「復讐の虚しさ」を描いた映画おすすめ10選
[最終更新日]2023/03/11
ある日、あなた自身や、あなたの大切な人が傷つけられてしまったら、あなたは相手のことを許すことができるでしょうか?
フリードリヒ・ニーチェは著作「ツァラトゥストラはかく語りき」の中で、「人間が復讐心から開放されること。これがわたしにとって最高の希望、長い嵐のあとにかかる虹である」という言葉を残しています。
しかし、「復讐心からの開放」とは、どの段階を指しているのでしょうか。
このテーマはこれまでにも数多くの映画で語られてきました。
今回は「復讐の虚しさ」を描いた作品を10本ご紹介します。
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Index
目次
- 1)『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年/アメリカ/157分)
- 2)『悪魔を見た』(2010年/韓国/144分)
- 3)『狼の死刑宣告』(2007年/アメリカ/106分)
- 4)『ミスミソウ』(2017年/日本/114分)
- 5)『女は二度決断する』(2017年/ドイツ/106分)
- 6)『ブルー・リベンジ』(2013年/アメリカ・フランス/91分)
- 7)『ストレイ・ドッグ』(2018年/アメリカ/121分)
- 8)『嘆きのピエタ』(2012年/韓国/104分)
- 9)『ナイチンゲール』(2018年/オーストラリア・カナダ・アメリカ/136分)
- 10)『その夜の侍』(2012年/日本/119分)
- 映画の視聴にはVODサービスがおすすめ
- まとめ)復讐からの開放とは、「赦す」こと。
1)『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年/アメリカ/157分)
【あらすじ】
狩猟中に熊に襲われ、瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス。狩猟チームメンバーのジョン・フィッツジェラルドは、そんなグラスを足手まといだと置き去りにし、反抗したグラスの息子も殺してしまう。グラスは、フィッツジェラルドへの復讐心だけを糧に、厳しい大自然の中を生き延びていく。
復讐を終えた先には何が待っているのか
本作『レヴェナント:蘇えりし者』は、19世紀初頭のアメリカにて、クマに襲われて瀕死の重傷を負いながらも、その後自力で生き延びた男ヒュー・グラスの実話を基にしたサバイバル映画です。
とはいえ、「クマに襲われ瀕死の重傷を負う」という物語の起点より先は映画的な肉付けがされており、大自然の驚異を背景に、「殺された息子の復讐」という要素を取り入れています。
主人公のヒュー・グラスを演じるのはレオナルド・ディカプリオ。本作で悲願のアカデミー主演男優賞を受賞しました。
そして、彼の敵役となる男・フィッツジェラルド役を、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のマックス役でも知られるトム・ハーディが、マックスとはまた異なる野蛮さを体現し、復讐物語にリアリティを与えています。
本作では自然の雄大な景色がいくつも登場しますが、いずれの場面も照明等の映像処理を用いず、自然光のみで撮影されていることも大きな特徴です。
生の自然をフィルムに刻み付けることにより、自然の猛威が、個人の「復讐」すらも飲み込んでしまう。
ついにフィッツジェラルドの姿を捉えたヒュー・グラスが、最後に下した決断こそが、本作の持つテーマを明らかにさせます。
レヴェナント:蘇えりし者
調査日:2021/06/24
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2)『悪魔を見た』(2010年/韓国/144分)
【あらすじ】
残忍な連続殺人犯ギョンチョルに婚約者を惨殺された国家情報院捜査官スヒョン。復しゅうの鬼と化したスヒョンは、犯人に婚約者と同じ苦しみを与えるべく、執ようなまでに追いつめていく。
出口なき「復讐」に終わりはあるのか
韓国映画『悪魔を見た』は、ある凄惨な殺人シーンから幕を開けます。
イ・ビョンホン演じる捜査官のスヒョンの婚約者が、連続殺人犯ギョンチョルの手によって殺害される。スヒョンは、電話口で殺されていく婚約者の声を聞くことしかできなかった。
それから復讐の鬼と化したスヒョンは、ギョンチョルの居場所を突き止め襲い掛かるも、その息の根を止める寸前で思いとどまります。
「これでは死んだ被害者たちの痛みを味わわせることなく、ギョンチョルを楽にさせてしまうことになる」
そう思ったスヒョンは、ギョンチョルに瀕死の重傷を与えたうえで、解放します。
以降、ギョンチョルが再び犯行を重ねようとすると現場へ駆けつけ、死ぬ寸前まで痛みを与え、また解放するという行為を繰り返すスヒョン。
