心理カウンセラーはどうやったらなれる?仕事・プライベートへの活かし方は?

[最終更新日]2022/12/15

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心理カウンセラーになるには。

現代社会はストレスを感じる場面が多々あると言われています。心労から心を病んでしまったり、病まないまでも内面的な悩みを抱えたりしている人は決して少なくありません。

こうした世の中において、いま注目されているのが「心理カウンセラー」です。

2015年に「公認心理師法」が成立し、2018年からは公認心理師の国家試験が始まった動きからも、国をあげて心理カウンセラーの役割を重要視していることが分かります。

では、そもそも心理カウンセラーとはどのような仕事なのでしょうか。

この記事では、どうすれば心理カウンセラーになれるのか、心理カウンセラーになることで仕事以外にも活かせるのか、といったことについて紹介していきます。
心理カウンセラーに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

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Index

目次

心理カウンセラーとは

「心理カウンセラー」という職種そのものは、実は存在しません。
心理カウンセラーと言われているのは、悩みを抱えた人の話に耳を傾け、共感し、その人が自分自身について理解するための手助けとなるよう導く人の総称です。

心理カウンセラー自体は特定のライセンスによって制限されるものではありませんので、心理カウンセラーを名乗ることは誰にでも可能ですし、必須の資格はとくにありません。

実際、心理カウンセラーとして活躍している人の中には、精神科医臨床心理士保健師といったさまざまな職種の人がいます。

心理カウンセラーを目指したい人がよく取得することで知られる資格としては、次の4つが代表的なものとして挙げられます。まずは、こうした有名な資格について理解を深めていきましょう。




代表的な心理カウンセラーの資格

メンタルケアカウンセラー・メンタル心理カウンセラー臨床心理士産業カウンセラー公認心理師
  • メンタルケアカウンセラー・メンタル心理カウンセラー
  • 臨床心理士
  • 産業カウンセラー
  • 公認心理師



メンタルケアカウンセラー・メンタル心理カウンセラー

心理カウンセラーとしての知識や技能を身につけていることを証明するのに役立つ資格です。

どちらもメンタルヘルス関連の資格としては入門的な位置づけであり、初めて心理学系の勉強をする人や、メンタルヘルス系の最初の取得資格としてチャレンジするのに適しています

日常生活で役立つ心理学の知識が身につき、自分自身の心の状態を客観的に把握することにもつながります。

心理学や精神医学の基礎的な知識について学び、心理カウンセラーとしての基礎を築くのに役立つ資格ですが、これらの資格だけで仕事をしていくのは難しいでしょう。

むしろ、メンタルケア心理士メンタルケア心理専門士といった、より上級の資格を目指すための足がかりとして取得する人が少なくありません。




臨床心理士

メンタルヘルス関係の専門資格としてよく知られている資格です。

指定大学院を修了していることが受験資格となることから、資格取得のためのハードルは決して低くありませんが、臨床心理士の資格を持っていればほぼ間違いなく「メンタルヘルスの専門家」として世の中から認知されます。

臨床心理士の有資格者は、心理テストを駆使した心理査定技法や面接査定といった知識を持ち、心理カウンセラーとして活躍することができます。

また、知識面だけでなく、地域コミュニティーなどにおける人的支援やコンサルテーションに関する高いスキルを持っていることの証明にもなりますので、心理カウンセラーとしての活動を通じて実践的に力を発揮することができます。




産業カウンセラー

企業などで働く人に対してメンタルケアを行うのが産業カウンセラーです。

メンタルに不調をきたすのを予防したり、働きやすい環境を整えるためのサポートを行ったりと、働く現代人をメンタル面から支える心強い存在です。

メンタルヘルス対策、キャリア開発、職場での人間関係開発の3つが、産業カウンセラーとしての活動領域となります。

産業カウンセラーとして仕事をすることも可能ですが、自分自身の心の状態を健康に保つことに役立てたり、人とのコミュニケーションをより円滑で充実したものにしたりといったことを目指して取得する人もいます。

人の話に耳を傾け共感する「傾聴力」や、人と組織を的確にコーディネートしていく「調整力」といった能力も必要になりますので、こうした能力を伸ばすための機会としても有効です。




