褒め上手は教え上手?部下や後輩を上手に褒めて、仕事を円滑に進める方法

[最終更新日]2023/11/03

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部下・後輩を上手に褒める方法Thanks!

みなさんは部下を褒めるのは得意でしょうか?苦手でしょうか?

未熟な部下を褒めるタイミングがなく、ついつい良かれと思って注意してばかりという方も多いのではないでしょうか。

よく「褒めて伸ばす」「飴と鞭」と言われるように、褒めるということは部下の成長にとって重要な要素です。

褒めることは単純なことに見えますが意外と難しく、お世辞に見えては逆に士気を下げてしまいます。

それでは上手な褒め方とはどのようなものでしょうか?今回は部下や後輩を上手に褒めるためのポイントについてご紹介します。

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Index

目次

「世の上司たちは、どれだけ褒め上手か?」──部下の視点から確認してみる

マネジメントで有名なカーネギーが著した「人を動かす」という本でも、人を変える九原則の1つとして「まず褒める」ということが挙げられています。

褒めることはマネジメントをする上で不可欠な要素ですが、世の上司たちは部下から褒めることについて、どのような評価を受けているのでしょうか?

20~30代の、上司を持つビジネスパーソン男女に、上司たちが褒めることについてアンケートを集計してみましたのでご紹介します。



「あなたの上司は、あなたのことをよく褒めてくれますか?」の質問に対する、部下達の回答は──

Q.あなたの上司はあなたのことをよく褒めてくれますか?

マネジメントにおいて褒めることは重要だとされていますが、部下のアンケートを見てみると、「褒められる機会は多いと感じている」「適度に褒められる機会がある」と答えたのは62%にとどまり、38%の方が上司から褒められることに対して少ない、もしくは全くないと感じているという結果でした。

褒めることは頻度が全てではありませんが、「適度に褒められる機会がある」と答えられていない以上、褒める回数が少ないということは適切ではないと言えます。

褒めることが部下の士気を高め、また部下の頑張りにきちんと自分が気づいているということでもあるということを考慮すると、褒める頻度の少ない、もしくは全くないと感じる方が38%という数値は多いのではないでしょうか。

どうやら褒める頻度が上手ではない上司の方が5人に2人程度はいるようです。



「あなたの上司は、褒め上手でますか?」の質問に対する、部下達の回答は──

Q.あなたの上司は「褒め上手」ですか?

褒め方として、上司が褒め上手かどうかをアンケート調査したところ、自分の上司が褒めるのが上手いとしたのは56%、褒めるのが下手と感じているのは22%と、褒め方については上手な上司が多いという結果になりました。

もしかしたら褒める頻度が低くても的確に褒めてあげているのなら、部下の満足度も高いかもしれませんね。

部下や後輩を育成するポジションは、技術を伝承し進捗を管理するだけが仕事ではありません。

上手くモチベーションを上げ、仕事を捗らせるように仕向けることも仕事の一環です。褒めることで仕事に対するやりがいを感じさせることができれば、部下・後輩はぐんと成長し上司であるあなたの評価にも繋がるでしょう。

そのため、過半数の方が自分の上司は褒め上手だと感じているような状況である以上、褒めるのが苦手だと感じている方は、上手く褒める技術を習得する必要があると言えます。

上司の「褒め」コミュニケーションに対して、部下達が感じていることは──

上司から褒められる頻度は少ないと感じる方も多いものの、褒め方が上手な上司が多いというアンケート結果をご紹介しました。

それでは具体的にどのような褒め方が上手とされ、どのような褒め方が良くないと感じられているのでしょうか?具体的な回答を元に分析してみましょう。




「褒め上手」な上司を持つ、部下の評価コメント

まなっちさん 女性 30代 高齢者福祉・介護 埼玉県

未経験で介護の仕事に就きました。もちろんまだ右も左も分かりませんので、上司から注意されることもしょっちゅうです。

ですが、利用者の方への私の何気ない声かけひとつひとつもよく見ていてくれて、「あのタイミングで声をかけてあげたのは良かった」と具体的に褒めてくれるのが嬉しいです。



えりさん 女性 30代 事務職 京都府

これまで二人体制でやっていたのですが一人が急に辞めてしまい、代わりの人を見つけるまで私が一人で二人分の仕事をすることになりました。

残業も増えてかなりしんどい事になった時、直属の上司が「仕事を分けよう。みんなに割りふろう。責任を一人で背負うことはない、責任を持つのは俺の仕事だから。しんどい時はすぐに言って欲しい」と言われた時、とても嬉しかったです。

