現代に求められる「変革型リーダーシップ」とは? 特徴、メリット・デメリットについてご紹介

[最終更新日]2021/04/13

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変革型リーダーシップとは?

皆さんは「リーダーシップ」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。

  • 組織内の規則やルールに則ってチームをマネジメントする
  • 自部署のスケジュール管理や人員の調整を行う
  • 上役と部下の間に立って調整役を担う

上記のようなリーダー像を真っ先にイメージするようなら、もしかしたらリーダーシップの捉え方がやや古くなっているかもしれません。
リーダー像やリーダーシップは時代とともに変化します。ひと昔前と現在では求められるリーダーの資質も大きく変わっていますので、かつて上司だった人を管理職としての目標にしている人は注意が必要です。

今回は、現代社会において注目されている「変革型リーダーシップ」について解説します。これからの時代に求められるリーダー像やリーダーシップのあり方を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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Index

目次

変革型リーダーシップとは? 日本でも注目が高まる理由

はじめに、そもそも「変革型リーダーシップ」とは何かを確認しておきましょう。

近年、ビジネスを取り巻く社会・経済の状況は急激な変化の時期を迎えています。
古くから続く大手企業が早期退職希望者を募ったり、有名企業が注力していた事業を海外企業へ売却したりする例は枚挙に暇がありません。

高度経済成長期に代表される経済が安定的に成長していた時代には、リーダーの役割は組織内の調和を維持し、内部調整を行うことにありました。
しかし、現代では市場が円熟期を迎え、消費者のニーズも細分化・多様化の一途をたどっています。従来は通用していたビジネスの手法を維持するだけでは、安定的な成長を保つのが難しくなっているのです。

企業自らが変わり、前例に囚われない変革を続けることが求められる時代において、組織内で注目されているのが変革型リーダーシップなのです。




「リーダーシップ」と「マネジメント」の違い

管理職は「マネージャー」とも呼ばれるように、マネジメントの役割を担うポジションとされています。ところが、変革型リーダーシップで求められる資質はマネジメントとは方向性が異なる場合があります。

そのため、リーダーシップとマネジメントの違いを明確にしておくことは変革型リーダーシップについて考える上で非常に重要です。
まずは下の図にある「リーダーシップとマネジメント それぞれの役割」を見てみましょう。

リーダーシップとマネジメント それぞれの役割リーダーシップ・革新/挑戦/創造・戦略事業的・方向を提示する・正しいことをやる・組織を創る・変革する・表現する。マネジメント・管理/調整/統制・業務処理的・方向を命ずる・正しい方法でやる・組織を統括する・抑制する・従事を促す。リーダーシップは特定の階層・役職で必要なスキルではなく、全ての階層で必要とされるスキル

マネジメントとは、組織で掲げられた目標を達成すべく、そのための手段を計画したり管理したりすることを指します。綿密な計画性や調整能力が求められるのがマネジメントの特徴といえます。

一方、リーダーシップとはメンバーの方向性を定め、一つの方向へと導くことを指します。
メンバーひとり一人のモチベーションを高める方法をリーダーが自発的に考え、実行に移すよう促してこそリーダーシップが発揮されたといえるのです。




変革型リーダーシップが必要とされているワケ

リーダーシップイメージ

変革型リーダーシップは、なぜ現代において必要とされているのでしょうか。

有力な理由の1つに、経営が窮地に陥っている企業が増えつつあることが挙げられます。
主力事業がかつてないほど伸び悩んだり、市場全体に衰退傾向が見られたりする業界は決して少なくありません。
従来は通用してきたビジネスの手法やノウハウに固執していては、今後の成長が見込めない可能性が高い企業・業界が増えているのです。

このような状況においては、企業は古いやり方や体質を抜本的に見直し、自らを変革させていく必要に迫られます。先入観や過去の成功体験に囚われることなく、組織に変革を促すリーダーが求められているのです。

