私の管理職体験談:「接待」は、本当に必要なもの?──とある飲み会を経験して、感じたこと
[最終更新日]2022/12/15

「大事にしてくれるんだな」と思ってもらえること。
今年30歳になります。
最近転職をして、今は現場寄りの仕事をしています。
それまで、数年間メーカー系の会社の営業所長代理の仕事をしていました。
管理職としてのポジションを離れた今、はじめてその仕事の意義や大切さを感じることもあります。
──ですが、今振り返ってみやっぱり大変でしたね笑。
「部下を持つ」というのがこんなに大変とは思わなかった。
部下を持たなかった時までは、まあ自分が担当のところだけ見ていれば良かったですからね。
部下の数値の責任も自分が取ることになるし、上司からはやれ「なんで達成できないの?」であったり、「なんでこんな風になっちゃうの?」であったり、ことあるごとに説明責任を求められます。
部下に任せたはずのお客さんがこっちに頼ってきてしまえば、うまく部下の方に行かせるように誘導して、それでいてその部下は部下でよく悩みよく落ち込んで笑。そっちのフォローもしなくてはいけなかったりと。
大変だけど、もちろんやりがいもあります。
部下と深い信頼関係を築けたときや、部下が結果を出せたときは、やっぱり嬉しいですし。
もしまた管理職を任されることがあったら、──どうでしょうね笑。
少し悩んで、そのあとはきっと、前向きに受け入れるんじゃないかな。
ムラさん(男性 30歳)
- 職業
- 産業系メーカー
- 職種
- 営業
- 年収
- 非公開
- 従業員規模
- 500名
- 地域
- 大阪府
Index
目次
当時の管理職としての、私の働き方

当時、管理職といってもまあ、下に部下が2人いるくらいで。田舎の営業所でしたので、そんなに大所帯という訳ではなく、こじんまりとした職場でした。
主な業務は「ルート営業」で、以前から懇意にしてもらっているお客さまにお話を聴きに行って、そこで需要があるようだったら提案して──。
お客さまの数はそれなりにあって、それでいて営業に回る人手も限られていましたので、忙しい日も多かったですね。
特に、管理職になってからは部下のお客さまの相手もしなくてはいけなかったりと、やることも増えて。残業も多くなりました。
土地柄か、接待の機会も多かったですね。
月に数回の飲み会、そして3か月に1回はやや形式ばった懇親会が催されました。
とある飲み会に、新人の女性を連れていくことになって

去年の7月頃のことです。 私の元に、新人の女の子が入ってきて。素直で、かつ可愛らしい感じの子でした。
いくつかの顧客を彼女に担当させることになり、ちょうどその中のとあるお客さまから、「近々飲みましょう」と言われていました。
そのお客さまは、うちの営業所でも特に大口のお客さまで、もちろん飲みの誘いを断るわけにはいきません。新しい担当を紹介する良い機会にもなるだろうと、私と新人の子と、そして私の上司の3人で、飲み会に参加することとなりました。
◇ ◇ ◇
飲み会の当日、上司から、
- 上司
-
-
「今日の飲みなんだけど、ちょっと注意してほしいことがあって」
と改まって言われて。
何かと思ったら、今日の飲み会のお客さまがかなりの「女好き」だと。
以前に飲みの席に女性社員を連れていったら執拗なくらいベタベタしてきたというのです。
つまり、新人の子が同じ目に合わないかを心配しているとのことでした。
──なんで、当日になるまでそれを言わなかったんだ?…と思いましたが、それを今言っても始まりません。また、先方にはもう「新しい担当を紹介します」と伝えていますので、今さら参加者を減らすわけにもいかず。
私は、上司と相談して、まず「そのお客さまの隣に新人の子を座らせないこと」、そして「お客さまが新人の子をロックオンしだしたら、話題を変えて気をそらすこと」といった作戦を立てました。
そして、新人の子にも正直に今日会うお客様にて、過去の飲み会にどんなことがあったのかを伝え、重々注意するように言いました。
その子は
- 新人女性
-
-
「そうなんですね。分かりました」
と軽い感じで応えてくれて。
私もまあ、そんなに大ごとにはならないだろうと思い、いざ飲み会の場に向かいました。
飲み会の席で起きたこと。そこで私が感じたこと。