彼の復讐の「終わり」を、鮮烈な暴力描写で淡々と描いていく作劇は、最早ギョンチョル以上に残酷な仕打ちを行っていくスヒョンの視点を保つことで、善悪の境界すらも曖昧にさせていきます。
悪魔を見た
調査日:2021/06/24
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3)『狼の死刑宣告』(2007年/アメリカ/106分)
【あらすじ】
家族と幸せな生活を送っていた平凡なビジネマンのヒュームは、ある日、目の前で息子のブレンダンを不良少年に惨殺されてしまう。心の傷も癒えぬまま裁判を迎えたヒュームだったが、納得のいく刑罰が与えられないことを知り、自らの手で息子の仇を打つこと決める。
街のダニども、全員死刑に処す
平凡なビジネスマンの男が、ある日を境に「復讐の連鎖」に巻き込まれてしまう様を描いたのが、ジェームズ・ワン監督の『狼の死刑宣告』です。
目の前で息子を殺されたヒュームは、法の裁きを受けなかった犯人へ復讐を誓います。
本作でのヒュームの復讐は、序盤で果たされることとなります。
この『狼の死刑宣告』は、そこからの「復讐が復讐を呼ぶ虚しさ」をテーマにしています。
ヒュームが仇を討った少年は、ギャングメンバーの弟であり、ヒュームは復讐者から一転して「復讐される側」へと追い込まれてしまうのです。
ジェームズ・ワン監督は大ヒットホラーシリーズ『SAW』や『死霊館』を手掛けており、『狼の死刑宣告』もまた、単純な復讐アクション映画に陥らず、どこまでも「暴力の恐ろしさ」を追求した作品になっています。
血で血を洗う闘いへと期せずして身を投じていくこととなるヒューム。果たして彼の運命は――。
狼の死刑宣告
調査日:2021/06/24
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4)『ミスミソウ』(2017年/日本/114分)
【あらすじ】
東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、学校で「部外者」扱いされ、陰惨ないじめを受けることに。春花は唯一の味方であるクラスメイトの相場晄を心の支えに、なんとか耐えていたが、いじめはエスカレートしていくばかり。やがて事態は春花の家が激しい炎に包まれ、春花の家族が焼死するまでに発展。春花の心はついに崩壊し、壮絶な復讐が開始される。
抑圧された暴力の発露
「ハイスコアガール」などの作品で知られる漫画家・押切蓮介の原作を映画化した『ミスミソウ』。
原作は鬱漫画との呼び声も高く、実写化の壁は高いと思われていましたが、本作は一部のセリフやシーンも含め、極めて原作に忠実な造りとなっています。
東京から田舎の中学校へ転校してきた春花。閉鎖的なコミュニティに馴染むことができず、彼女はすぐにイジメのターゲットにされてしまう。
『ミスミソウ』は、この苛烈なイジメ描写を入念に描いていきます。
加減を知らない暴力はやがて、春花の家族を殺すまでに発展してしまいます。
すべてを失った春花は、同級生たちへ復讐を誓う。
子供が子供を殺害するというセンセーショナルな内容ですが、暴力を逃げずに徹底して描き切ったことによって、本作は「人を傷つけることの無意味さ」を映像で説くことに成功しています。
観る人を選ぶ作品ではありますが、とても重要なテーマを扱った作品と言えるでしょう。
ミスミソウ
調査日:2021/06/24
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5)『女は二度決断する』(2017年/ドイツ/106分)
【あらすじ】
ドイツ、ハンブルグ。トルコ移民のヌーリと結婚したカティヤは幸せな家庭を築いていたが、ある日、白昼に起こった爆発事件に巻き込まれ、ヌーリと息子のロッコが犠牲になってしまう。警察は当初、トルコ人同士の抗争を疑っていたが、やがて人種差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明。愛する家族を奪われたカティヤは、憎しみと絶望を抱えてさまようが……。
すべてを失った彼女が、二度目に下した決断とは
ある男女の幸せな日常を綴るホームビデオ映像で幕を開ける本作。トルコ移民の夫とドイツ人の妻、一人の息子。そんな3人の生活はある日爆弾テロによって一瞬で崩れてしまう。
悲しみに暮れる妻の日常を描いた後、犯人の人種差別主義者たちへの復讐を密かに決意するところから、物語も動き出します。
妻カティヤは事件当日、犯行現場の近くで不審な女性を見かけたことを思い出し、彼女こそが夫と息子の命を奪った犯人だと訴えるも、トルコ移民であり、服役経験もある夫の経歴を見て、警察は夫が何者かから恨まれていたのではないかと疑いの目を持ちます。
死してなお、尊厳を損なわれる夫のために、彼女は孤独な闘いに挑みます。
「人種」による人間同士の軋轢に重きを置いた本作は、『女は二度決断する』という印象的なタイトルを持ちます。一度目は爆弾テロの犯人に罪を償わせようと奮起した瞬間。では、二度目は…?
