管理職・マネージャーにおすすめの資格「中小企業診断士」

[最終更新日]2019/10/25

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「中小企業診断士」の資格について

管理職・マネージャーの皆さんの多くが関心を寄せる資格にはいくつかありますが、「中小企業診断士」が気になったことがある人は少なくないはずです。
よくあるイメージとして、

・国家資格
・企業経営に関するプロフェッショナル
・決して簡単に取得できる資格ではない

といったことを連想する人もいることでしょう。

一方で、中小企業診断士の資格は「足の裏の米粒」と揶揄されることがあります。たとえ取得しても、中小企業診断士の資格では「食えない」という意味で、このように言われているようです。

果たして、中小企業診断士は管理職の方々が取得を目指すに値する資格なのでしょうか?取得するメリットや試験内容、難易度について見ていきましょう。



Index

目次

中小企業診断士とは?どんな資格?

管理職・マネージャーとしてのキャリアに有用な資格を探している方にとって、中小企業診断士は有名な資格の1つのはずです。国家資格であり、毎年多くのビジネスパーソンが受験している資格でもあるため、「中小企業診断士がどんな資格かは知っている」と思うかもしれません。

しかし、取得するメリットや今後のキャリアへの活かし方を考える上で、資格の背景や歴史について知っておくことは非常に重要です。まずは中小企業診断士とはどんな資格なのか?をしっかりと確認しておきましょう。




中小企業の経営課題に対してアドバイスするスペシャリスト

日本国内の企業のうち、大企業はわずか0.3%であり、残りの99.7%は中小企業です。

就業者の割合を見ても、中小企業に勤めている人の割合がおよそ3分の2と言われているように、中小企業が発展・成長していくことは、国の経済を左右するほどの影響力を持っていることが分かります。

企業経営は、さまざまな問題と直面し、解決していくことの連続です。
経営者にとって、ヒト・モノ・カネ・情報に関する悩みは尽きることがなく、適切な助言を求めている企業トップが少なくないのが実情です。

こうした多くの悩みや課題を抱える企業に対して、経営に関するアドバイスを行うスペシャリストが中小企業診断士です。

経営コンサルタントに付与される資格としては唯一の国家資格であり、2016年に日経新聞社が調査した結果によれば「取得したいビジネス関連資格」の1位となっています。




財務・会計・運営・法務・人事など幅広い知識が求められる

中小企業診断士の試験においては、企業の経営状態を俯瞰し、総合的に判断するための幅広い知識が問われます。

実際に企業が抱えている経営課題の多くは一筋縄ではいかない問題ですので、財務・会計・運営・法務・人事といった幅広い知見を専門的なレベルで持っている必要があるのです。

中小企業診断士の発端は、昭和20〜30年代に公務員が「中小企業診断員」として企業の指導にあたっていたことにあります。その後、中小企業基本法が制定され、中小企業診断士の役割も法的に位置づけられることとなります。

かつて中小企業診断士は「公的な立場から民間企業を診断・指導する」というお役所的な仕事だったというわけです。

現代においては、企業経営の中に中小企業診断士が入っていき、経営課題について経営者とともに考えながら解決に導いていくコンサルタントの役割を担っています。

このように、中小企業診断士に求められる知見や技能は昔と比べるとはるかに高度化・細分化しており、専門家としての重要度が増していることが分かります。




取得者の大半は独立せず「企業内診断士」として活躍

中小企業診断士について知っておきたいこととして、「名称独占資格」であることが挙げられます。

中小企業診断士の資格を得ることで中小企業診断士を名乗ることができますが、税理士や弁護士のような独占業務は定められていませんので、資格そのものに法的な拘束力はないのです。

裏を返せば、中小企業診断士の資格を持っていなくても経営コンサルタントの仕事をすることができる、というわけです。

その影響もあってか、中小企業診断士の資格を取得した後に独立開業する人は少数派で、全体の2割程度と言われています。

大多数の人は会社員として勤め続けながら、企業内診断士として活躍する傾向があります。

会社員を辞めて独立する足がかりとなる資格というよりは、会社員としてのキャリアアップにつなげるための資格という意味合いが強い資格と言えます。

中小企業診断士を取得するメリットとは?

