「決めるのが、苦手」──という人が、 仕事やプライベートで適切な意思決定ができるようになる手引き

[最終更新日]2023/11/06

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決められない…からは、もう卒業。意思決定の手引き

皆さんの中に、こんな傾向のある人はいませんか?

・優柔不断なほうだ
・大事なところで物事を決められない
・自分の決断にあまり自信を持てないv

——こうした傾向のある人は、もしかしたら自分の「決められない」性格を直したい、どうにかしたいと感じたことがあるかもしれません。

実際、仕事でもプライベートでも、自分の意思で物事を判断して決める必要がある場面は多々あります。そんな場面に出くわすたびに「即決できる人がうらやましい」「もっと自信を持って決められるようになりたい」と思っていないでしょうか?

この記事では、決めるのが苦手と感じている人が、適切に意思決定できるようになるにはどんな考え方をしたらいいのかを解説しています。「決められる」自分に変わりたい!という人は、ぜひ参考にしてください。

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Index

目次

「決めるのが苦手」という人は、実はかなり多い

自分は決めるのが苦手だ・・・と感じている人は、「自分はとくに」決められない性格だ、と思い込んでいないでしょうか。実際、他の人はどう感じているのでしょう。社会人5年目以上の人に「自身が【苦手】とする働きかけ」についてヒアリングしたところ、次のような結果になりました。

参考:社会人5年目以上の方の、「自身が【苦手】とする働きかけ」n=200 2019年 自社調べ

「率先力」・「決断力」をもって、チームを導いていく「アイデア」・「発想」・「創意工夫」で、自身と周囲の行動を活性していくこれから先、未来に起きることを「先読み」し、「周到な手配・準備」を行う「達成志向」と「行動力」を武器に、メンバーを導いていく相手の納得と共感を得る為の、適切な「コミュニケーション」を発信していく「知識・知恵」または「知的好奇心」をもって、環境を切り開いていく「課題」を「創出・分析」し、解決のための「思考」を積み上げていく「俯瞰」した、かつ「複数の視点」から状況を捉え、物事を適切に進めていく「慎重さ」・「繊細さ」をもって、チーム・メンバーの活動を変えていく「協調」・「調和」を大切にし、メンバーの協働を促していく

最も多かった回答は「率先力」「決断力」をもってチームを導くことで、実に6割以上の人が苦手意識を持っていることが分かります。

この調査結果を見て、どのように感じますか?案外、みんな「決める」ことが苦手なんだな、と思ったのではないでしょうか。

では、「率先力」「決断力」に苦手意識を持っている人は、具体的にどんな場面でそう感じているのでしょうか。

同アンケートにおける、「率先力・決断力をもって導いていく」を苦手とした人のコメント(抜粋)

20代男性 医療・福祉

独断で判断して動く事が、昔から苦手でした。自分でもかなり優柔不断な所があると思っていて、例えばあることを決めなくてはいけないときも『相手が嫌な思いをしていたらどうしよう』と思ってしまい判断ができなくなってしまうことも良くあります

30代女性 サービス業

昔から決断することが苦手で、仕事においても何かを決める時に上司に相談しないと不安になってしまうことが多いです

40代男性 食品製造業

職場の人間関係や仕事のバランスを重視するあまり、リスクに対して臆病になってしまい、本来の自分の意見や行動を抑制してしまう傾向があります

20代女性 農林水産業

相手より先に立って何かを行うというところは、小さい頃から苦手でした。 重要な意思決定となると迷いが出てしまって、決断することができなかったり、非常に時間がかかってしまったりします

いかがでしょうか・・・?どこか自分と重なるものを感じた人もいるはずです。
自分で決めることによって、

  • 周囲にどう思われるか気になる
  • 誰かの判断や考えを聞きたくなる
  • 和を乱したくない
  • 自分が先陣を切らなくてはならない

と感じてしまう人は案外多いのです。

いま、「決められない」自分に自信を持てずにいる人も、自分だけがそうではないことをまず知ってください。

世の中の6割以上の人には「決められない」傾向があるのです。決められない傾向がある人は、決して一部の少数派などではないのです。

苦手意識はそのままにしておくと、もっと苦手になる?

