コロナ禍で業績を伸ばした業種・企業の事例から学べること

[最終更新日]2020/12/15

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コロナ禍で業績を伸ばした企業から学べること

まだまだ予断を許さない状況が続いているコロナ禍
内閣府が公表した2020年7月から9月のGDPは実質年率マイナス28.8%と記録的な落ち込みとなり、感染症による経済への打撃がいかに深刻なものかが分かります。

人々のライフスタイルが大きく変化し、飲食店をはじめとする多くの業界にとって非常に厳しい状況が続いているのは言うまでもありません。

こうした状況下において、業績を大きく伸ばしている業界・企業も存在します。
コロナ禍において業績を伸ばしている企業とその理由について、今回は事例をもとに考えていきます。

大きく様変わりする社会においてもビジネスの新たな萌芽を見過ごすことなく、チャンスを見いだしていくきっかけにしていきましょう。

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Index

目次

コロナ禍で業績好調な企業に共通するキーワードとは?

コロナ禍に伴う外出自粛、ライフスタイルの変化、ニューノーマル——。
私たちの暮らしはコロナウイルスの影響を受けて確実に変わりつつあります。

こうした状況下において従前よりも業績を伸ばし、好調な経営を続けている企業はなぜ好調なのでしょうか。具体的な事例を紹介する前に、こうした企業に共通するキーワードについて整理しておきます。




キーワード➀「巣ごもり需要」

ステイホームイメージ

諸外国においては市民の外出を禁ずる「ロックダウン」が実行され、無許可での外出には罰則が設けられるなど厳しい措置が取られたケースも見られました。

日本においては外出の「自粛」を呼びかけるに留まっていますが、それでも日常的な外出や大人数での集まりなどの機会が激減したことは明らかです。

こうした状況下において、人々が自宅で過ごす時間が長くなり、食事や娯楽を室内で楽しむ「巣ごもり需要」が増加しました。

単に外出できない時間を自宅で過ごす時間に組み入れただけでなく、外出できないことによるストレスを発散するという意味においても、巣ごもり需要は急伸したと見ることができるでしょう。

食や娯楽など、従来は外出することで得られていた機会を別の方法で代替しなくてはならなくなったとき、新たな需要が生まれます。コロナ禍で業績好調な企業の中には、巣ごもり需要にマッチしたサービスや商品を提供している企業が少なくありません。




キーワード②「ニューノーマル」

ソーシャルディスタンスイメージ

ソーシャルディスタンスやリモートワークといった、コロナ禍をきっかけとして定着しつつある新たな生活様式は「ニューノーマル(新常態)」と呼ばれます。

マスクや消毒用アルコールの需要増といった動きだけでなく、マスクを常に身につけていることで女性のメイクに変化が表れるなど、生活様式の変化に伴い派生して起きている変化もあります。

ニューノーマルを考える上で重要な点の1つに、これまで常識とされていたこと、当然と思われていたことが突如として大きく変化したことが挙げられます。

失われた「当たり前」が事業の屋台骨だった業界・企業が厳しい状況に追い込まれる一方で、ニューノーマルの流れに乗った業界・企業は大きく売上を伸ばしています。




キーワード③「つながり」

人とのつながりイメージ

コロナ禍によって人と人との接触が物理的に希薄なものとなり、コミュニケーションの重要性が改めて見直されるようになりました。

フルリモートでの就業が常態化した企業において、従業員が対面でコミュニケーションを図ることの価値が相対的に高まっているように、私たちは人とのつながりを断って生きていくことができないのだと、奇しくも気づかされる機会となっているのです

物理的に断ち切られてしまったつながりを再生させるには、新たな工夫や仕組みが必要になることがあります。
たとえコミュニケーションのあり方が変化しようとも、人と人とのつながりが重要である事実から目を逸らさず、別の新たな方法でつながりを構築しようとする企業の試みが功を奏したケースが見られるのです。

