上司からの心に響いたひと言:「そんなに悩んで辞めようかと思ってたことに気づけなかったなんて……俺は店長失格だな」
[最終更新日]2022/12/15
「そんなに悩んで辞めようかと思ってたことに気づけなかったなんて……俺は店長失格だな」
シュンさん(男性 35歳)
- 職業
- アパレル店店長
- 職種
- サービス・接客
- 年収
- 非公開
- 従業員規模
- 非公開
- 地域
- 東京都
Index
目次
憧れの場所に就職。だけど……
大学を卒業後に、アパレル店の契約社員として働き始めました。
学生時代から接客の経験はありましたが、アパレル業界は初めてのことでした。
同じ業種でも、扱うものが違うだけでこんなにも仕事にも違いがあるんだなぁ、と
働き始めた当初は、その違いに呆然としました。
実はアパレル店で働くのは長年の夢でした。
契約社員ということで、給与的には不安定な部分もありましたが、
憧れの場所で働けるなら、ということで、そこは我慢して入社したのです。
一番のギャップは、自分が想像していた以上に「おしゃれ」な現場だったことです。
私も見た目にはそれなりに気を遣っているつもりではいたのですが、
一緒に働く同僚たちの、オシャレなこと。
- 私
-
(あれ? もしかして私って、場違い?)
そんな不安が、日に日に膨らんでいったほどです。
ファッションセンスに関しては、努力以上に感覚的な部分もあると思います。
もしかしたら自分には向いていない職業なんじゃないかというのが、一番の悩みでしたね。
まるで「頼れるお兄ちゃん」のような。
店長は30代後半の男性でした。
名前はシュンさん(仮名)と言います。
私とはちょうど一回り年齢が離れていたのですが、
誰に対しても分け隔てなく接してくれること、
気配りがとても上手なことなどから、
店員には皆、好かれていました。
私も「優しいお兄ちゃん」的な存在で、慕っていました。
ただ、とにかく責任感の強い人なので、
時々、いろいろなものを背負いすぎているのでは?
と心配になったりもします。
お客様とのトラブル。
入社から半年ほどが経ったころでしょうか?
私がお客様とトラブルを起こしてしまったのです。
そのお客様が
- お客様
-
「私に似合う服をコーディネートしてよ」
と言ってきたため、不安はありましたが、真摯に対応しました。
しかし、私のコーディネートがお気に召さなかったようで、
そのお客様は怒り出してしまったのです。
すぐにシュンさんが出てきて、事なきを得ましたが、
私としては、以前からの不安に拍車をかけるような出来事でしたから、
きっと、すごく落ち込んでいるように周りからも見えていたのだと思います。
- シュンさん
-
「大丈夫? ちょっと話そうか」
そこでの話し合いで、私はかねてより自分がこの仕事に向いていないんじゃないかと思っていたこと、
洗いざらいシュンさんにお話ししました。
- シュンさん
-
「一つ聞きたいんだけど、仕事は楽しい?」
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忘れられない、あのひと言。
- 私
-
「もちろん。だって、ずっと憧れていた職場でしたし」
- シュンさん
-
「それが聞けて安心した」
シュンさんは続けて、
- シュンさん
-
「失敗や不安なんて誰にでもあるよ。俺だっていまだにあるもん。それ以上に、そんなに悩んで辞めようかと思ってたことに気づけなかったなんて……俺は店長失格だな」
その一言は、決して私を責めるものではありませんでした。
むしろ、色々と抱え込みすぎてしまうがゆえの、シュンさんの言葉だと分かりました。
それだけに、私の心にも突き刺さりました。
「その人にとっての天職って、いったい何なんだろう?」と。
今後、私が目指したいこと。
そのお店は、その後も契約満了まで勤め上げました。
シュンさんの言葉が、私に続けていくきっかけを与えてくれたのです。
天職は、そんなに簡単に見つかるものじゃない。
だからこそ、好きな仕事なら、続けていくべきだと。
契約を終えてからも私は、別のアパレル店で働いています。
シュンさんとも、退職した今も、当時の同僚とともに食事会に呼んだりしています。
私もいつか、シュンさんみたいな上司になりたいと思います。
自分のかけた言葉が、誰かの心を軽くしてあげられるのなら、ぜひそうしてあげたい。
そんな誠意を失わずに、これからも働いていきたいです。
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