D2Cはなぜ注目されている?ECとの決定的な違いとは?

[最終更新日]2020/09/30

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D2Cはなぜ注目されているのか?

近年、D2C(Direct to Consumer)という言葉をよく耳にするようになりました。

D2Cは端的に言えば「自社開発した商品を自社サイトで直接販売する」ことですが、次のような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。

D2CとBtoCは何が違うの?
なぜいまD2Cが注目されている?
D2Cによって今後何が変わるの?

実は、D2Cは特定の業界に限らず、今後多くの分野でマーケティングに大きな影響を与えていく可能性のある重要な概念です。

そこで今回は、D2Cの基本的な概念や特徴やD2Cが発展している理由、今後のマーケティングに与える可能性のある影響について、事例を交えて解説します。

D2Cへの理解を深めて、ぜひ自社のマーケティング戦略への活用に役立ててください。

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Index

目次

D2Cとは?基本的な概念や特徴

はじめに、D2Cについて基本を確認しておきましょう。

D2Cは企業のマーケティング戦略に大きな影響を与える可能性のあるビジネスモデルと言われていますが、従来のBtoCとの違いやビジネスモデルの新規性が、一見すると分かりづらいのも事実です。

そこで、D2Cの概念について整理し、なぜ革新的なビジネスモデルと言われているのかを理解しておきましょう。




D2Cとはどのような概念か

私たちにとって、オンラインで商品を購入することはもはや日常の一部となっています。Amazonや楽天といったECサービスを利用してショッピングをすることは、すでに当たり前のことになりつつあります。

Amazonや楽天といったECによって商品を販売する場合、商品はECプラットフォームを経由して消費者の元に届けられます。「作り手」「売る仕組み」がそれぞれ独立している仕組みと言えます。

これに対して、D2Cでは作り手と売り手が一致しており、企業は自社チャンネルで消費者に商品を直接届けることができます。

つまり、メーカーと消費者の間に仲介業者を挟むことなく、製造から販売までを一貫して担うのがD2Cのビジネスモデルなのです。



《従来のビジネスモデルとD2Cとの違い》

従来のビジネスモデルとD2Cとの違い

出典:https://roboma.io/blog/marketing/what-is-d2c-what-is-the-difference-between-btob-and-btoc/

上図の通りD2Cモデルは製造から販売までのプロセスが極限までシンプルになっており、デジタルで完結できるのも大きな特徴の1つです。

こうしたD2Cのビジネスモデルは、アパレル業界を中心にさまざまな分野で広まり始めています。




従来のBtoCとどこが違う?

メーカーである企業と消費者の関係を表す言葉として、他にBtoC(Business to Consumer)があります。
D2Cもメーカーと消費者間での直接の取引ですので、両者の違いが分かりづらいと感じている人もいることでしょう。

この違いをシンプルに理解するには、D2CとBtoCは「切り口」が異なる概念であることを知っておく必要があります。

BtoCは企業から消費者へ商品やサービスを届けるモデルのことですから、「誰と誰の間で取引が行われるか」に着目していることが分かります。

これに対して、D2Cは「どのようにして商品が届けられるか」という手法そのものを指しています。
つまり、D2CとBtoCは互いを比較すべきものではなく、それぞれが異なる切り口からビジネスモデルを定義した、全く異なる概念同士なのです。




D2Cはなぜ革新的なビジネスモデルと言われるのか

では、D2Cのビジネスモデルはなぜ革新的な手法として言われているのでしょうか。
その理由として、主に次の3点が挙げられます。

ECがメインの販売チャンネルとなるから商品の種類や在庫を極限まで少数に絞っているからSNSを通じた顧客との対話が重視されるから
  • ECがメインの販売チャネルとなるから
  • 商品の種類や在庫を極限まで少数に絞っているから
  • SNSを通じた顧客との対話が重視されるから


