管理職・マネージャーでも副業OK?これから副業を始める人に知ってほしいポイント3点
[最終更新日]2022/12/15
厚生労働省は2016年12月に、副業を原則的に容認すると発表しました。
これは「働き方改革」の一環として行われたもので、背景には「少子高齢化による労働力人口の減少」「長時間労働の是正」「ダイバーシティマネジメントと生産性向上の推進」「オープンイノベーションの推進による企業成長の促進」といった理由があります。
副業を持つことで起業家精神やスキルアップが期待できるほか、経済活性化にもつながると政府は考えていますが、実際に副業が認められている企業はわずか3割といわれています。
そこで今回は、管理職やマネージャーが副業を始めるにあたって、知っておくべきポイントについて、お話しします。
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目次
企業にとって「副業」はマイナスイメージ?
2018年6月にアデコ株式会社は、上場企業に勤務する管理職510名と一般社員500名を対象に「副業・復業の関する調査」を行いました。
その結果、管理職の80%以上が「個人的には副業・複業を認める」としているのに対し、実際に認めている企業は30%程度しかないことがわかったのです。
その背景には、企業にとっては副業を容認することがマイナスになるという認識があるようです。
ここでは、なぜ企業が副業にマイナスイメージを持つのかについて、解説します。
管理職に聞いた「あなたは副業をしたいと思いますか?」
日本人材機構は2018年2月に、「首都圏管理職の就業意識調査」の結果を発表しました。
2017年10月5日から16日の間に、東京都に勤務する課長職以上の管理職1,642人が回答したものです。
その調査では「あなたの会社で副業が許されるとすると、あなたはそれらに取り組むことができますか」という設問が用意されていました。
その中の回答の一つが、下図のグラフとなります。
月に1~2度程度であれば、休日に自分のスキルやノウハウを生かし、地方企業の業務支援をする機会があれば取り組みたいと考える人が、60%にも上ったのです。
これが実現すれば、政府が推進しようとしている「新たな技術の開発」や「オープンイノベーションや企業の手段」「第二の人生の準備」につながるかもしれません。
しかし「副業・兼業と聞いて思い浮かぶもの」という設問し対しては、「アルバイト系」「ネットビジネス」が上位を占めるという結果となっています。
つまり、副業を小遣い稼ぎと考えている人が多いと予想されます。
反対に、7割の企業は「副業を認めていない」
厚労省は政府の方針である「2018年は副業元年」に従って、副業を禁止を規定した「モデル就業規則」を改定し、「労働者は勤務時間外において、他者の業務に従事することができる」と明記しました。
しかし、2018年10月に発表されたリクルートキャリアの調査によると、副業・兼業を容認している企業は28.8%にとどまり、71.2%は禁止したままでした。
そこで、なぜ多くの企業が副業を認めないのか、その理由を説明します。
長時間労働を助長してしまうから
企業が副業を認めない理由の1つ目に、長時間労働を助長してしまうことがあげられます。
リクルートキャリアの調査でも、この理由が全体の44.8%を占め、トップになっていました。
企業としては、退勤後あるいは休日に副業をすることで、社員の総労働時間が増えることを懸念していると考えられます。
その結果、社員の疲労が蓄積することで業務効率が落ちたり、健康管理がしにくくなることを懸念している企業も多いようです。
また社員の労働時間を把握する責任を、本業の企業と副業先の企業のどちらが担うのかという法整備が進んでいないことも、企業側を不安にさせる要因となっていると考えられます。
本業に専念してほしいから
企業が副業を認めない理由の2つ目に、社員には本業に専念してほしいと考えていることがあげられます。
現在、会社員が本業以外の仕事を持つスタイルとして、「副業」「複業」「兼業」の3つがあります。
副業とは、本業以外の業務に携わることで新たなスキルを磨くことです。
複業とは、様々な企業や組織のプロジェクトに参加するという方法で働くことです。
兼業とは、2つ以上の仕事をそれぞれ本業として行うことを指します。
しかし、本業以外の仕事を持つことで通常業務が疎かになったり、機密情報やノウハウの漏えいにつながることを懸念する企業は多いものです。
スキルやキャリアの形成は副業でなくてもできるので、自社の業績にアップのためにも、業務に専念してほしいと考えるのは自然のことといえます。
優秀な人材を他社に引き抜かれてしまいたくない
企業が副業を認めない理由の3つ目に、企業が優秀な人材を他者に引き抜かれることを警戒していることがあげられます。
実際のところ、本業と副業を両立できるのは、優秀な人材が多いものです。
もともと本業の業務責任を果たしても、また余力がある社員だから、副業を行えているからです。
社員が本業に全力を注がずに副業をすることで、自社に見込める利益が減ってしまうと企業が受け止めるのは、不思議なことではありません。
また、優秀な人材であればあるほど、副業先に引き抜かれるリスクも高まります。
自社で育成した優秀な人材を囲い込みたいという企業の本音が、副業禁止を後押ししていると考えられます。
管理職・マネージャーが「副業」を行うメリット
マネージャーなどの管理職の中には、部下の副業に否定的な考えを持つ人もいることでしょう。
しかし、管理職の6割以上は機会があれば、自分自身も副業を行いたいと考えていることも事実です。
そこで、管理職が副業を行うメリットとしてどのようなことがあげられるのか、具体的に紹介したいと思います。
メリット① 収入が増える