巣ごもり需要でゲーム販売数が急伸した任天堂

任天堂本社ビル

https://www.nintendo.co.jp/corporate/index.html

コロナ禍そのものが不幸なできごとであることには間違いありませんが、従来から起きていた小さな変化の予兆を具体的なものへと顕在化させ、変化のスピードを加速させていると指摘されることがあります。

もともと存在していた商品やサービスが新たな形でいっそう必要とされ、消費が伸びるという傾向がコロナ禍で業績を伸ばした企業に見られます。「あつ森」が2020年の流行語大賞にランクインしたことが話題になったように、ゲーム販売数の急伸はまさしく「巣ごもり需要」が顕在化した好例と言えるでしょう。




「あつまれ どうぶつの森」が市場にもたらしたインパクト

任天堂が発表した2020年4〜6月期の売上高は3,581億円で、前年同期比で2倍となりました。「あつまれ どうぶつの森」の売上本数は発売後3ヶ月半で実に2,240万本と、同社のゲームタイトルの中でもトップレベルの大ヒットとなっています。

ソフトの売上増がハードウェアの出荷を牽引し、任天堂の営業利益は前年同期比でおよそ5倍もの急伸を記録しています。巣ごもり需要によって業績が急伸し、市場に大きなインパクトをもたらした代表的な例と言えます。

「あつまれ どうぶつの森」とは?

架空の世界でゲームの中の住人となり、気ままに暮らすゲーム。

「敵と闘う」「ボスを倒す」などのミッションはなく、他の住人と会話をする・買い物をする・手紙を書くなど、現実世界さながらの暮らし方ができるのが特徴。ゲーム内には現実世界と同じように時間や季節が存在しており、まるで「第二の現実」を生きているかのような感覚を味わうことができる。




なぜゲーム販売数がこれほど伸びたのか?

任天堂Switchイメージ

「あつまれ どうぶつの森」は、いわゆるコミュニケーションゲームと呼ばれるジャンルのゲームです。

プレイヤー同士で協力したりコミュニケーションを図ったりすることができることから、現実世界ではめったに会って話せない人や距離が離れている人とも気軽に接点を持つことができます。ゲームという形を取っているものの、SNSとの親和性が高く、類似点も多いエンターテイメントとして注目されているのです。

実際、「あつ森」が大ヒットした理由として、TwitterやInstagramといったSNSとの連携機能によって、ゲームの世界観が拡散され続けている点が指摘されることがあります。

現実世界で「直接会ってのんびり話したい」「気心の知れた仲間と集まって楽しく過ごしたい」といった欲求をオンラインで満たすためのツールとして「あつ森」が機能し、消費者の心を捉えたと考えられます。




任天堂の事例から学べること

「どうぶつの森」シリーズはコロナ禍以前から人気があったゲームでしたが、コロナ禍をきっかけとしていっそう人気に弾みがついた事例と言えるでしょう。

ここで注目すべきことは「あつ森」の人気が一過性のものではなく、コロナ禍よりも前からあった「人と関わりを持ち続けたい」という欲求の一部を満たすツールとして、人の心の奥深くに訴えるものがあったという点です。

ゲーム内の仮想世界で暮らすというコンセプトそのものは浮世離れしたもののように思えるかもしれませんが、プレイヤーはゲームで遊びながらも、デジタルで構成された仮想世界の先に現実世界の手応えを感じ取っているのです。

ヒットする製品やサービスを狙って創るのは容易ではありませんが、ヒットする背景にはこうした普遍的な欲求を受け止める「何か」があるという点において、任天堂「あつまれ どうぶつの森」は非常に参考になる事例と言えます。

ニューノーマルのワークスタイルを後押ししたChatwork

Chatworkオフィス

https://corp.chatwork.com/ja/?click=footer-navi

2つめのキーワード「ニューノーマル」の流れを捉えて業績を伸ばした事例として、リモートワークへのシフトにより需要が急伸したChatworkを取り上げます。

オフィスに出社して就業するのが常識だったコロナ前の世界から、働く場所にとらわれない新たなワークスタイルが急ピッチで認知されることとなりました。こうした状況下で必然的に挙がってきたのが、いかにコミュニケーションを円滑に図るかという課題でした。