ECがメインの販売チャネルとなるから

D2Cでは基本的に実店舗を持たずに販売します。
仮に実店舗を用意する場合も、店頭での販売は行わず顧客とのコミュニケーションの場として提供されるものに限られます。

この場合、実店舗は「展示場」「見本市」に相当し、販売チャンネルとして活用することはそもそも想定されていないのが特徴です。



商品の種類や在庫を極限まで少数に絞っているから

D2Cでは顧客からの注文に応じて商品を製造・販売することが可能となります。
そのため、顧客からのニーズのある商品に絞った製造や、注文ごとに販売する小ロットでの製造も実現しやすくなります。

たとえばアパレルショップの中にはECサイトで販売を行う企業は従来から数多くありましたが、他社ブランドをはじめ商品点数が充実していることがセールスポイントのセレクトショップになっているサービスがほとんどでした。

これに対して、D2Cではビジネスの立ち上げ当初から商品点数を精選するのが基本となります。



SNSを通じた顧客との対話が重視されるから

D2Cでは不特定多数を対象とした広告宣伝を行わず、SNSでつながりのあるフォロワーからのコメントを商品開発やマーケティング戦略へとスピーディに活用します。

ECサイトにおいて購買データを収集・分析することで商品開発に活用するのではなく、一部のコアなファンの意見や要望を即座に取り入れているのが大きな特徴です。

そのため、SNSにおいては一方的にキャンペーン情報等を流すのではなく、顧客との対話が重視される傾向があります。

D2Cが発展した背景と注目されている理由

D2Cはここ数年で急速に注目されるようになったビジネスモデルですが、「自分たちで作って自分たちで売る」というビジネスそのものは昔から存在しました。
では、なぜ近年になってD2Cが急速に発展し、注目されるようになったのでしょうか。

これにはいくつかの要因が考えられますが、とくに押さえておきたい理由として次の3つが挙げられます。




デジタルガジェットの浸透とオンラインマーケティングの進化

D2Cのビジネスモデルの重要な要素の1つに、顧客との直接的なコミュニケーションがあります。
とくにSNSを通じたコミュニケーションによって、顧客のニーズをいち早く把握するとともに、スピーディに商品企画へと取り入れることができるからです。

こうした動きが可能になったのは、スマートフォンをはじめとするデジタルガジェットの急速な浸透と、それに伴うオンラインマーケティングの進化があったからです。

企業規模の大小を問わず、SNSのユーザーに「刺さる」価値を提供することができれば、コアなファンを増やしていくことが可能になったのです。

さらに、メーカーと顧客という一方通行の関係ではなく、ファンがブランドを育て上げていくコミュニティが形成されるようになりました。ファンはSNS上で商品の口コミを広げていき、広告宣伝費を最小限に抑えられるビジネスモデルが実現可能になりました。




消費者の嗜好が細分化し購買行動が変化しているから

D2Cモデルによるブランド展開は、主にミレニアル世代をターゲットとしているケースが多く見られます。

ミレニアル世代は幼少時代からデジタルガジェットに触れてきており、自分自身の嗜好にフィットするものを求めると言われています。

いわゆる流行りものやブームに影響された購買行動を取るのではなく、自分にとって真に価値を感じられるものしか欲しくないのがミレニアル世代なのです。

こうして細分化が進んだ消費者に対応するには、従来のようなマスを相手とする最大公約数的な企画戦略ではすぐに限界が見えてしまいます。

コアなファンを抱え、ファンの要望にきめ細かく応えられる機動性が求められます。このように急速に変化しつつある消費者の購買行動に対応する新たな戦略として、D2Cは注目されているのです。




企業のビジョンや世界観を直接届けられるから

D2Cモデルでは、商品そのものの価値以上にその背景にあるビジョンや世界観、提案するライフスタイルが重要になります。

「良い商品を作っているメーカーだから好き」なのではなく、「このメーカーが提供している商品だから好き」と思ってもらえるかどうかがカギを握るのです。

このような価値観は、しばしばLTV(Lifetime Value・顧客生涯価値)という言葉で表現されます。
LTVとは、顧客がある企業との関係性の中で支払う金額の合計を指します。

