管理職・マネージャーにおすすめの資格「知的財産管理技能検定(知財技能士)」

[最終更新日]2019/10/18

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管理職・マネージャーにおすすめの資格知的財産管理技能検定
   (知財技能士)

管理職やマネージャーの方が資格取得を目指す場合、どのような資格を選んだらいいのでしょうか?

たとえば、いま携わっている業務に役立つ資格かどうか、といった視点が必要なことは間違いないでしょう。ただし、それだけでなく、長い目で見たときに役立っていく可能性のある資格を選ぶという視点を持つことも非常に重要です。

近年、知的財産権(知財)という言葉をよく耳にするようになりました。

企業活動によって生み出されるさまざまな価値を、国内でビジネスを展開する場合だけなく、海外の企業も視野に入れて保護していくためにも、知財に関する詳細な知識を持つことが求められているのです。




このような社会情勢の中、注目を集めているのが「知的財産管理技能検定(知財技能士)」です。どのような資格なのか、取得するメリットや取得を目指す上で知っておきたいポイントについて見ていきましょう。



Index

目次

知的財産管理技能検定(知財技能士)ってどんな資格?

知的財産管理技能検定という資格や、知財技能士という職種について、皆さんはこれまで聞いたことがあるでしょうか?

比較的新しい資格ですので、もしかしたら聞いたことがなかった、知らなかったという人もいるかもしれません。

資格には大きく分けて国家資格・公的資格・民間資格の3種類がありますが、知的財産管理技能検定は国家資格にあたります。




まずは知的財産管理技能検定とはどんな資格なのか、概要について確認しておきましょう。





2008年に技能士に追加された「知財に関する国家資格」

国家資格の技能士知的財産管理技能士
FP技能士
機械検査技能士
半導体製品製造技能士 など

知的財産管理技能検定は厚生労働省が認定する国家資格であり、2008年に技能士として新たに追加されました。

知財に関する国家資格としては他に弁理士がありますが、技能士として国家検定制度が設けられている知財関係の資格は知的財産管理技能検定のみとなります。

《国家資格である技能士の一例》

  • 知的財産管理技能士
  • ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士
  • 機械検査技能士
  • 半導体製品製造技能士 など

日本は2000年代に入ってから、知財立国に力を入れてきました。「クールジャパン」などの取り組みもその一環と見ることができます。

そのような中、新たな国家資格として設けられたのが知的財産管理技能検定です。
この検定試験に合格することで知財技能士を名乗ることができるようになります。





組織の知財を適切に扱い管理する能力の証明となる

就業後の勉強会で参考書1冊をコピーし、皆で共有したい
自社のコンテンツが無断で利用されていた…こんなとき、どうすればいい?

知財技能士としての資格を得ることによって、組織における知財を適切に扱い、管理することができる能力を持つ人材であることの証明となります。

ビジネスシーンにおいて知的財産を管理する、とはどのようなことなのか、ピンとこないかもしれません。知的財産教育協会では、次のような例を挙げています。

“会社で就業時間後に勉強会を開くために1冊参考書を買って皆でコピーして利用していいか”
“自社のコンテンツが無断で別の会社に利用されていたときにどうすればいいか”

引用元:http://www.kentei-info-ip-edu.org/gakushujoho.html

こうした事態に対して、正確な知識に基づいて判断できる能力を持つ人材であることを証明できるというわけです。

知財の管理には、自社のコンテンツやアイデア、ブランドなどを不当に利用されないようにするという面と、逆に他社の知財を誤って無断利用してしまったり、不適切な扱い方をしてしまったりするリスクを回避するという面があります。

このように、知財管理は企業にとって自社の財産を守るための知識であると同時に、自社のイメージを損なうことがないようにするために不可欠な知識でもあるのです





弁理士との違いとは?

