社会人が大学院に通うメリット・デメリットと通信制大学院の活用法

[最終更新日]2020/12/01

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社会人が大学院に通うメリットは?

近年、リカレント教育という言葉を耳にするようになりました。学校を卒業したら社会人として働き続けるのが一般的だった時代と比べて、現代は現役で仕事に従事する年数が長くなっています。

また、世の中の変化が激しくなり、いちど身につけた知識・技能が生涯役立つとは限らない時代になりつつあります。

こうした背景から、社会人になってから大学院に通うという選択をする人が増えているのです。

では、社会人が大学院に通うことにはどのような意義があるのでしょうか。
働きながら大学院に通うメリット・デメリットと併せて、社会人が大学院を上手に活用する方法について解説します。

社会人の学び直しに興味がある人や、身につけたい専門分野がある人は、ぜひ参考にしてください。

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Index

目次

社会人が大学院に通う意義とは?働きながら大学院に通える?

大学院で研究に取り組むことに興味がある人の多くは、次のような点が気になっているのではないでしょうか。
今の仕事を続けながら大学院に通うことは可能なのだろうか?
社会人が大学院に通うことにどんな意義があるのだろう?

海外では年齢によらず大学や大学院で学ぶことは以前からめずらしくありませんでしたが、日本においては学生と社会人が明確に線引きされてきました。

そのため、現代においても社会人が大学院に通うケースはまだ多いとは言えない実情があります。社会人が大学院に通う意義と、働きながら大学院に通うことが現実的なのかどうかを整理しておきます。




社会人が大学院で研究に取り組む意義とは?

社会人になって以来、皆さんは学業や研究に取り組んだ経験があるでしょうか。
もちろん「ある」という人もいるはずですが、多くの人は「仕事が忙しくてそれどころではない」「学問から遠ざかってしまっている」といった状況でしょう。

社会人として就業していると、仕事に直接関わる知識やスキルは身についていきますが、それ以外の情報に触れる機会が限られてしまいがちです。

より視野を広げて新たな視点を獲得しようとすると、体系的な学問に触れることで見識を深めていく必要があると感じる人は少なくないはずです。

大学院は大学と比べて研究の自由度が高く、取り組みたい研究テーマをより深く集中的に掘り下げることができます。社会人が大学院で研究に取り組むことで、教養以上の専門性を身につけ、仕事に生かしていくこともできる可能性があります。




大学院では研究に専念するのが一般的

大学院は教育機関というより研究機関です。
学生といえども研究者の1人として扱われ、専攻する分野の専門家を志す者として研究に取り組む姿勢が求められます。実際、大学院修了後も大学に残り、本格的に研究者への道を歩んでいく人もいます。

こうした背景から、多くの大学院では在籍期間中は研究に専念することを条件としています。
社会人の場合、仕事と両立することをまず考えるはずですが、大学院としては研究に専念してもらうことを前提にしているケースが多いのです。

近年では社会人を受け入れている大学院も増えていますが、本来であれば「社会人なので」といった事情は考慮されないのが一般的と考えておいたほうが無難です。あくまで大学院の本分は「研究」にあると捉えるべきなのです。




仕事を続けながら大学院に通う方法とは?

仕事を一時的に休職する時間に融通の利く職場に転職する社会人大学院や通信制大学院を活用する

大学院で学びたい気持ちがあったとしても、そのために仕事を退職して研究に専念するのは多くの人にとって現実的ではありません。
そこで、社会人が仕事を続けながら大学院に通うためのより現実的な方法を挙げてみます。



仕事を一時的に休職する

職場で理解が得られることが大前提となりますが、今の仕事を一時的に休職し、研究に専念できる環境に身を置く方法が考えられます。大学院を修了したら復職し、再び社会人として働くことができるからです。

ただし、休職期間中は給与が支給されないケースが多く、研究に打ち込むための十分な蓄えを準備しておく必要があります。

休職期間中にキャリアが停滞することは避けられないため、本来得られていたはずのチャンスを逃したり、復職してから遅れを取り戻すのが大変だったりするのは致し方ないでしょう。

また、現実的には「大学院に通うために休職する」ことへの理解が得られない職場も多いと考えられます。仕事を休職して大学院に通えるのであれば、職場環境として恵まれていると捉えるべきでしょう。