ラストで明かされるカティヤの二度目の決断を目にした時、心を強く揺さぶられるとともに、「自分だったら何ができるか」を考えずにはいられないでしょう。
女は二度決断する
調査日:2021/06/24
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6)『ブルー・リベンジ』(2013年/アメリカ・フランス/91分)
【あらすじ】
ボロボロの青いセダンに寝泊まりするホームレスの男ドワイトは、ある日、顔見知りの警官から警察署に呼び出され、かつて自分の両親を殺した男が刑期満了を前に釈放されることを知らされる。ドワイトは復讐心だけを胸に、たったひとりで犯人のもとへと青いセダンを走らせる。
「復讐」だけが、彼の生きる目的だった
かつて両親を殺され、現在はホームレスとして生活している主人公が、犯人の出所を知り復讐へ向かう様を描いた『ブルー・リベンジ』は、先述した『狼の処刑宣告』と似た物語構成でありながら、また異なった作家性を持つ作品です。
主人公は序盤で復讐を果たすものの、今度はその家族から命を狙われることとなる。
『狼の死刑宣告』は追う者から追われる者となった主人公の姿をホラー的な演出を駆使してスリリングに描いていたのに対し、本作の主人公はどこか起こる出来事すべてに対して無気力なのが特徴です。
それは主人公自身が、「こんなことをしても何も報われない」ということが分かっていながらも、もはやそれだけが生きる目的となっていた「復讐」へ向け行動するしかない虚しさを抱えているからに他なりません。
シンプルなストーリーですが、物語から極力無駄な要素を削ぎ落すことで「復讐」という行為を哲学的に解体してみせた傑作です。
ブルー・リベンジ
調査日:2021/06/24
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7)『ストレイ・ドッグ』(2018年/アメリカ/121分)
【あらすじ】
ロサンゼルス市警の女性刑事エリン・ベルは、酒におぼれ、同僚や別れた夫、16歳の娘からも疎まれる人生を送っている。17年前、FBI捜査官クリスとともに犯罪組織に潜入捜査をしていたエリンは、そこで取り返しのつかない過ちを犯して捜査に失敗し、その罪悪感にいまも彼女は苛まれていた。そんな彼女のもとに、ある日、差出人不明の封筒が届く。中には紫色に染まった1ドル紙幣が入っており、それは行方をくらませた17年前の事件の主犯からの挑戦状だった。
現在と過去が交差する時、彼女の復讐は終わりを告げる
『ストレイ・ドッグ』は、ニコール・キッドマン演じる刑事のベルが、ある殺害現場へと赴くシーンから幕を開けます。
ひどくやつれた顔のベルは、遺体のそばに捨てられていた紫色の紙幣を見て、「犯人が誰だか知っている」と同僚に告げ、その場を去っていきます。
時制はそこから巻き戻り、17年前にベルが関わったある潜入捜査と、現在のパートが交互に描かれていきます。
物語の中で象徴的な役割を担う「紫色の紙幣」は、17年前の潜入捜査とベルを繋ぐアイテム。
現在に起きた殺人事件の犯人からの「警告」と思われた紙幣が、17年前のある出来事が紐解かれていくにつれ、ベルにとっての「復讐」の象徴であったことが分かります。
70年代ハードボイルド・アクションを彷彿とさせる乾いた作風と、特殊メイクを施して実年齢を越える「老け」を体現したニコール・キッドマンの熱演により、切ない復讐物語が閉じられていきます。
物語序盤に繋がるある仕掛けにより、ベルを取り巻く物語により一層悲壮な余韻を与えています。
ストレイ・ドッグ
調査日:2021/06/24
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8)『嘆きのピエタ』(2012年/韓国/104分)
【あらすじ】
債務者に重傷を負わせ、その保険金で借金を返済させる非情な取立て屋のイ・ガンドは、親の顔も知らずに30年間、天涯孤独に生きてきた。そんなある日、ガンドを捨てた母だと名乗る謎の女、チャン・ミソンが突然現れる。当初は邪険に扱い、残酷な仕打ちもしたガンドだったが、ひたすら謝罪を繰り返し、無償の愛情を注ぐミソンを次第に母親として受け入れていく。やがてガンドが取立て屋から足を洗おうとした矢先、ミソンは姿を消してしまう。
「愛」という名の魔物
人間の本質を鋭く描く作風で知られ、2020年に惜しくも新型コロナウイルスによって命を落とした韓国人映画監督のキム・ギドクによる2012年の作品『嘆きのピエタ』。ピエタとは、キリストの亡骸を抱く聖母マリアを指します。
物心のついた頃から両親がおらず、天涯孤独の身として生きてきたイ・ガンド。彼の仕事は債務者の取り立て。人を傷つける術しか知らない彼のもとに、ある日「母親」を名乗る女性が現れる。
戸惑い、彼女を退けるガンドでしたが、一方で愛情に強く飢えていた彼は、少しずつ人間性を取り戻していく。
親からの愛情を知らずに生きてきたガンドは、30年の月日を経て現れた母親に復讐するかのように冷たく当たります。そしてそんな彼のことを、まさしく聖母マリアのようにひたすら受け止め続けるミソン。
