「はじめて採用面接の面接官で不安…」という方向けの、役立ちノウハウ集
[最終更新日]2022/12/15
「次の採用面接の面接官は任せたからよろしく」と、突然やってくる上司からの通達。
今在籍している会社でキャリアを積み、とうとう会社の顔として振る舞うことが求められる面接官を担当することになりましたね。
社会人として確実にステップアップしていることに喜びを感じる一方、面接官なんてどうすれば良いの?と不安を覚えている方も多いでしょう。
面接を受ける相手、そして会社のその後に影響を与える面接官と言う役割はとても大切で難しいものにも関わらず、詳しく手ほどきを受けることもありません。
今回は、そんな「はじめて採用面接を任されることになった」という方のために、面接時の大まかな流れや面接官の持つ役割、見るべきポイント、応募者に対しての質問などを具体的にご紹介します。
<スポンサーリンク>
Index
目次
そもそも面接官とは?求められる役割と心得
社会人として会社に所属して働いているのなら、あなた自身も面接を突破して入社しているはずです。
自分の受けた面接の事を思い返してみると、完璧な受け答えができたと思っていても不採用通知が届いたり、逆にダメだと思っていても採用だと言われたりしたのではないでしょうか。
面接官という役割は、与えられた書類やその場の立ち振舞いを見て応募者の採用・不採用を決めるだけの仕事ではありません。
アンケートによると、「面接官の立ち振舞いや面接時の雰囲気で、入社意欲が左右されたことがある」と答えた求職者がなんと7割以上にも登ります。
面接官は相手を見極めると同時に、応募者に会社を売り込む役割を担っていると言うわけです。
まずは会社が面接官に求める役割、そして面接官としての心得を見ていきましょう。
面接官の役割
「面接官の役割」は大きく分けて2つ。「応募者の見極め」と「会社の売り込み」です。
まず最も大切なことは「応募者の見極め」です。
限られた時間の中で、応募者の人となりを見て一緒に働く中で成長が見込まれる人材かどうか、将来会社の力になり得る人材かどうかを見極める必要があります。
履歴書では知ることのできない応募者の持つ印象、受け答えの仕方、表情、雰囲気などを短い時間ではあるものの対面で感じ取り、会社にふさわしい人材であるかどうかを判断する役割が求められます。
履歴書に書いてある内容は立派であっても実際にお会いしてみるとコミュニケーションが苦手で一緒に働きにくい相手だと感じることもありますし、逆に業界未経験者であってもぜひ採用したいと感じることもあるでしょう。
書類はあくまでも相手の一部で、面接時に感じる印象の方が会社にとっての重要度は高いと言えます。
面接官のもう一つの大きな役割が「会社を売り込む」ことです。
面接官は会社の顔となり得るとても重大な役割。
応募者は面接官の様子から、この会社で働くべきか否か、想像をしていた会社の雰囲気と相違がないかどうかを見ています。
面接官は応募者を見極めるだけが仕事で応募者よりも立場が上、と言う考え方は古い時代のもの。
一昔前は相手のストレス耐性を見るためにわざと答えにくい質問をする「圧迫面接」が存在していましたが、現代で取り入れてしまうとあっと言う間にSNSなどで広がる可能性があります。
会社として良くない噂が広がるのは絶対に避けたいこと。
面接官の態度一つで、有益な人材を逃すことにもなり得るのです。
応募者に会社の良いところを知ってもらい、入社意欲を高めるのも面接官の大切な役割です。
面接官は、どんな点を意識すべき?──面接官の心得
面接官は会社の代表者であると言うことを決して忘れてはいけません。
