管理職体験談:部下に「リストラ」を告げなくてはならなくて……。社会人人生で最も辛かった一日。
[最終更新日]2022/12/15
現在、私は会社で企業向け損害保険・生命保険の営業をしております。
管理職としてはかれこれ15年経過しています。
波乗りとうちゃんさん(男性 49歳)
- 職業
- 保険会社
- 職種
- 営業
- 年収
- 800万円
- 従業員規模
- 70人
- 地域
- 東京都
Index
目次
管理職としての私の仕事。
管理職になる前は、自分の担当企業に対してのみ営業をしていればよかったのですが、管理職となってからは顧客に対する営業というよりも部内の若い営業担当者の指導役としてのウエイトの方が大きくなっています。
もともと私は、人と接する事が好きな性格ですので、部下育成という仕事にもとてもやりがいを感じています。
学生時代も部活のキャプテンを務めたりもして、人を指導することは性格的にもとても合っていると自認していたほどです。
管理職になる前は、そうしたマネジャー的な仕事に就く上司たちの姿に憧れを抱いており、
私も早くマネジャーとしてふさわしい能力を身につけ、会社の役に立つ仕事ができるようになりたいと思っていました。
誰か一人を選び「もう席は無いよ」と言わなければいけなくなって。
管理職になってから辛かった出来事は、社内のリストラ宣告を担当しなければならなくなったことです。
部内におけるリストラの候補者、その理由などを短期間でまとめあげレポートを出します。
その内容について上層部と綿密な打ち合わせを行い、承認が出たあと、リストラを敢行しました。
リストラの対象になった社員には私からその旨を伝えたのですが、候補者を選ぶのも、宣告するのも本当に胸が痛みました。
リストラを告げた相手は入社7年目の男性社員で、新入社員の頃、私が教育を担当した者です。
彼はとても不器用な所があり、私の指導にもついてこれない所が当時からありました。
けれども私は、ひょっとしたら彼が能力を発揮出来なかったのは、私の指導力不足によるものではないかという思いに至ったのです。
ただ、リストラの実施は会社の命令です。これに逆らう事は出来ません。
ですので私は一人の部下のリストラ実施と同時に、取引先など、彼の再就職先を一緒に探したのです。
幸い、彼を引き受けてくれる取引先があり、そこでの待遇はそれまでの給与水準などと全く遜色がなく、彼は喜んで転職をして行きました。
悲しみをバネに。
この出来事があってから、二度と自分の部下からリストラの対象になるような人材は出すまいと、それまで以上に部下の能力向上に向けて指導を強化することにしました。
単に口先で指導するのではなく、実際に自分がやってみせ、具体的なソリューションを部下に提示するようにしたのです。
それを繰り返していると、まるでロープレを体験しているようになり、明らかに部下の営業能力は上がってくるようになりました。
その結果、私の部署は社内でもトップクラスの営業実績を上げられるようにまでなりました。
このことはとても嬉しい事でした。
社内での私の評価も上がりましたし、この部署に異動したいという希望もかなり増えたと聞きます。
一方でやはり、もっと早くから部下に対する指導を強化していれば、一人の部下をリストラの憂き目に遭わせずに済んだのに、とも思います。
けれども、その部下も転職した先で頑張り、とても良い営業成績を上げていると風の便りで聞きました。
一度、転職先の彼の上司とお会いする機会が有ったのですが、その時は「良い人材を紹介していただいた」と喜んでいました。
その事で私はある程度、心が救われました。
ただ、彼に対してはやはり私がもっと指導をきちんとしていれば、今も一緒に仕事をすることが出来ていたのではと思い、複雑な心境です。
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私が思う、管理職の姿。
この出来事を通して私は、管理職とは「部下の人生を背負って仕事をしなければならない存在」だと認識するようになりました。
単に自分がそれまで培ってきた仕事のノウハウを部下に提供するのではなく、自分たちが仕事を頑張れば、その後どのようなポジションに上がる事が出来るのか、ひいては会社が発展すれば社会にどれだけ貢献できてそれが仕事のやりがいに繋がるのだという事を具体的に示してあげる必要性を感じています。
最近の若い社員は、ただ単に「仕事を一生懸命に取り組む」という指導の仕方では全く心に響きません。
より具体的な将来のビジョンを示してあげる必要があります。
転職の需要も高まり、勤めて数年で辞めていってしまう新入社員も多いと聞きます。
それはひとえに、管理職が具体的な将来のビジョンを見せてあげる事が出来ていないのが原因だと私は思っています。
ですから私は、管理職として部下の人生に全面的な責任を持って接するべきだと考えております。
今後、私が目指したいこと。
世の中では「名ばかり管理職」が多すぎると思います。
管理職とは部下が気持ちよく仕事を行い、彼らの能力を伸ばせる環境を作ること、その結果として会社や社会の発展に貢献するものだと私は思っています。
そのために「管理職業務とは何か」という事を常に考えて取り組んでいく必要があると思うのです。
今後取り組んでみたいことは、管理職として若い人たちに自分の将来のビジョンを見せてあげられるような仕事をしたいと考えています。
その取り組みを通して、会社の離職率を低減し、社員がみんな幸せになれるような会社づくりにチャレンジして行きたいと考えているのです。
かなり大きな目標だとは思いますが、私なりの社会への貢献のしかたです。
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