荒々しくも心温まる人間ドラマの体で進んでいく物語ですが、中盤に明かされるある展開により、実はミソンによる残酷な復讐の物語であったことが分かります。
やがて復讐を完遂するミソンでしたが、その幕切れはあまりにも無常で、強烈な余韻を残します。
嘆きのピエタ
調査日:2021/06/24
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9)『ナイチンゲール』(2018年/オーストラリア・カナダ・アメリカ/136分)
【あらすじ】
19世紀のオーストラリア・タスマニア地方。盗みを働いたことから囚人となったアイルランド人のクレアは、一帯を支配するイギリス軍将校ホーキンスに囲われ、刑期を終えても釈放されることなく、拘束されていた。そのことに不満を抱いたクレアの夫エイデンにホーキンスは逆上し、仲間たちとともにクレアをレイプし、さらに彼女の目の前でエイデンと子どもを殺害してしまう。愛する者と尊厳を奪ったホーキンスへの復讐のため、クレアは先住民アボリジニのビリーに道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る。
人類の暗黒の歴史をあぶり出す衝撃作
19世紀前半の植民地化が進むオーストラリアを舞台に、ある一人の女性の壮絶な復讐を描いたのが2018年の映画『ナイチンゲール』です。
囚人として捉えられている主人公のクレアはある日、イギリス人将校によって暴行され、挙句夫と子供を殺されてしまいます。
当時の時代背景として、イギリス軍による先住民アボリジニの大量虐殺が行われており、家族を殺された一人の女性の復讐物語であると同時に、悲惨な暴力にさらされてきた先住民たちの復讐の物語でもあるのが本作の特徴です。
家族を殺したイギリス人将校への復讐を誓う彼女は、捕虜として捉えられていたアボリジニの男ビリーの協力を仰ぎ、将校の後を追います。
実際の時代を下敷きにしているだけに、「復讐」に至る過程もリアルを徹底しており、クレアは遂に将校たちに迫るも、なかなか復讐に踏み出すことができません。
「命を奪う」という行為は本来、それほど大きな決断と狂気を要するものであり、いとも容易く人を殺めてしまう将校たち、そして彼らをそうさせてしまった戦争というものへの痛烈な批判にもなっています。
ナイチンゲール
調査日:2021/06/24
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10)『その夜の侍』(2012年/日本/119分)
【あらすじ】
鉄工所を営む中村は、5年前に妻をひき逃げ事件で失って以来、無気力な日々を送っていた。一方、ひき逃げ犯の木島は刑期を終え出所したが、しばらくすると匿名の脅迫状が届くようになる。中村の妻の命日に2人はついに対峙することになるが……。
嵐の夜、邂逅する2人
日本を代表する演技派俳優である堺雅人と山田孝之が共演した『その夜の侍』は、監督・赤堀雅秋氏が書き下ろした自身の戯曲を映画化した作品。
妻を轢き逃げ事件で失った男が、数年後刑期を終えた犯人へ復讐に向かう物語。
終盤、遂に因縁の2人が対峙する嵐の夜の公園まで、本作は両者の日常を淡々と描いていきます。
死んだ妻の残り香を求め、妻の下着を常にポケットに忍ばせている主人公の中村。
事故ではありながらも一人の人間を殺害し、刑に服したにも関わらず、その人間性がまったく変化しない男・木島。
互いの境遇は正反対ながらも、2人とも同様にして世界に絶望してしまっています。
誰よりも憎んでいた相手の目の中に、ふと自分の姿を見てしまう。
そんな人間の深層心理が巧みに描写された濃密なヒューマンドラマです。
嵐の夜に復讐を決意し、木島を呼び出した中村が下した決断とは。
ラストカットまで緊張感の途切れない作品でありながら、わずかな希望も中村の表情から窺うことができます。
その夜の侍
調査日:2021/06/24
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TSUTAYA TV | 10,000作品以上 | 30日間 | 月額1,026円 |
Paravi | 8,000作品以上 | 14日間 | 月額1,027円 |
まとめ)復讐からの開放とは、「赦す」こと。
芸術家のフランシス・ベーコンは、こんな言葉を残しています。
「復讐する時、人間はその仇敵と同列である。しかし、許す時、彼は仇敵よりも上にある」
「やられたら、やられた分だけやり返す」という行為は、結局のところ自分が最も忌むべき存在へと堕してしまうことに他なりません。
本記事では、その一線を踏み越えてしまった人間たちの行方を描いた作品をピックアップしました。
フィクションだからこそ、「復讐してしまった、その先」を垣間見ることができ、反語的に「赦す」ことの大切さについて思いをはせることができるでしょう。
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