面接官自信の印象がそのまま会社の印象となるので、身だしなみを整えることはもちろん応募者が話をしやすい雰囲気を作ることも必要です。
面接官と応募者は決して縦の関係ではなく対等な立場だと言うことを心得て面接に望みましょう。
応募者にははっきりと分かりやすい口調で分かりやすい質問をし、答えにくいような質問は極力避けるようにしましょう。
面接中に採用、不採用を決める必要はありませんから、時間いっぱい応募者の良いところを探すようにすると雰囲気の良い面接になります。
求職者はいつどこでクライアントとなるか分かりません。
たとえ今回は不採用となったとしても、会社に良い印象を持ってもらえるように勤めるのが面接官として必要な心構えです。
面接の流れと見るべきポイント
面接官としての大切な役割とその心得を意識しながら、面接の流れと見るべきポイントを押さえていきましょう。
応募者はもちろん緊張しているのですが、面接官であっても初めての仕事に臨む際はやはり緊張してしまいます。
緊張のあまり時間があっと言う間に過ぎてしまい、用意していたはずの質問をしっかり聞けなかったり、相手の希望する職種がはっきり分からなかったりと言う事も起こりがち。
初めての面接と言う大役を果たすにはしっかりとした準備が必要です。
実際の面接の前に全体の流れと見るべきポイント、所要時間などを細かくシュミレーションしておきましょう。
面接の時間は全体で1時間ほどになるように調整すると応募者の緊張も少しほぐれて来て、人となりを掴みやすい良い雰囲気を作りやすくなります。
面接の流れ | ポイント | 所要時間 (1時間) |
---|---|---|
1.挨拶・自己紹介 | 相手の目を見て笑顔で話す 答えやすい簡単な質問で相手の緊張をほぐす | 5分 |
2.会社の説明 | 会社がどのような仕事をしているのかを簡単に説明する どうして求人募集を出しているのか どんな人材を求めているのか 入社した場合の仕事について触れる | 10~15分 |
3.履歴書、職務経歴書を見ながらの質問(会話) | 一方的に質問をするのではなく、相手の話を広げるように意識する 質問は経験、希望、人となりを見ることを意識して行う 履歴書、職務経歴書ばかりを見るのではなく受け答えをする際には必ず顔を上げる | 20分 |
4.応募者からの質問 | 応募者からの質問には最大限丁寧に答えることで会社の印象が良くなる 応募者の不安や疑問を取り除き、入社希望の気持ちを高める 質問内容で応募者の入社への気持ちがどれほどのものか分かることもある | 10~15分 |
5.事務的な確認 | 合否連絡までの日程や方法を明らかにしておくこと 中途採用の場合はいつから勤務可能かの確認も忘れずに行う | 5分 |
1.挨拶・自己紹介
まずは挨拶と自己紹介から始めましょう。
面接という大切な場ですから、応募者は少なからず緊張をしているはずです。
緊張の度合いは人によって異なりますが、自分の理想通りに受け答えができる方は少ないでしょう。
応募者の事を良く知る為にもまずは緊張をほぐすことが大切です。
5分間ほどの短い時間を設けて最初に応募への感謝を伝え、面接を行うあなた自身の名前や役職を伝え応募者自身にも簡単な自己紹介をしてもらいましょう。
その後相手の当日の来社方法や来社までかかった時間、天気の話題など当たり障りなく簡単な会話を行います。
このように相手の緊張をほぐす時間のことを「アイスブレイク」と呼びます。
2.会社の説明
応募者の緊張が少しほぐれて来たら、次は会社の説明に入りましょう。
面接は会社を代表する面接官と応募者との対等な関係の中行われるのが理想です。
最初から応募者を質問攻めにするのではなく、まずは会社のことを良く知ってもらうことが必要になります。