時間に融通の利く職場に転職する

フルタイムではない仕事に転職するなど、時間の融通が利く環境を選ぶ方法も考えられます。仕事に充てる時間が減る分、必然的に研究のために使える時間が増えるわけですから、研究に取り組むには適した手段と言えます。

しかし、一般的には稼働時間が減れば収入も減ることが多いため、キャリアの面ではマイナスに作用する面が多いでしょう。

また、時間に融通が利くと言っても仕事は責任を持って遂行する必要がありますので、研究だけに専念できるわけではありません。



社会人大学院や通信制大学院を活用する

大学院の中には、社会人が通うことを前提にしたカリキュラムが設定されていたり、通信制で研究を進められる仕組みになっていたりする大学院があります。

社会人大学院であれば夜間に開講するため、仕事が終わった後の時間帯を活用して研究を進めることができます。通信制であれば自宅で時間を見つけて研究を進められますので、仕事の合間をぬって研究したい人に適しています。

一般的な大学院が研究への専念を前提にしていることを考えると、働きながら大学院に通うのであれば社会人大学院や通信制大学院を活用するのが現実的と言えるでしょう。

社会人が大学院に通う3つのメリット

ここまで見てきたように、社会人が仕事を続けながら大学院に通うのは負荷のかかることであり、軽い気持ちで実現できるものではありません。しかし、一定以上の負担を承知の上で大学院に通う人が増えているのは、それだけ得られるメリットがあるためと考えるのが自然でしょう。

社会人が大学院に通うことで得られるメリットとしては、主に次の3点が挙げられます。




高度な専門性を身につけ自身の市場価値を高めることができる

社会人が大学院に通う目的としてよく知られているのがMBA(経営学修士)の取得です。
大学の経営学部では経営に関する基礎的な事項を広く浅く学びますが、大学院ではより深く専門的・実践的な知識を学べることから、自身の市場価値を高めキャリアアップにつながるチャンスを得ることができるのです。

実際、MBAを取得することでコンサルタントなど一部の職種では転職において有利に作用することがあります。

転職しないとしても、資格取得によって昇進の際に有利になったり、資格手当などが支給されたりすることもあります。

大学の学部では学べない高度な専門性を備えたスペシャリストとしてのキャリアを築いていきたいのであれば、大学院に通うことは有益な選択肢の1つと言えるでしょう。




職場とは異なる人間関係や人脈を築くことができる

大学院に通うことで、指導教授や志を同じくする仲間と出会えるメリットがあります。専攻する分野の学会に関わる場合もありますので、会社員として働いている中では得られなかった人間関係や人脈を築ける可能性があります。

とくに民間企業の場合、学術的な分野の専門家とコンタクトを取るのは容易ではないのが実情です。

大学院に通うことで学会や研究室とのパイプができれば、専門家による助言や監修が必要になった際にコンタクトを取りやすくなるはずです。

もちろん、人間関係や人脈を築くことを主要な目的として大学院に通うのは動機としてあまり適切とは言えませんが、大学院に通うことで副次的に得られるメリットとして挙げることはできるでしょう。




視野が広がり人生をより豊かなものにできる

専門性の高い研究に携わることによって、従来よりも視野が広がるというメリットは間違いなくあります。

マネージャーとして日々部下の指導やマネジメントに従事している人は、経験的にマネジメントの知識やスキルを蓄積していくことはできますが、体系的な知識を構築していくのは困難です。

研究に取り組むことによって体系的な知識を得ることができれば、物事をちがった側面から観察し判断しやすくなるはずです。

仮に研究内容が仕事に直接関わらないものだったとしても、高度な研究に携わった経験が人生をより深く、豊かなものにしていくことは十分にあり得ます。人々の健康寿命が伸び、長生きする人が増えている現代だからこそ、さまざまな知見に触れ、知識を深めていくことで人生をより豊かなものにしていくことができるはずです。

社会人が大学院に通う3つのデメリット

社会人になって学び直しの機会を持とうとするのは素晴らしいことです。その意味において、社会人が大学院に通って再びアカデミックな世界に飛び込んで得られる知識や経験は並々ならぬものがあるでしょう。