中小企業診断士の資格取得を検討している人にとって、「苦労して取得しただけのメリットを得られるかどうか」は大きな関心事でしょう。

結論から言えば、中小企業診断士を取得するメリットは十分にあります。
ただし、取得する目的や活かしたい方面によっては、必ずしも万能な資格ではありません。

中小企業診断士の資格を取得することで得られるメリットをしっかりと把握し、どのように活かしていきたいのかを明確にすることで、取得に向けた勉強や目標とする合格の時期にも現実感が湧き、より意欲的に取得を目指せるはずです。

中小企業診断士を目指すメリットとしては、主に次の3点が挙げられます。

経営に関する総合的なアドバイスができる
企業経営について幅広く学ぶことができる
国家資格取得者として社会的信頼度が増す



経営に関する総合的なアドバイスをすることができる

中小企業診断士として必要な知識は、他の資格とも重複する部分があります。

たとえば、会計や財務に関する知識であれば、税理士や公認会計士、FPといった資格の保有者も持っています。

企業法務については弁護士や司法書士でも対応可能ですので、こういった各方面の専門家を目指したいのであれば、中小企業診断士以外の資格を検討したほうがよい場合もあります。

しかしながら、企業経営に関する包括的なアドバイスを行うには、経営についての横断的な知見が高いレベルで求められます。

「税務のことは詳しいけれども、人事や労務管理に関することはよく分からない」というのでは、企業が抱える経営課題によっては応じられない可能性があるのです。

中小企業診断士は、財務・会計・運営・法務・人事といった広い範囲にわたる知識を持った会社経営の専門家です。

経営に関する総合的なアドバイスをする専門家を目指すのであれば、中小企業診断士ほど適した資格は他にないのです。




企業経営に関する知識を幅広く学ぶための絶好の機会になる

多くのビジネスパーソンにとって、自身のキャリアの中で経験することのできる職種や分野は案外限定的です。

企業によってはジョブローテーションによって複数の部署を経験する場合がありますが、たいていは営業なら営業、経理なら経理といったように、ずっと同じ職種を担当し、経験を積んでいくことになります。

そのため、たとえば経営企画のように会社経営全体に関わる仕事を目指すにあたって、決め手となる実績や経験をなかなか得られないのが実情です。

将来的に経営に関わるポジションを目指したいと考えるビジネスパーソンにとって、この点がハードルとなることは少なくないのです。

中小企業診断士は、企業経営に関する知識を総合的に学ぶのに適した資格と言えます。次項で詳しく解説しますが、試験範囲は企業経営に関するほぼあらゆる分野が対象となりますので、会社員でありながら経営層に求められる視点や考え方の基礎を形成するには絶好の機会となるのです。




国家資格取得者として社会的な信頼度が増す

中小企業診断士の大きな特徴の1つに「国家資格」であることが挙げられます。資格試験には国家資格・公的資格・民間資格があります。

《国家資格の例》

  • 医師
  • 薬剤師
  • 看護師
  • 弁護士
  • 税理士

《公的資格の例》

  • 日商簿記
  • 秘書検定
  • 証券外交員
  • ビル経営管理士

《民間資格の例》

  • 臨床心理士
  • 情報処理技術者能力検定
  • MOS(Microsoft Office Specialist)
  • TOEIC

公的資格や民間資格にも、世の中で広く認知されており、取得することで知識や技能を証明する役割を果たすものはたくさんあります。

ただし、国家資格となると数多くある資格の中でも限られており、「別格」として見られることも多いものです。

とくに経営コンサルタント系の資格のうち、国家資格は中小企業診断士だけです。

企業経営に関するアドバイスとなると、一定以上の信頼を得られなければ任せられることはないでしょう。

そのため、国家資格として認められている資格を取得し、高度な専門知識を持つことを証明することによって、社会的な信用度が増すとともに、いっそう説得力をもってコンサルティングを行うための大きな助けとなるのです。

中小企業診断士の受験資格・試験内容

資格取得を検討するとき重要になるのが「受験資格」です。とくに国家資格のように受験者数が多い試験の場合、受験資格や免除規定が複雑になりがちですので、よく調べておく必要があります。