LTVを高めるには、一度の購入・利用でメーカーとの関係性が断ち切られてしまうのではなく、メーカーを特別な存在として認識してもらい、時間の経過とともにさらに関係性を高めていくことができるかどうかが重要になります。

D2Cモデルは企業のビジョンや世界観を直接顧客に届けられるビジネスモデルとして、LTVを高めるという意味においても注目されています。

D2Cがマーケティングに影響を与える進化圧

D2Cモデルが広く認知されるようになるにつれて、マーケティングの手法にも影響を与えるようになると考えられます。

広告の打ち方や集客に関しても、これまでのように不特定多数を相手に告知し、集まった膨大な量の購買データから消費者の動向を分析するという手法から脱却していく可能性があります。

今後、D2Cがマーケティング全般にどのような影響を与え、どういった進化圧をかけていくことになるのか考えてみましょう。




顧客の声をインタラクティブなやりとりから収集可能に

従来、消費者はメーカー側が告知する商品の特徴を元に購入するかどうかを判断していました。

ECが一般的になるにつれて、ユーザーの口コミの重要性が増していることは以前から指摘されていました。Amazonや楽天の商品レビューなどはその典型的な例と言えます。

D2Cにおいては、顧客は商品に関する情報の受け手としてだけでなく、発信する側にもなります。
SNSで顧客がどのような内容の投稿をし、さらに投稿に対するフォロワーがどのように反応しているかによって、商品に改良を加えたり、新商品の企画につながったりすることがめずらしくなくなっていくはずです。

こうした動きが一般的なものとして浸透すれば、出来合いの商品に対して広告を打つ従来のセールス手法は急速に陳腐化していくでしょう。

消費者は、自分自身もメーカーの世界観やストーリーに参加しているという感覚を味わえなければ、積極的にその企業の商品を買おうとはしなくなる可能性があります。



広告モデルの抜本的な変化

Instagramなどではすでにインフルエンサーマーケティングが定着しつつあるように、D2Cモデルは従来の広告モデルを大きく塗り替えていく可能性を秘めています。

作り手が自社商品のことを「優れた特長のある商品です」と伝えていくだけでは、まもなく消費者にメーカーの「声」が届かなくなっていくでしょう。

広告費を投じて不特定多数を相手に広告を打つのではなく、いかにしてインフルエンサーに紹介してもらい、共感するユーザーを増やしていくかが重要になります。

ミレニアル世代はエシカル(倫理的)な企業を好み、「やらせ」やステルスマーケティングにも非常に敏感な人が多いと言われています。
企業は今後、従来型の広告モデルから脱却し、D2Cに最適化した広告の形を考える必要に迫られていくでしょう。




ブランディング戦略の精度がよりいっそう求められる時代へ

D2Cモデルにおける消費者の購買行動は「モノ消費よりコト消費」の傾向があると言われています。

「高級品」「ステータス」といったモノ主体の購買欲ではなく、消費を通じて新たな体験を得たいという消費者が増えているのです。

こうした時代においては商品そのものの価値に加え、その背景にある作り手の思いやストーリーを打ち出していくブランディング戦略が求められます。

「誰に何を届けたいのか」という視点をより明確に持ち、ブランディング戦略の精度を高めていく必要があるでしょう。

D2Cでは仲介業者を経由することなく、メーカーから消費者へダイレクトに商品を届けられるのが大きなメリットです。

一方で、メーカーがどこまで深く、強い信念を持って商品を世に送り出しているかが消費者から見えやすくなっているとも言えるのです。

D2Cモデルの成功事例

最後に、D2Cモデルの成功事例として、3社の取り組みを紹介します。
ここまでで解説してきたD2Cモデルの特徴や、今後マーケティングに与えていくと思われる影響を踏まえて事例を見ていくと、D2Cモデルが持つ可能性の大きさをより実感しやすいはずです。