弁理士→業務独占資格その資格の保有者だけが
業務に携わることができる知財技能士→名称独占資格その資格の保有者だけが
名乗ることができる

知財を扱う国家資格としては、他に弁理士があります。弁理士は弁護士や税理士といった、いわゆる「士業」と同様に独占業務が認められている資格です。

たとえば、特許に関わる法的書類を作成し特許庁に出願する、といった業務は弁理士資格を持つ人でなければできないことになっています。




これに対して、知財技能士には独占業務が認められていません。

これはFP技能士など他の技能士も同様で、業務独占資格ではなく、資格を取得することで名乗ることが認められる名称独占資格なのです。




《業務独占資格と名称独占資格の違い》
業務独占資格・・・その資格を取得した人だけが所定の業務に携わることが認められている。
名称独占資格・・・その資格を取得した人だけが名乗ることができる。




よって、弁理士資格を取得することで弁理士事務所を開き独立することは可能ですが、知財技能士のみの資格で独立開業することは考えにくいと言えます。

あくまで会社員など組織の中で働いている人が、知識の強化や能力の証明を目的として取得する資格なのです。

なぜ知的財産管理技能検定(知財技能士)が注目されているのか

自社コンテンツやブランディングに携わっている人であれば、知財技能士が昨今注目されている理由は実感できることでしょう。

では、こうした業務に直接携わっていない人にとって、知財技能士はあまり縁の資格なのでしょうか。




たとえどのような業種・部署で仕事をしているとしても、知財に関わる可能性がゼロという人はまずいないと考えられます。そのぐらい、知財は会社組織にとって身近な事柄であり、誰しもがトラブルの原因を作る可能性のあるものなのです。

知財技能士の詳細について見ていく前に、そもそも知的財産権とは何かを確認しておきましょう。





そもそも「知的財産権(知財)」とは何か?

知財(知の財産)著作物…本の内容・ゲームコンテンツなど
商標 …ブランド名・商品名・シリーズ名など
意匠 …製品・建造物のデザインなど
発明 …これまでにないアイデアなど

知的財産とは、文字通り「知の財産」のことです。会社にはさまざまな財産があります。建物や土地という場合もあれば、オフィスにある備品に至るまで、あらゆるものが会社の資産であり、財産なのです。

それらの中でも、アイデアやブランドといった財産には形がありません。

形がなければ自由に誰でも使っていいかと言うと、決してそうではありません。ある会社のブランドロゴを無断で使用すれば権利の侵害になりますし、企業が独自に考案し製品化したアイデアをそのまま真似してしまうのも問題になります。

こうした知財には大きく分けて「著作物」「商標」「意匠」「発明」があります。

《知財の種類》

  • 著作物・・・本に書かれた内容、ゲームソフトのコンテンツなど。
  • 商標・・・ブランド名、商品名、シリーズ名など。
  • 意匠・・・製品のデザイン、建造物のデザインなど。
  • 発明・・・これまでにないアイデアなど。

これらの知財を保護するための法律として、著作権法や商標法、特許法などがあります。





企業が知財を適切に扱えていないとどうなる?

皆に親しみを届けられるように。
そう願ってつけた商品名は、
すでに使われているものでした。

《事例:登録済みの商標を確認しなかった場合》

Aさんは、新商品を開発するプロジェクトチームに抜擢されました。

Aさんのチームは新たな商品を世に送り出すべく昼夜話し合いを続け、新商品を考案するに至りました。チームとして自信をもって送り出せるこの新商品の商品名を考えるにあたって、Aさんは「皆が親しみやすい名前にしたい」と思い、頭の片隅にあった商品名を提案しました。

チームの皆が賛同してくれ、結果的にAさんの案が採用されることとなりました。

ところが、新商品が発売開始となって間もなく、商品名がすでに商標登録されており、使用できないものだったことが発覚してしまいます。

やむなく商品名を変えて発売するしかなくなったのですが、まだ認知度の高くない新商品のことですから、急に商品名が変わったことで売上が大きく下がり、Aさんたちのチームが掲げていた売上目標に届かず仕舞いになってしまいました。

この事例では、商品名を付ける上で「商標登録済みの名称ではないか」という確認ができていません。

もし商標登録済みであれば、無断で使用することはできないわけですから、当然のことながら商品名として使用することもできません。この確認を入れるプロセスの重要性に気づけるかどうかが、知財に関する知識を持ち、適切に管理できるかどうかの違いとなって表れてくるのです。





市場の健全な競争のためにも知財は大切

商標や著作権といったことが関わってくると、一般的には「ややこしい」「面倒」といった印象を持つ人が多いはずです。では、なぜこうした知財に関するルールを守って運用していくことが大切なのでしょうか。

仮に、商標を自由に制限なく利用できることになったとしましょう。

すると、業界の中でもっとも人気のある商品の名称であろうと、自由に誰でも使用してよいことになります。当然多くの企業が「売れている商品」「消費者から注目されている商品」の名称を使いたがります。