もし1次試験の免除規定に該当しているようであれば、勉強時間を大幅に短縮できる可能性もあるでしょう。

また、試験内容についても、どのような問題が出題されるのかを知る上で非常に重要な情報になります。

とくに働きながら資格取得を目指すビジネスパーソンにとって、限られた時間内で効果的に勉強を進めるためにも、試験の目標到達点を知っておくことは欠かせません。

中小企業診断士の受験資格と試験内容についてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。




受験資格はないものの、1次試験合格の効力は3年以内

中小企業診断士の試験には1次試験と2次試験があります。2次試験の受験資格は1次試験に合格していることですので、重要なのは1次試験の受験資格であることが分かります。

1次試験の受験資格には、特に制限は設けられていません。つまり、誰でも受験することができます。

1次試験の免除規定として、次に該当する場合は一部科目を免除されます。

  • 大学等の経済学の教授・助教授
  • 経済学博士
  • 公認会計士2次試験において経済学を受験し合格した者
  • 不動産鑑定士、不動産鑑定士補
  • 公認会計士、会計士補
  • 税理士
  • 司法試験2次試験合格者
  • 技術士のうち情報工学部門登録者
  • 情報処理技術者試験合格者(ITストラテジスト、応用情報技術者、プロジェクトマネージャなど)

なお、1次試験には7科目がありますが、一度に全ての科目に合格しなかった場合も3年以内であれば合格は有効です。

一例として、初年度に4科目、2年目に2科目、3年目に残りの1科目に合格すれば、1次試験に合格したものと見なされます。




マーク式試験・筆記試験・口述試験が行われる

資格試験によっては全問マーク式の選択問題の場合もあるのですが、中小企業診断士の場合はマーク式だけでなく記述式による筆記試験も行われます。1次試験がマーク式、2次試験が記述式となります。

2次試験では口述試験も実施されます。

口述試験は面接形式で行われ、経営課題を抱える中小企業の事例を用いて解決するための助言を実際に行います。経営全般に関する知識だけでなく、コンサルタントとしての実務に耐えうる伝達能力も重視されていることが分かります。

さらに、1次・2次試験に合格した人は登録申請を行うまでの3年以内に、15日間または8日間×2回の実務補習を受けることが義務付けられています。

実務補習は指定の登録実務補習機関で受講できるほか、中小企業基盤整備機構や中小企業支援センターといった施設でも受講することができます。

これらの試験・実務補習を経て、登録申請を済ませることで中小企業診断士としての資格を得ることができます。




各試験の概要・問題数・合格基準は?

中小企業診断士の試験内容、問題数、合格基準は以下の通りです。これから勉強していく必要のある分野を見通す上での参考にしてください。

1日目	午前	60分	100点	経済学・経済政策	マークシート式
4肢択一式
(一部5肢択一式)	60%以上正解
※40%未満の科目がある場合は全体が不合格となる。
		60分	100点	財務・会計		
	午後	90分	100点	企業経営理論		
		90分	100点	運営管理		
2日目	午前	60分	100点	経営法務		
		60分	100点	経営情報システム		
	午後	90分	100点	中小企業経営・政策		問題	試験時間	満点	問題数・出題形式
事例①	80分	100点	「組織」「マーケティング・流通」「生産・技術」「財務・会計」の4事例から各4〜10問出題。
字数指定の文章記述式問題。
事例②	80分	100点	
事例③	80分	100点	
事例④	80分	100点	
口述試験	10分	1対1の面接形式。
企業の強みや課題について適切な助言を行う。

中小企業診断士の取得難易度・勉強方法

中小企業診断士を取得するメリットや試験内容についてここまでご紹介してきましたが、おそらく多くの人が気になっているのが取得の難易度や勉強方法でしょう。

いわゆる難関資格になると独学では取得が難しく、予備校などに通って集中的にトレーニングしなくてはならない場合もあります。

とくに、同じ国家資格であり、難関として知られる公認会計士や税理士などと比べて難易度はどうであるか、どのぐらいの勉強時間を確保すれば合格ラインが見えてくるかなど、中小企業診断士の資格取得に向けた具体的な対策について確認しておきましょう。




公認会計士など他の資格試験と比べた場合の難易度は?

