女性の上司が、男性の部下と上手にコミュニケーションを取るための3つの方法
[最終更新日]2023/11/03
近年女性の管理職は増えてきているものの、日本は12%(2018年)とG7で最下位の位置にあり、女性管理職はまだまだマイノリティだと言えます。
職場で女性管理職は自分1人しかいないという場合も珍しくなく、同じ悩みを共有できる人がおらず悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
特に「男性の部下とうまくコミュニケーションがとれない」という悩みは、男性管理職とは共有しづらい悩みだと思われます。男女分け隔てなく接しようとしていても、やはり異性とうまく距離感を保ちながらコミュニケーションをとるのは難しいですよね。
今回は女性上司が部下の男性を苦手に感じてしまう理由の分析に加え、男性の部下視点での考え方やコミュニケーションする上での対処法についてご紹介します。
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Index
目次
女性上司が男性部下との関係性を「苦手」に感じる理由
男性部下とのコミュニケーションが苦手な理由を「異性だから」という答えにしてしまっては、対処は困難となります。
接しやすい男性部下と苦手に感じてしまう男性部下との差は何でしょうか?まずは苦手に感じてしまう男性部下の要素を徹底的に分析してみましょう。
女性上司が苦手に思う、男性部下の3つのタイプ
タイプ1 プライドが高い
やんわり指摘するも伝わらないのでストレートに言ってみたところ、モチベーションを下げてしまったり機嫌が悪くなってしまったりするようなタイプの男性部下です。
男性は女性より「察する」ことが苦手と言われています。
女性だと伝わるような言い方であっても男性だと上手く伝わらず、ストレートに伝えると相手のプライドを傷つけてしまい関係が悪化してしまう、というパターンが多く見られます。
エリート志向の男性や今までに挫折や失敗を経験してこなかった男性に多いです。
タイプ2 自分に対するライバル心が強い
「女性比率を高めるために昇進したに過ぎない」「自分こそそのポジションになるべきだったのに」と考え、女性上司の実力を認めずライバル視するタイプの男性部下です。
女性より男性の方が昇進を重要視することが多いことから、男性部下に多く見られます。チームの一員として接してくれず何かと敵意むき出しな態度に、コミュニケーションがとりづらいと苦手に感じる方が多いです。
女性でもこのようにライバル心の強い人はいますが、男性だと恐怖心を感じ委縮してしまうこともあります。年上部下の男性や女性を軽視する男性に多い傾向があります。
タイプ3 仕事を真面目にこなさない
実力はあるのにチェックしてみると実は全然仕事に取り組んでいなかった、など仕事を真面目にこなさないタイプの男性部下です。
「なんとかなるだろう」と楽観的に考える、「こんなこと気づかないだろう」と高を括っている、「女性上司は優しいから手を抜いても大丈夫」と上司によって態度を変えるなど様々な要因が考えられますが、「女性上司を軽視している」ことが共通点として挙げられます。
関係性を崩すことを恐れ上手く注意できない女性が苦手とする傾向にあります。
反対に、男性部下はどのように感じているのか
一方で男性部下は女性上司をどのように感じているのでしょうか?
2018年にエン・ジャパンがミドル世代を対象とした転職サイトにてアンケート形式で「女性上司・年下上司に対する考え」についての調査を実施し、以下の結果を公表しています。
回答者には女性も含まれており、年下上司に対する意見も含まれてはいますが、参考にできる部分もあるのでご紹介します。
女性・年下上司との関係性が「スムーズだった」理由
理由 | 全体 | 40代以上 | 40代未満 |
---|---|---|---|
年齢や性別で判断しないと決めている | 27% | 27% | 32% |
上司が柔軟性に優れていた | 17% | 16% | 21% |
上司が謙虚な人柄だった | 15% | 15% | 11% |
上司のコミュニケーションがうまかった | 12% | 11% | 14% |
上司が能力的に明らかに優れていた | 10% | 9% | 11% |
上司が周囲の意見を取り入れることに優れていた | 9% | 9% | 7% |
自分の部下力が優れている | 3% | 4% | 0% |
上司の実績が優れていた | 3% | 3% | 0% |
その他 | 5% | 5% | 4% |
女性・年下上司との関係性が「やりにくかった」理由
理由 | 全体 | 40代以上 | 40代未満 |
---|---|---|---|
上司の実力不足 | 29% | 27% | 39% |
上司の肩肘張っているような態度 | 19% | 20% | 11% |
上司の経験不足 | 11% | 11% | 11% |
上司なのに遠慮しすぎていた | 6% | 6% | 6% |
どう接していいかわからなかった | 5% | 5% | 6% |
自分自身、どうしても偏見を持ってしまっていた | 4% | 5% | 0% |
自分に部下力がなかった | 3% | 2% | 11% |
その他 | 23% | 24% | 17% |
「女性・年下上司との関係性がやりにくかった理由」では、上司としての資質が問われる理由がトップ3を占めています。女性管理職が近年ようやく現れ始めたことを考慮すると、女性上司は経験が浅い方が多いことが想定されます。
それでは実力や経験があれば関係性はスムーズになるのでしょうか?