また、「いつも早くしてくれてありがとね」とか「間違いも少ないし助かる」と言ってくれることも多く、忙しいときや疲れたときもその一言で救われた気持ちになることが多いです。



ふうさん 男性 30代 自動車の営業 群馬県

「君がいると仕事が早く終わって良いね」と言われて、すごく嬉しかったですね。

そう言われて、私自身が「人の役に立てているんだ」という実感を持つことができました。これまでは、そんな感覚をあまり持てずに、ただただ仕事をしていましたので。

今まで以上に仕事を頑張ろうと思いましたし、自分の仕事をそこまで評価してくれているんだとすごく嬉しくなりました。もっといっぱい営業を成功させてお客さんをどんどん増やして会社に貢献したいという気持ちも、自然と持つようになりました。

その上司とは、何かと相談に乗ってもらったり、一緒に飲みに行ったりするようにもなって、現在もとても仲良くさせてもらっています。



asaさん 男性 30代 ホテル業サービス 北海道

職業柄お客様と英語で話す機会が多いのですが、私が話す外国語のことで上司は状況ごとに求められる話し方・使うべき語句の評価を詳細に評価してくださり、大抵はあくまで前向きな評価のもと、直した方がいい部分もはっきりと指摘してくださいます。

特にモチベーションが上がった褒め言葉は、「失敗してもいい。むしろたくさん失敗して痛い思いをした方が、あとあと強くなる」という言葉です。
仕事上、英会話の練習をしては業務現場で使っているのですが、時にはお客様との会話が上手くいかず、気まずい思いをして落ち込むこともあります。

そんな時に上司が言ってくださった上記の言葉のおかげで、私が普段失敗して辛い思いを繰り返しているのは正しい道を進んでいるからなのだと気づかせていただきました。
それ以降、仕事での英会話が上手くいかない時もあえてポジティブに考え、失敗を糧に学び続けようという気になれました。

当時の上司の言葉には本当に感謝しております。

いかがでしたでしょうか?「褒め上手」と聞くと難しいイメージがありますが、これらの意見の中から参考にできる共通点をいくつか挙げてみます。



自分の思いをストレートに伝える何気ないこともよく見ていて褒められる励ますような言葉をかける

自分の思いをストレートに伝える

ドラマや漫画であるような、気の利いた言葉をかけなければならないという意識はないでしょうか?

褒め上手な上司の意見として挙げられたのは、どれも自分の気持ちをストレートに伝える言葉です。飾らない言葉で素直な気持ちを伝えるのが良いでしょう。



いつも何気なくやっているようなことをよく見ていて褒める

プロジェクトに成功した時など、何か出来事があった時だけしか褒めていないということはないでしょうか?褒めるというのは特別なことに対してだけではありません。

何気ない行動だけど、役立っている部下の行動があると思います。そんな行動を見つけて褒めてあげましょう。



励ますような言葉をかける

褒めることは時にプレッシャーとなりますが、「責任を一人で背負うことはない」「失敗してもいい」など励ますような言葉が好評でした。

褒める言葉と合わせて使うのがおすすめです。




「褒め下手」な上司を持つ、部下の評価コメント

のあさん 女性 20代 一般事務 兵庫県

語学がある程度出来るということもあって、外国の方のお客様が来られた際に接客をしたり、外国語の資料作成を行っています。

外国の方の接客は実は当初約束していた勤務内容ではなかったのですが、誰も接客しに行かないのでしかたなく私が行っています。ですが、お礼や褒められたことは一度もありません。

おそらく私の上司は、自分が出来ないことを部下にこなされてしまうことが嫌なのでしょう。下手なプライドのせいで、私からの信頼や評価も低くなっています。

あるとき、上司から外国語の資料作成を依頼されて、他の業務も抱えながらなんとかその日のうちに終わらせた(非常に大変でした)のですが、上司からは、「ご苦労さん!またよろしく!」という言葉だけでした。

申し訳ない、本当にありがとうという言葉はなく、ご苦労さん!と言われても嬉しくなく、またよろしくということはまたあるのか‥と憂鬱になりました。



りょうさん 男性 30代 販売 埼玉県

個別面談などの際は、良いこと言うんですよね、うちの上司は。

「期待している」とか、「働きは評価している」とかいろいろ言ってくるんですが、それ以外の日常業務では滅多に褒めたりしません。店舗会議などにおいても注意喚起することはしょっちゅうですが、そこで褒めたり表彰したりすることはありません。