決めることが苦手という自覚がある人ほど、決断を迫られる場面を意図的に避けていたり、他の誰かに判断を委ねてしまったりと、「決める」ことから逃げてしまう傾向があります。

では、決めることへの苦手意識をそのまま放っておいてもいいものなのでしょうか——?

実は、かなり高い確率で「苦手なことは今後ますます苦手に」なります。ある程度苦手なことを「ある程度」のレベルで維持しておくことは案外難しいことです。

たいてい、何もしていないつもりでも気がついたときには「以前よりさらに苦手」「どうしようもなく苦手」な状況になっているのです。

なぜ、「決める」ことへの苦手意識をそのままにしておくと、もっと苦手になってしまうのでしょうか。その原因と対策方法について考えてみましょう。




苦手意識の強い方にしっておきたい、「マタイ効果」について

「富める者はますます富み、奪われる者はますます奪われる」
新約聖書マタイ伝13章12節

豊かな者はさらに富を得て豊かになり、貧しい者はさらに奪われて貧しくなっていく——。マタイ伝の言葉は、まるで世の中のある一面を言い表しているかのようです。

この言葉は、「得意」「苦手」に置き換えて考えることもできます。得意なことをするとき、多くの人は力を発揮しやすいため良い結果を得やすいのに対して、苦手なことに取り組むときは苦手意識が先立ってしまいがちです。

そのため、苦手なものを避けようとして挑戦する機会を逸したり、周囲からマイナスな印象を持たれたりした経験から、さらに苦手意識が強まってしまいやすいのです。

参考:自身の「苦手意識」が、より顕著になっていく状態

「苦手意識が強まる」ネガティブスパイラル周囲からのマイナス印象苦手意識苦手なものを避けようという意識(行動量の低下)経験・スキルの停滞

決めるのが苦手という人は、決めることに苦手意識を持っていること自体が、このネガティブスパイラルに陥る原因となっている可能性があります。

たとえば、こんな傾向が自分にあるように感じたことはありませんか?

  • 決断すべき状況から逃れたいと思う
  • 自分だけで決めなくていいように他の人に同意を求めたい
  • できれば他の誰かが代わりに決めてほしい
  • 迷う余地がない物事のほうがラクだ

もし思い当たる節があるようなら、もしかしたらすでに「苦手」を避けるスパイラルに突入しかけているのかもしれません。




マタイ効果の負の連鎖を断ち切るには、まずは「避けようとする意識」を自覚することが大切

マタイ効果のネガティブスパイラルから脱却するための最も良い方法は、苦手意識をなくして自分で決めることです。しかし、もともと決めるのが苦手な人ほど、ある日突然「よし、今日から自分で決めよう」と気持ちを一変させるのは難しいはずです。

そこで、苦手意識を少しずつ和らげていくためにも、段階を踏んでいきましょう。

最初のステップとして、「いま、自分は決めることを避けようとした」と感じ取れるようになることです。まだ具体的な行動レベルでは変えなくていいので、まずは「避けようとする意識」を自覚することから始めるのです。

「避けようとする意識」を自覚していくにつれて、自分がどのような場面で決断から逃げてしまいやすいのか、傾向が分かってくるはずです。

これを繰り返していくことで、決断を避けがちな場面に遭遇するたびに「決めたくない気持ちになりやすい場面だ」と自覚できるようになり、自分の気持ちを先回りしてコントロールしやすくなっていくのです。

決断力・判断力を養っていく際に、意識したいポイント4点

小さな決断・判断を習慣化する 「判断軸」を持つ 「マトリックス」の思考法を活用する 中朝的な「時間軸」で考える

ここぞ、というところで重要な決断を下せる判断力を身につけるには、どうしたらいいのでしょうか。

今まで「決める」ことが苦手だった人が、ある日を境に突然決められるようになる、という魔法のようなノウハウはありません。はじめは小さなことから徐々に決断・判断するトレーニングを積んでいき、しだいに大きな決断が必要な場面でもひるまない自分を築いていく必要があります。

そのために意識しておきたい4つのポイントをまとめてみました。

  • 小さな決断・判断をふんだんに行う習慣を意識する
  • 「判断軸」を持つ
  • 「マトリックス」の思考法を活用する
  • 現在のことだけでなく、中長期的な「時間軸」で考えることを意識する

それぞれ、順を追って見ていきましょう。




小さな決断・判断をふんだんに行う習慣を意識する

たとえば、今日の昼食や夕食に食べるものを自分で選べるとしましょう。誰かと一緒に食事をするとして、「何を食べようか?」と聞かれたとき、どんな答え方をすることが多いでしょうか?