「女性・年下上司との関係性がスムーズだった理由」では、「上司が能力的に明らかに優れていた」を抑え4位に「上司のコミュニケーションがうまかった」がランクインしていることを考慮すると、スムーズである理由は実力というよりも上司の対人力に関するものが大きいと考えられます。
仕事のスキルや経験を重視してはいないけれども、コミュニケーションがうまくいかない故に実力や経験の不足が目立っているという見方が可能です。
原因は「性差による考え方や行動の違い」
性別は関係ないという意見もありますが、女性上司が苦手とする男性部下の例でも「男性に敵意むき出しにされると恐い」など、性別が異なることで起こる弊害もあります。
性別が異なると生物学的・社会的背景の違いから、考え方や行動が異なることを理解することが重要です。
例えば脳科学上女性はマルチタスクが得意とされています。
女性からすると簡単にできることも、男性からすると難しく感じることもあります。文化的な違いとしては家庭での位置づけが挙げられます。主夫や共働きが増えているとはいえ、子供が熱を出し早退することに「管理職なら仕事を優先するべきだ」と感じる男性もいます。
このような性差による違いをお互い理解していないことが、コミュニケーションがうまくいかない一因となっていると言えるでしょう。ステレオタイプとして捉えることはよくないですが、まずはこうした違いを理解することが重要です。
男性部下とのコミュニケーションで「NG」なもの
男女には生物学的・文化的に考え方や行動に違いがあり、お互いその違いを理解していないことが一因となってコミュニケーションが上手くいかないということを前項にてご紹介しました。続いては女性が無意識のうちにしてしまっている、男性部下とのコミュニケーションで陥りやすい以下3つのNG例をご紹介します。
- 仕事への重圧を、部下にぶつけてしまう
- 部下の仕事の「結果」だけを見て評価してしまう
- 仕事に対して「完璧主義」で、細かなところまで部下に意見をしがち
仕事への重圧を、部下にぶつけてしまう
女性管理職は割合が会社での数値目標とされていたり、会社のロールモデルとされたりなど、大きな期待が寄せられる一方で、その期待を重圧に感じてしまう方もいるのではないでしょうか?
女性管理職は少数派であることが多く、悩みを誰かと共有できずストレスがたまってしまうことが多いです。
また女性は生物学的に感情的になりやすい傾向があるため、ついつい部下にきつく当たってしまうこともあるかもしれません。しかしその重圧の背景を知らない部下は、ヒステリーを起こされたと感じてしまうでしょう。
まずは生物学的に女性が感情的になりやすいということを意識することが重要です。
自分は今感情的になっているかもしれない、とちょっと立ち止まって考えることを習慣づけるのもおすすめです。
また少数派、経験が浅い、過度な重圧がかけられている、などそんな環境で頑張っている自分を認めてあげましょう。
「まだまだ努力が足りない」と考えてしまうとどんどん余裕がなくなってしまいます。過酷な環境での自分の頑張りを認めると心にゆとりが持てるでしょう。
部下の仕事の「結果」だけを見て評価してしまう
「自分は数少ない女性管理職として頑張らないと!」と意気込むあまり、仕事の結果を出すことばかりを重視してしまってはいないでしょうか?
もちろん管理職である以上、チームをまとめて結果に繋げることが要求されますが、結果が全てではありません。以前と比べた時の部下の伸び率を評価してあげることも管理職としては重要です。
「今回は惜しくもプレゼン採用されなかったけれども、前と比べると〇〇がかなりよくできてたよ」など、プロセスを評価してあげることで部下のモチベーションにも繋がります。
このプロセスをほめるという行為は、結果が出た部下に対しても有効です。
結果ばかりをほめていると、「自分の評価にも繋がるからそれは嬉しいだろうな」とうがった見方をされる可能性もあります。「〇〇という結果が出たのは〇〇を頑張っていたからだね」というふうにプロセスをほめることができれば、結果だけでなく普段の頑張りもチェックされているのだと部下も思うようになるでしょう。
「完璧主義」で、細かなところまで部下に意見をしがち
管理職研修で講師を務める太田氏 によると、管理職としての希望に対し、男性管理職は「自分のビジョンを実現したい」という意見が多い一方で、女性管理職は「部下を育てたい」という意見が多いとのことです。
また女性は生物学上マルチタスクが得意なので、視野が広く様々なことに気づきやすいとされています。これらの特徴が合わさり自分では完璧主義のつもりでなくても、ついつい細かいところまで部下に注意をしてはいないでしょうか?