飲みの席でのお客様の新人の子への執拗なアプローチは、私の想像のかなり斜め上を行くものでした。
席を離したものの開始してすぐに「席替えしよう」と発案され、当然のごとく新人の子を隣に座らせ、プライベートな質問を繰り返し、挙句の果てにはボディタッチもしはじめる始末。──もう誰が何と言おうと、完全な「セクハラ」でした。
その度に私が割ってお酒を注いだり、上司が別の話題にすり替えたり、さりげなく席を交換したり…。
新人の子も、うまくお客様に話を合わせながらも明らかに「これはおかしい」という表情を浮かべて。
普段とってもお世話になっているお客様とはいえ、なんとも落ち着かない、いやな気分にもなりました。
立場を利用すると、人はこうも図々しく本能の赴くままに行動するのかと。
そして、新人の子は、これをきっかけに会社に嫌気がさして辞めてしまうのではないかという不安も感じ、何よりもこういう展開を読めずにいた私は、上司としてどうなのかと。
2時間という短い時間でしたが、非常に長く感じて。
こんなに酔えない酒の席は、本当にはじめてでした。
「接待」とはなにか。本当に必要なものなのか。

翌日、私は新人の子に「昨日は大変だったね」という労りの意と、それから配属早々不快な想いをさせてしまったら大変申し訳ないということを伝えました。
その子は、
- 新人女性
-
-
「いえ。…でも、『なるほど…、こういうことか』と思いましたね。色々気を遣っていただき、ありがとうございました」
そう言ってくれました。
でも、なんとなくその軽い返答では流せないしこりのようなものが、きっとその子にあるような気がしたんですよね。──特に根拠があるわけではないですが、なんとなく、そう思ったんです。
それから、私はこういう仕事での「お酒の場」について、よくよく考えるようになりました。
酒の席だと、人は気持ちがおおらかになって仲良くなりやすい、いろんな話をきけやすい──それも良く分かります。
でも、そういった酒の席でのコミュニケーションを、若い人はだんだん好まなくなっていますよね。理由もなく避けているのではなく、彼女彼らはまた違う価値観をもっているからでしょう。
このときの飲み会以降、私は部下に飲みの席に強制的に誘うことを辞めました。 飲み会は、行きたい時に行けばよい。それでコミュニケーションの機会が減ったとしても、ほかのところで挽回すれば良いわけですから。
私のその行動が本当に正しいかどうかは分かりません。
ただ、数か月経ってその新人の女の子とちょっとした話になって、
- 新人女性
-
-
「今の環境は、とても恵まれていると思っています」
と言ってくれたことがあって。救われたというか、嬉しかったですね。
私にとっての管理職は

管理職とはどういう役割か。 きっと、いろんな答えがあるんでしょう。
わたし個人的には、管理職とは「部下を導いて、働きやすくなるように接してやる」存在であるべきと思います。
部下は、いつまでも自分のチームにいるとは限りません。将来、自分から離れることになったときに、そこで困ることがないように育ててあげることが大切だろうと。
そこで言うと、地方の営業所というのはいわば「閉ざされた空間」なんですよね。あまり周りの情報が入ってこない。
少し前に「いつか本社に行きたい」と言っていた部下がいて。でも、自分が本社に行って通用するのか、とても不安がっていました。
だから私は、その部下がいつ本社に行っても困らないようにと、本社業務で求められる知識やスキルについて一から教えてあげることにしたんですね。
そうしたら、実際その子が本社に行くことになって。それからしばらくして、本社にいる知人から
- 知人
-
-
「あの子、即戦力として活躍しているよ」
という話を聴いて、「ああ、管理職とはつまりこういう役割なんだな」と思いました。
◇ ◇ ◇
さて、私の話はこれでおしまいです。
少しでも参考になってくれれば、嬉しいのですが…。
もしかしたら、現在管理職になっていて、もしくはこれから管理職になることが予定されていて、不安を感じている人もいるかもしれませんね。
ひとつ言えるのは、「自分本位」でなくて「部下本位」で考えていれば、意外になんとかなるものなんじゃないかな、と。
そうすると、部下の方が自律的に動いてくれるようになります。
例えば、部下の長所を見極めて、そのうえで「こういう風にやればうまくいくよ」等アドバイスしてあげると、部下も「大事にしてくれるんだな」と思ってくれる。
そういうコミュニケーションを積み重ねていくことが、管理職としての大切な働きかけだろうと、私は思っています。
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