管理職が副業を行うメリットの1つ目は、収入が増えることです。
管理職が多い30~50代は家庭を持っている人が多く、子どもがいる場合は教育費がかさむ時期でもあります。
そんな時、本業以外に副業での収入があれば、余裕がある生活が送れます。
また、本業である勤務先の業績不振により一時的に収入が下がる事態に陥っても、副業の収入があればリスクヘッジになります。
収入を得る方法が2つ以上あることで生活が楽になり、それが精神的安定につながる点は、大きなメリットといえるでしょう。
メリット② 自分自身のスキルアップにつながる
管理職が副業を行うメリットの2つ目は、自分自身のスキルアップにつながることです。
一般社員の中には会社に隠れて副業を行うケースもあるようですが、管理職はそういうわけにはいきません。
そのため、勤務先に届け出たうえで、本業とは異なる業種や未経験の分野の仕事に携わることになります。
副業としてアフィリエイトなどネットビジネスを行う管理職が多いですが、ウェブサイトやブログの制作から運営までを自ら経験することで、それまでにない知識とスキルを得ることができます。
また、異業種の仕事でのスキルアップのために勉強したり、これまでにない知識を習得することは、何らかの形で本業にもプラスになるはずです。
メリット③ 転職やリストラが起きた際のリスクヘッジとなる
管理職が副業を行うメリットの3つ目は、倒産やリストラなどが起こった時のリスクヘッジとなることです。
現代は、大手企業に就職すれば倒産やリストラとは無縁といった、甘い世の中ではありません。
年齢の高い管理職は人件費も高く、会社の業績によっては早期退職を促される可能性もあります。
副業を持っていれば本業以外の収入が得られますので、リストラや倒産といった憂き目にあったとしても、気持ちに余裕をもって転職活動に励めます。
また、転職活動においても、本業と副業どちらの業種へもアプローチができるので、応募先の選択肢が増えるというメリットもあります。
管理職・マネージャーが副業をする際に意識しておきたい3つのポイント
管理職やマネージャーであっても副業を持つことは、国が推進していることですので問題はありません。
しかし組織を運営する管理職の場合は、自分の都合だけでなく、企業サイドの観点も忘れずに持つことが大事です。
そのため、管理職自身が副業をするにあたり意識してほしいのが、以下の3つのポイントです。
- 「何のために副業をするのか」目的を明確にする
- 本業の「就業規則」を破っていないか確認する
- 「副業」ではなく「複業」という考え方も
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
「何のために副業を行うのか」目的を明確にする
管理職が副業を行ううえで意識してほしいポイントの1つ目は、「何のために副業を行うのか」という目的を明確にすることです。
本業を持ちながら副業を行う目的はやはり、収入アップでしょう。その背景には、「本業だけでは将来が不安」「今の会社に依存したくない」という理由があることが予想されます。
しかしそれ以外にも、「空いている時間を活用したい」「本業では得られない知識や経験を得たい」「視野を広げたい」「人脈を広げたい」など、本業に還元することを目的とした理由もあるはずです。
自分なりに副業をする目的を明確にし、それが本業に悪影響を及ぼすことがないかを、きちんと見極めることが大切です。
本業の「就業規則」を破っていないか確認する
管理職が副業を行ううえで意識してほしいポイントの2つ目は、就業規則に違反していないかを確認することです。
厚生労働省はモデル就業規則を、「原則副業禁止」から「原則副業容認」に改定しました。
しかし、民間企業の大半はそれを受けて就業規則を改定するという行動には出ていません。
そのため、国が認めていたとしても、勤務先では就業規則違反になる可能性があります。
管理職の場合は特に勤務先に確認することなく副業を始めたことが知られた場合、降格などの処分を受けるかもしれません。
総務部や人事部に確認のうえ、必要があれば届出をしてから副業を始めましょう。
「副業」ではなく「複業」という考え方も
参照: https://www.businessinsider.jp/post-107782
管理職が副業を行ううえで意識してほしいポイントの3つ目は、複業を選択肢に入れることです。
複業については前述しましたが、すべてが本業という概念の中には、それに伴う収入の大小はあまり関係ないようです。
自分のスキルやノウハウが生かせて、果たせる役割があるのなら、複数の仕事に同時並行で関わりますというスタンスだからです。
複業を行う人の多くは、自分が学びたいことややりがいを感じられることが複数あります。
それを諦めることなく両立することで、収入アップにつなげているのです。
自分の資源を最大限に活用し、強みの多様性をつくることで、より活躍の場が広がると予想されます。
まとめ)自分のキャリア形成を念頭に置き、ルールを守って副業しよう
今回は、管理職やマネージャーが副業を始めるにあたって、知っておくべきポイントについて、お話ししました。
この記事のポイントは
- 国は副業を容認しているが、企業の多くは認めていない
- 副業をすることで収入だけでなく、スキルがアップするなどのメリットがある
- 管理職が副業を行う場合は就業規則を確認し、ルール順守を徹底する必要がある
の3つです。 ただし、副業を行う際には本業の業務に支障をきたさないことが前提です。
自分が副業を行う目的を明確にしたうえで、自身のキャリア形成を念頭に置き、将来につながる副業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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