会社全体がそういう体質なので、上司からしてもそれが当たり前になっているようです。

ごくまれに褒めるときはあるんですが、そういうときも、「けどオレはもっとやったよ?」とか、「オレはもっとうまく出来たよ?」といった余計なことを言ってきます。結局、自分の話がしたいためだけの褒め言葉なんだなとわかってげんなりしますね。



バンギさん 男性 30代 公務員 北海道

とにかく、私に対して興味がない。

失敗しても、怒られもしないし、どこが良くなかったか指導されることもなし。
逆に成功案件を取ってきても無反応。

私に対してというか、人間自体に興味がないのかもしれませんね、うちの上司は。

唯一聞いたことのある誉め言葉が、「できてよかった」ですから。
いやそりゃ、仕事だから、できるために頑張るわけですし。もっと言い様はあるんじゃないかと。



symh2さん 女性 20代 金融 東京都

あるとき、とても大変な仕事を上司から頼まれて。
普通にやったら絶対に間に合わない、うまくいかないというものでした。

かなり悩みながら、ああすればこうすればと工夫して頑張ってなんとかその仕事をやり遂げたのですが、そのことについてほとんど評価してもらえませんでした。

それまで、「上司のために頑張ろう」という気持ちがあったのですが、現在は日に日に薄れています。

あと、褒めるのもあまり上手くない。最近は、「さすが○○大学出身!」と言われましたが、そもそも私は学歴で人を評価する考え方が好きではなくて。好感度もかなり下がりました。

褒めるのが下手な上司の意見をご紹介しました。自分に当てはまるところはありましたか?何気ない行動が下手な褒め方だと思われているかもしれません。

挙げられた下手な褒め方の意見の中で、共通するものは以下の通りです。



褒め方に偏りがある結局自分の話をしてしまう温かみがない

褒め方に偏りがある

プライドが邪魔をして、素直に褒めることができていないことはないでしょうか?自分とは切り離して、組織にとって役に立ったのか、個人の成長が見られたのかという視点で評価しましょう。



結局自分の話をしてしまう

相手のことを褒めているつもりが結局は自分の話にはなっていないでしょうか?部下からすると自分のことを踏み台に自慢したかっただけ?と受け取られかねません。相手が主役となるように褒めましょう。



温かみがない

そっけない言葉だけでは、相手に褒めている気持ちが伝わりにくいです。相手を励ますような、温かい言葉をかけるようにしましょう。

褒め上手な上司になるために、大切なポイント4点!

褒め上手・褒め下手な意見を実際に見てみると、なんとなくこんな風にすれば良いのかなというイメージが浮かんだのではないでしょうか?

しかし「わかるとできるは違う」と言うように、実際にやってみようとすると案外難しいと思われます。そこで段階を踏みながら、着実に褒め上手となれるポイントをご紹介します。

まずは興味・関心を持つ相手がポジティブになる言葉を探求する大切なのは「やる気」と「達成感」ポジティブフィードバックを習慣化する
  • まずは興味・関心を持つことから
  • 相手がポジティブに反応する言葉を探求する
  • 大切なことは、「喜ばせる」ことよりも「やる気」と「達成感」を養わせること
  • ポジティブフィードバックをサイクル化(習慣化)する

それぞれ、順を追って見ていきましょう。




まずは興味・関心を持つことから

多くの方が部下や後輩に興味・関心を持たれていると思います。しかし実は人そのものではなく、部下や後輩が上げた成果にしか目が行っていないということはないでしょうか?

「無事にプレゼンが終わって良かった」「なんとか決算がまとまって良かった」ということばかり意識して、その成果を上げるために頑張った部下や後輩を褒めていない、なんてこともあるかもしれません。

成果だけではなく、成果を上げるために努力した部分も普段から意識するようにしましょう。

また褒めようと意識するあまり、うわべだけの褒め方になってしまうのもよくありません。

部下や後輩がどんなことを頑張っていて、どんなことが役立っているのかを意識すると、本心からの褒め言葉が出てくるでしょう。普段から興味・関心を持つように意識することが褒め上手の第一歩です。




相手がポジティブに反応する言葉を探求する

人によって嬉しい言葉はそれぞれ異なります。「またよろしく!」という言葉が「また任せてもらえるなんて嬉しい!」と感じる人もいれば、「またこんなことをやらされるなんて」とネガティブに捉える方もいます。