中小企業診断士の合格率は令和元年度が30.2%、平成30年度が23.5%で、例年およそ10%後半から20%台前後となっています。

受験者のうち3人に1人合格できないわけですから、試験の難易度としては非常に高いことが分かります。

他の国家資格と合格率を比較した場合、税理士や公認会計士よりは合格率がやや高く、司法書士と社労士の間ぐらいに位置する資格と見ることができます。

いずれにしても、こうした難関資格の難易度に匹敵する試験であることに間違いありません。

最初の関門となる1次試験の合格率を科目別に見ると、平成30年度の場合、経済学・経済政策26.4%、運営管理25.8%といった科目は比較的合格率が高いのに対して、財務・会計7.3%、企業経営理論7.1%、経営法務5.1%といった結果から、これらの科目が一次試験突破の明暗を分けていることが分かります。

これまで経営関係や法律系の勉強をしたことのない人はとくに、合格率が低い傾向のある科目を重点的に勉強する必要があります。




中小企業診断士に合格するための勉強時間・勉強方法

資格試験の難易度によっては、数か月あるいは数週間の勉強で合格できてしまうものもありますが、中小企業診断士の科目の幅広さ、難易度を考慮すると、そのような短期間での勉強では合格するのは難しいと言えるでしょう。

実際、中小企業診断士に合格した人の勉強期間は少なくとも1年以上前からであり、長い人では3年以上かけて勉強しているケースも見られるほどです。

年単位での勉強期間が必要になることを見越して、計画的に学習を進める必要があるでしょう。

勉強方法としては、やはり予備校に通学して勉強する人が少なくありません。1次試験の科目が広範囲にわたっていることから、インプットすべき事柄をできるだけ分かりやすく教えてもらえる環境に身を置いたほうが、より確実に合格を目指せるはずです。

ある程度のインプット量が確保できたら、直近3年分の過去問をくり返し解き、時間配分や出題傾向を把握しましょう。

試験当日に最も多い失敗が「時間が足りなくなる」ことです。出題数や難易度はおおよそ毎年固定されていますので、過去問を解いて時間が足りない場合や、合格点に届かない場合は、間違えた箇所を復習して分からなかったところを徹底的に潰していく作業を繰り返すようにしましょう。




独学で中小企業診断士合格を目指せる?

中小企業診断士の試験難易度や合格率から考えると、基本的には予備校などに通って習得を目指すべきレベルの資格と言えます。

しかし、中には完全な独学で合格を獲得する人もいないわけではありませんので、独学で合格を目指すのは「絶対に不可能」というわけではありません。

おすすめの方法としては、まず書店で売られている参考書を数冊買ってみて、ざっと目を通してみましょう。

書かれている内容が理解できそうであれば自力で勉強を進め、必要に応じて通信教育なども併用しながら勉強してみるのです。もし最初の段階で「書かれていることが理解できない」「馴染みのない用語ばかりで読むだけでも時間がかかる」と感じたら、できるだけ早い段階で予備校などの活用を検討することをおすすめします。

独学で進めるか、予備校に通うかについて、もう1つの判断基準としては、勉強期間をどれだけ確保できるかにもよります。

2〜3年またはそれ以上をかけて取得を目指す計画であれば、最初の1〜2年は独学で進めてみてもいいでしょう。しかし、「2年以内に取得したい」など、具体的に期限を切って取り組むのであれば、予備校への通学を検討したほうが確実性は増すと言えます。

まとめ)企業経営を俯瞰できる中小企業診断士は管理職におすすめの資格

中小企業診断士の資格を取得することによって、管理職としての視野が広がり、ステップアップを目指せることは間違いないでしょう。

独占業務のある資格ではないため、中小企業診断士の資格1つで即開業する、といったことは難しいケースもありますが、企業内で活躍するビジネスパーソンがキャリアアップのために検討する資格としては適していると言えます。

今後、私たちの社会はこれまでなかった職業が台頭するなど、産業はますます複雑化・細分化の一途をたどると考えられます。

企業経営に関するスペシャリストの存在はこれからも必要とされ続けていくはずであり、ビジネスパーソンとして必要な専門性を磨いていくことがムダになることはないでしょう。

中小企業診断士の取得を検討している管理職・マネージャーの方は、本記事を参考にしていただき、受験に挑戦するためのきっかけとしていただけたら幸いです。






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