- どのような業務を行っている会社なのか
- どのような経緯で求人募集に至ったのか
- どんな人材を求めているのか
- 入社後はどんな仕事内容になるのか
などをはっきりとさせておくことで、ミスマッチを防ぐことにも繋がります。
特に会社についてと、入社後の仕事内容についての説明はできるだけ丁寧に行うこと。
「調べていて当然」「求人募集に書いてある」と思うかもしれませんが、外側から見る会社の印象と実際に行う業務とは違いがあることもしばしば。
入社後はこのような業務を行って頂きますよ、と伝えることで履歴書や職務経歴書だけでは分からない応募者の経験を聞き出せることもあります。
3.履歴書、職務経歴書を見ながらの質問(会話)
次に履歴書、職務経歴書を見ながら質問を行って行きましょう。
面接の時間で最も大切な部分となるので、質問はポイントを押さえて数多く用意しておくように心がけましょう。
質問内容は
- 志望動機や転職理由などが2割
- 前職場での経験や学んだことなど過去の話が2割
- これから先社会人としてどんな経験をして行きたいのか、どんなスキルを身に着けて行きたいのかなど未来の希望や目標などに焦点を合わせたものが4割
- 相手の人となりが分かりやすい質問を2割
を意識すると応募者の実際の姿が掴みやすくなります。
以下に面接官の質問例を上げるのでぜひ参考にしてみてください。
面接官の質問:例
「当社に興味を持った理由を教えてください。」
「当社でどのような経験、スキルを身に着けたいですか?」
「会社選びで重視していることを教えて下さい。転職を通じて、当社に期待することはどのようなことですか?」
「今までの仕事における成功体験を教えてください。」
「今後、もっと学びたいスキル(技術)はなんですか?」
「仕事をする上でのやりがいはなんですか?」
「仕事を通して「こうなりたい」という目標はありますか?」
「一緒に仕事をする上で、苦手なタイプはどんな人ですか?」
「どんな時にモチベーションが上がりますか?」
「仕事以外でチャレンジしてみたいことはありますか?」
「上司や先輩、同僚(友人)はあなたをどんな人だと評価していましたか?」
過去の職歴や経験なども大切ではありますが、入社後に求めるもの、これから先応募者が会社にとってプラスになる人材であるかどうかが最も重要な要素です。
と同時に一緒に働きやすい人材であるかどうかの見極めも必要。
相手の表情や話し方もしっかりと見るために、できるだけ履歴書や職務経歴書からは目を離し応募者を見ながら質問を行うようにしましょう。
4.応募者からの質問
こちらからの質問が一通り終わったら、応募者に「何か質問はありませんか?」と聞きましょう。
応募者の中には仕事内容に疑問を持つ方も多く、面接をしていても「希望の職種ではないのではないのか」と不安に思っている可能性があります。
応募者の質問に丁寧に答えることでミスマッチを防ぐ事にもなりますし、この会社に入社したいと言う気持ちを高める事にもなり得ます。
また、応募者からの質問内容によっては「会社の事を良く調べているな」と感じることも。
相手の希望度合いを図る意味でもこの質問の時間は必ず設けるようにしましょう。
5.事務的な確認
面接の最後には事務的な確認を必ず行いましょう。
合否連絡までの時間や連絡方法、中途採用やアルバイトの面接の場合は採用となればいつから勤務可能なのかなどをこの最後の時間ですり合わせておきます。
応募者は採用か不採用か分からないまま不安な時間を過ごすことになります。
はっきりと何日までに連絡をします、と伝えるように心がけましょう。
最後にはもう一度面接に足を運んでくれた謝意を伝え、終了となります。
面接の評価は、どこを重点的に見るとよい?