今後のマーケティングについても予測を立てながら、これらの事例を読み解いていきましょう。




D2Cの先駆者として知られるアイウェアブランドWARBY PARKER

D2Cの先駆者として知られるアイウェアブランドWARBY PARKER

https://www.WARBY PARKER.com

WARBY PARKERはニューヨーク発のアイウェアブランドです。
商品の企画から製造、販売までを自社で一括して担う同社は、仲介業者を通さないことによって高い品質と低価格を両立させたD2Cの先駆者として知られています。

取り扱うメガネの種類を10〜20種類に絞り、サンプルの試着や検眼のみ店舗で行ったのちオンラインで商品を購入する仕組みにすることで、徹底したコストダウンを実現しています。

また、5種類のフレームを5日間無料で試着できるシステムや、プロモーションがユーザーの口コミ主体となっている同社のビジネスモデルは、まさしくD2Cの王道と言えるでしょう。

販売したメガネの仕入れコストに相当する額を非営利団体に寄付し、寄付金は発展途上国でメガネ販売を行うためのトレーニングに活用されています。

こうした社会貢献を積極的に行っていることも、同社がミレニアル世代から支持される重要な理由の1つとなっています。




小柄な女性のための服に特化したアパレルブランドCOHINA

小柄な女性のための服に特化したアパレルブランドCOHINA

https://cohina.net

COHINAは身長150㎝前後の小柄な女性の服に特化したアパレルブランドです。ブランドを立ち上げた2人の女性にとって、小柄な女性向けの服が少ないことが自分たち自身の悩みだったそうです。

従来、服の生産や販売は豊富なサイズ展開をそろえることで大量生産を可能にしていました。

こうした業界の常識とは真逆の道を行くように、COHINAは「身長150センチ前後」とターゲットを絞ることで、ユーザーの悩みに寄り添い、他にはないブランド価値を創出することに成功しています。

ユーザーとのコミュニケーションはInstagramを介して行っているのも大きな特徴です。
服を売ることありきではなく、ユーザーが抱える特定の悩みを解決することに焦点を当てたサービスと言えるでしょう。




個々の顧客データ管理で一線を画す電動歯ブラシ販売Quip

個々の顧客データ管理で一線を画す電動歯ブラシ販売Quip

https://www.getquip.com

Quipは電動歯ブラシのサブスクリプションサービスです。電動歯ブラシのリフィルやデンタルペーストといった消耗品が定期的に届くだけでなく、ユーザーは提携歯科医のもとで定期検診やクリーニングを受けることができます。

歯科医院での治療情報はQuipの顧客データとして管理され、個人ごとの歯の状態に関する情報が蓄積されていきます。

こうして収集したデータを分析することによって、商品提案やメンテナンスに適したタイミングを通知することが可能となっています。

歯ブラシを提供するのは、ユーザーの歯の健康を守ることが本来の目的です。

Quipはこの点に注目し、患者のQOLを高めるための総合的なサービスを提供しているのです。Quipを通じて患者を紹介される歯科医院もまた、このサービスの恩恵を受けることができ、歯の健康を守るための社会貢献につながっている点が秀逸です。

まとめ)これからのマーケティングを見通す上でD2Cは外せない

万人に向けて作られたものは、実は誰にも適していないことがあります。
これまで商品を提供することは、供給側が受給側に価値を提供することだと、長らく信じられてきました。

しかし、スマートフォンをはじめとするデジタルガジェットが供給側と消費者の距離を劇的に縮め、ユーザーはより自分らしくあるために商品を選び、購入することができるようになりました。

このようにD2Cはユーザーにとって「本当に欲しかったもの」を手に入れられるビジネスモデルであり、消費者の嗜好が今後いっそう細分化されていく可能性は高いと言えるでしょう。

皆さんの職場では、D2Cへの取り組みはもう始まっているでしょうか。
もしまだ取り組んでいないとしても、これからのマーケティングを見通す上でD2Cが重要な位置づけになっていくことは十分に考えられます。

D2Cの成功事例やユニークな取り組みを参考にして、今後の企画提案や商品の改善に役立ててみてはいかがでしょうか。




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