こうなると、消費者としては「どれが本物で、どれが姉妹品なのか」が区別できなくなってしまいます。

企業側としても、このような状況で他社との差別化を図るには「価格を安くする」ぐらいしか手段がなくなってしまい、業界全体で値崩れに歯止めがかからない状況に陥る可能性があるのです。




このような状況にならないよう、各社が自社のブランド構築を行い、市場における優位性を確保できる仕組みが知財の考え方なのです。市場の健全な競争を促す意味においても、知財は重要な意味を持っているのです。

知的財産管理技能検定(知財技能士)の受検資格・試験内容

知財技能士がこれからの世の中で必要とされていく資格だということがお分かりいただけたでしょうか?
では、知能技能士になるためにはどのような試験に合格する必要があるのでしょうか。また、受検するにあたってどのような要件を満たしている必要があるのでしょうか。

知財技能士の検定試験には、知財検定1級・2級・3級の3種類があります。それぞれの級によって受検資格や試験内容が異なりますで、興味のある方はしっかりとチェックしておきましょう。





受検資格はどうなっている?必要な要件とは?

取得に必要な要件は?

知財検定の受検資格の要点をまとめると、次のようになります。

《知財検定3級》

  • 知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者

《知財検定2級》

  • 3級技能検定の合格者
  • ビジネス著作権検定上級の合格者

《知財検定1級》

  • 知財関連業務における4年以上の実務経験
  • 2級技能検定の合格者・知財関連業務における1年以上の実務経験
  • 3級技能検定の合格者・知財関連業務における2年以上の実務経験
  • ビジネス著作権検定上級の合格者・知財関連業務における1年以上の実務経験

ポイントとしては、

  • 3級は誰でも受検できる
  • 2級は3級に合格すれば受検できる
  • 1級は実務経験が必要になる

といった点になります。

学科試験と実技試験が行われる点は、1級から3級まで共通です。ただし、3級と2級では選択作業が「管理業務」のみであるのに対して、1級では「特許専門業務」「コンテンツ専門業務」「ブランド専門業務」の3つに分かれ、より専門性が高い内容が出題されます。





どんな試験内容?筆記試験以外のテストもある?

1級から3級まで、学科試験と実技試験の2段階になっている点は共通です。

《学科試験》 試験方式 問題数 試験時間
3級 マークシート3肢択一式 30問 45分
2級 マークシート4肢択一式 40問 60分
1級 マークシート4肢択一式 45問 100分
《実技試験》 試験方式 問題数 試験時間
3級 筆記試験 30問 45分
2級 筆記試験 40問 60分
1級 筆記試験+口頭試問 5問 30分

3級と2級では、マークシートが3択と4択で異なる点と、問題数が30問から40問と2級のほうが明確に難易度が上がっていることが分かります。2級までは学科・実技ともに筆記試験のみです。

1級になると、これに口頭試問が加わります。業務上の課題の発見や解決策とその理由、それらの説得力について審査され、合否が決定されます。





試験の免除制度などはある?

学科か実技のどちらかだけ合格した→2年間は、合格が有効!

知財技能検定の試験免除制度は、端的に言えば「学科か実技どちらかに合格した人は、2年間は合格が有効」という仕組みになっています。学科のみ、実技のみのどちらの場合も有効です。

~免除制度の例~
Aさん:3級知財技能検定3級の「学科試験」に合格し、実技試験が不合格だった。
    →2年以内なら学科試験は免除され、実技試験のみ受けることができる。

つまり、一度受検して失敗したとしても、再チャレンジしやすい仕組みになっていると言えるでしょう。

また、大学や大学院で技能士検定に関連する課程を修了した人は、2級の学科試験が免除されます。
この場合、免除期間に定めはなく、ずっと実技試験のみで知財技能検定を受けることができます。

なお、「関連する課程」に該当するかどうかについては、受検を申し込む際に添付する書類等により判断されます。大学で学んだ内容がこの規定に該当するかどうかを前もって確認することはできない点に注意が必要です。

知的財産管理技能検定(知財技能士)の取得難易度・勉強方法

さて、知財技能検定を取得するメリットや試験内容が分かったところで、いざ受検するにあたって気になるのが、取得までの道のりです。合格難易度や勉強方法について、取り組む前にある程度知っておきたいと考えるのは自然なことでしょう。

また、資格試験によっては働きながら独学で合格を目指すにはハードルが高いと言われているものもあります。知財技能検定は独学で取得を目指せる資格なのでしょうか?