つい、「何でもいいよ」と言っていませんか?

食べるものを自分で決める——。

たったそれだけのこと?と思うかもしれませんが、実はこれも立派な「決断」です。

自分の考えや意見をもって「今日は○○にしない?」と自分から提案してみるのです。このような小さな決断・判断を行う習慣を日常的に習慣化していくことで、しだいに大きな決断や重要な判断をしなくてはならない場面でも人に頼ったり流されたりすることなく、自分の意見をもって決めることができるようになっていきます。

自分で決めるのが苦手な人の中には、相手の気持ちを考えて遠慮してしまうタイプの人もいるかもしれません。

しかし、案外多くの人が「決めてくれたほうがラク」と感じているものです。あまり自己主張が強すぎるのも良くありませんが、自分の意見を表明することでかえって好印象になることもあるのです。




「判断軸」を持つ

判断軸の例誰から見ても「公正」で「公平」か 合理性・納得性があるか あとで「適切な判断だった」と満足できるか 周囲の人々に「プラスの影響」を与えられるか

決めるのが苦手な人によくあるパターンとして、「その場の判断に頼りすぎている」ことが少なくありません。

人の感情はとても複雑なものですので、常に首尾一貫して同じ判断を下せる人などほとんどいません。そのときの感情の状態などのタイミングしだいで、「こっちも良さそう。でも、これも良さそうだ」と迷ってしまうのが自然な姿なのです。

では、決断する上でなるべく「ブレない」ようにし、自信を持って決めるにはどうしたらいいのでしょうか。

解決策の1つは、「判断軸を持つ」ということです。自分が何を基準に判断を下すのか、あらかじめ決めておくのです。自分の中で優先したいこと、譲れないこと、とくに強く求めていること、そして「これだけはやりたくない」こと——。

判断軸の例

  • その判断は、誰から見ても「公正」で「公平」か
  • その判断は、合理性があり、他の人から見ても納得性があるか
  • あとから振り返ったとき、自分が「適切な判断をしたと満足」できるか
  • その判断が、どれだけ周囲の人々に「プラスの影響」を与えられるか

こうした判断軸を持っておくことで、決断に迷いそうなときに自分の中でジャッジするのに役立ちます。いろいろな判断軸を考えているうちに、自分が本当に求めていることが見えてくるかもしれません。




「マトリックス」の思考法を活用する

決断・判断を下す場合、たいていは複数の迷う要素があり、その中から1つに絞っていく作業が必要になります。

このとき、どのような要素があるのか、何が選択肢を分けているのか、といったことが整理されていないと、ひたすらぐるぐると考え続け、悩んでしまう原因になりやすいものです。

こうした状況を回避し、すっきりと思考を整理するために役立つのがマトリックスの思考法です。

マトリックスの例(判断軸を「効果」「コスト」「時間」にした場合)

期待できる効果 コスト(費用) 必要とする時間
選択肢A
選択肢B ×
選択肢C

上の図では、横軸に「効果」「コスト」「時間」という3つの要素が並んでいます。

これらの切り口から見た場合、縦軸に書かれている選択肢A〜Cがそれぞれどの点において優れた効果を生み出しそうであるのかが、すっきりと整理されて見やすくなっています。

  • 効果はBが最も高いが、時間がかかりすぎる
  • Cはどの観点から見てもいまいち
  • Aは効果・コスト・時間のバランスが取れている

こうした評価結果から、客観的に見てバランス型の判断が功を奏すると思えばAを、効果を最優先したいのならBを選べばいいことが分かります。

このように、縦軸に決断候補を挙げておき、横軸に判断軸を入れた状態で判断することで、決断候補それぞれの特徴が浮き彫りになり、決断を下すときの根拠になるのです。




現在のことだけでなく、中長期的な「時間軸」で考えることを意識する

物事を決断するとき、たいていは「この決断をしたら、どんな結果になるか」を考えるはずです。

この「結果」とは、目先のことを指しているケースが少なくありません。そのため、当面のメリットや分かりやすい恩恵を実感できるような結論に走りがちです。端的に言えば「安易な決断に走りやすい」のが人間なのです。