公認心理師

公認心理師は心理学系の中で唯一の国家資格です。

会計士を名乗るためには公認会計士の資格を取得しなくてはならないように、心理師を名乗るであれば公認心理師の有資格者である必要があります。

公認心理師の業務は公認心理師法で定められており、心理査定・心理面接・関係者への面接、心の健康に関する教育及び情報提供活動といった業務を担うとされています。

医療・保健はもちろんのこと、福祉や教育、産業、司法といった幅広い領域で、他の関係者とも連携しながら心理学の専門知識を活かせる資格です。

公認心理師の資格取得を通じて、心理学全般に対する幅広い知識を得ることができ、メンタルヘルスのスペシャリストとして活躍することができます。

心理カウンセラーの知識・経験は、どんなシーンで活かせる?

心理カウンセラーとして活躍するとなると、医療機関などで働くイメージがあるかもしれません。

しかし、実際には心理カウンセラーとしての知識・経験を活かせる場面は日常のちょっとした場面にも数多くあります。

心理カウンセラーはそれだけ身近な存在であり、知識を活かして活躍できる場面が多方面にあるのです。

では、具体的に心理カウンセラーの知識・経験を活かせるシーンにはどういったものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。




身近な人間関係に役立てる

心理カウンセラーの技法の1つに「傾聴」があります。

相手の言うことに耳を傾け、反対したり意見を述べたりすることなく、受け入れることを指します。

コミュニケーションが上手な人ほど聞き上手と言われるように、人は自分の話をよく聞いてくれる人に好意を持ちやすい傾向があります

そのため、心理カウンセリングで学んだ傾聴のスキルを日常生活に活かすことで、人から好印象を持たれやすくなったり、コミュニケーションを円滑にすることに役立ったりします。

身近な人間関係は、職場や取引先といった仕事関係の人との関係だけに留まりません。

家族や友人といったプライベートでの人間関係においても、人と接していく以上は相互理解が必要であり、相手や自分自身の心理状態を理解することは人付き合いを円満にしていくことに役立ちます

身近な人間関係が良くなれば、自分自身も前向きになれるはずです。心理カウンセリングの知識や経験は、このようなごく身近な日常の場面で役立てることができるのです。




仕事上の対人関係、悩み相談に役立てる

仕事においては、対人関係の悩みが全くない人のほうが少ないでしょう。部下や上司、同僚、取引先、顧客との関係といったように、仕事における悩みの大部分が人間関係にまつわるものという人もいるかもしれません。

とくに管理職の皆さんは、自分自身の成長だけでなく、部下を指導・育成していくことも目指さなくてはなりません。

自分とは違ったタイプの部下とうまくやっていくのは、場合によってはお互いにストレスを感じるでしょう。そういったとき、相手に対する理解を深める上で心理カウンセラーの知識や経験が活かせる可能性があります。

また、実際にメンタルヘルスで悩みを抱えている部下がいた場合などは、産業カウンセラーなどの専門家に相談する以前に簡易的なカウンセリングを実施することができます。

専門家に相談するほど重い症状ではないと自分で判断してしまう人も多いので、身近な同僚の相談に乗ったり、力になれたりするのであれば、周囲の人に喜んでもらえることもあるはずです。




ボランティア活動で役立てられることも

心理カウンセラーという言葉は職業を指すイメージがあるかもしれませんが、ボランティアとして心理カウンセラーの活動をする人もたくさんいます。

身近な人には相談しにくい心の悩みを第三者に聞いてもらいたいという思いを抱えている人にとって、心理カウンセラーのボランティアは心強い存在なのです。

ボランティアをする側としても、営利目的ではなく、仕事を離れて人の役に立てる場所があることは、自分自身の存在意義を再認識したり、仕事以外の価値観を見出したりすることにつながります。

とくにこれからの時代は長生きする人が多くなりますので、現役時代を終えてからも世の中の役に立つことができる、という感覚を持ちたいというニーズは決して少なくありません。

