまで!?」と我々が常識と括ってしまっていることすら突っ込んで聞いてくることが多く、実は慣れるまでは非常に苦労はあったものの、結果的にはそのマネージャが進めた組織・業務の整理で、当時、乱立してた会議や書類は見事に一本化されて、大幅な業務効率を達成しました。

我々は法律や社内ルールと聞いた途端に、仕方がないと諦めてしまいますが、そのマネージャ曰く、

マネージャ

そういうルールこそ我々を不自由にしてる要素なのだから、逆にチャンスだと思った方が良い。もちろん大変だけど、所詮過去の人が作ったものなのだから、その時の背景や作った理由を知れば、アップデートも十分できるはず。

実行そのものはある程度の立場でないと難しいですが、その縛られない思考と、深く情報にアクセスしながら突破口を見つけていく視点は、まさにリベラルアーツ的な思考として参考になるものです。

普遍性を知ることで思考は自由になれる

リベラルアーツの興味深いの点は、古代ローマであれ、21世紀の現代であれ、時代がどんなに変化しても自由を獲得するための題材は同じであることです。それは、この学問が普遍的な学びを元にしているからに他なりません。

そして、このスキルが今も学ばれ続けている事実は、同時に、時代を超越して必要されていることも示しています。情報化やグローバル化ぐらいの変化は、きっと容易いことなのかもしれません。

ぜひリベラルアーツという素晴らしいスキルを身につけて、「自由な思考」の醍醐味を味わってみて下さい。

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この記事を書いた人

清水みちよ

大学時代から好きだった「旅行」を仕事にするため、卒業後は大手旅行会社の添乗員として世界中を飛び回る。海外での感染症で生死を彷徨い、何よりも自分の身の大切さを知る。その後別の旅行会社の内勤業務に携わり、現在に至る。

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