そこで意識しておきたいのが、今現在の「点」の視点ではなく、過去や未来にも目を向けた視野の持ち方です。

4つの視点分析過去1)「何が起きたか」2)「なぜ起きたか」未来3)「何が起きるか」4)「その為に何をすべきか」

上の図では、過去から現在、そして未来へと向かう時間軸を1本の矢印で捉えています。

今のことだけでなく、過去の事例から学んだり、今後どうあるべきかに思いを馳せたりすることで、より広い視野で決断を下すことができるようになります。また、見た目上の現象や特徴だけでなく、そこからさらに深堀りしていくことで抽象度を高め、物事の本質に迫っていきましょう。

過去と未来、そして表層と深掘り——。これらの4つの視点をもって物事を分析することで、一見すると複雑で決められないように思えることであっても「結局、どうしていきたいのか?」「本質的にはどうあるべきなのか?」という視点が生まれ、一気に視界が開けていくこともあるのです。

私の事例 ──「撤退」を決断した日

私が「撤退」を決めた日。

この記事を書いている私がこれまでに下した大きな決断と言えば、決して自慢できるようなことではありません。ただ、私にとって重要な決断だったことに間違いはないので、もし参考になればと思い紹介させていただきます。

私はある一時期、保険代理店を開業したことがあります。より正確に言えば、開業と呼べるレベルに達しないまま「撤退」したのです。

その頃、私には妙な自信がありました。今思えば若気の至りだったのでしょう。たとえ会社を辞めても自分はやっていける人間だと信じていました。そんな折、保険代理店の開業広告を目にし、さっそく保険会社から資料を取り寄せました。

夢のような成功事例がいくつも紹介されていました。保険代理店は顧客からの手数料が収入になるため、一定数の契約者を抱えてしまえば毎月安定した収入が見込めるのです。私は当時の同僚や上司に「独立するために会社を退職する」と大々的に公言し、本当に会社を辞めてしまいました。

知り合いの伝手をたどれば、開業初月からすぐに契約が取れるはずだ——。そう思っていたのですが、いざ営業活動を始めてみると想像をはるかに超えた厳しい現実が待っていました。

古くからの親友だと思っていた人でさえ、「なんでまた、保険屋を始めたんだ?」「お前らしくないぞ」と言って、保険については話すら聞いてくれませんでした。その他の知人については、・・・言わずもがなの反応でした。

鳴かず飛ばずの状況は続き、わずか数件の契約を取っただけで半年近くが経ってしまいました。開業初年度に最低限確保すべきノルマにも届かない恐れが出てきたとき、「廃業」の2文字が頭をよぎったのです。

わずか半年余り。あんなに大々的に公言して会社を辞めたのに——。恥ずかしくてたまりませんでした。それでも、人から言われて決めたわけではなく、自分で撤退という決断を下したからこそ、これから新たなスタートを切る覚悟が固まったのだと思います。

決めることが得意・不得意を考える余裕すらなく、無我夢中でした。大きな決断とは、案外そういうものなのかもしれません。

まとめ)「決めるのが苦手」は変えられる

決めるのが苦手な人は、決して少なくありません。だからと言って、決められないのは持って生まれた性格で、今後も変えられないかと言えば、決してそんなことはありません。

具体的な方法論を知り、意識すること。そして、毎日少しずつでもいいので、自分で決める場面を意識的に作り、習慣化していくこと。この積み重ねによって、「決めるのが苦手」は変えられるはずです。

前述のように、いきなり仕事などの大事な局面で決断することに挑戦しなくてもいいのです。

日常のちょっとした場面で小さな決断を下すトレーニングを実践してみましょう。たとえ小さな一歩でも、その積み重ねが「決められる自分」へとつながっていくのです。

ぜひ、小さな決断で日々前進していってください。
——さて、今日のあなたは何を「決断」しますか?

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