一方で、社会人が大学院に通うことによって覚悟しておかなくてはならないデメリットもあります。とくに次のデメリットについては、社会人を続けながら大学院に通う場合に負うこととなるリスクとして必ず理解しておきましょう。




プライベートの時間があまり取れなくなる

おおよそ想像がつくはずですが、仕事を続けながら大学院に通うとなると、圧倒的に「時間」が足りなくなります。

仕事が終わってから大学院での研究に取り組むわけですから、平日の夜間はもちろんのこと、土日など休日をフルに活用して研究を進めなくてはなりません。趣味のために費やしていた時間や、家族と一緒に過ごしていた時間の大部分は、研究のために割くことになるでしょう。

「仕事後はのんびりとリフレッシュする時間を取りたい」「休日は家族との時間を最優先したい」といった点を重視する人は、仕事と研究の二足のわらじ状態になってしまうことに苦痛を感じる可能性があります。

大学院を修了するまでの数年間のこととはいえ、プライベートの時間がほとんどなくなってしまう期間ができることは覚悟しておく必要があります。




学費がかかるため経済的な負担が増す

社会人が大学院に通う場合でも、当然のことですが学費はかかります。下記は大学院における初年度納入金額の相場を示したものです。

《大学院の初年度納入金の目安》

国立大学 82万円前後
国立法科大学院 108万円前後
私立大学 80~180万円
私立法科大学院 110~240万円
通信制大学院 60~90万円

大学院に在学している限りは学費を納める必要がありますので、その期間は収入が実質的に目減りしている状態が続くことになります。

とくに法科大学院のような専門職大学院の場合、一般の大学院と比べて学費が高い傾向がありますので注意が必要です。

なお、学費を抑える仕組みとして奨学金制度が広く知られていますが、奨学金は基本的に経済的な事由により就学が困難な学生を支援するためのものです。

すでに収入のある社会人の場合、公的な奨学金制度を利用することは実質的に難しいと考えたほうがいいでしょう。

ただし、大学院ごとに独自の制度を設けていることがあり、学費の免除や割引が可能なことがありますので、志望する大学院に問い合わせるなどして確認しておくことをおすすめします。




大学院で研究したことが仕事で生かせるとは限らない

大学院で取り組む研究は大学以上に専門性が高く、高度な知識や教養を身につけるには絶好の環境と言えます。大学院で学んだことは広い意味で考えれば無駄になることはなく、生涯を通じて有意義な経験となるはずです。

ただし、仕事で直接生かせるかどうかといった視点で言えば、大学院で研究したことが生かせるとは言い切れません。

場合によっては、仕事に100%注力することが難しい期間ができただけで、キャリアには直接プラスにならないことも考えられます。

仕事に生かせる知識を身につけたい場合や、キャリアアップにつながる技能を体得したい場合は、資格取得を目指すなど別の方法を検討したほうが効果を実感しやすいことも考えられます。

社会人が大学院に通ったからと言って、必ずキャリアにプラスとなるかどうかは分からないことを理解しておきましょう。

通信制大学院とは?社会人が活用するには?

日々多忙な仕事に携わる社会人が大学院に通う上で、現実的な方法の1つに通信制大学院の活用があります。

通信制大学院は1998年に設置基準が見直されたことにより実現し、翌1999年より修士課程、2003年より博士課程の通信制大学院がそれぞれ設置され、現在に至ります。

通信制大学院とはどのような仕組みなのでしょうか。
また、社会人が通信制大学院を活用するメリット・デメリットはどのような点にあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。




通信制大学院における研究の進め方

通信制大学院では基本的に「通信」、つまり自宅など大学施設ではない場所で研究を行います。研究の進め方としては次の方法があります。

《通信制大学院の研究の進め方》

教材 自宅に教材が送付され、研究資料として活用する。
放送授業 インターネットなどで放送される講義を視聴する。
面接授業(スクーリング) 通学して指導教授から対面で指導を受ける。
メディア授業 ビデオ通話の活用などにより指導教授と対話する。

基本的には通信制で研究を進めますので、自宅などで研究を進め、論文を書き進めていくことになります。ビデオ通話などを利用して指導教授に質問できる場合もありますが、自力で研究を進めるのが原則です。