こうした背景から、従来の調整型マネジメントではなく、変革型リーダーシップを発揮できる人材が必要とされていると考えられます。

変革型リーダーシップのメリット・デメリット

変革型リーダーシップが従来のリーダーシップの在り方と大きく異なっていることが理解できたでしょうか。

今後ますます必要とされていくと予想される変革型リーダーシップを身につけることで、ビジネスパーソンとして次のステージへとステップアップできることは間違いないでしょう。

一方で、変革型リーダーシップにはデメリットともいえる側面があることを理解しておく必要があります。変革型リーダーシップのメリットとデメリットについて整理しておきましょう。




変革型リーダーシップのメリット

企業経営のピンチを救う原動力になる早期に小さな成功を収めることがある共に働く社員のモチベーションアップにつながる

企業経営のピンチを救う原動力になる

衰退期に入り始めている組織や売上が伸び悩んでいる企業にとって、過去の成功体験は捨てがたいものです。自分たちがやってきたことへの誇りやプライドがあるだけに、これまでのやり方を捨てて新たなビジネスモデルへと変革していくのは勇気がいるでしょう。

変革型リーダーシップを発揮する人材が現れることで、先入観に囚われることなく組織の古い体質を抜本的に変えていくきっかけを作ることができます。
変革型リーダーシップは、企業経営のピンチを救う原動力になり得るのです。



早期に小さな成功を収めることがある

変革型リーダーが提唱するアイデアや意見は、業界の常識や先例の範疇を超えるようなものであるケースが多いです。

これまで誰も着手してこなかった領域や、ビジネスチャンスに乏しいと思われてきた分野の先駆者となれば、早い段階で成功の萌芽を見出せることもあるでしょう。
短期間で一定以上の成功を収めることで企業としての自信につながり、さらに変革が促されるという好循環を生み出すことも期待できます。



共に働く社員のモチベーションアップにつながる

従来はなかったビジョンを掲げ、大きな目標に向かって邁進していく変革型リーダーは、共に働く社員に刺激を与え、モチベーションを高める波及効果をもたらします。
代わり映えしないルーティンワークに飽き始めていた社員や、事業の将来性に内心不安を感じていた社員ほど、従来の慣習や先例に囚われない変革型リーダーシップを歓迎するでしょう。




変革型リーダーシップのデメリット

ビジョンで人を動かすのは容易ではない変革に対する抵抗が予想される社員がリーダーに依存する可能性がある

ビジョンで人を動かすのは容易でない

変革型リーダーシップは、良くも悪くも「強烈」な印象を与えます。
掲げたビジョンの理想が高ければ高いほど現状とのギャップは大きくなるはずですので、はじめは多くの人から共感されなかったり、ときに反発を受けることもあるでしょう。

人は成功する保証のないものに本能的な恐怖心を感じます。変革型リーダーシップを発揮して声高にビジョンを訴えかけても、変革に向けて具体的な行動を促すには至らないことも考えられます。ビジョンだけで人を動かすのは容易ではないため、理解と共感を求める姿勢も必要になります。



変革に対する抵抗が予想される

変革にはリスクがつきものです。慣れ親しんだ仕事のやり方や考え方を変えることを迫られ、しかも必ずしも成功できるとは限らないのですから、「これまで通りのほうが無難だ」「今までやってきたことを否定するのか」といった抵抗にあう可能性は十分にあります。

少なくとも、大半の従業員にとって変革は「寝耳に水」のはずです。現場を理解していないリーダーと見なされ、社員から反発されるリスクがあることは理解しておきましょう。



社員がリーダーに依存する可能性がある

変革型リーダーシップを発揮するには多大なエネルギーが求められます。ビジョンを掲げ、理想に向かって行動を促していくわけですから、相当な影響力がなければ人を動かすことはできません。

組織に強力なリーダーが現れると、リーダーの判断や方針に依存する人が一定数現れます。「示された方針通りに動けばいい」といった受動的な姿勢で仕事をする人が増えると、結果的に組織全体の力が落ちてしまいます。強力なリーダーシップとリーダーへの依存は紙一重なのです。

変革型リーダーに必要な4つの要素とは?