ボランティア活動にはさまざまなものがありますが、人の役に立つことができるという実感を持つことができる心理カウンセラーは人気のあるボランティア活動の1つです。

ボランティアに興味のある人は、心理カウンセラーとしての活動も視野に入れておくといいでしょう。




うつ病など心の不調に対する理解を深める

心理学やメンタルヘルスに関する知識を身につける中で、うつ病など心の不調に対する理解が深まるというメリットもあります。

たとえば、身近な人がうつ病に罹った際、メンタルヘルスに関する基礎的な知識がないと「頑張ってね」などと励ましてしまうなど、かえって負担をかけたり、場合によっては無意識のうちに相手に辛い思いをさせてしまったりすることも全くないとは言えません。

かと言って、「うつ病の人を励ますのは良くない」という知識しかない人は、いざ身近な人がうつ病に罹ったとき、どう接したらいいのか分からなくなってしまうこともあり得ます。

心の不調は誰にでも起こり得る身近な問題です。もし身のまわりの人がこうした状況になった場合にも、どう接したらいいのかが分かったり、良き相談相手になったりすることができる可能性があるのです。

心理カウンセラーは精神科医ではありませんので専門的な治療行為はできませんが、身近な存在だからこそ相談しやすい面もあるのです。




セルフマネジメントに役立てる

心理学やメンタルヘルスを学ぶことで理解が深まるのは、他者の心理だけではありません。

自分の「心」がもっとも把握できていないのは自分自身と言われることがあるように、自分の心の状態を知る上で心理カウンセラーの知識が役立つことがあるのです。

自身の感情をコントロールしていく技術を「セルフマネジメント」と言います。

たとえば、自分でコントロールするのが難しい感情の1つに「怒り」があります。怒りを適切にコントロールすることでストレスを軽減するだけでなく、いまやるべきことに集中しやすくなるといったメリットも得られます。

セルフマネジメントに長けた人は、周囲から見ても「気分が安定している人」「落ち着いている人」といったように映りますので、頼りになる存在として認知される可能性が高いと言えます。

このように、心理カウンセラーの知識をセルフマネジメントに応用することで自分のストレスを減らせるだけでなく、結果的に周囲との関係性を良好に保つことにもつながるのです。

心理カウンセラーになるためには

心理カウンセラーにはさまざまな資格があること、心理カウンセラーの資格は仕事内外で幅広く活用できることについて見てきました。

前に述べた通り、心理カウンセラーに資格は必須ではなく、誰でも名乗ることができます。しかしながら、資格を取得していることで一定以上の知識を身につけていることの証明になるのも事実です。

では、心理カウンセラーになるには、具体的にどのような資格や勉強が必要になるのでしょうか。代表的な心理カウンセラーを例に、目指し方や必要な知識について確認しておきましょう。




メンタルケアカウンセラー・メンタル心理カウンセラーになるには

《メンタルケアカウンセラー》

メンタルケア学術学会が指定する講座を受講した上で、修了認定としてレポート試験に合格することにより、メンタルケアカウンセラーの資格を取得することができます。

受講期間は2〜3ヶ月が目安となっており、通信講座が開講されていますので、自宅での受講も可能です。メンタルヘルス系の資格の中では短期間で取得可能なものの1つと言えます。

LCMメンタルケア学術学会


《メンタル心理カウンセラー》

一般財団法人日本能力開発推進協会認定の通信講座を受講後、資格試験に合格することで取得できます。

通信講座ですので自宅で受講できるほか、試験に関しても問題と答案用紙が郵送されますので、在宅のまま受験・資格取得までを完結することができます。

試験の合否判定は得点率70%以上が目安となっており、問われる内容も心理学や精神医学、カウンセリングに関する基礎知識ですので、講座の内容がしっかりと理解できていれば取得そのものはそれほど難しくありません。

一般財団法人日本能力開発推進協会



臨床心理士になるには

臨床心理士は心理学系の資格の中でも専門性が高く、受験資格や試験難易度が高めのレベルに設定されているのが特徴です。

《受験資格》

次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • ・指定大学院を修了している
  • ・臨床心理士養成に関する専門大学院を修了している
  • ・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴がある
  • ・医師免許取得者で、取得後に心理臨床経験が2年以上ある