注目すべきは、面接授業(スクーリング)のように通信制であっても通学の必要があるケースが見られる点です。通信制大学院ごとに通学の必要・不要は異なりますが、中には定期的な通学が必須の場合もありますので注意しましょう。




社会人が通信制大学院を活用するメリット・デメリット

時間・場所の融通が利く通学型の大学院より学費が安い

社会人が通信制大学院を活用するのは、働きながら研究を進めるための現実的な手段と言えます。
通信制大学院を活用する上での主なメリットとデメリットを2つずつ挙げましたので、通信制大学院を検討する際の参考にしてください。

メリット➀:研究に取り組む時間・場所の融通が利く

社会人大学院の中には夜間に講義を開講するなど、働きながら研究したい人のためのカリキュラムを設けている大学院も見られます。

ただし、特定の時間帯に決められた場所に出向かなくてはならないため、たとえば仕事の繁忙期や出張などの事情でどうしても通学できないケースも出てくるはずです。

通信制大学院であれば時間や場所を選ばず、基本的に都合のよいときに研究を進めることができますので、忙しい社会人が研究に取り組む上で大きなメリットとなり得ます。



メリット②:通学型の大学院よりも学費が抑えられる

前掲の学費の相場で示したように、通信制大学院は通学型の大学院と比べて学費が抑えられる傾向があります。

これは一般的な大学院のように施設設備費が必要ないことと、指導教授が常駐しなくてもよいことに起因しています。

もちろん通信制大学院であっても取得できる学位は通学型の大学院と同じですので、より少ない学費で学位を取得できるというメリットがあります。




研究対象となる分野が少ない仕事との両立が難しく修了できないことも

デメリット➀:研究対象となる分野が少ない

通信制大学院の特性上、大規模な実験や実習を行うための施設・設備を利用することができません。

そのため、通信制が設置される研究分野はどうしても限られてしまいます。場所を選ばない通信制ならではのメリットは、大学院の施設・設備を活用できないというデメリットにもなり得ることを理解しておく必要があります。



デメリット②:仕事との両立が難しく修了できないことがある

通信制大学院を修了できる人の割合は決して高くないと言われています。
研究を全うすることを断念してしまうのにはさまざまな事情があるはずですが、一因としては仕事との両立が難しく、十分な時間を確保できなくなってしまった、といったケースが想定できます。

大学院を修了できるかどうかは修士論文や博士論文が審査に合格できるかどうかにかかっていますので、一定の研究成果が見られない限りは修了することができません。

多忙な中でも時間を捻出し、研究に充てる努力を持続していく覚悟がないと、修了できず仕舞いになってしまうリスクは十分にあると考えておきましょう。




社会人が通信制大学院を活用するには?

社会人が通信制大学院を活用する場合、前項のデメリットにも示した通り「時間の確保」が最も重要な課題となります。

具体的に週何時間を研究に充てられるのか、休日を研究のために全て投じるのが本当に現実的なのか、といった点を十分に検証しておく必要があります。

また、通信制大学院で大学院側から送付される研究資料は必要最低限のものに限られますので、基本的には自分で必要な資料を探し、入手することになります。

研究する分野の専門書が入手可能な図書館や大型書店を利用できる地理的・時間的な条件を満たしているかどうか、よく調べて確認しておくことが大切です。

このように、通信制大学院での研究は原則「自力で」進めることになりますので、不明点や疑問点が出てきた際に自分で解決できるだけの環境を整えておくことも、充実した研究にするためには必須の工夫となります。

まとめ)キャリアアップのための選択肢として大学院の活用を検討してみよう

社会人が働きながら大学院に通うのは、決して容易なことではありません。日々の仕事に加えて研究という大きなテーマが加わるわけですから、相応の時間とエネルギーを投じて取り組まなくてはならないからです。

しかし、大学院での研究を通じて体得した知識や教養は、今後のキャリアにおいて大きな財産となり、さまざまなところで生かされていくはずです。

キャリアアップのために大学院を活用するのは、有力な選択肢の1つとして検討するに値するものと言えるでしょう。

今後のキャリアをより素晴らしいものにするために、また、自身の人生をより充実したものにするためにも、働きながら大学院に通うという可能性について考えてみてはいかがでしょうか。




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