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変革型リーダーは企業の変化を促す原動力となる反面、周囲の反発を招く可能性があるなど、デメリットと捉えられる面もあることについて解説してきました。変革型リーダーシップのメリットを最大限に活用しつつ、デメリットを極力抑えるにはどうすればいいのでしょうか。

米国のリーダーシップ研究者として知られるBernard Morris Bassは、変革型リーダーには4つの要素が必要と説いています。求められる要素を把握しておくことで、より効果的に変革型リーダーシップを発揮することができるはずです。

変革型リーダーに求められる要素は、次の4つとされています。

4つの要素 概要
理想化による影響 カリスマ性。部下のモデルとなり、ビジョンの提供を行う。
モチベーションの鼓舞 目標・ビジョンを共有し、部下のモチベーションを上げる。
知的刺激 部下の問題解決力、思考力、想像力などを高める。
個別の配慮 個々の部下に向けコーチ、アドバイスを行う。

理想化による影響

リーダー自身の能力や組織への確固たる忠誠心、目標達成に向けて断固として突き進む姿勢など、強力なリーダーシップは部下の信頼と賞賛の対象となり得ます。いわゆる「リーダーとしてのカリスマ性」にあたる要素と考えていいでしょう。

強い目的意識に突き動かされているリーダーの姿に部下は触発され、部下にとって理想的なモデルとなっていきます。組織のビジョンや使命を共有し浸透させていく上で、リーダーの「強さ」は間違いなく求められる要素の1つといえます。



モチベーションの鼓舞

目標や理想像を「上から降ってきたもの」と部下が捉えているうちは、「必ず達成する」という強い動機にはなり得ません。
部下が担当する仕事1つ1つの意味を明確に示し、役割の重要性を十分に理解してもらう必要があります。

目標達成に向けた強い動機づけができて初めて、チームや組織全体が同じ方向に向かって進むことができるのです。

部下が自身の役割を「自分事」として捉えるには、部下のモチベーションを鼓舞して高めておくことは必須のプロセスとなるでしょう。



知的刺激

部下が自らの頭で解決策を考え抜き、理解力・思考力・想像力をフル活用して仕事に取り組むには、部下自身が仕事に対して信念や価値を強く感じている必要があります。

「リーダーに求められる水準の仕事ができた」といったレベルで満足するのではなく、既存のやり方や前提そのものに疑いの目を向け、より本質的な方法を創出できるようにすることが大切です。

誤りを恐れず、目の前にある課題を多角的な視点で捉える部下を育てるには、リーダーが周囲に知的刺激を提供し、創造的な仕事へと導くことが求められます。



個別の配慮

ノルマや必達目標といった威圧的な課題の与え方をするのではなく、部下にとってのメンターやコーチ、あるいは支援者としての振る舞いをすることが変革型リーダーには求められます。

一方的に指示を与えず、双方向のコミュニケーションや機動的なフットワークによって、部下を全力でサポートしていると伝えることが重要です。

そのためには、課題解決に向けて取り組むプロセスを部下自身が成長機会と捉えることができるよう、教育的意図をもって課題を設定していると明確に伝える必要があるでしょう

実際に変革型リーダーシップを導入した企業事例

続いて、変革型リーダーシップによって危機を脱してきた企業の事例を見ていきましょう。

変革型リーダーシップの大きな特徴として、「後から考えると正しい選択だった」と分かる点が挙げられます。ただし、その道のりは決して平坦なものではなく、組織を変革する過程において多大な困難に直面してきたことが事例から読み取れるはずです。

かつて経営危機に陥りながらも見事なV字回復を成し遂げた2社の事例から、変革型リーダーが担う役割をぜひ感じ取ってください。




事実上倒産したJALを見事再生させた、稲森和夫氏の「アメーバ経営」

JAL

日本航空(以下JAL)が事実上倒産したことは、多くの人が鮮明に記憶しているはずです。

2010年1月に会社更生法の適用を申請したJALは、当時2兆3,000億円もの巨額の負債を抱えていました。政府からの要請を受け、JALの新会長に就任したのが京セラ創業者の稲森和夫氏でした。