部下・後輩が何に興味があり、どんなことにやりがいを感じているのかを、普段からよく観察しておきましょう。褒め方を考えるときの参考となります。

また褒めた後に相手がどのようなリアクションをするのかまでしっかり見るということも重要です。自分では褒めたつもりでも、相手の反応が微妙であれば相手にとっては誉め言葉として受け取られていないかもしれません。

言いっぱなしで自己満足してしまわないように、相手の反応まで確認しましょう。

相手が喜ぶ誉め言葉を探るためには、褒め方のバリエーションが必要となります。アンケートの中で高評価だった上司の褒め方を以下に抜粋しましたので、褒めるときの参考にしてみてください。



参考:アンケートで、上司からの誉め言葉で「ポジティブになれた」というコメント抜粋

  • 信じているから好きなようにやってみてごらん。
  • あなただったらどこに働きに行っても通用する。大丈夫。
  • 出来るようになったんだね。頑張ってるね。
  • この仕事を、君と一緒にやりたいと思っているんだ。
  • いつも見てるけど、本当によくやってくれている。
  • 君がいてくれて助かったよ。
  • 君がいると職場が明るくなるし、いないと困るよ。
  • 失敗してもいい。むしろたくさん失敗して痛い思いをした方が、あとあと君が強くなる。
  • 君は将来会社を引っ張っていくような存在になるだろうな。
  • 実力や知識は充分あるから、もっと自信を持って。



大切なことは「喜ばせる」よりも「やる気」と「達成感」を養わせること 【クリエイティブ・テンション】

部下は上司の指示・指導にどんな感情を持って受け止めるか?クリエイティブテンション(創造的緊張)エモーショナルテンション(感情的緊張)

褒めることの最終目標は部下・後輩を喜ばせることではなく、モチベーションを上げることです。そこで、褒めることでクリエイティブ・テンションを起こさせるようにすることがおすすめです。

クリエイティブ・テンション
自分のありたい姿と現状の差から、より理想に近づこうとするエネルギーを生み出すという考え方

この気持ちを上手く起こすことができれば、やる気や達成意識を持たせやすいというメリットがあります。
上手く活用すれば、部下・後輩はより成長スピードを速めるでしょう。

一方で理想と現実とのギャップはエモーショナル・テンションを起こさせる時もあります。

エモーショナル・テンション
理想と現実の差をネガティブに捉えてしまい、不安な気持ちが生じてしまうという考え方

プレッシャーとなるような誉め言葉は、エモーショナル・テンションを起こす可能性があります。エモーショナル・テンションはやらされ感を持ってしまうので気を付けましょう。




ポジティブフィードバックをサイクル化(習慣化)する

参考:成功の循環モデル

①「関係の質」相互理解があり、尊重しあっている②「思考の質」互いに助け合う思考アイデアの共有③「行動の質」自発的な挑戦や助け合う行動が生まれる④「結果の質」売上や成績が向上する⑤「関係の質」更に組織の関係性が良くなる

※「成功の循環モデル」マサチューセッツ工科大学のMITの元教授、Daniel Kim氏の提唱による



まずは成功へと繋がる循環モデルについてご説明します。

最初に組織内での信頼関係を作ることから始まります。信頼関係があれば助け合う考えが自然と生まれ、重要な情報が共有されます。

このように考えを組織内で共有することでより質の高いアイディアが生まれ、その結果行動の質も上がることとなります。すると最終的には良い結果に繋がるというサイクルです。

この循環モデルの特徴は、まずはお互いの信頼関係から始まるところです。
お互いに尊重し合う関係でなければ助け合うこともできず、組織として成果を出すことは困難でしょう。

この信頼関係を構築する基本となるのが「褒める」ことです。褒めることで部下は「自分の頑張りが認められている」と感じ、上司を信頼することに繋がります。

また上司も部下がいかに頑張っているかを実感でき、信頼を強めることとなるでしょう。褒めることは成果を出すためには欠かせない要素です。

まとめ)褒め上手はマネジメント上手の第一歩

何歳になっても褒められるのは嬉しいように、褒められることは人にポジティブな影響を与えるものです。

ささいな褒め言葉が実はその人の助けとなっていたり、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちに繋がっていたりします。

一方で自分では褒めているつもりでも相手に上手く伝わっていない場合もあります。

せっかく声をかけているつもりが、相手にとって違う捉え方をされてはマイナスに働いてしまいます。

相手の反応をよく見る、普段から相手のやる気の元はどんなことか等に注目するようにし、相手に上手く伝わるように意識しましょう。

褒めることによるモチベーション管理はマネジメント上手の第一歩です。褒め上手を目指しましょう。

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