「宿題をやろうと思っていたけれど、親から言われるとやる気が出なくなった」という経験はありませんか?人は強く言われすぎると逆にそのことをやりたくなくなってしまう習性があります 。
自分では相手のために注意しているつもりでも、逆にやる気を削いでいる可能性があります。また先回りして注意しすぎると本人の成長にならない場合もあります。リカバリーできる範囲なら、注意せず見守ることも部下の成長に繋がると心得ましょう。
男性部下とのコミュニケーションを円滑にする3つの方法
男性部下が苦手とはいえ、性別関わりなくチームの一員としてこれからも関係性を築かなくてはなりません。また性別分け隔てなく部下とコミュニケーションをとることは、自分の成長に必ず繋がるでしょう。
そこで男性部下とのコミュニケーションを円滑にする以下3つの方法についてご紹介します。
- 男女で行動や考え方の違いがあることを理解する
- ストレートな表現・物言いを避ける
- 「自信」「決断力」を持って仕事をする
男女で行動や考え方の違いがあることを理解する
ステレオタイプとして判断するのは良くないことですが、男女に違いがあることを理解すると「自分とは考え方が違うのだ」と納得する手助けとなります。
生物学的・社会的背景の違いから男女で考え方や行動に違いがあることを理解することが重要です。以下の特徴が挙げられます。
例えば女性は横の関係を重視する傾向にあるので、上下関係があったとしても意見を聞いたり共感したりすることを重要視します。
一方で男性は縦の関係を重視する傾向にあるので、責任の所在や任せる仕事の範囲を決めてドライに仕事をした方が上手くいきやすいです。
女性上司からすると冷たく感じてしまうかもしれませんが、男女の捉える傾向の違いを理解しておくと納得できますよね。全ての特徴が全員に当てはまるわけではないですが、これはどうしてなのだろう?と理解が難しい時に役立つでしょう。
ストレートな表現を避ける
恋愛コラムなどで「察してほしいではわからない」という男性の意見を見たことはないでしょうか?男性は女性より「察する」のが苦手だと言われています。それならストレートに伝えれば良いと思ってしまいますが、実はそうでもありません。
男性は仕事において上昇志向が強い傾向にあります。たまに上昇志向が強く昇進することに固執し、仕事での成果や社内の人間関係に敏感な、いわゆる「プライドが高い」「敵意むき出しな」部下もいます。
このような部下はストレートな表現だと「恥をかいてしまった」「どうしてそこまで言われるんだ」と感じてしまい、モチベーションを下げてしまうことになります。そんな部下に注意する時は以下のことを意識するのがおすすめです。
- 「〇〇ができていなかった」など否定的な意見を「△△すればもっとよかった」とアドバイスに変える
- 部下が頑張っていた部分とセットにして伝える
同じ内容の話でも相手に与える印象を変えることができます。「不足部分の指摘」ではなく「的確なアドバイス」が良好なコミュニケーションの秘訣です。
「自信」「決断力」を持って仕事をする
注意する、残業を依頼するなど、管理職は部下に疎まれるような役割をしなければならないこともあります。
しかし躊躇するうちに上手く指示ができず、部下に頼りないと感じられているかもしれません。
実際「女性・年下上司との関係性がやりにくかった理由」の4位は「上司なのに遠慮しすぎていた」が挙げられています。
このように上手く指示ができない理由には、女性は調和を重んじる傾向にある、管理職としての経験が浅いなど様々な理由がありますが、「自分に自信が持てない」方が多いのではないでしょうか?
女性は実力があっても自己を過小評価してしまう「インポスター症候群」 になりやすい傾向にあるとされています。
もしかすると自分を過小評価してはいないでしょうか?謙虚な姿勢は大事ですが、上手くマネジメントできなければ本末転倒ですよね。
資質があるからこそ管理職に選ばれ、それは自分の努力によるものだと自分を認めてあげるところから始めましょう。
世の中成功するとわかっていることなんてほとんどありません。時には思い切りよく仕事をやってみることもおすすめします。
まとめ)相手の背景や考え方を尊重しよう
異性とのコミュニケーションは文化的・生物学的な違いがあることから、同性よりも難しく感じることは当然のことです。
しかしそこで「苦手だから」とつっぱねる訳にはいきません。管理職は苦手な人も好きな人も全員をマネジメントしなければなりません。
苦手という感情をなくすことはできませんが、苦手なりに対処するということが重要です。
相手がなぜ苦手な行動をするのか突き詰めていくと、大事にするものや体の構造などから自分とは違う考え方になったのだと理解できると思います。
そうすると「次回からはこのようにお願いしてみよう」「こんな考え方もあると伝えてみよう」など改善することもでき、違いがあったとしても深く理解することで対処できることもあります。
苦手な人の行為だけでなく、背景や考え方について考えてみるように習慣づけるようにしてみましょう。
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