稲森氏は破綻時のJAL経営陣を「八百屋も経営できない」と一刀両断し、それまでの経営体制を痛烈に批判しました。

会社の収益に責任を持とうとしない組織体質の根幹に官僚主義が根強く残っていると見定めた稲森氏は、権限を現場に近い部署へと大胆に委譲し、同時に現場レベルで売上および収益に対して責任を負う体制に変革したのです。

細分化された小集団ごとの独立採算とすることで、全社員が経営に参加しているとの認識を持たせる「アメーバ経営」の手法です。

この大規模な変革を経て、全社員が時間あたりに生み出す付加価値や創意工夫を凝らした仕事の進め方を強く意識するようになり、翌期には営業利益1,884億円を達成。
事実上の倒産からわずか2年後の2012年9月には再上場を果たし、JALは他に類を見ないV字回復を達成します。

稲森氏が京セラで培った手法を応用したアメーバ経営。組織の深部に根づく体質や文化に鋭く切り込み、既存の経営幹部から強烈な反発を受けながらも信念を貫いた事例といえるでしょう。




日産自動車の超V字回復を実現した、カルロス・ゴーン

NISSAN

会社法違反の罪で起訴され、レバノンへ逃れたカルロス・ゴーン氏
近年さまざまなメディアが批判的な取り上げ方をしていますが、ゴーン氏がCEOに就任した当時、日産自動車は2兆円もの有利子負債を抱えており、倒産までまさに秒読み段階でした。
ゴーン氏の就任後、稀有な「超V字回復」を達成した事実を軽視するべきではないでしょう。

ゴーン氏が日産に就任してすぐに発表したのが「日産リバイバルプラン」でした。
向こう3年間で20%のコストカットや徹底した生産効率の最適化を目標に掲げたゴーン氏は、工場5拠点の閉鎖、2.1万人もの人員削減、部品調達先の50%削減、有利子負債0.7兆円削減、のちに史上初の販売40万台を達成した電気自動車「リーフ」をはじめとする新商品の市場投入を断行します

その徹底ぶりは終身雇用を前提とした経営体制を自明のものと捉えていた多くの日本企業に並々ならぬ影響をもたらしました。

ゴーン氏の経営手法はコストカットの側面が注目されがちですが、現場を重視する経営者の顔も持ちあわせていました。

下請け企業を整理するにあたり、現場の社員との対話を重視していたのです。トップとの対話を通じて経営方針が決定されていくプロセスを目の当たりにした社員は、経営に対して当事者意識を持ち、自身も経営に参加していると強く認識したことでしょう。

変革型リーダーの代表格として語られることの多いゴーン氏ですが、その眼差しは常に「現場」へと向けられていたのです。

まとめ)変革型リーダーを目指して自分自身を「変革」していこう

リーダーイメージ

変化の激しい現代において、変革型リーダーの存在が待ち望まれていることは間違いありません。
その反面、従来の仕事のやり方を否定せざるを得ない場面も多い変革型リーダーの存在は、既存の従業員・経営陣から強烈な反発を招くリスクも内包しています。

長く続いてきた慣習や慣れ親しんだ仕事の進め方に疑問を呈するのは、非常に勇気のいることです。
確固たる信念と明確なビジョン、そして自らの思いを訴えかけるプレゼンテーション能力が求められる変革型リーダーになるのは決して容易なことではないでしょう。

もしご自身が所属する組織において、売上の伸び悩みや停滞の予兆を感じ取っているのであれば、自らが変革型リーダーとなって組織を変えていく覚悟を持つことも必要になる可能性があります。

日々業務に取り組む中で「当たり前」を疑う視点を持ち、変革型リーダーを目指して自分自身を「変革」していく思考を持つことは、これからのビジネスパーソンに求められる資質の1つといえるのではないでしょうか。




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