リモートワークへのシフトで多数の企業から支持を得た

コロナ禍以前からも、仕事を進める中でのコミュニケーションコストの問題はしばしば指摘されていました。

電話からEメール、Eメールからチャットツールという流れは、PCからスマホへのシフトとともに多くの人が感じていた課題だったことは間違いないでしょう。

緊急事態宣言が発動されたことにより、それまでごく普通に行われてきたオフィスに出社するワークスタイルを見直す必要に迫られることとなりました。従前はオフィスで対面にて行われてきた打ち合わせや会議、日常的なちょっとした相談事を物理的に離れた状態で行わなくてはならなくなったのです。

Chatworkはこうした状況下で多くの企業から支持を得たことにより、業績を大きく伸ばしました。2020年5月以降の新規ID登録数は前年比36.5%増、課金ID純増数は前年比61.9%増、株価についても3月から10月にかけて約2倍に躍進しています。




なぜChatworkはこれほど伸びたのか?

チャットイメージ

コロナ禍におけるリモートシフトで伸びたツールと言えば、Zoomを連想する人も多いはずです。Zoomをはじめとするビデオ通話は対話をする人同士が同じタイミングでログインする同期型ツールです。

これに対してChatworkなどテキストベースによるチャットは非同期型ツールであり、ユーザーは各自が都合のよいタイミングでメッセージを確認・送信できるという特徴があります。

同期型・非同期型にはそれぞれのメリットがありますが、ビジネスシーンでのコミュニケーションは必ずしも常に同期型でなくてもよいことに気づいたユーザーが多数現れ、このことがChatworkの躍進を支えたと想像できます。

チャットツールにはSlackやLINEなど、Chatwork以外にも複数存在します。
その中でもChatworkを選んだ企業が多かったのは、Slackほど多機能でプロフェッショナル向けではなく、LINEのようにプライベート用途のイメージが定着していなかったといった要因がありそうです。

この絶妙なポジションを獲得することに成功した結果、Chatworkは大きく業績を伸ばすことができたと考えられます。




Chatworkの事例から学べること

Chatworkの特徴の1つとして、「既読」表示が存在しないことが挙げられます。
メッセージを送った相手がいつ開封して読んだのか、あえて明示しない仕様になっているのです。

Zoomのような同期型ツールやLINEのような既読機能が周知されているツールに対抗するには、既読表示は必須のもののように思えます。

しかし、「相手がどのタイミングでメッセージを確認するかは、その人の都合による」という非同期型の特徴を前面に押し出すことでコミュニケーションコストを下げ、ストレスの少ない対話を実現することに成功していると考えられます。

ユーザーにとって便利な製品やサービスを考案しようとするとき、実装する機能は多ければ多いほど良いと考えがちです。

ただ、あまりに多機能であることがかえってユーザー体験を低下させてしまうこともあり得ます。「足し算」ではなく「引き算」によってユーザーに配慮し成功を収めたChatworkは、多くの学びを得られる事例と言えるでしょう。

生産者と消費者の新たなつながりを創出するビビッドガーデン

生産者のこだわりが、正当に評価される世界へ。ビビッドガーデン

https://vivid-garden.co.jp

3つめのキーワード「つながり」を体現することで大きく成長した事例として、スタートアップ企業「ビビッドガーデン」が挙げられます。

2016年11月に創業した同社は、農家から消費者へと農作物を直接届けるC to Cサービス「食べチョク」を運営しています。

2020年4月から6月の2ヶ月間で契約生産者がおよそ2倍、流通学は2月から5月の3ヶ月間で35倍と大きく伸びており、コロナ禍における需要を捉えていることが分かります。




外出自粛による農家の苦境に正面から向き合った「食べチョク」

コロナ禍における外出自粛でダメージを受けたのは、飲食店など対面式のサービスだけではありません。飲食店が苦境に陥れば、レストランなどに食材を提供していた契約農家の方々もまた納入先を失い、生活の糧を失ってしまう恐れがあるのです。