知財技能検定の取得難易度や勉強方法について確認しておきましょう。





難易度はどのぐらい?必要な勉強期間は?

知財技能検定の難易度を知る上で参考になる情報として、合格基準と合格率が挙げられます。初めて試験に挑戦する人のほとんどが3級を受検するはずですので、ここではとくに3級と2級について見ていきます。

《知財技能検定の合格基準と合格率》

合格基準 合格率(%)
3級 学科・実技とも70%以上得点
(30問中21問以上正解)
学科73%
実技78%
2級 学科・実技とも80%以上得点
(40門中32問以上正解)
学科47%
実技39%

※2017年3月実施の試験結果より(出典:知的財産教育委員会)

合格率は受検した人の合格率ではなく申込者に対する合格者の数で算出されています。

3級は合格率が7割を超えていることから、受検した人の大半が合格していると見ることができます。
2級になると合格率が5割を切っていることから、資格試験としては「それほど簡単ではない」という部類に入るでしょう。

勉強時間に関しては、法律系の勉強をした経験があるか、全くないかによって差が生じます。法律系の知識がない人であっても、3級であれば2週間程度、2級であれば1ヶ月程度の期間、集中して勉強すれば合格が見えてくるレベルと言えます。





どんなふうに勉強を進めたら効果的?

効果的な勉強方法は?

知財技能検定には「公式テキスト」「過去問」が用意されています。

公式テキストは知的財産教育委員会が編集している参考書ですので、これを2〜3周くり返し読み込みましょう。

最初から完璧に理解しようとすると途中で挫折する原因になりますので、まずはひととおり概略をつかむつもりで流し読みし、2周目からは理解しづらい箇所を重点的に覚えていきます。

過去問に取り組む前に、市販の問題集を解いてみてもいいでしょう。問題集は必ず書店で実物の中身を見て、解答とその解説が詳しく書かれているものを選びます。間違えた問題は解説をよく読み、必要に応じて公式テキストに立ち返りながら、苦手な箇所には付箋を貼って試験直前に見直せるようにしておくと便利です。

試験前には過去問題集に取り組みましょう。事前に解いておいた問題集の類題が出題されていることが確認できるはずです。
過去問で間違えた問題は、市販の問題集→公式テキストの順に立ち返って復習していきます。

過去問題集を解くときは、試験時間と時間配分も意識することが大切です。

何問目までを何分ぐらいで解き終えていれば、余裕を持って見直す時間を取れるのか、シミュレーションを行っておくことで当日自信を持って試験にのぞむことができるのです。





独学でも合格を目指せる資格?

独学は可能?

結論から言えば、知財技能検定は独学でも十分合格を目指せる資格です。

もともと一般のビジネスパーソンが知財に関する知識を深めるために設けられた資格ですので、知財を実務で扱うにあたって必要とされる知識を広く浅く習得することが求められます。

とはいえ、法律用語や知財に関する判例などもある程度は知っておく必要がありますので、法律系の勉強をこれまでしたことのない人にとっては、はじめはやや難しく感じるかもしれません。

少なくとも、予備校やスクールに通学しなければ合格が見えてこないような専門的な内容ではありませんので、働きながら独学で合格を目指すことができます。

「法学部出身ではないから」「他に法律系の資格を持っていないから」と尻込みする必要はありませんので、自信をもって取り組みましょう。




通勤中や帰宅してからの数時間、そして休日を利用して勉強すれば、3級から順にステップアップして合格を目指していくことのできる資格です。

まとめ)知財が注目される時代だからこそ取得しておきたい国家資格

これからの時代に必要な資格

職場において、自部署の業務に関わる新聞記事やWebメディアの記事を見かけたとき、「部下に読んでもらいたいから」といった理由で記事をコピーして回覧したり、メールに添付して配信したりする行為は著作権法違反にあたります。

しかし、こうした知財に対する意識が希薄な職場がまだまだ多いのも事実です。良かれと思ってやっていたことが、実は法律違反だったということは十分にあり得るのです。

近年は企業のコンプライアンスに対する意識がますます重要視されています。
自社の知財を守るとともに、他社の知財を不当に利用することのないよう、知財に関する知識を身につけておくことは、これからのビジネスパーソンにとって不可欠な教養の1つと言えるでしょう。

知財が注目されている今、知財技能検定はぜひ取得しておきたい国家資格と言えるのです。






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