さて、初めての面接が終了したら次は応募者の評価に移ります。
面接の時間は応募者としっかり向き合うことに重点を置き、評価はその後に時間を設けて行うようにしましょう。
とは言うものの、面接の評価はどこに重きを置くべきなのかがまた難しい問題ですよね。
面接の評価は主に4点、
- 志望動機(中途採用者の場合は転職理由)が納得感のあるものか
- スキルと知識のマッチング性
- 社員・職場に馴染めそうか
- 「一緒に働きたい」と思える人柄か
に焦点を当ててみると間違いのない、会社にとって良い人材を採用することができるでしょう。
それぞれのポイントを見ていきましょう。
志望動機(中途採用者の場合は転職理由)が納得感のあるものか
まず質問で最初に聞いた志望動機は納得の行くものであったでしょうか。
応募者が面接で話した志望動機が会社の業務とズレがあった場合、どれほど良い経歴の持ち主であっても入社後にミスマッチが生じる可能性があります。
入社後、継続して働いてくれそうな人材かどうかは志望動機で見極めるしかありません。
また、志望動機がはっきりとしない応募者も高く評価することはできません。
志望動機と業務内容が一致しているかどうかをしっかり見極め、長期に渡って会社に貢献してくれそうな人材を選びましょう。
スキルと知識のマッチング性(スキルマッチ)
続いて考えるべきは応募者の持つスキルや職務経歴書から見る「スキルと知識のマッチング性」です。
応募者が入社した場合に会社の業務を滞りなく行えそうか、持っているスキルを存分に活かして働いてもらえそうかなどを考えて行きましょう。
未経験でも覚えて行けば良い、と言う職種であればスキルは考慮する必要はありませんが会社の業務内容によっては全くの未経験では難しいものも数多くあります。
近年は会社の持つ雰囲気や働き方とマッチするかどうかを重視する「カルチャーマッチ」と言う考え方が技術や経験を重視する「スキルマッチ」よりも重視される傾向にあります。
しかしながら、技術や能力を必要とする業務はまだまだ数多く存在するはず。
特に中途採用の場合は多くの応募者が「過去の経験を活かしたい」と言う希望を持っているため、即戦力として働けるかどうかが重要な見極めポイントになります。
スキルマッチも継続して業務に当たってもらえるかどうかの重要なファクターとなるので軽視することなく評価の対象に含めましょう。
社員・職場に馴染めそうか(カルチャーマッチ)
スキルマッチと対になる「カルチャーマッチ」も評価の対象に含めましょう。
会社の中に既にある「カルチャー」に応募者が適応できるか、共通する部分はあるかどうかをチェックして行きます。
例えば
- 仕事にどのようなものを求めているのか
- どんな環境で働きたいのか
- 仕事のやりがいとは?
などの質問がカルチャーマッチに当たります。
例えば「伝統を重視している」会社に「どんどん新しいことにチャレンジしたい応募者」が入社した場合、会社の持つ「伝統」と言うカルチャー自体にストレスを感じてしまう事になりかねません。
カルチャーマッチとは応募者の持つ仕事への価値観が、会社の持つ価値観とマッチするかどうか。
こちらも良い人材を選ぶために欠かせない要素となります。
あなたにとって、「一緒に働きたい」と思える人柄か
上記3点は面接官として応募者を評価するに当たりとても重要な点。
最後にもう一つ、付け加えて大切な点があります。
それはあなた自身が上司として「この応募者と一緒に働きたいと思えるかどうか」です。
面接をしてみて、相手の持つ印象や雰囲気はどのようなものだったでしょうか。
採用となれば毎日顔を合わせることになりますが、良い関係を築いて行けそうな方だったでしょうか。
これは面接と応募者の相性の問題もありますが、会社の顔として面接官に選ばれたあなたが良い印象を持った相手であればきっと入社後周囲の社員たちとも上手くコミュニケーションを取って行けるでしょう。
「一緒に働きたいかどうか」を採用の重要なポイントとしている会社も少なくありません。
多くの人が共に時間を過ごす会社と言う組織において、人柄は採用に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。
まとめ)ポイントを押さえて良い面接を作り上げよう
今回は初めて面接官となる方に、面接官に求められる役割や心得、面接の流れや質問、さらに評価のポイントなどをご紹介しました。
面接官、と言う重要な役割を会社の期待通りにこなすには事前の準備が必要不可欠です。
面接官も回数を重ねるごとにその腕が磨かれて行きます。
様々な観点から会社にとっても周囲の社員にとってもプラスとなる人材を選びぬくために、しっかりとポイントを押さえシミュレーションを重ねましょう。
<スポンサーリンク>