同社は緊急事態宣言下の2020年5月まで、消費者の心理的なハードルを下げることを目的として、ユーザーに野菜を届ける際の送料を一部同社が負担するという思い切った施策に踏み切りました。

短期的には収益を圧迫したものの、「まずはお試しで使ってみよう」と考えるユーザーを増やすことができ、結果的に企業としての大きな躍進へとつなげることに成功しています。

この試みには、消費者の利便性を高めることだけでなく、苦境に陥っている生産者の救済を目指したという側面もあります。

外出自粛という消費者側の捉え方だけでなく、生産者もまた苦境に陥っていることに正面から向き合い、双方の課題を解決することを目指した同社の取り組みが功を奏したと言えるでしょう。

「食べチョク」とは

農家と消費者をつなぐC to Cマーケットプレイス。ユーザーの好みに合わせてオーガニック野菜を定期的に送られ、生産者は中間業者を経由することなく新鮮な野菜を直接届けることができる。

「顔が見える」生産者から良質な野菜が届くため、食の安全や健康意識の高まりといった消費者のニーズにも応えることができる。




なぜビビッドガーデンはこれほど伸びたのか?

多種の野菜イメージ

農家が地域住民へ農作物を直売すること自体は、昔から行われてきました。

同時に、生産されたプロセスや生産者が誰であるかが可視化された農作物を手にしたいという消費者のニーズがあることも、従前から知られていました。

ビビッドガーデンはテクノロジーによって生産者・消費者双方のニーズをマッチングし、都市部に住む健康意識の高い消費者に新鮮なオーガニック野菜を届けています。

定期便の仕組みを採用することで、生産者にとって継続的・安定的な供給先を確保しやすくなっている点が秀逸です。

同社の代表を務める秋元里奈氏は自身の実家が農業を営んでいた体験から、多くの農家が直面している危機的な状況を解決したいという思いを抱いて起業に至ったとのこと。

社会問題を解決したいという経営者の強い思いに加え、コロナ禍においてその思いを必要とする生産者が増えたことで、同社の試みに共感・賛同する人が成長を後押しする結果を引き寄せたと考えられます。




ビビッドガーデンの事例から学べること

ビビッドガーデン代表の秋元氏は、大学卒業したのちDeNAに就職し、いくつかの事業モデルに携わった経験をお持ちです。

その中でも、農業に関わる事業は決して利益率の高いものではなかったはずです。しかし、自身が生まれ育った環境から肌で感じていた社会的課題を解決したいという思いから、あえて農業を選んで起業するという選択をしたのでしょう。

一連のストーリーには事業に込められた経営者の強い思いが感じられ、ビジネスモデルそのものに共感する人も少なくないと思われます。

同社は生産者を「パートナー」と位置づけ、徹底した生産者ファーストを理念に掲げています。
小規模な生産者であっても、こだわりを持って野菜を育てている方々の努力が正当に評価される世界であって欲しい——。そのような経営者の強い思いが厳しい状況下で人々の心に響き、多くの人の行動を促していくのです。

事業を創っていく上で「誰のために」「なぜやるのか」といった本質の部分こそが問われることに改めて気づかされる事例です。

まとめ)コロナ禍で好調な企業を「幸運」で片付けない視点を持とう

分析する視点イメージ

コロナ禍で業績が悪化する業界・企業が少なくない中、好調な業績を維持している企業や逆に業績を伸ばした企業もあります。

こうした事例を耳にすると、「運が良かったようだ」「偶然うまくいったのでは?」といった捉え方をしてしまいがちですが、好調な業績の背景には必ず理由があるものです。

厳しい状況下だからこそ、「なぜ評価されているのか」「どういった点が消費者に受け入れられたのか?」という視点を持つことが求められます。

成功を「幸運」と結びつけて片付けてしまうことなく、深掘りして考察することで新たな発見が得られる可能性もあるのです。

今回紹介した事例以外にも、コロナ禍で業績を伸ばした業界・企業の情報を得た際には、ぜひその理由や要因を探ってみてください。きっと新たな発見があるはずです。




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