《試験内容》

  • ・1次試験・・・多肢選択方式試験+論文記述試験
  • ・2次試験・・・口述面接試験


《難易度》

合格率は60〜65%程度で推移していることから、半数以上の受験者が合格しているとはいえ、きちんと勉強しておかないと合格できない試験であることは間違いありません。合格率はあくまで「大学院修了程度の知識を持つ受験生」の結果ですので、試験のレベルとしては決して易しくはありません。

なお、受験資格に必要な心理学系の大学院に関しては、受験資格を満たせる通信制の大学院もありますので、現時点で心理学やメンタルヘルスに関する学位を持っていない人でもチャレンジすることは可能です。

公益財団法人日本心理士資格認定協会



産業カウンセラーになるには

産業カウンセラー資格は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会の認定資格です。資格試験はこれまで年1回実施されてきましたが、2020年より1月と7月の年2回実施となります。

《受験資格》

次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • ・試験日に満20歳であり、産業カウンセラー養成講座を修了している
  • ・大学院で所定の課程を修了しており、単位を取得している


《試験内容》

  • ・学科試験
  • ・実技試験


《難易度》

合格率は学科試験がおよそ70%、実技試験がおよそ65%程度です。2018年実施の試験では総合合格率が64.2%だったことから、講座の内容をきちんと理解し、かつ試験勉強をしてのぞむことが必要なレベルだと分かります。

受験資格として挙げられている養成講座は、e-LearningによるWeb講義に加え、対面での講義を受講する必要があります。また、傾聴のロールプレイを行う面接実習や、実習に関する在宅課題も課されます。

また、試験合格後に資格登録を行うことで産業カウンセラーを名乗れるようになります。登録有効期間は5年間で、以降は資格登録の更新が必要になります。

JAICO働く人と組織を支える



公認心理師になるには

公認心理師は心理学・メンタルヘルス関連の資格のうち唯一の国家資格です。国家試験に合格することによって資格を得ることができます。

《受験資格》

公認心理師法で定められている受験資格は大きく分けて3つとなっています。

  • ・4年制大学および大学院で指定の科目を履修している
  • ・4年制大学で指定の科目を履修し、特定の施設(※)で2年以上の実務経験がある
  • ・外国の大学および大学院で心理に関する科目を履修している

※「特定の施設」とは、保健医療・福祉・教育・司法犯罪・産業労働に関わる諸施設を指します。

公認心理師の資格取得方法について

出典:http://shinri-kenshu.jp/support/examination.html#exam_001_anchor_03



《試験内容》

全問マークシート方式で150〜200問が出題されます。ケース問題が多く出題されるのが特徴的です。
公認心理師試験設計表(通称ブループリント)に応じて学習を進める必要があります。
出題基準については一般社団法人日本心理研修センターが公開しています。

http://shinri-kenshu.jp/wp-content/uploads/2019/03/第2回公認心理師試験「出題基準」(ブループリント(公認心理師試験設計表)を含む%E3%80%82).pdf



《難易度》

合格基準は正答率60%以上と定められています。
合格率は第1回試験が79.1%、第2回試験が46.4%となっています。資格そのものが新しいこともあり、合格率は安定していない状況です。

一般財団法人日本心理研修センター

まとめ)心理カウンセリングを学んで仕事・プライベートで存分に活かそう

今回は心理カウンセラーに関する資格について取り上げました。さまざまな資格が存在し、近年になって国家資格が定められたことからも、世の中の関心が高い分野であることが見て取れます。

心理学やメンタルヘルスについて学ぶことは、仕事に活かせる技能を習得できるだけでなく、プライベートでの対人関係やコミュニケーションにも応用できるため、有用性の高い知識・技能と言えるでしょう。

学んだり技能を体得したりすることを通じて世の中に貢献できるだけでなく、自分自身のためにもなる資格という面では希少な存在です。

心理学やメンタルヘルスに興味がある人は、心理カウンセリングについて学び、仕事やプライベートで存分に活かしてみてはいかがでしょうか。




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